sideレイヴン
昨日あの後、ファミレス…?飲食店に連れて行かれ、全員の名前と個性を教えてもらった。
「ところでよ、レイヴン、お前の個性ってなんなんだ?」
「それは、僕も気になってた…ロボット化…が一番言語化する時に最適なんだろうけど、どうなんだろう…でも衝撃が確り走ってるってことは、中身は生身のままなんじゃないかな…ぶつぶつ…」
「おい緑谷の独り言怖ぇよ!」
「あ、ごめん…」
瀬呂範太の質問に緑谷出久…というよりクラスメイトのほとんどがこちらを向いて話を聞きたそうにしている。まあ隠すものでも無いので、普通に伝えることにした。
「「「あーまーどこあ…???」」」
そう、MTの強化版だと思ってもらえればいい。
「MT…ってマッスルトレーサーだろ?」
「あの工事現場で動いてるロボットですの…?」
MTと基本構造は同じ。その姿に身体を変換することが出来る。他にもパーツを交換したり、銃器を取り込んだり…まあロボット化だとでも思えば間違いは無い。
「なるほどなぁ…」
納得していただけたようで何よりである。
次の日、登校をしていると、雄英までの道のりで何度か声をかけられた。テレビの取材とかなんとか言っていたが、何が何だか、まともな質問をしてこなかったので無視をした。まぁ途中で透に引きずられたので答えることが出来なかったというのも正解になる。
「あの、すみません、雄英の生徒さんですよね、おーるまいt」
「すいません急いでるので、行こ?レイちゃん」
いつもそんなに力強くなかったような気がするのだが…
門前にも沢山のマスコミが押しかけてどうにも入れそうになかった。
「ね、ねぇ、これじゃ入れない…ちょちょちょ?!///」
仕方ないので、透を横抱きにして、ジャンプしてマスコミを飛び越す。コーラルを通したパワードスーツの力なのだ、文句は言われまい。
「れ、れいちゃ…下ろして…//」
そういえば抱き抱えたままだった。ゆっくり地面に下ろして、動かない透を横目に教室に向かう。
「やっぱり…もう少し抱いててもらえばよかったかな…」
その小さなつぶやきは、マスコミの騒々しい音に掻き消されていたと思い込んだ。
「昨日の訓練おつかれさん。」
ホームルームが始まると、相澤がぬらりと入ってきた。教壇に登り、乱雑に書類を投げた。
「成績とVは見させてもらった。爆豪…もう二度とその自分の能力に泥を塗るな。」
「…うす…」
どうやら爆豪の毒素は完全に…とまでは行かないが、かなり抜けたらしい。少なくとも、敵顔ではなくなったわけだ。
「あ”ぁ?!」
「か、かっちゃん…?」
おお、怖い怖い…
「緑谷、また腕を壊して一件落着か。合理性にかけるね…そこを乗り越えたらやれる事は多い。驕るなよ。」
「は、はいっ…!」
「…さて、本日の本題だ。急で悪いが君たちには…」
(((なんだ…?!また臨時テストか…?)))
「学級委員長を決めてもらう。」
「「「学校ぽいのキター!!!」」」
クラスメイトの揃った声、そろそろ聞き馴染んできたが、うるさいことに変わりは無い。少し顔を顰めてしまう。普段からコスチュームを着れればいいのだが…
全員が手を挙げ、立候補し、そして直ぐに飯田が凄く立派にそびえ立つ右手を他所に多数決という民主主義に乗っ取った方法を発案した。まあ右手は鋭く天を向いていたが…
『レイヴンは、興味が無いのですか?』
エアが少し揶揄うような声色で語りかけてくる。もちろん興味がない。全く持って、だ。自分はリーダーには向いていない。飯田のような責任感の塊のような人間にこそ、リーダーは任すべきだ。人間全てを持っている訳では無い。彼の様に統率を責任感で取るか、カリスマ性で取るか、両方できる人間などそうそう存在しないのだ。
彼の意見で手元に小さな投票用紙が配られる。ノートの切れ端程度だが、まあ投票にはなんの問題もないのだろう。名前を書いて提出するという方法を取っている。
適当に飯田と書いて入れておこう。
「皆入れたかね!じゃあ集計をとるぞ!」
こうやって自分から周りを統率を取れるのは、良い事だ。まあ…その責任感が悪い方向に流れなければ良いのだが…
「俺に…1票入っている…っ」
「…他の誰かに入れたのね」
「お前もやりたがってたのに…何してるんだよ…飯田…」
エアと世間話をしながら待ってると、黒板に名前がつらつらと書かれていき、正の字で投票数が書かれ…5票も入ってるんだが????見間違いか…????
