バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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5/5 修正


帰りたくないんだ!!

そして教室について荷物を整理していると

 

明久「おはよ……って雄二、どうしたの?

   なんで今日はズボンが体育用のハーフパンツになってるの?」

 

元凶と思われる明久が呑気に教室に入ってきた。

 

雄二「テメェのせいだ明久! テメェのせいで

   俺は、下半身超クールビズ仕様で登校する羽目に……!

   死んで償えこのクソ野郎!」

 

明久「えぇぇっ!? いきなりどうしたの!? 一体何があったのさ!?」

 

貴浩「明久、とりあえず雄二に謝罪するべきだと思うぞ」

 

明久「貴浩までどういうことなの!?」

 

雄二「黙れ! 死ね! 制服をよこせ!」

 

貴浩「落ち着け雄二。霧島のところに行ってお前の制服を返してもらうからさ」

 

まだ明久は何がなんだか分かっていないようだ。

どうやって説明すれば良いのやら……

 

F「おい、知ってるか?坂本の話」

 

F「ああ。なんでも裸Yシャツで登校してきたらしいな」

 

F「まったく、流石としか言いようがないな……最近女装は見慣れてきたが、

  アレには度肝を抜かれたぜ……」

 

聞こえてきたのはクラスの連中の話し声。

 

雄二「……………」

 

明久「……………」

 

貴浩「ということだ明久」

 

これで俺が説明する手間は省けただろう。

 

明久「雄二……何か辛いことがあるなら、相談に乗るからさ……!」

 

雄二「ち、違う! 俺は自分から進んでそんな格好になったわけじゃない!

   あと、トランクスは死守したからギリギリでセーフなはずだ!」

 

貴浩「往来のど真ん中でトランクス姿の時点で充分アウトだろ。

   ってか俺がいなかったらお前通報されてたぞ」

 

明久「そんなこと言っちゃだめだよ貴浩!

   辛いことがあって、雄二の精神はギリギリのところまでいっちゃたんだよね……」

 

雄二「だから違うと言ってるだろうが!

   お前が送ってきたメールを翔子に見られたせいでズボンを奪われたんだボケ!」

 

既に雄二は興奮状態だった。

 

明久「何を言ってるのさ雄二。いくら霧島さんでも、

   男からのメールくらいでそんなことをするわけないじゃないか」

 

明久は霧島の底なしの嫉妬深さをわかっていないようだ。

まぁ俺も少しは改善されたと思っていたんだけどな……

 

雄二「いや正直、お前の文章はかなり際どい感じだったと思うぞ……」

 

貴浩「正直俺も流石にアレは引いたな」

 

命「際どいとか引くとかって、どんなメールだったの?」

 

突然声をかけてきたのは命だった。

そして命と近くにいた姫路がやってくる。

 

明久「別にただの頼みごとのメールのはずだけど?」

 

雄二「ほほぅ。そう思うのなら、俺に送った文面を大きな声で読み上げてみろ」

 

明久「? 別にいいけど?」

 

明久は疑問符を浮かべながらも、雄二の携帯の履歴を見る。

 

明久「えっと、それじゃ……ゴホンっ」

 

明久は無意味な咳払いをして大きな声で読み上げる。

 

明久「雄二の家に泊めてもらえないかな。今夜はちょっと……帰りたくないんだ!」

 

ガラッ

 

明久が身の毛のよだつ台詞を言った瞬間、音をたてて教室の扉が開かれた。

 

島田「……………」

 

扉の向こうにいたのは、島田だった。

 

島田「ウチにはアキの本心がわからないっ!」

 

明久「え!? 何!? なんで美波は登場と同時に退場しているの!?」

 

雄二「あいつもよりにもよって最悪のタイミングで登場したな……」

 

貴浩「俺にとっては最高のタイミングだがな」

 

姫路「な、なんてことを言うんですか明久君っ!

