あとキャラ崩壊が激しい所があるのでご注意を!
〜ネイサン・ジェームズ〜
「あと60マイルでSM-3の射程内・・・」
レーダーを見ながらそう呟く。
赤城の艦載機が提案してきた作戦は私達の防空圏に敵機を引きずり込んでミサイル攻撃をする事だった。
たった1機にこの損害・・・ね。
「ジェームズさん、不明瞭な通信を・・・」
「不明瞭な通信?」
ヘッドセットを手にしたアンドロメダが私にそういった。
「解読します・・・えーっと・・・敵機に関して・・・ですね」
「敵機に関して?とりあえず続けて」
「了解しました・・・えっとこれ・・・敵の・・・コールサイン・・・?」
「コールサイン?」
「はい、ティーチャと呼ばれてます」
「ティーチャ・・・先生?」
「分かりません、呼んでいる声はヲ級のようです」
「ふーん・・・まぁ何か大それたコールサインだね、ティーチャなんて」
「全くね・・・先生は先生でも反面教師って奴かしら」
マーフィと2人でそんな事を毒づいていた。
「航空隊の損害は?」
「加賀航空隊が既に4機撃墜、メビウス隊も1機撃墜されました」
「了解、あと20分でセイバーホーク1が現場海域に到着するよ」
さっき上げたSH60の状況をレーダーで確認する。
それにしても敵は1機しか居ないのだろうか。
「そう言えばさ、あの1機に機動艦隊がやられたって事だよね」
「そうみたいね。油断出来ないわ」
「全くだね」
とは言ったものの、音速の何倍という速度で飛行する艦対空ミサイルをよけれるのだろうか。
まぁそれはやってみればわかる事だ。
「メビウスの隊長は大丈夫?」
「今のところ・・・」
「・・・無事にこっちまで来たら後は任せなさい」
マーフィは呟くように言った。
〜メビウス1〜
《隊長!もういいよ!逃げて!》
「大丈夫・・・まだ、大丈夫!!」
機体を掠める曳光弾。
敵はピッタリ真後ろだ。
「後部機銃が欲しいよ・・・!!」
《隊長!お願いだからもう逃げてって!!》
仲間の悲痛な叫び声が聞こえる。
「大丈夫だから!!」
私も無線に向かって怒鳴る。
ここで逃げたら味方に被害が出る。
正直逃げたいけど・・・
キャノピーに手を押し付けて後ろを振り返る。
ロールや上昇、降下を繰り返していて後ろを見る余裕がほとんど無い。
敵機の特徴的な二重反転プロペラとその軸にある30mmクラスのモーターカノンを視認できた。
それは間違いなく私の機体を捉えている。
何となくだけどコックピットを捉えてるようにも思えた。
「ハ、アッ・・・ハァッ・・・!」
恐怖で心拍数も上がっている。
オマケにずっと高いGがかかる機動のせいで息すらままならない。
苦しい。
「あと・・・あと5分・・・!!」
あと5分このままの進路を維持さえ出来れば味方の対空ミサイルの射程に入る。
だがその時だった。
《もう見てられないよ!!隊長!!》
上空から1機の零戦が捻り込みながら降下してきた。
敵機はそれに気づき機首を上げた。
私は飛び込んでくる零戦の機首と翼から射撃時に出る炎が見えた。
ヘッドオンだ。
「なっ・・・」
何してるの。
そう叫びたかった。
そして敵機の機銃からも炎が上がる。
《あっ・・・!!》
敵のモーターカノンから吐き出された砲弾が機体の中心を捉えていた。
零戦から放たれた機銃弾は敵機の横をすり抜ける。
「は、早く脱出・・・」
そう言い切るよりも先に空中で機体が爆発した。
あれは・・・7番機・・・
パラシュートは確認出来ない。
「え・・・・」
少し放心状態に陥る。
目の前で何が起きた?