「じゃあ委員長レイヴン、時点で多い八百万が副委員長だな。」
まて相澤。待って欲しい。自分は飼われる方が向いているんだが。
side葉隠透
レイちゃんにお姫様抱っこされてドキドキしてた透だよ!!
学級委員長を決めるらしいんだけど…私はレイちゃんがいいと思うなあ…強いし、皆を正してくれるし、芯が通ってるっていうか…
ほらほら!やっぱりレイちゃんが委員長だって皆思ってるんだよ〜!
「私…は…飼われる…方が…」
レイちゃん…?な、何の話…?
お昼ご飯!またご飯をサボろうとしてるレイちゃんの手を引いて食堂に来た。何も食べようとしないので取り敢えずドーナッツを食べさせたら、目を赤く光らせて美味しそうに食べてたので、好物を発見できたかもしれない。日記にそう書いておきます。
少し離れた席で飯田君、緑谷君、お茶子ちゃんがお昼ご飯食べてたけど、私はレイちゃんのお世話で忙しいから挨拶は後にしとく。
「そういえばレイちゃん、嫌そうな顔してたけど、委員長に興味無いの?」
「…?無い…なんでやりたいか…謎…飯田にでも…やらせれば…いい…」
「そっかぁ…それとさっきのかわ…っ?!何?!」
「…」
[セキュリティレベル3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください。]
突然の警報と、アナウンスに皆が浮き足立つ。一斉に入口の方へ走っていくから、少し肩を押されて倒れそうになった。
「あぶ、ない…」
「あ、レイちゃん…ありがとう…」
机の上に乗りながらまだドーナッツを食べてたレイちゃんが、手を引っ張って引き上げてくれた。あのまま押し倒されていれば…ゾッとする…
「…あれか…」
窓の外を見ながらレイちゃんはぼそっと呟く。釣られて窓の外を見ると今朝のマスコミが入ってきて先生たちが対応に忙しそうにしてる。
「あれって…マスコミ…?」
「…違う…もっと…マスコミは…軽い集団…洗脳状態…首謀者が…いる…」
「洗脳…首謀者…?」
「…そうか…目的は…学園内…か…」
ドーナッツを食べた時よりも遥かに爛々と目を光らせて、レイちゃんに握られた手がビリビリとする気がする。レイちゃんはどこを見てるんだろう。壁よりも、もっとはるか先を見ているような…
「皆さん、だいじょおおおぶ!!」
その時、飯田君がピクトくんみたいな感じで壁に張り付いて皆を落ち着かせてた。…なるほど、確かに飯田君が委員長には向いてるかもね。
side相澤消太
「それは、本当か。」
「…生体…レーダーは…狂わない…」
「…個性の無断使用については今回見なかったことにする。よくやった。こちらで話しておこう。」
マスコミが押しかけたあと、警察に引渡し、一息ついた時にレイヴンがやってきた。しかしなぜ葉隠はレイヴンを抱きしめて…まあいいか…
話によると、職員室内に3人ほど敵性反応があったと。あのマスコミは、ただの囮に過ぎない。自分なら、本隊を囮に使う。なるほど、合理的だ。職員室に入るぐらいだ、情報を取りたかったのだろう。
その話も含めて教員間で共有する。
「そ、そんなことが…しかしそんなのどうやって…」
「そもそもその生徒の間違いなんじゃないか…?」
「マスコミにあのゲートを壊せるかな?…いいや、唆した奴がいるね。腹いせかな?宣戦布告かな…?ま、いいさ、ヒーローなりの戦い方を見せてやるのさ。」
そのネズミの後ろ姿は、少し恐ろしかった。
side???
ある地下の、あるBAR。深い深い闇に包まれた、まるでまともじゃないそれは、虚空に笑う。
ああ、平和の象徴が死んだらどうなってしまうのかと。
賢しさに溺れた、泥のような恐怖そのものの手の中には、1-Aの文字が浮かぶ紙があった。
からりと、コップの氷が踊る。
少しプレゼントをいただけると…素敵だ…ご友人