バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

13 / 231
4/22 修正


地獄の昼休み

やっと午前中の授業が終わったな。

今日は命と姫路が皆に弁当を作ってきてくれたんだよな。

それに楓のデザートだってあるしな。何を作ってきてくれたんだろうな?

朝、楓に聞いても内緒とか言われて教えてくれなかったしな

俺がそんなことを考えていると

雄二「よしッ昼飯食いに行くか!」

島田「あ、ウチも一緒していい?」

明久「じゃあ僕はソルトウォーターでも…」

姫路「あ、あの皆さん」

そこで姫路が恥ずかしそうに話し掛けてきた

姫路「え、えっと。おッお昼なんですけど、そのッ昨日の約束の……」

秀吉「おお、もしや弁当かの?」

姫路「はッはい、迷惑じゃなかったらどうぞ!」

明久「迷惑なもんか!ねッ雄二!」

雄二「あぁそうだな、ありがたい」

命「明久君、皆さん。あの私もお弁当作ってきたので皆で食べてくれないかな?」

楓「私もデザート作ってきたので皆さんがよろしければ、どうぞ」

貴浩「楓のデザートは俺が保証するぞ!本当においしいからな!」

秀吉「命の料理もじゃよ。我が家で1番料理が上手いからの」

康太「・・・・・・楽しみ」

明久「本当楽しみだなぁ。ありがとね命」

命「///」

島田「むー…ッ瑞希も命も楓も意外と積極的なのね…」

秀吉「せっかくのご馳走じゃしこんな教室ではなく屋上にでも行くかのう」

雄二「だったらお前ら先に行っててくれ」

明久「ん?雄二はどっか行くのか?」

雄二「飲み物でも買ってくる。全員お茶で良いよな?」

貴浩「ああ、良いと思うぞ」

島田「あッウチも行く!1人じゃ持ちきれないでしょ?」

雄二「きちんと俺達の分とっておけよ」

貴浩「大丈夫だって」

明久「じゃあ僕らも行こうか」

「「「「そうですね(じゃな)」」」」

俺達は屋上に向かって行った

 

 

        ☆

 

 

 

秀吉「天気が良くてなによりじゃ」

楓「そうですね」

貴浩「人もいないから貸切状態だな」

楓「それに日差しと風が気持ち良いですしね」

そう楓がいうと、姫路と命が料理を入れた重箱を中央に置いた

姫路「あんまり自信はないんですけど…」

そう言いつつ姫路さんは蓋を開けた

「「「おぉッ」」」

俺らは一声に歓声をあげた。旨そうだ。

姫路のにはから揚げやエビフライにおにぎりなど定番のメニューが入っていた。

命「わ、私のも」

 

そう言うと命も重箱の蓋をあけると

明久「こッこれは!!」

康太「・・・・・・こちらもおいしそう」

命の弁当も凄く旨そうだ。

命のにはアスパラ巻きや卵焼き、ポテトサラダ、おにぎりなどのメニューが入っていた。

明久「すごいよ2人共!!塩と砂糖以外の物がたくさん入っているよ」

命・姫「「よッ喜んでもらえて良かったです・・・」」

普段、明久はどんな食生活で過ごしているんだ・・・。

命「明久君や皆に栄養をつけてもらおうと思って張り切っちゃいましたっ」

貴浩「命は良い嫁になりそうだな」

命「///」

秀吉「なんじゃと!!命はまだ誰にもやらんぞ!!」

貴浩「い、いや…本気にするなよ。ただの褒め言葉だよ」

秀吉「む、すまぬ。つい動揺してしもうた」

明久「じゃあ、雄二たちには悪いけどお先にっと」

そう言い明久は箸をのばしていくと、

不意にその横から先にムッツリーニが姫路のエビフライを口の中に入れた

パクッ

明久「あッ!ずるいぞムッリーニ!!」

明久は先にムッツリーニ食べられたのが嫌だったのか文句を言っていたが、

バタン

 

ガタガタガタ

「「「「「「!?」」」」」」

 

エビフライを食べた直後、ムッリーニが豪快に倒れ、小刻みに震えだした。

「「「・・・・・・」」」

秀吉と明久と顔を見合わせる。

姫路「わわっ、土屋君!?」

 

姫路が慌てて、配ろうとした割り箸を取り落とす。

康太「・・・・・・・・・(ムクリ)」

ムッツリーニが起き上がった。

康太「・・・・・・・・・(グッ)」

そして姫路に向けて親指を立てる。多分『凄く美味しいぞ』と伝えたいんだろう。

姫路「あっお口に合いましたか?良かったです」

でもなムッツリーニ、それならなぜ足が未だにガクガク震えているんだ?