理解できない。
頭が追いつかなかった。
「なんで・・・?」
《隊長!!後ろ!!》
その言葉で我に帰る。
そして怒りもこみ上げてきた。
「この・・・この野郎・・・!!絶対に許さない!!」
コックピットで叫ぶと同時に操縦桿を思いっきり手前に引く。
「落としてやる落としてやる落としてやる!!!」
《落ち着いて!!》
僚機の声が鬱陶しく感じる。
「うるさい!!!」
無線に向かって怒鳴る。
《まずいよ、隊長が我を忘れてる!みんな隊長の援護に!!》
《了解!!》
黒猫は私にぴったりとくっつき射線に捉えている。
いつ撃たれてもおかしくないのにまるで撃ってこない。
「クソ・・・クソ、クソ、クソォ!!!バカにしないでよ!!」
まるで僚機を落とされて悔しいか?と言いたげな飛び方だった。
私はもう1度ストールターンでヘッドオンになろうとする。
たが、さっきと同じ事になってしまった。
「あ・・・」
すり鉢状に横滑りしながらこちらに照準を合わせようとしていた。
《うわぁぁぁ!!》
その時、僚機が叫びながら突っ込んできた。
同じようにかわそうとする敵機。
だが、機銃を撃ちながら突っ込んできた僚機の20mm砲弾が敵機のエレベーター部を捉え、破壊した。
吹き飛ぶ水平尾翼の稼働面。
敵機の機動力が大幅に落ちていた。
「もらった・・・落ちろ落ちろ落ちろこのクソッタレ!!!」
背後を取り機銃を撃つ。
たが、機動力が落ちたとはいえ、二重反転プロペラの推力は変わっていない。
敵はどんどん加速する。
だが・・・そっちはジェームズさんの防空圏だ。
「みんな、追い込むよ!」
《分かってる!あの子の仇は取ってやる!》
この手であのコックピットを機銃掃射してやりたいが無理なのは分かっている。
せめて避けることが出来ない矢が迫ってくる事に恐怖しながら落ちろ。
私はここの中でそう思った。
そして・・・敵機のスピードから考えてヤツはもう防空圏内だ。
《捕らえた・・・マーフィ》
《分かってるわ。発射!》
《目標、距離450キロ。SM-3発射・・・落ちろ》
「・・・さぁ、みんな帰ろう」
《・・・いいの?》
「何が?」
《あの子の事・・・》
メビウス7の事だろう。
良い訳ない。
だけど・・・これが戦争だ。
落とす側が居れば落とされる側がある。
そういう事だ。
「受け入れるしかないよ・・・これが戦争なんだから」
《・・・》
《・・・うん》
そんな帰投ムードの時だった。
敵は一緒だけ、左に機首を振り、機銃を掃射した。
空中で何かが2つ爆発する。
《えっ・・・!?》
《SM-3ロスト・・・2発とも・・・やるねアイツ》
敵はミサイルを迎撃した。
まるで接近してくるのが分かっているようだった。
そしてその光景を満足そうに見て上昇、雲に隠れてしまった。
《アイツどこいったの!?》
「後方警戒!どこから来るか分からないよ!!」
《了解!》
だが、その後姿を再び表すことは無かった。
私達も燃料が限界になる。
「・・・なんだったのアイツ」
その思いだけが残る。
特徴的な二重反転プロペラに逆ガル翼。
そして機首のモーターカノン。
猫の鳴き声の様なエンジン音。
「・・・メビウス7のパラシュート確認できた人いる?」
《誰も・・・見てないよ・・・》
《・・・・・》
「・・・了解。メビウス7に・・・敬礼」
彼女の墜落地点に敬礼して赤城さんへと向かった。
〜提督〜
「・・・了解、帰り道には気をつけてくれ」
《了解しました、交信終わり》
「はぁ・・・メビウス隊で2機落ちたか・・・」
アンドロメダの報告を聞いてタメ息をつく。
それにしても報告にあった敵機は深海棲艦としては異質だ。
二重反転プロペラに逆ガル翼。
メビウス1のガンカメラの映像も送られてきたが、あれは俺達の側の戦闘機を模している。いつもなら異型の戦闘機なのに。
それにあの機動力・・・
厄介な相手が出てきたものだ。
「これでメビウス隊はあと6機・・・か」
普通の航空隊なら補充が効くんだが・・・ネームド航空隊となるとな・・・
とはいえ、代わりの効く命はない。
「司令官さん、お疲れのようならお休みしたほうが・・・」
「・・・大丈夫だ、それより鹿島の方はどうだ?この前の演習終わってこの鎮守府に配属予定の新隊員の教育に戻っていったが」
「うーん・・・それがなのです・・・」
電は渋い顔をした。
「演習中に聞いたのですが・・・」
電は鹿島から聞いたという話をした。
どうやら完全に教官と思われてないらしい。
鹿島自身、かなり優しい性格をしているから叱るに叱れない所があるのだろう。
あとまぁ・・・見た目めっちゃ美少女だしな・・・
「あと少しで訓練終わるだろ、執務室に呼んでくれ」
「了解なのです!伝えに行ってきますね!」
「うん、よろしく」
そして俺は無線を取る。
相手はアンドロメダだ。
「アンドロメダ、聞こえるか?」
《はい、聞こえます》
「航空隊の様子は大丈夫か?」
