バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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5/2 修正


絶体絶命

俺と明久は息を合わせ次々と暴走召喚獣を倒しながら進んでいくが、

 

貴浩「コレじゃキリがないな。一旦別れて中でもう一度落ち合うぞ!」

 

明久「うん!じゃあサーバールームで!」

 

俺と明久の召喚獣は、それぞれの追手を振り切って通気口の中へ入っていく。

それを追う暴走召喚獣達だが、魔人剣で追い払う。

 

俺と明久は、ムッツリーニの用意したカメラの映像受信装置を装着し、起動させた。

毎度ながら何故そんなものを持っているのかは聞かない。

 

貴浩「さて、ならナビを頼むぞ?」

 

愛子『了解!任せてよ』

 

優子『アタシと愛子に任せなさい』

 

ここからは完全に自分の目では見えないので

別室で待機しているメンバーに誘導してもらう。

俺の通信機器から聞こえてくるのは、愛子と優子の声。俺のナビゲートはこの2名。

明久のは……

 

姫路『よろしくお願いします』

 

島田『ナビゲートしてあげるんだから、しっかりしなさいよアキ?』

 

明久「もちろんだよ」

 

姫路と島田であった……正直不安しかない。

 

高橋「本当に大丈夫なのでしょうか?」

 

森田「任せるしかないわよ。現状でどうにか出来るのもあのバカ共だけなんだからね」

 

そして敵をドンドン倒していくと……

 

≪数学≫

 

Fクラス 吉井明久  VS  Aクラス 安東知美 

     159点           314点

 

Fクラス 織村貴浩  VS  Aクラス 斉藤理子   

     656点           295点

 

たった2体で全暴走召喚獣と戦う様な状況だけに、

少しずつ点数も体力も消耗していた。しかもAクラスの暴走召喚獣も現れ始めた。

カメラを通しての戦い、観察処分者の処理によるフィードバック。

明久や貴浩も長時間におよぶフィードバックによる疲労にはまだ慣れてはいない。

合宿の時でもそこまで長く召喚していないし、あっても1対1の状況だった。

しかし、今回は今までと全く違う感覚内での戦いの分もあるし、相手も複数いる状態だ。

しかもいつ出てくるのかも分からない状況だ。2人に疲労も蓄積されていく。

 

貴浩「ふぅ」

 

ここで俺は一息つく

 

優子「大丈夫、貴浩?」

 

貴浩「ああ……さすがに少し疲れてきたな」

 

愛子「あともう少しでサーバールームのフロアだよ。頑張って」

 

貴浩「ああ、さてもう一踏ん張りだな。頑張るとしますかね」

 

点数こそ勝っていたものの、先へ進むにつれ徐々に精度も落ちてきていた。

 

貴浩「これで霧島や姫路らAクラスレベルがでてきたら、勝てる自信ないぞ?」

 

今までの戦いではB~Eクラスのメンバーが中心で出てきたので何とかなったが、

まだあまりAクラスとFクラスの暴走召喚獣とは出会っていなかったのが気がかりだ。

しかもまだ成績トップ10に入るメンバーが出てきていない。

 

明久「あっ、僕の召喚獣はもうすぐサーバールームだ」

 

貴浩「俺もだな……って何!?」

 

2人して別々の場所からサーバールームへと進入したのだが、

 

≪数学≫

 

Fクラス

 織村貴浩  601点  &  吉井明久 109点

 

       VS

 

Aクラス            Fクラス

 霧島翔子  591点      坂本雄二 299点

 木下優子  379点      土屋康太  45点

 工藤愛子  332点      木下秀吉  55点

 八神なのは 405点      木下命  198点

 不知火刀麻 400点      織村楓  354点

 砂原鈴歌  331点      羽鳥光一 393点

 椎名雪   219点      姫路瑞希 425点

 久保利光  298点      島田美波 189点

 Aクラスモブ×20人      Fクラスモブ×30人  

     平均250点          平均50点

 

 

俺達の前には最悪の状況を目のあたりにしていた。

 

貴浩「待ち伏せだと!?しかも2年成績上位陣じゃねぇか!?

