〜ネイサン・ジェームズ〜
「これ艦娘の仕事じゃないと思うんだけど・・・」
「まぁな・・・それには同意するよ・・・」
「同意するなら断ってよ」
「んな事言われたって珍しく上層部がまともな命令出したんだぞ?」
「まぁそうだけどさ・・・なんで私が名指しなの?」
「練度だってよ」
私は目の前にある命令書を読みながらそう言った。
内容は国内にある深海棲艦と関わりを持っている可能性のある研究所の捜索だ。
ただの捜索なら陸軍でも出せばいいのだが、捜索グループの1つがこの研究所に行ったあと連絡が取れなくなって1週間経つらしい。
本来なら空爆でもして吹き飛ばしたいところだが証拠まで無くなると困るから爆撃まではしていない。
おまけにその研究所がある地域は前に起きたシンビルスクの核ミサイルが落ちた場所の近くで現在は封鎖という形になっているが、貧困で困った人や反社会勢力等が入り込み無法地帯となっているそうだ。
そこに普通の人間よりも身体能力の高い艦娘で陸戦も出来る私に白羽の矢が立ったということだった。
「こんな所行きたくないんだけど・・・」
「まぁそう言うなって。武器だって良いのを準備してるんだから」
「どんなの?」
「あー、ちょっとだけ待っててくれ」
そう言って提督は執務室を出てどこかへ向かう。
「・・まぁ・・・あなたの命令なら聞くよ」
私はボソッとそう言った。
すると・・・
『おっほ、こりゃてぇてぇですね!』
「・・・!?」
びっくりして振り向くと半透明の艦娘が居た。
「・・・シンビルスク・・・今の聞いたの?」
『聞きましたよ!ジェームズさんと提督の関係尊いですね!』
「・・・そう、じゃああんたの墓にトマホークぶち込んどくから」
『ちょっと!?それ私以外にも被害でますよ!?』
「コラテラルダメージって知ってる?」
『いや、知ってますけども!』
「それかマーフィにお願いして封印してもらおうか?」
『ごめんなさい忘れるので許してください!!!』
「ふん・・・」
シンビルスクはそう叫びながら窓をすり抜けて逃げていった。
そこに提督も帰ってくる。
「ありゃ、シンビルスクでも居たのか?」
「いたって言うか化けて出たよ。幽霊って暇なんだね」
「あいつが特殊なだけだと思うぞ・・・」
提督は大荷物のまま呆れ顔でそう言った。
「とりあえずこの装備だ」
「なにこれ・・・アメリカ製じゃないの・・・?」
「なんだ、お気に召さなかったか?」
そう言って提督が放り出したのはAK-74Nだ。
ハンドガードはフロント近くまで覆われているVS-24。
ガスチューブもレイルガスチューブのVS-33が装備されている。
リアサイトはTula TT01が装着され、そのレール部分にはT-1ドットサイトが。
ストックはFAB Defense UAS-AKが装着され、ピストルグリップは MAGPUL MOE-AKタイプになっていた。
ハンドガード下部にはMAGPUL RVGが。
ハンドガード上部のフロントサイト付近にAN/PEQ-15。
マガジンは5.45mmタイプのAK用P-MAGが装着され、マズル部分にはHEXAGONの5.45mmサウンドサプレッサーが装着されていた。
もはや、AKの原型がほぼ無くなるまでカスタマイズされていた。
かなり扱いやすくなってはいるが。
「・・・どんだけ金かけてんの・・・」
「ユークトバニアから取り寄せんの大変だったんだぞ?特に弾薬とかな」
「弾?」
「7N39イゴルニクって弾だよ。クラス6のアーマープレートですらぶち抜けるって噂だ」
「またどえらい物を・・・」
「俺の大切な艦娘だし、重婚したとはいえ、大切な人に変わりはないからな。最高の装備を持ってってくれ」
そう言って提督は銃を渡す。
「・・・ありがと」
私は大切な人と言われて顔が赤くなっているかも知れない。
ちょっと恥ずかしいが・・・。
