横須賀鎮守府の日常   作:イーグルアイ提督

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もはや作者のオリジナル艦娘しか出てないという現実。


ネイサン・ジェームズの嫌いな物

〜マイケル・マーフィ〜

 

「はぁ・・・」

 

『あら、マーフィさんが珍しく悩んでますね・・・はっ、もしや恋の悩み!?許しませんよ私という女が居ながらー!相手は誰だちくしょー!!そいつの枕元でAK乱射してやるー!!!』

 

「違うわよ!あと長いし物騒だから止めなさい!!」

 

『えー、違うんですかー?あっ・・・ということはもう何ヶ月も生理が来てない・・・ちくしょー!例えトイレに隠れてても見つけ出して核ミサイルぶち込んでやるー!』

 

「だから違うわよ!!」

 

ひとり部屋でシンビルスクに向かって突っ込む。

というかこの子なんでこんなにやる事物騒なんだろうか・・・

 

『じゃあ何の悩み事ですか?』

 

「大したことじゃないわ」

 

『そう言われると余計気になりますよー』

 

本当に大したことじゃないが・・・まぁいいか。

 

「えっとね、ジェームズって何か本気で怖がるようなものってあるのかなって。私はあの子の事よく分かってないからね。あの子には私が姉って記憶があるのに・・・」

 

『あー、そういう悩みなんですね』

 

「それにあの子結構可愛いのに仏頂面だしあんまり笑ったり怖がったりとかないのよね・・・」

 

『えへへ、マーフィさん。それなら調査済みですっ!』

 

「え、ホント?」

 

ただ同時に私はある事を思い出す。

この子他人に入って思考とか読み取って遊ぶ癖がある。

・・・絶対ジェームズで遊んだなコイツ。

 

『ジェームズさんの苦手なものベスト3から行きます!』

 

「あら、随分調べてるのね。ところで・・・どうやって調べたのかしら?」

 

『えっへん!それはもちろん寝てる間に相手の精神に入ってですね!・・・はっ!!』

 

「おかしいわね、私それ止めろって何回言ったかしら?」

 

『ご、5回くらいです・・・』

 

「そう、5回・・・ね?もっとあるけどサービスしてあげるわ」

 

『さ、ササササービスってなんのですか・・・?』

 

「これよ」

 

私はとあるお寺から貰った幽霊を封じ込める力があるというお札を取り出した。

 

『いやぁぁぁぁ!!ごめんなさい許してくださいいいい!!!それだけは嫌なんですー!!』

 

「でも私5回くらい怒ったわよねぇ?ちょっとくらいお仕置きする権利あるんじゃないかしら」

 

『それちょっとじゃないんです!それ封じ込めるっていうより別の空間に飛ばされるんですぅぅ!!しかもそこヤバいんですよ!!一言で表すとヤバい霊しか居ないんですよ!!あれ全部人間界に解き放ったら人類くらい一時間で死滅しますからね!!しかも私この前そこに飛ばされた時の状況分かります?!こんな可愛い美少女来た時の地獄絵図分かりますか!?男の悪霊に犯されかけて女の幽霊には嫉妬か何か知りませんけど本気で殺されかけましたからね?!』

 

「長い。3行」

 

『嫌だ。怖い。行きたくない!!お願いしますマーフィさん何でもしますから許してください!!』

 

「へえ・・・なんでも・・・?」

 

『はいもうマーフィさんが満足するまでエッチしてあげますから!』

 

「・・・」

 

本気で封じ込めてやろうかと思ったが、さすがにここまで怖がってるということは相当な体験だったのだろう。

可哀想だしやめておくか・・・

 

「はぁ・・・もういいわ・・・」

 

『うわぁぁぁ!マーフィさんんん!ありがとうございます!!大好き!!』

 

「はいはい・・・それで、ジェームズが苦手なものって何なの?」

 

やはりそこは気になるので聞いてみる。

 

『え、えっとですね。ジェームズさんが本気で苦手なものが3つありまして・・・』

 

「あら、意外とあるのね。」

 

『まず一つ目!アスチュート級潜水艦です!』

 

「まさかの・・・」

 

『ジェームズさん、その潜水艦には手を焼いたみたいで相当苦手らしいですよ?』

 

「意外と普通なのね・・・というかあの子同盟国の潜水艦とも・・・」

 

ちょっとだけジェームズの過去がどれだけ悲惨だったのか考えた。

アスチュート級と言えばイギリスの潜水艦。

つまりは味方のはずの潜水艦なのだ。

 

「二つ目は?」

 

『えっとですね、ゴキブリです!』

 

私はそれを聞いた瞬間、さっきまで着いていた頬ずえからずり落ちた。

いきなりレベル下がりすぎでしょ!!

