バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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打順と守備位置と対戦相手

『───時より、第2グラウンドにて召喚野球を行います。参加する生徒は───』

 

校舎に取り付けられたスピーカーからアナウンスが響き渡る。

そんなこんなで、気がつけば体育祭当日。

退屈な開催式も無事に終えて、グラウンドの一部を

仕切って作られた自分たちの席を離れ、俺達は野球大会の行われる会場へと向かっていた。

 

明久「雄二。最初の対戦相手はどこだっけ?」

 

雄二「確か一回戦は同学年の隣のクラスが相手という話だったから、Eクラスのはずだ。

   ほら、コイツが対戦表だ」

 

雄二がA4サイズの紙を渡してくる。そこには櫓状の対戦表が書かれていた。

Eクラスか・・・Eクラスというとアイツがいるのか・・・会いたくねぇな・・・・・・

 

明久「そういえば・・・Eクラスの代表ってどんな人だったっけ?

   それにEクラスって野球で勝負しても大丈夫? 何も危険はない?」

 

正直、俺にはEクラスにアイツがいる時点で危険だ。

 

雄二「ん~・・・・・・。まぁ大丈夫だろ。さっきちょっと代表同士で

   挨拶した限りだと、対応も可愛いもんだったしな」

 

Eクラス代表っていうと・・・確か・・・中林だったか・・・まぁ確かに可愛い部類に入るだろうな。

 

明久「え? 本当? どんな感じの子なの?」

 

雄二「『押忍! 自分はEクラス代表の中林であります!

    本日は絶対に勝たせて頂くであります!』って感じで」

 

明久「ソイツきっと全身筋肉質だよね!? 絶対可愛くないよね!?」

 

まあ確かに雄二の言うとおりなら明久の言うとおりだな。

 

貴浩「安心しろ明久。Eクラスの代表はそんな奴じゃない。

   Eクラスの代表は確か女子テニス部のエースをやってる中林っていう女子だ。

   性格は、そうだなぁ・・・島田に近い感じじゃないか?」

 

明久「外見は?」

 

雄二「鉄人に近───冗談だ明久。ダッシュで逃げるなよ」

 

明久「雄二の冗談は心臓に悪いんだよ」

 

貴浩「鉄人みたいな女子がいたら俺、拳銃持っててもすぐさま逃げ出す自信あるぞ」

 

秀吉「お主ら全然話が進まん。結局Eクラスはどういった連中なのじゃ?」

 

貴浩「Eクラスは一言で表すと『体育会系クラス』だな」

 

明久「体育会系クラス?」

 

雄二「そうだ。部活を中心に学園生活を送っているヤツが殆どだ。

   部活に打ち込んでいるせいで成績が悪い連中ばかりだが、

   体力や運動神経はかなりのもんだ。ちなみに、あの西郷もEクラスに所属している」

 

明久「西郷君って確か合宿の時貴浩に迫ってた人だよね」

 

貴浩「思い出させるな明久。今、思い出しても気持ち悪い。

   まあそれはおいといて、体力も運動神経もほぼ互角で

   点数は総合的にはこちらが負けるかもしれないが、

   やるのは野球だ。9人しか出れないならこちらにも勝ち目は充分ある」

 

雄二「貴浩の言うとおりだ。こっちには貴浩や明久の操作技術に加え、

   貴浩、楓、姫路とAクラス成績保有者もいる。

   それに俺に秀吉、ムッツリーニはお前らのおかげでだいぶ操作技術が向上したからな。

   Eクラスにはガチでぶつかっていくぞ」

 

西郷「ならばこちらも全力でぶつかるのみよ!」

 

そこで対戦相手であるEクラス代表の中林と西郷がやってきた。

 

西郷「こんな機会でまた織村と会えるなんてこれは運命だろう」

 

うげっ・・・気持ち悪ぃ

 

西郷「もうこれは神が私と織村を結び合わせようとしているに違いない」

 