   それにAクラスのヤツラが固まってでてくるだと!?」

 

明久「こっちはFクラスの皆だよ!」

 

雄二「よりにも寄って、こんなところで!」

 

AクラスとFクラスの暴走召喚獣が俺と明久の召喚獣目掛けて突進してくる。

お互い迎え撃つべく武器を構え迎撃するしていく。

 

優子「貴浩!右から久保君が武器を振りかぶってくるわ」

 

貴浩「了解、右だな!」

 

愛子「今度は後ろから代表が迫ってきてるよ」

 

貴浩「了解!」

 

俺は優子と愛子のサポートにより上手く敵の攻撃を回避していく。

ムッツリーニから小型のカメラを借りてつけてはいるが、

真正面しか見えないので、苦戦するかと思われていたが、

優子と愛子の2人のサポートのおかげで上手く立ちまわれている。

そのおかげでAクラスのモブを2人倒すことができた。

だが、明久のほうは……

 

姫路「明久君、左です」   島田「アキ右よ!」

 

明久「え?え?ちょっ、同時に言わないでよ!っ!」

 

明久は姫路と島田と息が合わずギリギリの戦いをしていた。

 

雄二「姫路! 島田! ちゃんと明久のサポートしろ!」

 

そこへ雄二の激がとぶが姫路と島田の2人には聞こえていないようだった。

それを見かねた俺は

 

貴浩「だから不安だったんだよ!」

 

俺は明久の援護に向かおうと急に方向転換する。

 

優子「貴浩!そっちは危ないわ!」

 

貴浩「え?」

 

そこで少し周りを見ていなかったのが悪かった。

 

ザクッ!

 

貴浩「ぐあっ!」

 

俺の召喚獣は後ろから攻撃を受けてしまう。

普段ならこんな事にはならないだろうが、今回は戦い方が違う上に相手もやっかいだ。

さすがにAクラスとあって今までの敵とは動きが違う。

Fクラスも今まで激戦を繰りぬけてきただけありAクラス並の動きをしている。

 

貴浩「だが、そう簡単にやられるかよ!『グラビトン!』」

 

俺は腕輪を発動させサーバールーム全体に重力を発生させる。

 

貴浩「森田先生! 1つ聞きますがネックレスの方は不具合は生じていないんですか?」

 

俺はネックレスの力を発動する前にシステムの不具合がなかったのか聞く。

 

森田「多分ね・・・そっちも教師用とは別の領域でやってるから不具合はでないはず。

   だけど絶対大丈夫とは言い切れないわ」

 

貴浩「わかりました。『ライダー』!!」

 

俺は森田先生からそれを確認するとライダーを召喚する。

 

貴浩「ライダー。体とかに不具合無いか?」

 

召喚したライダー自身に不具合が無いか確認する。

 

ライダー「大丈夫ですマスター。どこにも異常は見られません」

 

貴浩「そうか。ならあいつらを蹴散らすぞ」

 

ライダー「はいっ!」

 

貴浩「明久。一気にいくぞ!『フルブラスト』」

 

明久「うん」

 

貴浩「まずは霧島からだ。さすがにあの点数はキツいからな」

 

明久「僕は姫路さんだね『ダブル』!!アンド『セイバー』!!」

 

俺はもう1つの腕輪を発動させ、一気に勝負を決めようとした。

明久も武器を構えそして腕輪を発動させセイバーを召喚し、

点数の高い姫路の召喚獣へと迫っていく。

 

その時だった。   パキィン!!

 

俺が発生させた重力場と明久の副獣が突然かき消された。

 

貴浩「なぁ!? 俺の重力場が消えただと!?」

 

明久「僕の召喚獣もだ!」

 

優子「何が起きたの?」

 

突然の事で俺たちは動揺してしまう。

その瞬間、霧島の召喚獣の攻撃を喰らってしまう。

 

貴浩「ぐぅ、しまった!だがなぜだ!?