 

「い、意外と女の子らしいのね・・・」

 

『ゴキブリを見かけたら火炎放射器でその建物ごと浄化しないと気が済まないみたいですよ?』

 

「・・・・」

 

怖すぎる。

 

『ゴキブリ=未知のウイルスの元。つまり消毒。そして解決。私は世界を救うって心の中にありました』

 

「どんだけ嫌いなのよ・・・」

 

『あ、そうだ、1番苦手なものの前にもう一つ苦手なものありましたよ』

 

「3つじゃなかったの?」

 

『忘れてましたてへっ☆』

 

「・・・封じ込めようかしら」

 

『お許しくださいマーフィ大明神様』

 

大明神ってなんかヤダ。

 

『あ、あの・・・もうふざけないので許してください・・・』

 

「いいわよ・・・」

 

私はため息を付きながらコーヒーを飲む。

 

『ええっと・・・ジェームズさんって女の子として扱われるのが嫌みたいですよ』

 

「え?」

 

『可愛いのにもったいないですよねー・・・』

 

「・・・何となく分かるわ・・・」

 

『そうなんですか?』

 

「あの子、聞いた話だけだけど悲惨な状況に何度も直面して・・・仲間もいっぱい失って・・・自分も沈みそうになりながらも戦ってたんだからね・・・」

 

『・・・』

 

私は船の時代に実戦を経験してない。

だからあの子がどんな気持ちだったかは分からないが、たくさん戦ってたくさん傷ついて・・・たくさん人を殺して。

だから普通に女の子として扱われる事に違和感を感じてるのだろう。

 

「そうだ、1回あの子を心底可愛くしてみましょうか」

 

『どうやるんですか?・・・まさかマーフィさんそれだけはダメですー!!』

 

「違うわよ!!たぶん貴女が想像してる事とは違うから!!」

 

『・・・残念です』

 

「どっちよ・・・」

 

『で、どうやるんですか?』

 

「まぁ普通に可愛い格好でもさせて姉妹デートとかね」

 

『・・・もしナンパされたらどうするんですか?』

 

「大丈夫よ、これでも軍人なんだから」

 

『いえ・・・その・・・ナンパしてきた人達がなんですけど・・・』

 

「どういうこと?」

 

『ジェームズさん下手すれば逆に殴り倒して・・・とか』

 

「・・・・・あなた私の妹になんてイメージもってるの?」

 

『ご、ごめんなさい・・・』

 

「まぁいいわ・・・そういえば1番苦手なものって?」

 

私は1番気になっていた事を聞く。

 

『はい!言いたくてうずうずしてました!ずばり・・・』

 

いったい何が苦手なんだろうか。

あの子を知るいいチャンスだ。

 

『幽霊です!』

 

「あだっ!!」

 

頬ずえからずり落ちて顎を強打した。

痛い。

 

「幽霊が苦手なの?あの子・・・」

 

『ジェームズさん曰く、ゾンビとか妖怪とか何か実体があるならトマホークでも撃ち込めば解決するけど幽霊は物理で殺せないから嫌いらしいです』

 

「あ、あの子らしい・・・わね・・・」

 

『でも私は大丈夫みたいなんですよね・・・残念です・・・』

 

「あら?そうなの?」

 

『何かその・・・アスロック撃ち込めば倒せそうって思われてるみたいで・・・』

 

「・・・あの子の苦手基準は武器が効くか効かないかなの・・・?」

 

でも私はちょっとしたイタズラを思いつく。

 

「ねぇ、シンビルスク。あなた幽霊のお友達居ないの?」

 

『いやあの・・・そりゃいない事ないですけど・・・』

 

「ちょっとジェームズを驚かせてみましょうよ。もうすぐ帰ってくるし」

 

『いいですけどどうやるんです?』

 

「幽霊ってうんと怖い状態とかに出来ないの?」

 

『私達をなんだと思ってるんですか!?』

 

「ほら、怖い映像とかにあるような感じで部屋に立ってくれてるだけでいいから」

 

『まぁ・・・それなら・・・じゃあちょっとまってて下さいね』

 

「うん、よろしくね」

 

そう言った2秒後だった。

 

