バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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隠したいもの

雄二「何があるんだろうな」

 

秀吉「ムッツリーニと違って明久は滅多に隠し事なんてせんからな。

   何があるのか楽しみじゃな」

 

貴浩「明久の場合、隠し事ができないと言うのが正しいだろうけどな」

 

命「そこが明久君のいいところの1つなんだよ」

 

秀吉「命はやけに明久の味方をするのう?」

 

命「そ、そんなことないよ」

 

秀吉「そうかのう。じゃが……」

 

楓「ヒデ君。あまり女の子の事知ろうとしちゃダメだよ。

  それがたとえ兄妹でもだよ」

 

秀吉「・・・・・・そうじゃな。楓のいうとおりじゃの」

 

雄二「秀吉は楓には反論すらしないな」

 

秀吉「楓じゃからな。楓は間違った事は言わぬからの」

 

康太「………俺に隠し事なんて何もない」

 

貴浩「女物の下着に興味はあるか、ムッツリーニ」

 

康太「………あるわけがない」

 

秀吉「流石に隠し事になれておるだけあるの。嘘も堂に入ったものじゃ」

 

康太「………!(ブンブン)」

 

貴浩「諦めろムッツリーニ。皆もう気づいてるから」

 

家に向かう途中。明久以外の面子は楽しそうに会話をしながら歩いていた。

 

姫路「でも、なんでしょうね?明久君がそこまで隠すものって」

 

秀吉「そうじゃな……急に手作りの弁当をもってきたこと、

   Yシャツにはアイロンがかかっておったことなども合わせて考えると……」

 

雄二「女でもできたか」

 

明久・命「「(ビクッ!!)」」

 

貴浩「・・・・・・何でそうなるんだよ?」

 

おいおい雄二何を言いやがる。

まだ2人のことは秀吉にはバレるわけにはいかないんだぞ。

でも……言った方が楽になるか……?

 

雄二に一言に、皆の目が目を見開いた。

 

島田「あ、アキッ!どういうこと!?説明しなさい!」

 

貴浩「騒ぐな島田。雄二が勝手に言っただけだろ

   それにそれが事実だったとしてもオマエには関係ないだろ」

 

秀吉「む、むぅ……明久に伴侶か……。友人としては祝うべきなのじゃが、

   なんだが釈然とせんというか、妬ましいというか……」

 

貴浩「おい秀吉。それは楓じゃもの足りないってことか?」

 

楓「えっ? ヒデ君そうなの?」

 

秀吉「そ、そんなわけあるわけないじゃろ!! ワシは今楓と一緒に居れて幸せじゃ!!」

 

雄二「お~どうどうと言うな秀吉」

 

秀吉「////」

 

康太「…………裏切り者…………っ!」

 

貴浩「ムッツリーニ、明久と何の約束をして何を裏切られたと言うんだ?

   それにお前はなのはと付き合ってるだろ」

 

康太「/////」

 

そうこうしているうちに明久の住むと思われるマンションに到着。

 

雄二「ま、中に入れば全部わかるだろ。ほら明久。鍵を出せ」

 

明久「ヤだね」

 

ここまできて悪足掻きをする明久。

 

雄二「明久。裸Yシャツの苦しみ、味わってみるか?」

 

明久「え!? 待って! 途中のステップがたくさん飛んでない!?」

 

康太「…………涙目で上目遣いだとありがたい」

 

明久「ムッツリーニ!? ポーズの指定を出して何する気!? 売るの!?

   抱き枕!? リバーシブルで裏面は秀吉!?」

 

秀吉「なぜそこでワシを巻き込むのじゃ!?」

 

貴浩「男子女子とわず人気あるからな2人は」

 

秀吉「それは嬉しくないのじゃ!!」

 

明久「わかったよ!開けるよ!開ければいいんでしょ!」

 

貴浩「玄関の前に来て家の鍵を開けるのにどんだけ時間がかかるんだよ?」

 

島田「本当に彼女がいるのかしら……」

 

秀吉「少々緊張するのう……」

 

姫路「大丈夫です。そんなこと、ありません……っ」

 

命「そういえば明久君の家にあがるの初めてです!! どうしよう!!」

 

楓「命ちゃん落ち着いて」

 

明久「後悔してもしらないよ……色々と(ボソッ)」

 

最後明久がボソッと何か言ってたが何だ? 後悔しても知らないってなんだ?