「あと装備はこれだな」
「初めて見る、このプレートキャリア」
「ANAタクティカル製、M1プレートキャリアだよ。クラス4相当のプレートを突っ込んでる」
「へぇ。ていうかANAって航空会社みたいだね」
「ユークの会社だがな。」
そのあと、提督は他にも集音機能のあるヘッドセットのComTac2とバックパックを渡してくれた。
「バックパックには食料とバラ弾詰めていってくれ」
そう言って携行食と7N39が詰まった紙箱を渡してきた。
「マガジンは銃と合わせて7本。ハンドガンはどうする?」
「んー、使い慣れてるから226で」
「MP443は使わないか」
「それだと完全にロシア兵なんだけど・・・拳銃の弾はくれるの?」
「それなら良いの買ってきたぞ、これだ」
「何このエグい形した弾は・・・」
渡された弾薬はホローポイント弾のようだが鉤爪のような物で弾芯が覆われている。
見た感じ着弾時に体内で筋肉繊維を切り裂きながら広がりそうだ・・・。
「9x19R.I.Pって弾薬だよ。1発で敵が止まるんだと」
「そりゃ止まるだろうね・・・」
撃たれた後のことなんて考えたくもない・・・。
「それで、増援はあるの?」
「すまない、単独行動になる。上空からの近接支援はあるが」
「ん、了解」
「何も言わないのか?」
「単独の方が楽だよ。見えるもの全部敵だし」
「代わりに孤立無援だがな・・・」
「そうなったら、助けてくれるんでしょ?」
私は少し笑ってそう言った。
提督はいつも誰かが助けを必要としたら例え命令違反でも助けに来てくれる・・・。
そう信頼していた。
「まかせろ。総理大臣ぶん殴ってでも助けに行ってやるよ」
「ん、そっか。それで?」
「それでって?」
「出発は3時間後なんでしょ?」
「あぁ、ヘリでな」
「じゃあほら、やる事あるよね?」
「ん?やる事?」
私は気づいてくれない提督に少しイラッとしつつもちょっと照れくさくなって小声で言う。
「・・・行ってらっしゃいのキスだよ・・・」
「ぶっ!」
「ちょっと、吹き出すのは失礼だと思う」
「す、すまん、お前がそんな事言うなんて思わなくてな・・・」
「いいじゃん、指輪ついて夫婦なんだし」
「まぁ・・・な・・・」
提督はきった電の事を考えているだろう。
少し胸がズキっとした。
「・・・今は電じゃなくて私しか居ないの。私だけを見てよ」
「お前もそんな事言うキャラだったんだな・・・」
「あなたの前だけ。恥ずかしいし・・・」
「はは、そうか。照れてる姿も可愛いもんだ」
「・・・うるさい。いいから早くしてよ」
「はいはい」
そう言って提督は私の顔に近づきキスをした。
「ん・・・」
「満足か?」
「それ聞いちゃう?」
「あえて」
「いっそこの先もやりたいんだけどな」
私も今スイッチが入ったかもしれない・・・。
かなり大胆な方の。
「・・・それは帰ってからの楽しみにとっとけ」
「そうするよ」
私はそう言ってプレートキャリアを着込み銃を取った。
「頼むぞ、国内の敵を暴くチャンスだからな」
「了解。行ってくるよ」
私は執務室を出てヘリポートへと向かった。
目的地は廃墟となった街だ。
放射線は観測されていないが熱線や爆風で破壊されていた。
とはいえ、シンビルスクの放ったミサイルは核出力も抑えられていたようで被害自体は爆心地のみといった感じだった。
それでも核攻撃を受けたことに変わりはないが・・・。
「それにしても・・・最近は艦娘の扱いが本業以外になりすぎじゃないかな」
特にウチの鎮守府は・・・。
身体能力は普通の人間より高いのは分かる。
実際、艦娘にもよるが艤装を外し人として生活できる状態でも厳しい訓練を受けた特殊部隊員より戦闘能力、身体能力は高かったりする。
だから、こういう任務も分からなくはない。
分からなくはないが・・・。
「船の仕事じゃないんだよね・・・まぁいいや」
