~いそかぜ~
「ハ-プ-ン発射始め!」
「一番発射用意・・・撃てぇ!!」
またこの夢・・・
「いそかぜ・・・ユルサナイ・・・」
そして血まみれのうらかぜ・・・
もう嫌だ・・・
「もう・・・いや・・・やめて・・・」
うらかぜはゆらゆらと迫ってくる。
その手には76mm速射砲が握られている。
その砲口はもちろん、私を狙っている。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・!」
ゆっくりと砲身がこちらを向く。
ああ・・・私もここで沈むのかな・・・
でも・・・こんなに苦しいなら・・・もういいかな・・・
「いそかぜ・・・」
しかしいつまでたっても砲撃はされない、不思議に思い目を開けるとそこには・・・
「いそかぜ・・・もういいんだよ・・・苦しまないで」
「うら・・・かぜ・・・?」
そこにいたのはあのうらかぜじゃない、在りし日の凛々しいうらかぜだった。
「あそこで攻撃を止めれないのは私でも分かってたよ。あれは仕方なかったんだよ」
「でも・・・私は貴女を・・・!」
「いいんだよ、もう苦しまないで」
「でも・・・でも・・・!」
なんで私の意識の中にあの うらかぜ がいるのか不思議だった。
うらかぜは私をそっと抱き寄せ・・・
「お願い・・・もう苦しまないで」
そしてうらかぜは続ける。
「・・・私を・・・沈めて」
「!?」
「私ね・・・あの後・・・深海棲艦になっちゃった」
「そんな・・・やっぱり私のせいで・・・」
「ううん、違うよ。あなたのせいじゃない。貴女がトリガ-を引いたの?」
「それは・・・」
「悪いのはヨンファ。それに貴女はその後、ヨンファを自らの手で葬ったじゃない。私の仇・・・いや、その事件で沈んだ味方の艦の仇をとってくれたでしょ?」
「・・・」
「ね?だから苦しまないで。それと・・・私は深海棲艦のままで居たくないの。だから・・・お願い」
「出来ないっ・・・!」
「出来るよ、あなたは強いんだから」
「私は強くなんか・・・」
「ううん、強い。だから・・・早く・・・もう貴女たちを照準に収めてる・・・いま、貴女の僚艦を狙ってる・・・」
「そんな・・・でも・・・!」
「お願い・・・起きて」
「・・・」
「貴女は・・・イ-ジス艦でしょ!護衛艦でしょ!!海上自衛隊なんでしょ!仲間を護れなくてどうするの!」
「ッ・・・!」
「ね?だから・・・」
「うああああああああああ!!!!」
その瞬間意識が戻る。
「うわあ!?起きた!?」
「敵艦は・・・!?」
「左30度、戦艦ル級」
「トマホ-ク攻撃始め!!!」
ル級に向けて一斉にトマホ-クを発射する。
「・・・うらかぜ・・・ごめんね」
「戦艦ル級・・・轟沈!」
「残りはいますか?」
「いや・・・これだけだよ」
「了解しました・・・」
私は沈んでいくル級に左手で敬礼を送った。
「?」
「どうして敬礼送ってるの?」
「・・・いえ・・・体が勝手に動いただけです」
「帰りましょ!疲れちゃったわ」
「そうだね、お風呂に入りたい」
<<おいおい、護衛は忘れないでくれよ>>
「輸送船を引き連れて帰還します。速力20ノットで航行しましょう」
「了解」
「りょうかーい!」
「ん?あれなんだい?」
「あれ?」
響さんがさっきまでル級がいた場所を指差す
「え・・・まさか・・・」
「どうしたの?」
「ちょ、ちょっと見てきます!!」
「え、ちょっ!」
私は全速でその地点に向かう。
あれは・・・
「うらかぜええええええ!!!」
海上に浮かんでいるの気を失ったうらかぜだった。
「うらかぜ・・・うらかぜ・・・!」
「ん・・・んん・・・あ、あれ・・・いそかぜ・・・?」
「よかった・・・よかった・・・また会えた・・・!」
「あ、あれ・・・私・・・さっき会った気がする・・・」
「うん!さっき・・・さっき会ったよ!」
「ん~・・・どこで会ったかしら・・・」
「とりあえず帰りましょう!」
「そうね、でも何だか不思議ね」
起きたうらかぜは引っ張って帰路につく。
よかった・・・うらかぜが助かって・・・
私は泣きながら海上を走っていた。
~電~
司令官さん居ないとさびしいのです・・・
それよりさっきこの辺で有名なブラック鎮守府が司令官ごと爆破されたって聞いたんですけど・・・
やったのが司令官さんじゃないこと祈るのです・・・
「指揮官って結構疲れるのです・・・」
司令官さんの机に座っていろいろしてると疲れるのです・・・
司令官さんもこんな感じなのかな。
「あ・・・!帰ってきたのです!」
まどの外には輸送船といそかぜさん達が見えた。
ただ一人増えている。
「あれ、一人増えたのです?」
とりあえず外に出て艦隊を出迎える。
「おかえりなさいなのです!」
「ただいま電!」
「うわっ!雷お姉ちゃんいきなり抱きつかれるとびっくりするのです!」
「えへへ~、スキンシップ!」
「いそかぜさん、その方はどなたなのです?」
「あ、えっと・・・」
「護衛艦うらかぜです」
「うらかぜさんですか・・・よろしくなのです!」
「あ、うらかぜ。鎮守府は案内します」
「よろしく!」
いそかぜさんとうらかぜさんは手を繋いで鎮守府の奥に走っていった。
・・・あれ、いつの間にかデキてるのです!?
「とりあえず補給の用意は出来てるのです」
「ありがとう電、先にお風呂入りたいな」
「了解なのです!」
私もお風呂入りたいのです・・・
それより司令官早く帰ってきてほしいのです!!!
次回から本気出すと約束したな?・・・あれは嘘だ。