貴浩「なあ雄二、明久。コイツ、殺っていいかな?」

 

雄二「気持ちは分らなくはないが、今は試合前だ落ち着け」

 

中林「西郷は黙っていて! ごめんなさいね、ウチのクラスの者が迷惑かけて」

 

明久「それは別にいいけど、なるべく早く西郷君を連れて行ってくれると助かるかな。

   貴浩が暴走する前に」

 

中林「そ、そうね・・・なら、正々堂々勝負しましょう」

 

中林は一言そういうと西郷を引きずれながらEクラスのベンチへ向かっていった。

 

貴浩「・・・・・・今から憂鬱だ」

 

明久「貴浩頑張ろうよ」

 

溜息を吐きながら、とりあえず召喚獣を喚びだす準備を始めることにする。

この試合の1回は──向井先生がグラウンドにいるってことは古典勝負ってことだな。

 

雄二「さて、そろそろ守備位置と打順を発表するか。おーい、全員聞いてくれ」

 

雄二が声をかけると同時に試合に参加するクラスメイトが集まってくる。

 

雄二「基本の守備位置と打順はこんな感じだ」

 

 

1番 ファースト  木下秀吉 

2番 ショート   土屋康太(ムッツリーニ)

3番 ピッチャー  吉井明久

4番 キャッチャー 坂本雄二

5番 ライト    姫路瑞希

6番 センター   織村貴浩

7番 セカンド   島田美波

8番 サード    須川亮   

9番 レフト    福村幸平

 

ベンチ  織村楓、木下命、近藤吉宗

 

 

明久「ねぇ雄二。僕がピッチャーでいいの?

   雄二か貴浩、楓、姫路さんのほうが良くない?」

 

まあ普通に考えれば、召喚獣を使うなら純粋に高得点保有者が望ましいのだが──

 

貴浩「明久、よく考えてみろ。俺達の誰かがピッチャーやって捕れるキャッチャーいるか?」

 

明久「そっか。生身の人間と違って、召喚獣は他の人の十倍以上の力の差、

   とかあったりするもんね。そういうことなら仕方がないね」

 

秀吉「ならば楓や姫路が投げて雄二か貴浩が捕るのではダメじゃろうか」

 

そこで秀吉が手を上げて質問すると、俺と雄二が答えるより先に楓と姫路が反応した。

 

楓「す、すみません。私、野球のルールとかは知っているんですが

  やったことがなくて・・・・・・」

 

姫路「私も、野球とか全然分らなくて・・・・・・。実際にやったこともないですし・・・・・・」

 

もし、2人が投げて上手くミットに収めれなかった場合は、昇天するだろうな

 

雄二「だ、そうだ。そういうわけだから、今後はともかく、

   1回戦はルールの把握をしてもらう。状況によっては配置変更するけどな」

 

なるほど、そのために俺がセンターなわけか。

姫路のフォローを俺がするわけだな。

 

雄二「以上だ。何か質問は?」

 

雄二が全員を見渡す。それ以上何も質問は出なかった。

そして、自然と雄二を中心に円陣が出来上がる。

すると雄二は全員を鼓舞するように大きく声を上げる。

 

雄二「よし。それじゃ──いくぞテメェら、覚悟はいいか!」

 

「「「おうっ!」」」

 

雄二「目指すは決勝、仇敵教師チーム!ヤツらを蹴散らし、

   その首を散っていった戦友(エロ本)の墓前に捧げてやるのが目的だ!」

 

「「「おうっ!」」」

 

雄二「やるぞテメェら!俺の──俺たちの、かけがえのない仲間(エロ本)の弔い合戦だ!」

 

「「「おっしゃぁーーーっ!!」」」

 

男子全員に炎が灯る。

 

命「え、えーっと・・・・・・こうしてると、なんだか・・・・・・」

 

楓「そうですね・・・私たちまで疑われちゃいそうですね・・・」

 

秀吉「ワシも別にエロ本などは持ち込んでおらんのじゃが・・・」


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