   そうこうことはもっと、その……大人になってからですっ!」

 

姫路が何を想像しているかはだいたいわかるが、それは生涯することではない。

だって男同士だろ……ってかもう姫路も完全にFクラスに染まっているな…

まぁ別に俺としては姫路と島田が明久をどう思おうと関係ないがな。

 

楓「相変わらず私たちのクラスは賑やかですね」

 

秀吉「そうじゃな。先程明久が走り去って行ったと思ったら、

   今度は島田が教室から飛び出して行くとは。何があったのじゃ?」

 

そこに今度は楓と秀吉登場。

秀吉台詞からして明久と秀吉は教室に入るまでに一度会ったようだ。

 

命「何があったの明久君?」

 

明久「いや、別に何もないけど」

 

貴浩「いや、ありまくりだっただろ……」

 

命「どうしたの? 私にも秘密なの? それはちょっと寂しいかな……」

 

こころもち目を伏せる命。つくづく明久を特別に想っているようだ。

それでこそカップルにした甲斐があるな

 

雄二「聞いてくれ。実はこのバカがこんな時間から公序良俗に反するような発言をしたんだ」

 

秀吉「明久……。お主、朝っぱらから助平なことを言っておったのか?」

 

明久「ち、違うよ! 僕はそんなムッツリーニみたいな真似はしないよ!」

 

康太「………失礼な」

 

後ろからムッとしたような呟き声が聞こえてくる。

後ろにムッツリーニが立っていた。

 

貴浩「ムッツリーニか。随分と荷物が多いみたいだな」

 

その両手には学校の鞄の他に大きな包みやら袋やらを提げていた。

 

康太「………ただの枕カバー」

 

明久「枕カバー? そのわりには包みが大き過ぎない?」

 

康太「………そんなことはない」

 

首を振って否定するムッツリーニ。

この否定のポーズはむしろ何かを隠していると言っているようなものだ。

 

明久「ごめんムッツリーニ。ちょっと中身を見せてね」

 

康太「………あ」

 

荷物のせいで動きの鈍いムッツリーニから明久が包みを一つ奪い取る。

どうせ変な物が入ってるに違いないだろうが。

中から出てきたのは、等身大の明久がプリントされた白い布(セーラー服着用)

 

貴浩「ムッツリーニ。これは何なんだ?」

 

康太「………ただの抱き枕カバー」

 

明久「ただのじゃないっ! 枕カバーと抱き枕カバーには

   大きな隔たりがあるということをよく覚えておくんだ!

   っていうかどうして僕の写真なの!?」

 

康太「………世の中には、マニアというものがいる」

 

明久「何を言っているのさ!

   僕の抱き枕カバーなんかを欲しがる人なんてどこにも……」

 

姫路「あっそれは……(ボソッ)」

 

姫路が何かブツブツ言ってるな。

さてはアレは姫路が頼んだヤツか……

ムッツリーニに言って明久グッズを売らないようにしないとな。

じゃないと命が不便すぎる……

 

貴浩「はぁ……とにかくムッツリーニ。

   とりあえずその抱き枕カバーはあとで没収するからな。その後話がある」

 

楓「ところで先程は何を話されていたんですか?」

 

明久「あ。えっと、何の話をしてたっけ?」

 

インパクトのある話が連続していたせいなのか明久は最初の話を忘れていたようだ。

 

雄二「俺が明久にトランクス姿での登校を強要された、という話だ」

 

秀吉「明久、お主……」

 

命「明久君……私信じてるからね…」

 

明久「雄二っ!わざと誤解を招くような言い方をしないように!」

 

貴浩「秀吉も命もそんなの鵜呑みにするなって」

 

色々と肝心な説明の部分が飛んでいた。

 

雄二「まぁ、それは冗談だが……。要するに、明久が送ってきたメールのせいで

   翔子が何かを勘ぐって、それが原因で俺が酷い目に遭ったって話だ」

 

秀吉「メール? それは今朝の明久の様子がおかしいのと何か関係があるのかの?」

 

明久の様子がおかしい?秀吉が妙なことを言い出す。

 

姫路「明久君の様子、ですか……?

   そう言われてみれば、今朝はいつもより顔色がいいですね。

   制服も糊まで利いてパリッとしていますし、寝癖もないですし……」

 

雄二「確かにおかしいな。顔色がいいのはまだわからんでもないが、

   制服がきちんとしているのは妙だ」

 

貴浩「偶然かもしれないが、今日は割りと余裕を持って登校してきたんだな」

 

彼女ができて生活態度を改善したんだろうな。

 

康太「………明久らしくない」

 

徐々におかしな点が見つかっていく。

 

明久「た、たまにはそういう気分の日もあるんだよ!

   それよりチャイムが鳴るよ! 鉄人が来る前に席につかないと!

   んじゃ、そういうことでっ!」

 

そう言って明久はその場を無理矢理に逃れる。

 

貴浩「あいつ、今の強引に話を切り上げたよな?」

 

命「ですね……」

 

「「「怪しい……」」」

 

当の明久は俺達の視線を無視して席で授業の準備を始めた。


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