バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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腹いせと不問とペア相手

明久「うわ…何か、凄いことになったね…」

 

秀吉「そうじゃな…ここまでやるとなれば、

   学園側もかなりの投資が必要じゃったんじゃろうに…」

 

お化け屋敷と化した教室を覗いて見て、正直驚いた。 

薄暗い雰囲気といい、外観からでも伝わってくるほどに

複雑そうな構造といい、まさかここまでなるとは…

 

雄二「とりあえず、これは3年側も結構本気だな。 

   相手も講習最終日くらいはハメを外したかったってところか?」

 

姫路「こ、ここまで頑張ってくれなくても良かったんですけど…」

 

島田「そ、そうよね。頑張りすぎよね」

 

楓「うぅ…」

 

秀吉「楓よ大丈夫かの?」

 

楓「…大丈夫ですよ……」

 

貴浩「雄二。確か俺達は体育館に集合だったよな?」

 

雄二「ああ。3年はA~Fクラスの教室、俺達は体育館でそれぞれ準備。 

   開始時刻になったら1組目のメンバーから順次Fクラスに入っていく寸法だ」

 

康太「……カメラの準備もできている」

 

ムッツリーニが大きな鞄を掲げてみせた。

あの中には何台かのカメラが入っているようで、

俺達はそのカメラを持って中を進んでいくらしい。

不正チェックと通過の証拠、あとは待っている人を退屈させないためだとか、

色々と理由があってカメラを使うことになっている。

 

貴浩「俺達の準備はカメラとモニターの用意と……組み合せ作りだな」

 

明久「そっか。組み合わせを決めてなかったよね」

 

俺達は話をしながら旧校舎の空き教室へと入る。

 

貴浩「で、雄二。ペアはどうするんだ?」

 

雄二「組み合わせは折角だから、極力男女のペアになるようにするか。

   その方が盛り上がるだろ。」

 

貴浩「………本音は?」

 

雄二「翔子とペア組むように脅された腹いせに全員を巻き込んでやろうと思った。

   正直、俺と翔子だけ男女ペアなんて恥ずかしいからな」

 

腹いせかよ!?

しかし…だれと組むか…こういう時、明久たちはいいよなペアが決まってるから。

 

「「「織村君」」」

 

突然周りにいた女子が俺に詰め寄ってくる

 

貴浩「ん? なんだ?」

 

「「「私と組んでください(組んで)」」」

 

貴浩「はい?」

 

ん? 俺の聞き間違いか?そうだ…そうに違いない

 

『須川会長。我等の意に反し女子と組もうとする輩が…』

 

『『『異端者に死を!』』』

 

ソレを嗅ぎつけない程甘くはない。

それがFFF団こと、異端審問会のメンバーである。

だが対策はある。

 

貴浩「なあお前ら…もし俺を処刑するとならばお前達も同じことになるぞ?」

 

須川「どういうことだ?」

 

貴浩「さっき雄二が言っただろ“男女ペア”って。 

   ならもしここで俺に手を出したら自分達にも降りかかってくるんじゃないか?

   折角今回女子と楽しめるかもしれないのにそのチャンスを自分の手で潰すのか?」

 

須川「よしっ!今回の件は不問とする。皆もよいか?」

 

『『『意義なし』』』

 

ふっ…簡単だったな。

 

明久「ねえ雄二。ペアもそうだけど。

   皆が居るんならもう1度ルールを伝えたほうが良いんじゃない?」

 

雄二「ん? そうだな。じゃあ皆、今回のルールを確認しておくぞ」

 

 

≪ 肝試し ルール ≫

 ・2人1組での行動が必須、1人だけになった場合のチェックポイント通過は認めない。

  (1人になっても失格ではない)

 ・2人の内、どちらかが悲鳴を上げれば両者とも失格。

 ・失格していなかったら途中でペアの交代もあり。

 ・チェックポイントは、各クラス合計6か所。

 ・チェックポイントでは、ポイントを守る代表者2名と召喚獣で勝負。

  (クラス代表でなくても可)。撃破でチェックポイント通過扱いとなる。

 ・一組でもチェックポイントを全て通過出来れば脅かされる側、

  通過者を1組も出さなければ脅かす側の勝利。

 ・脅かす側の一般生徒は、召喚獣でのバトルを認めない。

  あくまで脅かすだけとする。

 ・召喚時に必要となる教師は各クラスに1名ずつ配置する。

 ・通過の確認用として脅かされる側はカメラを携帯する。

 ・設備への手出しは禁止(一般公開する為)

 

 Fクラス 現代国語 

 Eクラス 英語

 Dクラス 保健体育

 Cクラス 数学

 Bクラス 世界史

 Aクラス 物理

 

 

 

雄二「ってな感じだな。皆よくルールを覚えておけよ」

 

明久「それで貴浩はペアどうするの?」

 

貴浩「どうするかな? そういう明久は命とだろ?」

 

明久「うん、一緒に頑張ろうね命」

 

命「はいっ、少し怖いですけど頑張ります!」

 

貴浩「いいね。相手がいるヤツは…俺はどうするかな?」

 

優子「それならアタシと……」

 

愛子「それなら僕と……」

 

貴浩「ってか俺はそれよりこの腕輪を試してみたいな」

 

命「何ですかその腕輪?」

 

貴浩「ああ、これか。これは召喚獣同士の融合が可能となる腕輪だな」

 

命「融合ですか。凄いですねソレは」

 

貴浩「だろ。まあペアはとりあえず状況を見てから組むさ」

 

明久「そう…」

 

優・愛「「……」」

 

貴浩「ん? どうした二人とも」

 

優子「何でも無いわ」

 

愛子「まさかの貴浩君の選択にビックリだよ」

 

貴浩「?」

 

そこへ

 

清水「お姉様っ! 肝試しのペアでしたら、美春が立候補します!」

 

島田「み、美春!?」

 

清水「さぁ、お姉さま! 美春とペアを!!」

 

島田「もうっ!離れなさい美春!ウチはアンタと組む気なんてなくて…」

 

そこで島田の目線が明久に向いた。

 

島田「悪いわね美春。ウチ、実はアキと組むことになってるの。

   だから、またの機会にしてもらえる?」

 

明久の腕を掴もうと島田は手を伸ばすが

 

島田「えっ?」

 

その手は空をきり明久の手は命の手へと向かった。

 

明久「ごめん美波。僕、命と組む事にしたんだ。だからペアは他の人に頼んでね」

 

清水「だそうですよ美波お姉様! そんなブタ野郎より私と……」

 

島田「い、嫌よ!」

 

島田はそういうとその場を物凄い勢いで逃げ出していった

 

翔子「……雄二、肝試しなんて怖い」

 

雄二「ウソつけ。怖がってると言うのは、ああいうのを言うんだ」

 

姫路「……でもやっぱり、肝試しなんて怖いです」

 

楓「やはり目の前にすると少し……」

 

雄二の指差した方向には、これからやる事を思い出して震えてる女子2人。

 

翔子「……成程。ゆ、雄二、私、怖い」

 

雄二「思いっきり棒読みじゃねえが──ぎゃああああああっ!!!」

 

貴浩「おーい霧島。やりすぎるなよ」

 

雄二「そこは助けてくれよ!」

 

貴浩「なんだろ…ペアがいるヤツを今日は助けたいと思えない」

 

康太「・・・・・・鈍感」

 

貴浩「何か言ったか?」

 

康太「・・・・・・何も言ってない」

 

こうして、学年肝試し勝負が幕を開けた。


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