自由意志の象徴は英雄の夢を見るか?   作:3m6ry0

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すみません遅れました。1日1回更新の夢が…っ


俺のヒーロアカデミア

side葉隠透

 

帰ってきたオールマイトと、まだロボットのまんま飛んできたレイちゃん。

皆何も言えなくなったみたい。どうだ凄いだろう!!

 

「あー、皆…シット、時間か…そうだな、今日の自分の動きの反省点と、私とレイヴン少女の演習についてどう思ったかレポートを書いてもらおうか!今日は時間だし解散!相澤君に期限とか伝えておくからね!」

 

オールマイト先生がなにか話そうとした時、ちょうどチャイムが鳴った。レポートかぁ…

 

横を見ると個性を解いたレイちゃんが…

 

「…ごふっ…」

 

へっとぎあから、あかい、ちが

 

「え、れい…ちゃ…」

「レイヴンさん?!」

「お、おい担架、飯田、担架持ってこい!!」

 

私は腰を抜かしてしまった。

 

クラス全員(爆豪君以外)でレイちゃんを保健室まで運ぶあいだ、オールマイト先生に文句を言い続ける。

 

「先生!レイちゃんが死んじゃったらどうするんですか!!!」

「いや、その…はい…すみません…」

「大体女の子のお腹をあんなふうに蹴るヒーローがどこにいるんですか!!」

「だって…敵役だし…」

「関係ないでしょ!!!」

「…はい…申し訳ないです…」

 

(((オールマイトが…なんか小さい…)))

 

「透、私、大丈夫、だから」

「血を吐いて鼻血出して何が大丈夫なの?保健室でリカバリーガールにちゃんと見てもらって!!」

「…はい…」

 

起き上がろうとするレイちゃんを担架に寝かせる。なんで血を吐いて大丈夫だなんて言えるの?もう!

 

「なんだい、あんたら、クラス総出…で…その血は…早く寝かせな!」

 

保健室の前まで行くとちょうどリカバリーガールがどこかから戻ってきたみたいで、保健室の開けながらベッドを指さす。

 

保健室特有の消毒液の匂いすら、血の匂いで分からなくなるような気さえするほど、レイちゃんの吐血は忘れられない光景だった。

 

「あんたと、緑谷!あとオールマイト以外は出ていきな!心配かもしれないけど、女の子の肌を見せる訳にはいかないからね、出てった出てった!」

 

私と、指どころか腕がボロボロの緑谷君が残って、あとのクラスメイトは教室に帰っていく。レイちゃんの事は任せて!

 

「さて、緑谷、あんたまた使ったのかい。昨日の今日で治すことなんてできないよ。応急手当はしてやるから点滴全部入るまで寝てな!」

「は、はい…すみません…」

「オールマイト!なんで止めてやらなかったのさ!女の子に怪我までさせて!」

「申し訳ありません…」

 

凄い速さで手に包帯と、点滴を打たれてベッドに叩き込まれた緑谷君は、気絶するように寝てしまったみたい。

 

「あんたも、足怪我してるんだろ。」

「ふぇ?なんで分かったんですか…?」「その程度が分からないと、ヒーローはやっていけないのさ。後で処置してやるからちょっと待っときな。」

 

さっきの訓練の氷で足を怪我したことを見抜かれてしまった。オールマイト先生は少し驚いた顔をしてたけど、私も気付かれるとは思わなかった。

 

「私…もう大丈夫…だから…」

「はぁ?何言ってんだい、そんな血を吐いて大丈夫なわけ……あぁ、あんたがコーラr…」

「しー…」

 

血を拭いてたレイちゃんの顔をよく見たリカバリーガール先生は何かを理解したみたいに…でもレイちゃんが口に指を当てて何かを隠した。良くない…事なんだろうか…コーラ…?なんだろう。

 

「はぁ…手出な」

「…?は、はい。」

 

リカバリーガールにちゅーされた…なんか…そういう個性だとはわかるけど…なんか…なんか…

 

「さあ治療も済んだし、帰んな。あと飴ちゃんだよ。」

「え、でもレイちゃんが…」

「精密検査だ、終わったら帰らせるから先に出るんだよ。」

 

少しだけ強い口調で飴を渡されながら背中を押された。やっぱり何かを一緒に隠してるとしか思えなかった。

 