   俺の重力場も消えてるし『フルブラスト』も消えてるぞ」

 

重力場だけでなくフルブラストも消えていた。

俺の腕輪の力が消えているようだった。

 

明久「僕のもだ」

 

明久のほうを見てみると明久の腕輪の能力も消えていた。

 

刀麻「しまった!」

 

そこで刀麻が突然声をあげる。

 

雄二「どうしたんだ刀麻?」

 

刀麻「おそらく俺の召喚獣の腕輪の力だ。

   俺の召喚獣の腕輪の力は『能力封じ』なんだ。

   だから貴浩と明久が発生させた腕輪の能力は消えたんだ」

 

秀吉「なんじゃと!?」

 

愛子「それなら貴浩君と吉井君は腕輪なしで戦わないといけないの?」

 

貴浩「それは本当か刀麻!」

 

刀麻「ああ」

 

刀麻の腕輪の力で俺と明久は腕輪なしで戦わないといけないらしい。

だが刀麻の腕輪でもネックレスで召喚したライダーとセイバーは消えていなかった。

多分ライダーは能力の1つ『単独行動』があるから消えずにいられるんだろうが、

ならセイバーはなんで消えないんだ・・・・・・

 

雄二「まさか暴走召喚獣が腕輪を発動させるとはな」

 

命「アレなんですか!?」

 

そこで命が見たものは

 

楓「セイバーが黒くなっています」

 

明久が召喚したセイバーの姿が黒くなっており装備も変わっていた。

※青セイバーからオルタセイバーに変わった

 

そして黒セイバーがゆっくり動き出したかと思えば突然明久へ襲い掛かってきた。

 

明久「えっ!? な、なんで!?」

 

明久は黒セイバーの攻撃を咄嗟に木刀をだして防ぐが威力があり吹き飛ばされてしまう。

 

森田「・・・・・・これは暴走してるわね」

 

雄二「なんだと!?不具合はでないはずじゃなかったのか!?」

 

森田「アタシだって驚いてるわよ。でも現に暴走してる。

   多分、観察処分者のシステムとネックレスのシステムで誤作動が生じたのね。

   理由はわからないけど・・・」

 

その間にも貴浩と明久は窮地に追いやられていた。

貴浩の召喚獣の左腕が霧島の召喚獣に刺し貫かれ刀麻の攻撃により切り裂かれる。

 

そして、貴浩の腕にフィードバックが

 

貴浩「グゥウウウ!!!!」

 

優子「貴浩!?」

 

愛子「貴浩君!?」

 

明久「貴浩大丈夫!?」

 

秀吉「明久よ!余所見をするでない!」

 

明久「え!?」

 

明久のほうには姫路と島田を中心に襲い掛かってきた。

 

明久「ひっ、姫路さんに、美波……」

 

命「島田さんなんとかコントロールできないんですか?」

 

島田『ダメ! コントロールできない!』

 

命「そっそんな……」

 

美波の召喚獣が突進し、明久の召喚獣の武器を弾く。

姫路の召喚獣がガラ空きとなった腹を大剣で刺し貫いた。

 

明久「ぐああああああっ!!」

 

姫路『明久君!?』

 

姫路の召喚獣は刺したままの状態で横に大きく振り回し壁のほうへと投げつけた。

 

バン!

 

明久の召喚獣は剣が刺さったまま壁に激突し、床に落ちる。

それに続く様に、島田の召喚獣が明久の召喚獣を踏みつけ殴りつけていた。

それからはわざとトドメをささなかったかのように殴る蹴るの攻撃が続いていく。

 

明久「うああっ! ぐっ、ああああああ!!」

 

貴浩「明久! うぐっ!?」

 

俺はなんとか片腕でAクラスモブたちを数人片付け、

明久を助けに行こうとしたが椎名の召喚獣によって両足を撃ち抜かれた。

運の悪い事に椎名の召喚獣の武器はライフルであり今は相性最悪の武器だった。

そこへ久保の召喚獣と霧島の召喚獣が迫ってくる。

 

攻撃を防ぎたくても片腕はすでになく両足も撃ち抜かれ身動きが取れない。

 

雄二「……姫路、島田、本当にお前らコントロール出来ないのか?」

 

島田『ちょっと坂本、何でウチ等を疑うのよ!?』

 

姫路『そうです! 私達はあんな酷い事なんてしません!!』

 

秀吉「……思いきり普段の光景とデジャヴがあり過ぎるぞい」

 

雄二「……俺もそう思う」

 

雄二や秀吉ですら、暴走召喚獣の行動にデジャヴを感じ取っていた。

 

ドサッ!

