バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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明久の家へGO!

今日も全ての授業が終わって、終業のチャイムが鳴り響く。

 

明久「貴浩、雄二。ちょっといい?」

 

帰り支度を始めていると明久が俺と雄二に声をかけてきた。

 

雄二「ん?どうした明久」

 

貴浩「遊びの話か?」

 

明久「いや、そうじゃないよ。今日なんだけどさ、雄二か貴浩の家に泊めてくれない?

   それで、期末テストの出題範囲の勉強を教えて欲しいんだ」

 

ザワッ

 

明久がそう言った瞬間、教室にざわめきが広がった。

 

F「おい……聞いたか、今の……?」

 

F「確かに聞いたぜ。俄かには信じがたいことだが……」

 

F「まさか、アイツらがな……」

 

F「ああ。まさかあの吉井と坂本が……」

 

F「「「「「期末テストの存在を知っているなんて……」」」」」

 

いやいや、いくら明久でも期末テストの存在くらい知ってるだろ…

 

雄二「勉強を教えて欲しいだと?」

 

明久「うん」

 

貴浩「……ついにお前もまじめになったのか……」

 

雄二「やれやれ……お前はまだ七の段が覚えられないのか」

 

明久「待って! 僕は一度も九九の暗唱に不安があるなんて言った覚えはないよ!?

   分数の掛け算だってきちんとできるからね!?」

 

雄二「ああそうか。三角形の面積の求め方に躓いているところだったよな」

 

明久「(底辺)×(高さ)÷2=(三角形の面積)!

   いい加減僕をバカ扱いするのはやめなさい!」

 

貴浩「よしよし、よくできたぞ明久。さすがにこれ間違えたら殴ろうかと思ったぞ」

 

明久「……アハハハ」

 

姫路「あの、明久君」

 

そこに姫路が鞄を抱えてやってきた。

 

明久「なに、姫路さん?」

 

姫路「あのですね、九九の覚え方にはコツがあるんですけど、」

 

明久「言えるからね!? いくら僕でも九九くらいはきちんと言えるからね!?」

 

かなり心配そうな姫路の表情。

まあ以前コイツに九九のを言わせたがアレは凄かったな……色んな意味で……

詳しくは【試験戦争中の勉強会】を読んで下さい。

 

秀吉「しかし、急にどうしたのじゃ?

   明久が勉強なぞ、特別な理由でもない限り考え難いのじゃが」

 

近くに座っていた秀吉が特別な理由というところで姫路に意味深な目線を送る。

 

明久「いや、ホラ。さっき雄二が説明したじゃないか。

   『試験召喚システムのデータがリセットされる』とか、

   『期末テストの結果が悪いと夏期講習がある』って

   木刀と学ランなんて装備をそろそろ卒業したいし、

   夏休みも満喫したいし、頑張ってみようかな~なんて」

 

貴浩「そういや、お前はあの後、雄二と同じように学園長室に逃げてこんだらしいな」

 

あの後姫路が恐怖の料理を取り出したので学園長室に逃げ込んだらしい。

雄二は霧島から逃れるために逃げ込んだ。

 

貴浩「試召戦争が2学期まで禁止と召喚獣の装備が

   リセットされるとかの話を聞いたみたいだが……」

 

康太「………明久らしくない」

 

命「そうでしょうか?」

 

楓「明久君だって真面目に取り組む事だってありますよ」

 

島田「アキがその程度の理由で勉強をするなんて思えないわね」

 

貴浩「えっ、そうか?今の話聞いて俄然やる気でたぞ?」

 

雄二「それはお前だからだろ・・・明久がそうとは思えないんだよ!」

 

命「あの明久君。私で良かったら……一緒にお勉強、しませんか?」

 

命がおずおずといった感じで手を挙げる。

明久と付き合い始めてから少しずつ積極的になってきたな命は…

 

明久「命の家に泊めてもらうわけにはいかないしなぁ……」

 

命「えっ? 明久君、私の家に来たいんですか?」

 

勉強を教わりに行くだけで家に泊まることが前提なのが引っかかるな。

 

秀吉「どういうことじゃ明久? 詳しく話が聞きたいのう」

 

秀吉から黒いオーラが出てるぞ

 