『お待たせしました!』

 

「はやっ!?」

 

『いやー、飴ちゃんあげたら喜んで引き受けてくれましたよこの子』

 

「・・・え?この子?というかどこに居たの?」

 

『姿見せてくれるって言ってるんでまってて下さいね!あ、そうだせっかくなんで目をつぶってくれます?』

 

「え?あ、あぁ、分かったわ」

 

言われた通り目をつぶる。

その後なんだか顔の周りに暖かいものが・・・

これ絶対に何かいる・・・

 

『はい!いいですよー!』

 

私は意を決して目を開けた。

そこには・・・

 

「にょわぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

10歳くらいの女の子が居た。

居ただけならいい。

前髪垂らしてしかもその隙間から吸い込まれそうなくらい真っ黒になった目が見えた。

しかも無表情。

あとそれが20cmも無いところにいた。

 

『あははは!ビビりすぎですよー!』

 

「び、ビビるわよこんな近くにいたら!!!」

 

『こんな近くにって前から居たんですけどね』

 

「え」

 

『あれ?気づいてなかったんですか?たまにマーフィさんの枕元に居ますよ?普段はそこの角でテレビみたり雑誌読んだりしてますけど』

 

「ちょ、ちょっとまって?嘘よね?」

 

『私、この鎮守府というかこの近くのお友達ってこの子だけですよー』

 

私は一気に鳥肌が立つ。

 

『あ、ちなみにこの子、自分が思う最強に怖い姿してって言ったら今まで研究してきた成果を果たす時って意気揚々と変身しましたよ』

 

「なによそれ!!!」

 

『ふだんはこんな感じですよ』

 

そして目の前の女の子が消えたと思ったら今度は普通に可愛い女の子が立っていた。

・・・というか幽霊って変身できるのか・・・

 

「心底ビビったけど・・・とりあえずこれでイタズラしましょうか」

 

『おー!』

 

女の子は声は出せないようだが笑顔で手を上げた。

 

 

 

 

〜ネイサン・ジェームズ〜

 

「あー・・・やっと終わった・・・ビール飲みたい・・・」

 

今日は電が食堂勤務の当番らしく、代わりに秘書をしてくれと言われた。

それならいいが仕事量が多すぎる・・・

というかレーダーの不調を治すのがなぜに提督直々なのか・・・

 

「めんどくさ・・・飲んで忘れよ・・・」

 

そして部屋の前に到着した。

 

「そういやマーフィ今日は休みかー・・・マーフィお酒弱いから一緒に飲んでくれないしな・・・まぁいいや」

 

そんなこと呟きながらドアを開けた。

すると部屋は真っ暗だった。

 

「あれ?マーフィ居ないのー?」

 

そう言ってみるが返事がない。

 

「外出かな。まぁいいやー、電気電気っと」

 

その時だった。

何か目の前に暖かい物を感じた。

 

「ん?何これ」

 

前には何も無い。

 

「やば・・・疲れすぎてるのかな・・・」

 

そう思いながら電気をつけた。

そしてふと正面を向いた時だった。

目の前に白い服を着た女の子が。

しかも前髪垂らしてその隙間から真っ黒な目が覗いている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

私の思考が停止する。

・・・私はこんなだけど、幽霊だけは苦手だ。

特にこんな呪ってきそうな奴。

やばい泣きそう。

 

「・・・・・!」

 

私は恐怖に抗いながら部屋を猛ダッシュで飛び出す。

向かうは提督の執務室。

 

 

〜提督〜

 

「さて、今日は電が食堂勤務だし食堂行くのもいいな」

 

終わった書類をまとめてコーヒーをすする。

食事までまだあと30分ほどある。

 

「やっぱり電が入れてくれるコーヒーのほうが美味いな・・・」

 

自分で入れてみたはいいが何か違う。

やっぱり電のがいい。

なんてしてる時だった。

ドアが蹴破られる。

 

「な、なんだ!?」

 

驚いてドアを見ると顔を真っ赤にして俯いているネイサン・ジェームズさん。

・・・今度は何事だ!?

