バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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バカと内申点とお礼

常村「おらっ!!」

 

夏川「死ね!!」

 

牛頭と馬頭が同時に襲い掛かってくるけどどうでもいい。

僕と雄二は召還獣を操り、攻撃をかわす。

 

僕は『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』で

複製した剣を両手で取り牛頭の左腕を切り落とす。

 

雄二も馬頭の攻撃をかわし右ストレートを顔面にぶち込む。

 

常村「な…なんだと…」

 

夏川「どういうことだ!? なんでお前ら如きになんで攻撃がかわされるんだよ。

   お前の召喚獣実は吉井が操作してるんじゃないのか!?」

 

雄二「妙な言いがかりはやめろよセンパイ。

   そんなことできるわけがないだろ?」

 

夏川「じゃあどうなってんだ!

   観察処分者の吉井ならともなく召喚獣の操作の少ない坂本がかわせる訳ないだろ!?」

   

常村「それにしても吉井はなんで俺の攻撃が1回あたらないんだよ!

   インチキでもしてるんじゃないのか!?」

 

雄二「先輩知ってるか?」

 

夏川「なんだってんだ!!」

 

雄二「バカってのは面白いよなセンパイ。

   1つのことに夢中になると、それに対してとんでもない集中力を発揮しやがる。

   空手バカとか剣道バカなんて呼ばれてる連中もいるが、

   そこで言われるバカってのは『物事に集中するヤツ』っていう褒め言葉だよな」

 

常村「っるせぇ!何が言いてぇんだ!」

 

雄二「まぁ、要するに、だ……木下妹を泣かされた時から、

   コイツはスイッチが入っていたってことだ」

 

僕と雄二の召喚獣の中間地点に牛頭と馬頭が構えている。

その二体目がけて、僕は剣とある物を投げつける。

 

常夏「「っ!?」」

 

それを屈んで避けていた2体の上の弱点であるデュラハンの頭が通過した。

それを雄二が前に走りながら受け取り、

両手で弱点をがばうように抱えながら方から突っ込む。

 

常村「ぐ……ぅ……っ!」

 

屈んだせいで踏ん張りの利かない牛頭は後ろの馬頭にぶつかるように倒れる。

そして、馬頭の前には両手に大剣を構え、全力で振りかぶる僕の召喚獣が待っていた。

 

常村「う……そ、だろ……?」

 

とっさに攻撃を防ごうとするがそれをさせまいと雄二の召喚獣が武器を蹴り上げる。

そしてデュラハンの一撃は、馬頭の身体を上下に分断した。

 

夏川 「ふざけるな! どうしてこの状況で俺たちが……!」

 

馬頭の亡骸を踏みつけるようにして立ち上がる牛頭。

しかし、その行動はこの段階に至っては一手遅かった。

今度は雄二が僕の召喚獣の弱点である頭をわざと見せつけるように牛頭の頭上へと放り投げる。

突然物を投げられたせいで敵の意識が上に向いている間に、

雄二は牛頭の身体を副獣で踏みつけ自由を奪う。

そして僕は相手に剣先を向けていた。これで相手はもう動けない。

 

雄二「勝負ありだな、センパイ?」

 

常村「……っ!この野郎……っ」

 

明久「つまらなかった試合でしたよ」

 

そしてここで勝負がついた。

 

明久「賭けは僕達の勝ちです、先輩」

 

夏川「くっ! て、てめぇら…!」

 

常村「けっ。俺達に…何をやらせようってんだ」

 

敗北を認め、忌々しげに吐き捨てる常夏先輩。

この連中にやらせたいことは、ただ1つだけだ。

 

明久「命と霧島さんに謝ってください…」

 

夏川「…それだけかよ?」

 

明久「後はそうですね……おめでとうございますって言っておきますね」

 

雄二「ああ、そうだな。俺からも言っておくか。センパイ方おめでとさん」

 

常夏「「は?」」

 

わからないなら言ってあげるよ。

 

明久「おめでとう。はれて先輩方は……内申点はほぼ無くなりましたね」

 

常夏「「な、何を言って・・・」」

 

雄二「知らなかったか? このお化け屋敷の様子はリアルタイムで先生達が見てるんだよ。

   もちろんババア長も含めてな」

 

明久「それに現にルーティ先生たちの居る前であそこまで

   言ってるんですから言い逃れはできませんしね」

 

雄二「さて…あんだけの暴言を吐く生徒に…先生達はどう思うでしょうね…」

 

常村「お前ら…」

 

明久「はっきりいっといてやる…」

 