「透…すぐ行くから…ね?」

「…うん、分かった…」

「泣かせて…ごめんね…」

「うん…」

 

泣いてることもバレてたみたいだし、さっさと教室に帰ることにした。

 

 

 

side緑谷出久

 

微睡みの中で、オールマイトとリカバリーガールの声が聞こえる。

 

「力を渡した愛弟子だからって、なんで止めなかった?甘やかすんじゃないよ。」

「…返す言葉もありません。彼の気持ちを組んでやろうと躊躇しました…しかし、そんなに大声で個性のことは…」

「はいはい、ナチュラルボーンヒーロー様。しかしそんなに大事かね、平和の象徴という名前が。トップであぐらをかいていた訳じゃなかろうに。」

「…私が居なくなれば…この社会は悪に勾引かされる。」

 

この場には…レイヴンさんも…居たような…まさか知ってるのか…?オールマイトの傷のこと…

 

「はぁ…それにこの子はどうなってるんだい。さっきの授業の映像を見たけど、あんな動きをして、まともな人間の形を保てるはずがない。そもそも認知できる速さを超えてる。時速何kmでてる?」

「400…ぐらい…?」

 

400…だって?オールマイトが自分のせいで怒られてることに申し訳なさを感じていたが、それどころじゃない…その速度で急に方向転換なんてしたら…

 

「…普通の人間なら、ぐちゃぐちゃになってる速度だ。普通時速400キロで方向転換なんてできない。ましてや真反対に動こうとすれば潰れるよ。」

「戦闘機…よりは…遅い…」

「だれが音速で移動するんだい。オールマイトじゃあるまいし、ホークスだってもっとゆっくり曲がるよ。」

 

確かに、全くその通りだ。ホークスはそもそもが飛ぶ個性だし、そう身体が出来てるのかもしれないけど…いやでもそう考えると彼女もそんなふうになってるのかもしれない。

 

「…私は…強化…人間だから…」

「お、おいレイヴン少女?!」

「いいよ…どうせ…バレる」

 

なん…だって…?改造人間…??

 

「…そいつは、どういうことだい。」

「神経の…光ファイバー…臓器…骨格…血管…血…筋肉…あと…コーラルの…最適化…」

「そんなの、まるっと別の人間じゃないか…いやでも…あんたが…」

「副作用も…ある…感覚が…鋭すぎるのと…感情の…希薄…あと…記憶喪失」

「そりゃそうだよ、そんなの誰でも受けれるなら今頃皆やってる。」

 

そんな…彼女は…どんな思いで…僕の目の前は目を閉じてるのにも関わらず少しクラクラした。

 

「その異常な回復力もそうなのかい?」

「…コーラルが…最適化…してるから…減ると…勝手に増殖して…私の体を…治す…から…」

「…そんなの聞いたことないよ。そもそもコーラルは新エネルギーなはずだろう。」

「…違う…コーラルは…中毒性のある…よく燃える…知的生命体…私達と…よく似てる…食べることも…できる」

「なんだって…そんなの…」

「…私は…コーラルと…共振…出来る…から…」

「…あたしゃもうよく分かんないよ…見たところ問題も無いみたいだし…さっきは内臓が潰れてたんだろ。」

「うん…二〜三個…?あと脳が少し…焼き切れそう…だった…」

「オールマイト、二度とこの子から目を離すんじゃないよ、こんなのヒーローが許していいはずがない。」

 

どういう…ことなんだ…彼女はコーラルを…コーラルって最近話題に上がってる燃料で……また…意識が…

 

 

 

 

sideレイヴン

 

先程はオールマイトとの演習で蹴られたから内臓が逝った。血を吐いてしまったようで皆に迷惑をかけた。

 

『ほんとですよレイヴン…いやオールマイトが悪いのでしょうか…』

 

情報とコーラルで脳が少し焼けたが、それもすぐ回復する。自分の身体が、前よりもはるかに人間を辞めていることに気づいたのは、少し前のことだ。

 

訓練中に足を切ってしまった時に、傷がみるみるうちにふさがった。エアと話したが、コーラルの特性によく似ていることが分かる。

 