そうボヤきながらヘリに向かった。
すでにエンジンを始動し待機していたブラックホークに乗り込む。
私が乗り込んだことを確認してパイロットはヘリを離陸させた。
ここから目的地までは2時間。
着陸地点から目標までが徒歩で1時間だ。
《ジェームズ、聞こえるか?》
「感度よし。どうしたの?」
提督から無線が入った。
《状況の再確認だ。目標は東京の閉鎖区画にある研究所。それの調査だ》
「詳しく聞いてなかったけど、どこの会社なの?その研究所って」
《欧州企業だよ。表向きは大規模な複合企業だがな》
「まさかあのゾンビウイルスの・・・」
《そりゃゲームとか映画の話だろ》
「でもほら、表向きはとかついてるじゃん」
《まぁそれも間違ってはないけどな・・・Terra Groupだよ》
「テラグループ?」
《ありゃ、知らないのか》
「私の記憶にはないけど」
《あー・・・そうか、違う世界線ってやつだよな》
「なんか厨二っぽくてその言い方好きじゃないけど」
《なんだよ!》
「いやなんで提督が怒るの・・・」
《男なんてな!みんな中学2年生なんだよ!》
「いや、それは偏見」
どうやら押さない方がいいスイッチを押したかもしれない・・・。
とにかくそのテラグループというのが何か端末で調べてみる。
「タルコフ・・・?」
検索して出てきたページにそう書かれてあった。
内容はユークトバニア・・・私の記憶知ってる世界でいうロシアとヨーロッパが作り上げた経済特区、ノルヴィンスク内で起きた紛争についてだった。
その紛争はTerra Group等のヨーロッパ企業の違法行為等のスキャンダルが原因で政治的対立が起き、ロシア軍と国連軍がタルコフ市内で武力衝突、タルコフは完全に閉鎖されてしまった。
そんな事件の原因の一つであるTerra Groupだが今は事業を収縮し艦娘や深海棲艦についての研究も行っているらしい。
私たちに配布されている高速修復剤もTerra Groupの技術が入っているそうだ。
「そんなのが日本でなんかやってるってわけね」
《政府としては艦娘研究に貢献している以上、大事にしたくは無いが、深海棲艦と関わりを持っている可能性がある以上放ってはおけないそうだ》
「それで、私の出番ってわけなんだね。深海棲艦との関わりの証拠を取ってくればいいの?」
《それと行方不明のチームの捜索もな。Terra Groupには私兵のPMCもいるそうだ》
「了解、気をつけるよ」
提督とのブリーフィングを終えて10分ほどで、ヘリは目的地近くに着陸した。
「迎えはよろしく」
そう言うとパイロットは敬礼をして離陸した。
「・・・さてと、行きますか」
初弾を薬室に送り込む。
AKなんて久しぶりに使う。
それにしても、丸みを帯びたハンドガードなので持ちやすい。
Key-modでもあるので余計なレールもないのもあってかなり扱いやすくなっている。
「核攻撃で閉鎖された区画に怪しい研究所・・・日本のタルコフってところか」
《なんだ、タルコフ事件知ってるのか?》
「さっき端末で調べた。なんでこんな企業が日本に展開してるのか不思議だよ」
《表向きは優良企業だからな。裏では色々やってたらしいが…》
「現在進行形でね。それより航空支援機のコールサインと武装は?」
《支援機はMQ-9リーパー。コールサインはレイブン。武装はAGM-114が4発、GBU-12が2発。支援可能時間は8時間》
「了解」
ドローンが支援機なら心強い。
私は端末に表示される道を歩き始める。
それにしても東京とは思えない場所だ。
郊外だから山だらけなのはあたりまえだが・・・。
だがこの付近はミサイルの爆風を受けて気がなぎ倒されたりしている。
近くにある家も窓ガラスが粉砕され廃墟になっていた。
・・・この区画全体がゴーストタウンのような不気味な雰囲気を醸し出していた。