僕は立ち上がろうとした先輩達の襟首を掴むと、

 

明久「コレはアンタ達の自業自得だ。

   清涼祭での妨害、今回の意味不明な因縁の吹っ掛け…

   そしてあの暴言。自分の行動ぐらい責任をとるのは当たり前だ」

 

ましてや・・・

 

明久「お前らは命を泣かせたんだ…コレだけですんだだけいいと思えよ…

   もし…また命になんかして来ようものなら…」

 

ゴッ

 

僕が思い切り壁を殴りつける

 

常夏「「ひっ!!!」」

 

明久「ホントの恐怖って物をみせてやる……」

 

雄二「おぉ…さすがに今回は怒ってるな。だがまあ明久今回はそこまでにしておけ。

   これ以上やると色々面倒になるからな」

 

明久「そうだね……それと雄二ありがとう。今回はサポートに徹してくれて」

 

雄二「俺もいい加減怒ってたからな。お前のおかげでスッキリした」

 

明久「そっか」

 

こうしてこの勝負は2年の勝利に終わった。

 

 

 

 

お化け屋敷も成功し・・・

 

『いやー、結構面白かったな。装飾もかなり大掛かりだったし』

 

『流石は学園あげての騒ぎってところだよな。盆休みの間の一般開放も来てみるかな』

 

『先生たちがお化け役やってたりするんだろ?高橋先生の召喚獣とか気になるよな』

 

『俺は森田先生やリリス先生、ジュディス先生の召喚獣も気になるぜ』

 

『それは気になるな』

 

『鉄人が出てきたらどうする?』

 

『・・・そ、それは大丈夫だろ・・・一般開放なんだから、

 人様に見せられる召喚獣を出すはずだから・・・』

 

『そうあって欲しいもんだな・・・』

 

肝試し終了後、補習と夏期講習の最終日という解放感や

片付けは必要ないという学園長のお達しもあって、

下校していく皆は晴れ晴れとした顔をしていた。

勝負で負けた三年生たちは若干悔しそうではあったけど・・・

 

翔子「・・・吉井」

 

明久「何、霧島さん?」

 

翔子「・・・屋上に行って。話があるそうだから・・・」

 

明久「?」

 

翔子「・・・早く。命がいるから」

 

明久「命が?了解!ありがと霧島さん」

 

翔子「・・・うん」

 

僕は屋上にむかう事にした。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

雄二「どういう心境の変化だ?」

 

翔子「・・・私は、ああやって、怖くても一生懸命になって頑張る人が好きだから。」

 

雄二「…そうかよ」

 

翔子「・・・うん、凄く好き。」

 

雄二「何故それで俺の方を見る。

   俺には怖い物もなければ、頑張るなんて殊勝な態度もないぞ」

 

翔子「・・・じゃあ、そう言うことにしておいてあげる」

 

雄二「何か引っ掛かる言い方だな」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

屋上に着くと、

 

命「あ……明久君…」

 

明久「そろそろ帰ろうか。明日からは本当の夏休みだし」

 

命「そうですね」

 

明久「実はさ、貴浩や光一と話してるんだけどさ、皆で海に行こうって言っているんだ。 

   車も光一の所が出してくれるみたいだし、皆で一緒に行こうよ。」

 

命「それは楽しみですね」

 

明久「うん。楽しい夏休みになるよ。きっと」

 

命「……さっき…」

 

明久「ん?」

 

命「さっき、先輩達が謝りにきたんだ」

 

明久「あ、そうなんだ」

 

命「ありがとう明久君」

 

明久「なんのことかな?僕は何もしてないよ。でも…驚いたな~」

 

命「なにが?」

 

明久「まさか命があそこまでするなんてね。

   さっき先輩たちを相手に啖呵を切ったの、凄く格好良かったよ」

 

命「見てたんですか!?言わないでください、後で後悔したんだよ」

 

明久「僕は結構そういう命の性格も含めて好きだけどね」

 

命「・・・・・・」

 

明久「どうかした?」

 

命「ううん、なんでもないよ」

 

明久「そう? じゃあ帰ろうか」

 

命「明久君・・・」

 

明久「なn・・・『チュッ』!!!!?????」

 

え? えっ? 命の顔が・・・目の前に・・・

 

命「今日のお礼です////さ、帰ろう!」

 

命は顔赤くしてそのまま屋上から出て行った・・・

 

明久「えっ、今のって…命ちょっと待ってよ」

 

僕は命を追いかけるようにして屋上を後にした。

 

 

 


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