 

「お、おいジェームズどうし・・・」

 

するとジェームズは無言で俺に近づいてきた。

耳まで真っ赤になってよく見ると震えている。

というか仕事で来てた米海軍の迷彩服のままだ。

 

「!?」

 

そしてまた抱きつかれた。

 

「ど、どした!?何があった!?」

 

状況が飲み込めない。

あとまた電に殺されかける・・・

 

「ジェームズ?」

 

「う・・・ぐすっ・・・」

 

「またか!?またなのか!?」

 

俺は前の出来事を思い出す。

マーフィとシンビルスクがイチャイチャしてた事だ。

 

「・・・部屋変えるか?」

 

無言で頷く。

というか鳩尾あたりが濡れてきた。

これ相当泣いてないか・・・

 

「ひぐっ・・・私・・・」

 

「どした?」

 

「ぐすっ・・・私ね・・・」

 

「あぁ、なんだ?」

 

とりあえず聞いてやるか・・・

 

「うぇっ・・・物理で殺せない幽霊嫌いなの・・・ぐすっ・・・うっ・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」

 

どういうこと?

・・・・・・・どういうこと!?

 

「すまんジェームズ。何が言いたいのか分からん!」

 

「だから・・・ね・・・ゾンビとかなら・・・ひぐっ・・・トマホーク撃ち込めば・・・死ぬでしょ・・・?」

 

「・・・いやまぁ・・・うん」

 

「でもね・・・Japaneseなね・・・Ghostには効かないよ・・・」

 

「・・・・・・・すまん。全然わからん」

 

「だから・・・!幽霊嫌いなの・・・!怖いんだよ・・・」

 

・・・もしかしてアレか。

コイツの中で怖い幽霊、怖くない幽霊はミサイルとかその辺の効果があるヤツらか効果が無いヤツらなのか・・・

てかゾンビって幽霊?

 

「分かった、とりあえず俺から離れて座れ。な?」

 

「・・・やだ・・・」

 

「なんでだ」

 

「・・・今の顔・・・見せれない・・・」

 

「・・・お前も何だかんだ女の子らしい所あるな・・・」

 

「違う・・・」

 

まぁいいや・・・。

そう思いながら頭を撫でてやる。

「・・・ありがと」

 

「これぐらいしか出来ないがな・・・」

 

「・・・大丈夫・・・これ以上の事は電にしてあげて・・・」

 

「・・・お前って何か泣いてるとかそういう弱くなった時は本当に女の子って感じだな」

 

なんて言いながら立ったままはキツくなってきたソファーに座る。

ジェームズは抱きついたまま一緒に座った。

・・・なんか地味にいい匂いが・・・っていかん!!このままでは浮気になる!!

 

「てーとく・・・」

 

「なんだ?」

 

「少し落ち着いた・・・借りたいものあるんだけどいい?」

 

「あぁ、なんだ?」

 

「シグ・・・」

 

「なんで君は拳銃をご所望なのかね・・・?」

 

「・・・いいから貸してよ」

 

「頼むから誰も撃つなよ・・・」

 

そう言ってSIG P226と弾倉を渡す。

ジェームズはまだ目が赤いが・・・まぁいつものジェームズだ。

 

「ありがと・・・」

 

そう言って部屋から出ていった。

 

「大丈夫かなアイツ・・・」

 

めっちゃ不安だ。

 

 

 

 

〜ネイサン・ジェームズ〜

 

銃は心強い。

私は拳銃を握りしめてもう1度部屋の前に立つ。

 

「すー・・・ふー・・・」

 

息を大きく吸い込んで私はドアノブを持たずに拳銃で狙う。

怖くてドアノブが持てない。

とりあえずぶっ壊して開けよう。

4発ドアの鍵の部分に撃ち込む。

そしてドアを蹴り開ける。

 

「にょわぁぁぁぁ!?!?」

 

開けた瞬間聞こえたのはマーフィの悲鳴と目の前にいる幽霊。

 

「ふふっ・・・見つけた・・・」

 

私はそう言って拳銃で狙う。

 

『え、ちょっ、ジェームズさん!?』

 

無言で弾倉の全弾をぶち込んでやる。

 

『ひにゃぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

幽霊が悲鳴を上げて逃げ回る。

その時マーフィの後ろに小さな女の子の幽霊がいた。

 

「・・・ここにもいた」

 

「ちょ、ジェームズ落ち着いて!!」

 

私は弾倉を新しく差し込んで再装填する。

だがマーフィに押さえ込まれて撃てない。

 

「離してマーフィ!!そいつ殺せない!!」

 

「殺すも殺さないもすでに死んでるからこの2人!!」

 

『そそそそそそそうですよ落ち着いてください!!』

 

「普段冷静なのにどうしたの?」

 

マーフィはそう聞いてきた。

 

「私は幽霊が嫌いなの!!」

 

