コーラル、それは赤く燃える革命的エネルギーの総称である。
ある時は酒のように嗜好品に
ある時は麻薬のように中毒性を持ち
ある時は食料に
ある時はガソリンのように燃料に
ある時は知的生命体として
存在している。とりわけエネルギー資源としては、コーラルを動力とする兵器が大災害を経て完全放置で半世紀経ってもなお安定稼動しているほどであり、かなりのポテンシャルを持った存在であり
このような多方面への応用が利く万能性から、人類文明の飛躍的な発展に寄与すると期待されたコーラルであったが、そうは問屋が卸さなかった。
惑星・星系を巻き込むレベルの発火現象を引き起こす。あまりにもデメリットだ。
実際コーラルが猛烈な炎と嵐を引き起こし、ルビコン3はおろか周辺の星系すら巻き込んで焼き尽くした「アイビスの火」という事件が発生した。
何世紀も前、または何世紀も後の話だが。
そんな事実は、まだ誰にも知られていない。だが、見つかってしまったのだ、いや、到達してしまった。新エネルギーとして、麻薬として、コーラルは、もう一度火をつける。
「なんと、新エネルギーが…発見されました!この赤い物質が、半永久的に電力…これがコーラル…」
女性の声だ。薄ら目を開けると、そこに視界を塞ぐものはなく、ハッキリと天井が見える。
『おはようございますレイヴン。2日ぶりですね。』
なんと、自分は2日も睡眠をとっていたようだ。少し驚きながらも周りを見回す。
靡くカーテンは爽やかな風に撫でられている。鼻をツンと燻る、しかし清潔な、そんな匂いがした。柔らかいベッドに少し張ったシーツ、体に刺さった管に変わりはないが、あの時のものより数段良いものだと、わかる。
『っ?!レイヴン、匂いがわかるのですか?やはり、明らかに…』
そうか、これが匂い…ウォルターは、どんな匂いだったのだろう。
『これは…早急に……、レイヴン、誰か来ます。』
音もなく扉が開く、爽やかな風が部屋を駆け巡る。と共に聞き馴染みのない、だが、覚えはある、低い声を感じる。
「私が、普通にドアから来た!お?起きたのか少女!」
包帯を巻いていないからか、声の振動を直に感じビリビリと少し、電気信号が走る。
「良かった良かった、でも申し訳ない、あの時の事、詳しく話して貰えると助かる。あ、これプレゼントね」
そう言って机の上にポンとその男の姿を模した小さな人形が置かれ「私が来た!」と音を発している。
『えぇ……』
これにはエアも困惑の声を上げたようだ。
「話を出来るほど、調子は上がっているかい?どうかな?……っと、そうか、君は今声が出ないんだったな、病院の先生がそう言っていたのを忘れていたよ。」
声、というものを出したことが無い。それは即ち声の出し方が分からないということだ。前ですら、文字媒体での会話を行っていた。
『レイヴン、私が変わりに伝えましょうか?』
エアの申し出に目を少し開いて驚く。そんなことが、出来るのか?と。
『はい、詳しいことは追って話しますが、今は任せていただけますか?』
分かった。よろしく頼む。
『はい、おまかせを。彼をモニターに向かせてください』
「…少女?どうしたのかね?」
エアの言われた通り、先程からコーラルの話をしていたモニターに目を向ける。
それに釣られ彼もモニターを見るとそこには文字がつらつらと流れ始めるのだった。
『初めまして。話せないので筆談をさせていただきます。 』
「うぉ、どうやって…いや、今はいい。知ってるかもしれないが私はオールマイト、君の名前を教えてくれないか。」
『…レイヴン、そう名乗らせていただきたい。先に言っておくと、私は記憶がありません。何も、貴方が誰かでさえも。目が覚めたらあの状態でした。』
オールマイト、そう名乗った筋骨隆々の彼は少し考え込む仕草をした。レイヴン、自由意志の象徴。かつてルビコン3を、宇宙を破壊したその火になんの反応を示さなかった彼を、やはりと言うべきか、少し不思議そうに眺めた。
「…そうか、分かった。君は敵集団に捉えられたあと、改造を施され、しかし失敗に終わった。そういうデータを見つけた。」
『敵…集団…改造については、承知しています。私は、強化人間のようだ。』
暫しの沈黙の中、オールマイトは慈しむ様にこちらを見たあと、少し息を整えるように、実際に荒れた訳では無いが、その様に何かを整える様な仕草で、彼は躍動を伝えた。
「君には、学校に行ってもらう。」
恋愛要素は必要?
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素敵だご友人(Yes)
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はぁ…残念ですレイヴン(No )