 

雄二「あ、明久!?」

 

命「明久君!?」

 

刀麻「やべえ、すぐに保健室へ!!」

 

明久は姫路と島田の攻撃によるフィードバックに耐えきれず、その場で崩れ落ちた。

 

優子『あれって、姫路さんの腕輪!?』

 

刀麻『それにセイバーのエクスカリバーも!?』

 

命『明久君!逃げて!!』

 

雄二「だ、だめだ。明久は気絶していて動かねぇ」

 

貴浩「チッ! ライダー明久を助けろ!」

 

明久を助けに行きたいが暴走召喚獣が周りを固めているので動くに動けない。

なのでライダーに明久の召喚獣を助けるよう指示する。

そして姫路の召喚獣が腕輪をつけた手を掲げ、明久の召喚獣を狙う。

セイバーのエクスカリバーと姫路の腕輪が輝き熱線が放たれる直前、

ライダーが明久の召喚獣を抱え攻撃をかわしていた。

 

貴浩「ライダー! 明久を連れてすぐさまこの場を離脱しろ!」

 

明久が気絶している状態なので召喚獣はピクリとも動かない。

そんな状態でここにいてもリンチに合うのが目に見えている。

ライダーも頷くとともに明久の召喚獣を抱え部屋から脱出した。

 

貴浩「雄二! すぐさまフィールドを数学以外に変えてくれ!」

 

雄二「わ、わかった!」

 

雄二はすぐさまフィールドを切り替える。

 

≪物理≫

 

Fクラス

 織村貴浩  471点  &  吉井明久 53点

 ライダー  471点      

 

   VS

 

Aクラス            Fクラス

 霧島翔子  451点      坂本雄二 257点

 木下優子  329点      土屋康太  37点

 工藤愛子  292点      木下秀吉  49点

 八神なのは 375点      木下命  158点

 不知火刀麻 290点      織村楓  267点

 砂原鈴歌  241点      羽鳥光一 333点

 椎名雪   259点      姫路瑞希 361点

 久保利光  218点      島田美波  79点

 Aクラスモブ×15人      Fクラスモブ×25人  

     平均250点          平均50点

 

 

雄二「フィールドを変えたがどうするんだ?

   お前の今の状態じゃ意味が無いぞ」

 

俺の召喚獣は左腕が切り落とされ両足も撃ち抜かれた状態だ。

それに相手の数・・・勝つのは0に近い。

 

貴浩「ああ、勝てるとは思ってないが最後まで悪あがきはしてやる」

 

そして俺は雄二にあるアイコンタクトを送る。

 

雄二「お、おい! 貴浩! なにするつもりだ!?」

 

秀吉「ど、どうしたのじゃ雄二?」

 

いきなり顔色を変えた雄二に秀吉が驚く。

 

貴浩「物理なら腕輪が使えるな。さて最後の悪あがきいきますかっ!!」

 

俺は右腕で銃を構え雑魚から片付けていく。

 

貴浩「せめて刀麻だけは片付けておきたいが」

 

だが俺の召喚獣に暴走召喚獣が迫ってきて串刺しにされる。

 

貴浩「ここまでか・・・だがもう少し持ってくれよ『フルブラスト』!!」

 

俺は串刺しにされた状態で腕輪を発動させる。

 

貴浩「ぐふっ!!」

 

俺自身にフィードバックとして痛みが返ってくる。

 

優子『貴浩!!』

 

愛子『貴浩君!!』

 

貴浩「『グラビトン』!!」

 

ここで重力をかけまくる。

 

貴浩「知ってるか?高重力をかけまくると発生するもの。

   それは・・・『ブラックホール』!今俺に出来る最強の技だ」

 

俺は腕輪の力でブラックホールを発生させる。

そのブラックホールで暴走召喚獣を飲み込んでいく。

 

貴浩「…………ここまでだな」

 

そして俺の召喚獣自身もブラックホールに飲み込まると同時に、意識を手放した。

 

高橋「……作戦失敗、ですね」

 

学園長「……やれやれ、仕切りなおしだね」

 

 


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