《なんとか・・・ただ、メビウス隊の隊長がかなり精神的に来てると思います、普段は滅多にしないゴーアラウンドを3回ほど・・・》
「着艦は大丈夫なのか?」
《はい、何とか。ただ着艦フックを折っちゃったみたいです》
「了解、航空隊の連中には帰ったら休暇をやると伝えてくれ。」
《了解しました》
仲間をまた失った隊長の気持ちはよく分かる。
俺自身、何人も失っている。
だけど、こう思うしかない。これは戦争なんだ。
敵にだって仲間も居るし家族だっている。
こんな考え方は軍人失格かも知れないが・・・
「言葉は通じるのにな・・・」
敵の事を思う。
日本語も通じるし、こっちに友好的な者すら居た。
というか、国内でデパートに普通に買い物に来てる姿を目撃されている。
あとゲーセンでプリクラ撮ったりしてる姿とかを写真で見た事がある。
「まぁいいや・・・和平交渉は俺の仕事じゃない」
なんてしてるとドアがノックされた。
「どうぞ」
「入ります」
入ってきたのは鹿島だった。
それにしても随分早い。
「随分早いな」
「ちょうどこちらに向かってましたので」
「そか、とりあえず電から色々聞いたんだが・・・大丈夫か?」
「何とか・・・大丈夫・・・です」
「・・・せめてこっち見ようか。目を合わせなくていいから・・・」
「うぅっ・・・だって・・・だってあの子達酷いんです!私を困らせて影で楽しんでるんです!この前なんてその私の困った顔とか色々写真に撮って仲間内で商売してる子とかいるんですよ・・・!」
「・・・・・・」
すまん鹿島。
一瞬、その新隊員達と仲良く慣れそうって思ってしまった。
たぶんその商売目の前でされてたら俺も買ってた。
「う、ぇ・・・もう、私どうしていいか・・・」
「泣くなって、大丈夫だ。そうだ、教育隊の動画とか見たらどうだ?ネットにいっぱいあるだろ」
「ネットですか・・・?」
「あぁ、それ見て研究してみるんだ」
「ぐすっ・・・分かりました・・・」
「とりあえず泣き止んでから部屋出ろよ・・・下手すると俺が泣く羽目になる」
たぶん大丈夫だがな・・・電の勘違いはたまに死ぬほど怖いからな・・・
「あー・・・もういいや仕事止めた止めた」
「・・・いいんですか・・・?」
「あぁ、今日は休む。電ももうすぐ帰ってくるだろうしな。部屋帰って2人で映画でも見るよ」
「私、今日研究して明日から実践してみます・・・」
「そうしてみな。そうだ、これ持っていけ。小型の無線だ。お前の指導とかどんな感じか聞いてみたいしな」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
だいぶ精神的に辛そうだ。
まぁでも、鹿島には将来的に配属予定隊員と新配置艦娘の教育を任せるつもりでいる。
ここで強くなってもらわないとな・・・
なんてしてたら電が帰ってきた。
「ただいまなのです!・・・って・・・司令官さん・・・?」
「違うんです聞いてください電様」
「えへへ、冗談なのです!」
「あー、そっか冗談かー!あはは!」
心臓止まるかと思った。
というか心停止(物理)が起きると思った。
「とりあえず鹿島はもう部屋に帰ってゆっくりして来い。電、今日はもう仕事終わりにして映画でも見ないか?」
「いいのです?!」
「大丈夫、明日でもどうにかなるよ。あとはやる気の問題だな」
「えっとじゃあ・・・私は帰りますね、お疲れ様でした提督さん」
「あぁ、明日から頑張れよ」
鹿島は目元を拭って執務室から出ていった。
俺も椅子から立ち上がる。
「さて、何見る?」
「うーん・・・劇場版けものフレンズで!」
「よしそれ見るか!」
「わーい!たーのしー!なのです!」
電ははしゃぎながら部屋へと戻った。
〜翌日〜
そろそろ訓練が始まる頃だろう。
鹿島に渡した無線の電源を入れる。
《はい、皆さんおはようございます!今日はえっと・・・警戒自衛戦闘です!》
懐かしいな・・・
俺も新隊員時代に思いを馳せる。
だが・・・
《うぇ〜い》
なんだこの気合のない返事は・・・相手が鹿島じゃなきゃ殺されるぞ・・・
すると・・・
《あの・・・もっと元気よく行きましょ?ね?》
《鹿島教官とハグ出来たらもっと元気出ます》
・・・おい。
俺も混ぜろ。
《あ、あの・・・学生長、ちゃんと指導しました?》
《はい、一応。鹿島教官のパンチラ写真渡したら明日からマトモになるって言ってました》
・・・・・・・・・・・どうなってんだこの教育隊。
あとその写真ください。
《・・・・・》
たぶん鹿島今震えてんだろうな・・・
なんて思った次の瞬間だった。
《あの・・・皆さん》
いつもと雰囲気の違う鹿島の声。
周りは気づいていなさそうだが。
《もしかして私がいつもいつも笑顔とかで対応すると思いましたか?ね?学生長?》
《え・・・》
《すったらお前らは私がいつもいつも優しいお姉さんだと思っとったんやなオイコラ学生長どういう事か説明せんかオイ》
ひえっ。
めっちゃ怖い。
普段怒らない人が怒るとこうなのか!?