そう叫んで腕を振り払って拳銃をふたたび話しかけてきた方の幽霊に向ける。

だが・・・

 

「やめろバカ」

 

「あ、提督・・・」

 

「部屋ん中でドンパチやるんじゃねーよ・・・まったく」

 

「返してよ!!」

 

私は提督に向かって叫んだ。

 

「・・・お前が幽霊苦手なのは分かるがな・・・コイツ、覚えてないのか?」

 

そう言って指さすのはよく良く考えたら思い出した。

シンビルスクだ。

 

「あ・・・で、でもコイツは・・・?」

 

そう言って私は提督の後ろを指さす。

 

「ん?」

 

ゆっくりと後ろを振り返った。

そこにはさっきの女の子の幽霊がいた。

白い服に長い髪・・・

 

「のわぁぁぁぁ!!」

 

そしてまさかの拳銃乱射。

 

「あんたもなの!?」

 

マーフィが提督に向かって叫ぶ。

 

「あー・・・びっくりした・・・」

 

提督はそう言いながら胸をなでおろしていた。

さっきの幽霊は居なくなっていた。

 

「・・・・とりあえずジェームズこっちこい」

 

「なんで」

 

「部屋変えてくれって言ってただろ」

 

「あー・・・うん」

 

「えっ!?」

 

マーフィが目を丸くして驚いている。

 

「すまん、すぐ部屋割りを変えるから少しの間一人部屋で我慢してくれ」

 

「え?あ、う、うん・・・分かったわ・・・」

 

悲しそうな顔をするマーフィを見たら何とも言えない気持ちになった。

 

「・・・・」

 

「どうした?」

 

「やっぱり私、このままの部屋でいい」

 

「いいのか?」

 

「うん。この部屋にマーフィ1人にさせれないよ」

 

「そか。じゃあ俺はこのまま飯行ってくるよ」

 

そう言って提督は拳銃を仕舞って去っていった。

 

「・・・」

 

「どしたの?マーフィ」

 

「いえあの・・・ごめんなさい!」

 

「え?」

 

マーフィは涙目になりながら謝ってきた。

 

「私・・・貴女が幽霊嫌いって聞いてイタズラしちゃったの・・・」

 

「あー・・・なんだ、マーフィのイタズラだったんだ」

 

「怒らないの?」

 

「こういうドッキリってアメリカじゃ普通でしょ?私は懐かしくて好きだよ」

 

私の知ってるアメリカはもうこんなドッキリすら出来ない状態だったんだ。

なんだかこういう雰囲気が懐かしくて悪い気分はしなかった。

 

「でもマーフィすごいよね。シンビルスクも。あんなリアルな幽霊の格好するなんて」

 

『あの・・・拳銃撃ちまくられてなんですけど・・・私も立派な幽霊なんですけど・・・』

 

「あんたアスロック撃ったら死にそうじゃん」

 

『ジェームズさんの怖い基準ってあれですか!?物理攻撃効くか効かないかですか!?』

 

「当たり前でしょ。私の心の格言は『血が出るなら殺せるはずだ』だよ」

 

『物騒すぎますよ!』

 

「いや、貴女が言えた話じゃないと思うわ」

 

『マーフィさんは冷静に突っ込まないでくださいいいい!!』

 

なんて3人で笑っていた時だった。

マーフィが爆弾を投下していく。

 

「あ、そうそう。貴女が本気でビビってた幽霊だけどアレ本物よ?シンビルスクの友達なんですって」

 

「・・・・・!?」

 

『あの子、生きてる人間のほうがよっぽど怖いってどっか行っちゃいましたよ・・・私の妹みたいな存在だったのに・・・ぐすん』

 

いや待って。

本物?

モノホンなの?

 

「ジェームズ?どうしたの?」

 

「うっ・・・え・・・今日もう一人じゃ寝れないよ・・・」

 

「ジェームズが泣いた!?」

 

私だって泣く時は泣くんですよ・・・

 

「あ・・・えっと・・・よしよし」

 

マーフィが抱きしめてくれた。

 

『あー!!ジェームズさんずるいですー!』

 

「悪霊退散」

 

『ひどい・・・いいですよ・・・私角っこ丸くなってますもん・・・ぐすん・・・』

 

「ジェームズ、ごめんね。怖がらせて」

 

「ぐすっ・・・大丈夫・・・」

 

そのまま2時間くらい姉に甘えるような感じになっていた。

 


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