俺にはKO寸前のボクサーにしか見えないんだけど

姫路「良かったらどんどん食べてくださいね」

姫路が嬉しそうに勧めてくれると断れない。

むしろ、どんなにまずくても残さず食べてやる、という気にさえなってくる。

・・・でも俺には目を虚ろにして体を震わすムッツリーニが忘れられない。

貴浩(……なぁあれ、どう思う?)

 

俺達は姫路に聞こえないくらい小さい声で話し掛ける。

 

秀吉(……どう考えても演技には見えん)

明久(……だよね。ヤバイよね)

楓(…兄さんどうするの?)

命(…秀兄)

貴浩(まず、楓は姫路がこちらの会話に気づかれないようにしてほしい。

   命はムッリーニを見ててくれるか。こっちは俺達でどうにかしてみるから)

楓・命((わかりました))

 

そう言うと2人は言われた通りに動いてくれた

 

秀吉(で、貴浩よ。どうするつもりじゃ?)

貴浩(お前ら、身体は頑丈なほうか?)

明久(…正直胃袋には自信がないよ。食事の回数が少なすぎて退化してるから)

秀吉(・・・ならば、ここはワシに任せてもらおう)

勇気ある秀吉の台詞が囁かれる。

明久(そんな、危ないよ!)

秀吉(大丈夫じゃ。ワシは存外頑丈な胃袋をしていてな。

   ジャガイモの芽程度なら食ってもびくともせんのじゃ)

 

見かけによらずタフな内臓だなあ。ジャガイモの芽は毒だったはずだが

 

明久(でも秀吉が・・・)

秀吉(安心せい。ワシの鉄の胃袋を信じて――)

とても男らしい台詞を言おうとしたところで、

雄二「おう、待たせたな!へー、こりゃ旨そうじゃないか。どれどれ?」

 

雄二登場。

貴浩「おい!雄二。待t──」

止める間もなく素手で姫路のから揚げを口に放り込み、

パクッ

 

バタン・・・ガシャガシャン

 

ガタガタガタガタ

ジュースの缶をぶちまけて倒れた。

島田「さ、坂本!?ちょっと、どうしたの!?」

遅れてやってきた島田が雄二に駆け寄る。

 

・・・・・・・間違いない。コイツは本物だ・・・・・・。

激しく震える雄二を見ると明久と目線で会話していた。

これはいつも一緒にいる俺達だからこそできる技だ。

雄二「あ、足が攣ってな・・・・・・」

姫路が傷つかないようにウソをつく雄二。

貴浩「そうだな。ダッシュで階段を昇り降りしたんじゃないか」

秀吉「うむ、そうじゃな」

島田「そうなの?坂本ってこれ以上ないくらい鍛えられてると思うけど」

やばい、島田をどうにかしないと

明久「ところで島田さん。その手をついてるあたりにさ」

明久がビニールシートに腰を下ろしている島田の手を指差した

島田「ん?何?」

明久「さっきまで虫の死骸があったよ」

島田「えぇっ!?早く言ってよ!」

明久「ごめんごめん。とにかく手を洗ってきたほうがいいよ」

ナイスだ明久!!

島田「そうね。ちょっと行ってくる」

そうして島田が手を洗いにここを離れて行った。

雄二(明久今度はお前がいけ!)

明久(む、無理だよ!僕だったらきっと死んじゃう!)

秀吉(流石にワシもさっきの姿を見ては決意が鈍る・・・)

貴浩(…よし、なら俺が逝く)

明久(た、貴浩!?)

貴浩(だから…雄二・明久・秀吉貸し1つな)

明久・雄二((あぁわかった))

貴浩(最後に楓が作ったデザート、俺の分は残しておいてくれよ)

秀吉(了解なのじゃ)

明久(絶対残しておくよ)

貴浩(よし、いくぞ)

明久「あっ姫路さん、アレはなんだ!?」

明久が姫路の気を引いた瞬間、俺は姫路さんの弁当を口の中に流し込んだ。

2-F織村貴浩。逝っきまーす!

グフッ

 

バタ 

 

・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

・・・

 

 

そして俺は雄二と秀吉の背に隠れて逝った。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。