《お前らええ根性しとるなオイ。その気合い別の事に使う気無いんか?なんか答えろコラ》
キャラ変わってますけど!?
あとあなた元々可愛い系の声なのにそのレンジャー教官みたいな言葉遣いで違和感マシマシなんですが!
《あら、ごめんなさい。私とした事が、ふふっ》
この言葉すら怖い!!
《でも、皆さん。今日は訓練内容変更しましょうか、では皆さん・・・》
ヤバイ、この先何が起こるか少し予想出来てしまったが故に自分の新隊員時代の悪夢が蘇る。
《その場に腕立て伏せの姿勢を取ってください♪》
来たァァァァァ!!!しかもこれたぶん当分終わらないタイプだ!!
《ちょっと、遅いし皆動き揃ってないですよ。ちょっと学生長立ってください》
《はい》
《返事は大きくハイ!だろうがコラ!》
《はひぃ!!》
こえええええ。
《学生長、おかしいですよね?あなたがこの隊の長なのですから、ね?》
《はい!》
《返事はレンジャー!だろうが!》
お前レンジャー訓練の動画見ただろ。
思いっきり突っ込みたかった。
《レンジャー!!》
お前は疑問に思え学生長。
おかしいだろ色々と。
《あなたの統制力の無さがこの事態を招いているって分かりますか?あなた人間ですよね?分かりますよね?》
《レンジャー!》
お前もしかしてレンジャー訓練の内容知ってる?レンジャーってとりあえず答えておく感じだと知ってる?
《日本語で喋ってくださいね♪》
そして君は本当にレンジャー過程の動画見たのかね。
《はい!すみません!》
《ふふっ、そこの人何姿勢崩してるんですかぁ?やる気ないんでしたらお家に帰っていいですよ♪》
《レンジャー!》
なんでお前もやねん。
《返事だけは立派なカカシばっかりですね、でもそろそろ寒くなってきたでしょう?》
現在の気温、32℃。
《レ、レンジャー!》
《暑いです・・・》
レンジャーという声に混じって弱音が聞こえた。
君の気持ちはよく分かる。
でもそれ言うと死ぬシステムになってるから・・・
《あら、今寒いって聞こえましたね♪じゃあ暖めてあげますね》
暖めてあげますねって声が物凄く優しいんだが内容を知ってるから死刑宣告にしか聞こえない。
しかも即執行。
《まったく、弱音吐かなきゃ終わりにしてあげたのに・・・ふふっ、頑張ってくださいね♪》
無線の向こうから聞こえる新隊員の数を数える声と悲鳴が混ざった声。
《あ、学生長は立ったままですよ、あなたが皆を指導するんですから》
イヤァァァァ!!それ1番精神的に来るヤツだから止めたげて!!
俺は無線を聞きながら過去を思い出し悶えた。
皆汗ダラダラ書きながら腕立て伏せしてる中、お前指導しろって言われて立たされるヤツ・・・あれ本当に死にたくなる。
《あら、指導しないですか?命令が聞けませんか?》
お願いします、提督さんの顔に免じて許してあげてください。
《まったく、学生長がこんなのだと皆死にますね》
そこまで言わんといてあげてぇぇぇ!!