貴浩「落ち着け秀吉。怖い怖い」

 

雄二「それはそうと明久。朝から気になっていたんだが、

   どうして俺の家に泊まりたがる? 自分の家に何かあったのか?」

 

明久「あー、えっと、実は」

 

雄二「嘘をつくな」

 

明久「急に勉強に目覚めて……って、早いよ! まだ何も言ってないのに!」

 

雄二「まぁ、次の試召戦争のこともあるし、勉強くらい教えてやらんでもないが」

 

明久「え?ホント?」

 

貴浩「ただし、お前の家で、だ。その方がやり易いだろ」

 

言った後、雄二はよそを向いて小声で

 

雄二「我が家にはあの母親がいるからな……」

 

と呟いた。

 

明久「って、僕の家はダメだよ!今日はちょっと、その、都合が悪いんだ!」

 

貴浩「都合が悪いって、何かあるのか?」

 

明久「う、うん。実は今日、家に改装工事の業者が」

 

雄二「嘘つけ。本当なら今日はお前の家でボクシングゲームをやる予定だったろうが。

   改装業者が来るはずないだろ」

 

貴浩「マジで!? 俺呼ばれてねぇぞ!? 俺だけハブるなよ明久」

 

雄二「お前はちょっと黙ってろ」

 

明久「じゃなくて、家の鍵を落としちゃって」

 

貴浩「マンションなんだから管理人に言えば開けてもらえるだろう」

 

明久「でもなくて、家が火事になっちゃって」

 

雄二「火事に遭ったのに弁当用意してシャツにアイロンまでかけてきたのか?

   お前どんだけ余裕なんだよ?」

 

明久「あー、えっと、他には他には」

 

雄二「いい加減にしろ。お前の嘘は底が浅いんだよ」

 

貴浩「正直に言ったほうが楽になるぞ」

 

明久「ぐ……」

 

俺と雄二に言い切られて明久が押し黙る。

何かを隠そうとしているのが見え見えだ。

だがそれが後ほど後悔するとは今は思ってもいなかった。

 

明久「わかったよ。今日はおとなしく家に帰るよ……」

 

明久が鞄を担いで立ち上がると、秀吉が背を向けた明久の肩を掴んでいた。

 

秀吉「待つのじゃ明久。何をそこまで隠しておるのじゃ?」

 

明久「うぇっ!? いや、別に何も!」

 

貴浩「今の反応はやっぱり何かあるみたいだな」

 

雄二「何かあるのかわからんが、このバカがそこまで隠そうとすることか……。

   面白そうだな」

 

いやらしい目で笑う雄二。

 

雄二「よし。確認しに行ってみるか」

 

明久「ちょ、ちょっと雄二!?何言ってるのさ!?」

 

島田「そうね。アキの新しい一面が見られるかもしれないし」

 

姫路「私も興味あります」

 

康太「………家宅捜査」

 

秀吉「テスト期間で部活もないし、ワシも行ってみようかの」

 

気がつけばいつのも面子が全員明久の家に行こうとしている。

 

命「秀兄も皆もだめだよ! 明久君が嫌がってるんだから無理やりは悪いよ」

 

明久「……命、僕の味方は君だけだよ。本当にありがとう……

   それに今日は僕の家はダメなんだ! その、凄く散らかっているから!」

 

姫路「あの、それならお手伝いしますけど?綺麗にしないとお勉強に集中できませんし」

 

姫路はお人好しなのか単に明久の家に行きたいのかどっちなんだろう?

 

明久「でも、散らかっているのは2000冊以上のエロ本なんだ!」

 

康太「…………任せておけ(グッ)」

 

明久「しまった! 更にムッツリーニの興味を煽る結果に!?もの凄い逆効果だ!」

 

貴浩「……バカだろ」

 

雄二「よし、それじゃ意見もまとまったことだし、明久の家に行くか」

 

皆(命・楓以外)「「「おーっ」」」

 

明久「やめてーっ!」

 

貴浩「諦めろ明久。こうなったらコイツらは何が何でもお前の家に行くつもりだぞ」

 

抵抗をする明久だったが、結局は首根っこを捕まれて俺たちに連行される形になっていた。

 


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