コーラルは急速に減ると個体数を増やそうと量が爆増して減る前の量に戻る性質がある。それを応用しているのがコーラル内燃型 (技研製)のジェネレーターであり、内部で燃やし尽くすことで残った微量なコーラルを増やして再度行動する。

 

それが身体の中でも起きている…というのが今の考えだ。体内を満たしたコーラルは、自分の体ごと本体だと解釈しているようで、元の身体を完全な形として記憶している。どんな傷でも数秒すれば治ってしまう。体内の損傷であっても…だ。

 

血は特にコーラルを良く含み、簡単に燃焼することもわかっている。

 

ただ、欠損した場合はどうなるか定かでは無い。内臓類は再度形作られるので、きっと治ってしまうのだろうが…つくづく人間離れをした身体だと思う。あとそのせいでお腹があまり減らないのも考えものだ。

 

教室まで歩いていくと、まだクラスメイトは残っていた。

 

「レイちゃん!!!」

「レイヴンさん、大丈夫でしたのね?緑谷さんは?」

 

飛びついてきた透を撫でながらもう少しかかると答えた。単にトイレだとも付け加えた。そして自分は元気であることも続ける。

 

「そうでしたのね…」

「突然血を吐いた時はウチびっくりしたんだからね。」

「そうそう、マジでびっくりしたぜ…」

「こ、怖かった…」

「レイちゃん…ほんとに大丈夫なんだよね…?」

 

矢継ぎ早にクラスメイトが話しかけてくる。これは申し訳ないことをしたようだ。心配を掛けてしまった。それは自分の望むところでは無い。そして先程の刺さるような敵意はさっぱりなくなって居たようだ。

 

「あれ、みんなどうしたの?」

「デクくん!あれ、腕治して貰えなかったの?」

「う、うん、体力的に、危ないかもって…」

「全員揃ったしよ、今日の反省も含め、自己紹介がてら皆で飯行かねえか?」

 

切島鋭児郎と名乗った男子の誘いには、乗ることにした。何より腕にしがみついて離れない透明人間は、離れてくれ無さそうだ。

 

「あ、ごめん…かっちゃんは?」

「爆豪君…?先に帰ったと思うよ?」

「ちょっとだけ、待っててほしい…話したいことがあるんだ。」

 

『青春…と言うやつですかね』

 

せい…しゅん??なんだそれは。

 

『知らないんですか?サミュエル・ウルマン曰く…青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方を言う…だそうですよ。』

 

 

 

 

side緑谷出久

 

 

「まって、かっちゃん!!」

「あ゛ぁ?」

 

夕陽に頬を焼いた彼は、その髪色を何時もよりも赤い。振り向いた眼には、前のような憎しみや、何より攻撃性を感じない。

 

折れた腕を首から吊るし、少し痛みを我慢しながら、然しそれよりも遥かに強い痛みに、これから来るであろう苦しみに、奥歯を噛み締めた。

 

母にも伝えたことの無い、秘密のその意味を。

 

「かっちゃん…言わなきゃ行けないことがある。僕の個性は…貰った…借り物の翼なんだ…っ!」

 

彼は少し驚いた顔をした。しかしそこから、元来の攻撃性を瞳に宿す。

 

「だから、なんだよ。」

「誰からかは、言えないけど…ろくに使えない…羽ばたけもしないそんな翼だけど、見てて欲しい。君を…」

 

ーいつか自分の翼で君を、超えてみせる。ー

 

「これ以上…これ以上俺をコケにしてどうするつもりだ…っ…」

 

輝く、少し潤んだ目に、僕は…かっちゃんに…英雄を見たんだ…。

 

「俺は事実てめェに負けた…そんだけだ、包帯女にも負けた…っ…氷の奴と、透明のやつの戦いを見て、勝てねえと思っちまった、ポニーテールのやつにも、包帯女の言ってる事にも納得しちまった…こっからだ。俺は壁を超えてやるぞ。簡単に超えてやる。俺が、1番になってやる。」

 

怒涛の、そして涙の告白。彼はこんなにも、考えられる人間だったのか。

 

「今からが俺のヒーロアカデミアだ。」

 

彼の言葉が、瞳が、背中が忘れられない。導火線に着いた火は簡単には消せない。

 

そのあとオールマイトが励ましに来たが、とっくのとうに立ち直った後だったので、教師の難しさに打ちひしがれていた。




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