《ジェームズ、その近くに熱源反応ありだ》
「熱源?」
《2人いる。ちょっと待ってくれ・・・》
私は念の為隠れて指示を待った。
《なんてこった・・・武装してやがる・・・》
「武器は?」
《おそらく猟銃だ。この区画は人を完全に退去させてるから居るのは火事場泥棒のロクデナシだけだ》
「・・・そのロクデナシをどうするの?」
《交戦規定は撃ってくるまでは撃つな。できるか?》
「やってみるよ」
《念の為武器を捨てて区画から退避するように言えるか?》
「無茶を言うねほんと・・・」
私は隠れていた岩から立ち上がる。
「そこの人達、ここは立ち入り禁止区画だよ」
「な、なんだお前!」
「ぶっ殺せ!!」
そう言うといきなり撃ってきた。
弾が耳元を掠める。
私は咄嗟に岩に隠れた。
「いきなり撃ってきたんですけど!」
《クソッタレ!無法地帯なのかここは?!》
「撃っていいの!?このままだと殺られるよ!」
《クソ・・・撃ち返せ!》
私はその場で伏せて右にリーンし射撃した。
2人の胸に弾丸が当たり倒れた。
「はぁ・・・2人やった」
《・・・了解》
私は近づいて背中に銃を向ける。
「確認」
そして2人に1発ずつ撃ち込んだ。
《お前何やってんだ!》
「射殺確認。生きてたら困るのは私だよ」
《だからって死体撃ちするんじゃねえ!》
提督は無線越しに怒鳴る。
「・・・分かったよ、ごめん。変なスイッチ入ってた」
私はそう言って敵の武装を解除しようとした。
武器に手を伸ばすと持っていたのは89式小銃。
もう1人が上下2連式のショットガンだ。
「提督、89式って民間で売られてるの?」
《ん?》
「倒した1人が持ってた」
《まさか行方不明のチームの・・・ソイツ何か持ってないか?》
「何かって?」
《持ち物だよ、チームのものを持ってるかも知れない》
「ちょっと待ってて」
私は2人が持っていたのリュックサックを取って物陰に向かう。
リュックサックの中を漁ると食料などと一緒にカメラのようなものが出て来た。
これはヘルメットカメラ・・・?
「提督、読みは辺りかも。ヘルメットカメラが出てきた」
《端末で再生できるか?出来ればこっちにも送信してくれ》
「了解」
私は端末にSDカードを差し込んだ。
映像の記録は2日前で止まっていた。
「最近殺られたっぽい」
《チームが行方不明になる時・・・1週間前のファイルはあるか?》
「あるよ」
私はそれを再生した。
すると研究所と思われる施設の内部を映した動画だった。
『重要書類は片付けたか?』
『なんとか全部・・・あとはこのケースさえ持ち帰れば・・・』
『とりあえず研究員を全員このエレベーター前に集めろ、すぐに日本政府の連中が来てしまう』
音声は英語。
LABと書かれた白衣を着た研究員も映っていた。
『脱出はどうするんだ・・・?』
『今ヘリを要請中だ。』
おそらくこのヘルメットカメラの持ち主は隊長クラスなのだろう。
研究所の責任者と話をしていた。
だが、口調はかなり高圧的で研究員を逃がすと言うよりただ1部に集めているだけのように見える。
『妙な真似はしないように言っておけ』
『わ、分かってる・・・』
そう言った矢先だった。
『おい!止まれ!止まれ!!』
聞こえるのは銃声と悲鳴だった。
このカメラの持ち主も研究所の責任者と思わしき男性を射殺していた。
まるで口封じだ。
「嘘でしょ・・・研究所の職員を撃った・・・?」
《・・・大層なお仕事だ・・・》
その撃った連中の腕にはUSECと書かれたパッチが貼ってあった。
動画はそこで終了していた。
次の動画を再生すると研究所の外だった。
今度は銃撃戦の最中のようだ。
『日本の連中に嗅ぎ付かれたらしいな!』
『3-1の9時方向に敵!!』
『そこに敵がいるなら爆薬に点火しろ!』
そう言うと隣にいた1人が何かのスイッチを取り出した。
『ぐあっ!?』