そこで明久は玄関のドアを開けた。

 

明久「それじゃ、あがってよ」

 

明久は俺たちを招きいれて、リビングに続くドアを開け放つ。

そしてその直後、俺達の視界に飛び込んできた物が。

 

「「「……………」」」

 

それは、室内に干された……ブラジャーだった。

 

明久「いきなりフォローできない証拠がぁーっ!?」

 

貴浩「……ま、まさか…」

 

明久は慌てて洗濯物を回収する。そしてゆっくりと俺達の方を振り返る。

 

島田「……もうこれ以上ないくらいの物的証拠ね……!」

 

秀吉「そ、そうじゃな……」

 

康太「…………殺したいほど、妬ましい………!!」

 

島田たちが勝手に感想を言っていたが……俺にはいやな予感がする

 

明久「え、えっと、これは!」

 

そんな中、一人落ち着いたままの姫路が笑顔で明久に歩み寄ってこう言った。

 

姫路「ダメじゃないですか、明久君」

 

明久「え?何が?」

 

姫路「あのブラ、明久君にはサイズが合っていませんよ?」

 

「「「「コイツ認めない気だ!」」」」

 

予想を遥かに超えた意見に思わずツッコんでしまった。

 

明久「姫路さん、これは僕のじゃなくて!」

 

姫路「あら?これは……」

 

明久が弁明しようとすると、姫路の視線はリビングの卓上に向いていた。

そこにあったのは化粧用のコットンパフだった。

 

姫路「ハンペンですね」

 

「「「「ハンペェン!?」」」」

 

化粧用のコットンパフをハンペンと言い切るとは、

姫路はそこまで明久に彼女が出来ることを認めない気なのか?

さらに姫路の目線は食卓の上に置かれていた弁当に向かれた、

見た目からしておそらくヘルシー弁当とか言うのだろうけど。

 

姫路「……………」

 

明久「ひ、姫路さん……?どうしたの……?そのお弁当が何か……?」

 

姫路「しくしくしく……」

 

明久「ぅえぇっ!? どうして急に泣き出すの!?」

 

何故か俺には姫路の涙が安く見える。

 

姫路「もう否定し切れません……」

 

貴浩「ちょっと待て! どうして女物の下着も化粧品もセーフなのに

   弁当でアウトになるんだ!?」

 

明久「はぁ……。もうこうなったら仕方がないよね……。

   正直に言うよ。実は今、姉さんが帰ってきているんだ……」

 

俺の予想通りだった。……玲さんが帰ってきてたのか。

なら俺がとる行動は1つ

 

貴浩「明久。俺、急用ができたから帰るわ。勉強ガンバレ」

 

俺はそう告げると振り返りすぐさまリビングから出ようとするが

 

明久「逃がすかぁ!! もう貴浩も道連れだ!! さあ僕と一緒に苦しもう!!」

 

明久が俺も逃がすまいと腰にタックルをかまししがみついてきた。

 

貴浩「い、イヤだ! 俺はまだ死にたくない!!」

 

明久「僕だってそうだよ! 貴浩僕の一生のお願いだ。貴浩も僕の家に一緒に住んで!!」

 

貴浩「いくらお前の頼みでも玲さんがらみは絶対無理だ!!」

 

楓「兄さん騒がしいですよ。明久君、玲さんが帰ってきたんですね」

 

明久「……う、うん」

 

命「明久君、お姉さんがいたんですね」

 

島田「そ、そうよね。アキに彼女なんているわけないもんね」

 

康太「…………早とちりだった」

 

秀吉「ホッとしたぞい」

 

それぞれが胸を撫で下ろす。

 

姫路「そうですか。明久君にはお姉さんがいたんですね。良かったです……」

 

明久「まぁ、そんなわけだからお弁当とか制服とかもきちんとしていたんだよ。

   わかってもらえた?」

 

今になってわかる明久が家にいたくない理由が

 

雄二「待て明久」

 

俺がそんなことを考えていると雄二が何か疑問を感じたらしく明久を呼ぶ。

 

明久「な、何かな雄二?」

 

雄二「お前に姉がいるのはわかった。だが、それだけでなぜ家に帰るのを嫌がる?

   それにあの貴浩があそこまで嫌がるのが気になる」

 

島田「そうよね。そのお姉さんの存在を隠そうとしている事も妙だし」

 

姫路「あ、そういえばそうですね」

 

秀吉「確かにおかしいのう」

 

康太「…………(こくこく)」

 

島田「何かまだ隠してるのかしら?」

 

雄二の台詞を聞いて皆が同じように疑問を抱きだす。

 

雄二「明久。もう全部ゲロッて楽になれよ。な?」

 

雄二がポンポンと明久の肩を叩く。

 

明久「実は……僕の姉さんは、かなり、その……珍妙な人格をしているというか

   ……常識がないというか……だから一緒にいると大変で、色々と減点とかもされるし、

   それで家に帰りたくなくて……」

 

貴浩「ああ……そうなんだよ。俺と楓は明久とは幼馴染だからな。

   それがイヤっていうくらい知ってるんだよ……あの人はもう…大変なんだよ」

 

俺が多分一番避けたい人物だ。

 

命「明久君だけじゃなく貴浩君まで非常識って言うなんて、どれだけ……?」

 

秀吉「むぅ……。恐ろしくはあるが、気になるのう……」

 

康太「…………是非会ってみたい」

 

姫路「そうですね。会ってみたいです」

 

そしてその場にいる皆が明久の姉に興味を抱く。

 

雄二「あー……、なんだ。お前ら、そういう下世話な興味は良くないぞ。

   誰にだって、隠したい姉とか母親とか、そんなもんがいるモンだからな」

 

隠したい母を持つ雄二が助け舟を出す。

 

明久「ゆ、雄二…………!ありがとう」

 

ガチャッ

 

その時、玄関のドアの開く音が聞こえた。


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