《あら?腕立て伏せは終わってませんよ?頭で考えられなくても腕立て伏せは出来るでしょう?それとも腕立て伏せすら出来ないバカの集まりだったんですね・・・じゃあ腕立て伏せは終わりにしますね》
無線の向こうから安堵の声が少し聞こえた。
・・・・これで終わるわけないだろ・・・南無
《全員、雨衣を着てくださいね♪今日はゲリラ豪雨が来ますから》
《え、でも今日天気予報だと・・・》
《来てください、ふふっ♪》
《はい・・・》
《ふふっ、いい子ですね》
嫌な予感しかしない。
あと何が起こるかももう分かった。
とりあえずぶっ倒れるヤツが出るという事だけ分かった。
俺は電話を取る。
「・・・衛生班聞こえるか」
《はい、聞こえます》
「熱中症の処置が出来る救急車を10両くらい新隊員が訓練してる所に送ってくれ・・・」
《何かあったんですか?》
「いや・・・今から何か起こるから・・・」
《?とりあえず了解しました》
そう言って電話を切った。
そして再び無線を聞く。
《今日は小銃持ってきてて良かったですね、では皆さん控え銃ですっ!》
銃の金属音が聞こえる。
・・・本当にやめてあげて。
《では駆け足、進め♪私も走りますから皆さん元気だしてくださいね!》
《はい!》
めっちゃ気合いのこもった声が聞こえた。
お前ら絶対汗だくになった鹿島が見たくてその気合いだろ。
この後の状況を聞くのが嫌になり無線を切る。
「司令官さん、新隊員の方達大丈夫なのです?」
「とりあえず死人が出ないように処置した・・・」
「なにごとなのです!?」
この後、新隊員30人中、10人ぶっ倒れて待機していた救急車に助けられていた。
聞いた話、うわ言のように「鹿島さんの汗だく姿・・・目に・・・焼き付けた・・・」とかぶっ倒れる時の悲鳴が「汗だく透けブラいただきましたー!」とか「鹿島さんの汗1滴飲めた!我が生涯に一片の悔い無し!汗美味し!」とか「汗だく姿エッロ!」とか叫んでぶっ倒れたらしい。
なんて思ってたらドアがノックされた。
「どうぞ」
「提督さん、入りますね」
「はいよ、訓練お疲れ様」
「はい、ありがとうございますっ!みんな心を入れ替えてくれるって言ってくれました!」
「そか、良かったな」
「でも私・・・大切な教え子が10も倒れるまで走らせるなんて・・・」
鹿島は涙目でそう言った。
でもたぶん全員怒ってない。
衛生班によると全員怒ってないどころか最高の1日だったと言っているらしい。
倒れた連中も命に別状もなく、また全員何故かとても幸せそうな顔をしているらしい。
「大丈夫だって。そうだ、これから毎日でも軽く汗かく程度に皆と走ったらどうだ?全員の士気が相当高くなると思うが」
「毎日ですか?」
「あぁ、健康にもいいしな」
あと男性隊員の心の健康にもいいと思う。
なんて心の声が聞こえたら電がレンジャー教官になりそうだ。
「ありがとうございます提督さん!また明日から頑張りますね!」
「おう、しっかりな」
鹿島は元気に出ていった。
「ふぅ・・・」
「司令官さん」
「ん?」
「走って汗かいたら健康に良いってわかるのですが、なんで士気があがるのです?ちょっと説明してくれませんか?」
「・・・・・・・レンジャー!」
「そうですかそんなに走りたいですか、では司令官さん私も走りますけど司令官さん屈強ですからそこの対化学兵器用の防護衣とガスマスク付けて走れますよね?」
「レンジャー!!」
この後まさかの小銃じゃなくてジャベリン持って走らされた。
10分もしないうちにガスマスクの目ガラスの向こうに天使の羽が見えた。
後から衛生班の連中に俺がうわ言のように「ほら、目ガラスの向こうに天使の羽が・・・」と言っていたらしい。
目が覚めて時計を見るとあと2時間程度で空母隊が帰って来る時間だった。
あと何だかんだ電は俺の心配をしてずっと傍に居てくれたらしい。
「あ!司令官さん、目が覚めたのです!」
「あぁ・・・おはよう」
「良かったのです・・・昨日はごめんなさいなのです・・・」
「大丈夫だ、昔を思い出す程度だったからな」
ジャベリン持って走らされる記憶なんてこれっぽっちも無いがな!!
「ところで、空母隊は大丈夫か?」
「あ、えっとさっき連絡が入ったのですが、メビウス隊の隊長さんがやっぱり精神的に危ないそうで・・・」
「・・・だろうな。帰ったらカウンセリングさせるか・・・」
航空機の妖精さんも地上に降りれば普通の人間より少し小さいサイズになる。
しかもどうやって小さくなったり大きくなったりするのかまるで分からない。
ある意味世界の七不思議みたいな感じだ。
だが、たまにサイズが帰ってきても変わらない妖精もいる。
大抵は精神的に参ってる時だが・・・
前回、僚機を撃墜された時は大丈夫だったが今回はどうなるか・・・
俺はベッドの近くの窓から艦隊が帰投する方向を眺めた。
レンジャー教官な鹿島さんが現実に居たら新しい何かに目覚めるかも知れない。