だが頭を撃たれて倒れる。
『クソっ!3-2は後方に下がれ!爆発するぞ!』
そう言ってスイッチを押す。
かなり大きな爆発の後、銃声は止んだ。
《・・・おそらくこの連中に攻撃したのは陸軍のチームだろうな》
「たぶんね。固まってたせいか全滅だと思うよ」
カメラの持ち主は爆発のあった方向に進む。
『負傷した日本の野郎だ』
『気をつけろ、負傷兵がグレネードを持ってるかもしれない』
『死なせてやれ』
そして聞こえる銃声。
私は目をつぶった。
戦闘慣れした私でも止めを刺す瞬間は見たくなかった。
それが特に身内の人間であれば・・・。
動画はそこで終わっていた。
《・・・これでチームの居場所も分かったな。それにとんでもない証拠も手に入った》
「・・・深海棲艦と関わってるって話は見つかってないけどね」
《・・・・》
「・・・ねぇ、提督。復讐なんて柄じゃないけど、コイツらに報いなくていいの?」
《・・・》
提督は何も答えない。
「分かった、この証拠映像を送信したら私でやるよ。このまま仲間を殺されて帰れない」
私はアメリカ海軍の艦とはいえ、所属は日本軍だ。
それにコイツらは見た感じに元米軍のヤツもいる。
同じアメリカ軍属として民間人を撃ち殺すような外道を放ってはおけない。
《ジェームズ、これだけは約束しろ。かならず帰ってこい》
「分かってる。あなたとの約束だもん。破らない」
《・・・今連中の根城を捜索している。少し待っててくれ》
私は近くにあった廃屋に入りタバコに火をつけた。
家の中は荒らされ金目の物は全て持っていかれていた。
「貧困地区だったらしいけど・・・無法地帯だから人の醜さが出てるのかな・・・」
この地区は封鎖される時も避難を拒否して留まり続け結果閉じ込められてしまった人たちも居る。
慢性的な物資不足で争いも耐えないのだろう。
日本国内の内戦地域みたいなものだ。
「ここだけ見たら・・・私の記憶と同じだよ・・・」
私はあの赤い悪魔の事を思い出していた。
あの時も人の醜い部分が出て居たから。
「はー・・・」
タバコを1本吸い終わる頃、提督から無線が入った。
《ジェームズ、USECの拠点を見つけた。おそらくこの地域からの脱出の為の拠点だろう》
「了解。やっちゃっていいの?」
《あぁ、やっちまえ・・・》
提督はあまり気が乗らないような口調だった。
まぁ、気持ちは分かるが。
「で、この動画はどうするの?」
《どうするって?》
「本部に提出するのかって事。これ、相手がPMCとは言え国際問題じゃないの?」
《まぁな・・・》
艦娘や深海棲艦の研究で協力している企業に雇われたPMCが研究員を口封じの為に殺し調査に来た陸軍の部隊まで殺した。
こんな映像外に出したら敵が深海棲艦だけじゃ無くなってしまう。
《映像は見なかったことに・・・したいんだがな・・・》
「それは私が帰ってからで決めよ。とりあえず、あの外道に報いを」
《分かってる。ただ、建物内になると近接支援は無理だ。それだけは理解してくれ》
「了解。」
《今、USECの拠点を見つけた。そこから西に4km言ったとこにある廃工場内だ》
私は端末で地図を確認した。
4km・・・歩いて1時間くらいか。
「ちゃんと上から見ててよ」
《分かってる。お前こそ、気をつけてな》
「うん。帰ったらその・・・さっきの続きだから」
《ぶふっ!!》
「ちょっと、吹き出さないでってば」
《いやだから大胆過ぎるだろ!》
「いっそ電も誘う?」
《あり》
「いや、ありなんかい」
なんだよこのド変態は・・・。
そのド変態を好きになってしまったわけではあるが・・・。
「もういいや、死亡フラグになるだけだよ・・・」
《それな》
「それなじゃないよ」
私はため息をついて廃屋から出る。
弾は十分。
ポケットには注射器に入った応急用の高速修復剤もある。
・・・ヤツらに報いを受けさせてやる。