3-E対3-Fの試合は結局勝負がつかず、俺たちの不戦勝となった。
そして
貴浩「いよいよ準決勝か」
明久「確か僕たちの相手は3-Aだっけ?」
雄二「ああ、あの常夏島トリオがいるクラスだ」
秀吉「んむ? ということは2-Aは負けたということじゃな」
光一「そうなるな」
明久「負けたってあの霧島さんがいるのに?」
雄二「ん~・・・まぁ姫路程じゃないが、アイツも野球はそこまで詳しくないからな。
その辺が原因で負けたんじゃないか」
貴浩「そうなんだろうか? 霧島以外にも優子や愛子に椎名、刀麻、砂原、久保が
いるからそう簡単には負けないと思うんだが・・・」
秀吉「3年にも霧島クラスがおったのかもしれんの」
貴浩「・・・そう考えるのが妥当か・・・」
光一「今は考えるのはやめましょう。目の前の敵に集中しないと」
明久「そうだね。会ってみたら分かるだろうし」
貴浩「で、雄二。この試合はどんな作戦でいくんだ?」
雄二「ああ、正直。3-Aが相手と言っても2-Aが負けるとは思っていなかったからな。
殆ど作戦なんて考えていないが───」
そういいながらも雄二のことだ何か策があるんだろうが
雄二「────奴らの召喚獣を殺そうと思う」
秀吉「もう既にスポーツマンシップという概念は消え失せておるようじゃな・・・」
命「ひどい作戦ですね」
貴浩「おいおい、雄二さすがにそれはマズイだろ。
常夏島トリオならいくら殺ってもいいが、他の先輩達に迷惑だろ」
雄二「・・・確かに・・・そうだな。狙うなら常夏島トリオにしておくか」
明久「そうだね。で、乱闘で常夏島トリオを再起不能にするんだね」
光一「どうせなら、召喚獣だけでなく本体の方も再起不能にしたいな」
康太「・・・・・・どうやって始末する?」
楓「なんで皆さん、躊躇いもなくその作戦が受け入れられるんですか・・・?」
貴浩「乱闘じゃなくてもなくてもいいだろ。
他にも殺す手段は直接攻撃以外にもあるからな」
明久「そっか。タックルしたりデットボールを狙ってもいいしね」
康太「・・・・・・振り切ったバットを相手に投げつけてもいい」
貴浩「さすが、理解が早くて助かる」
秀吉「お主ら本当に外道じゃな!」
島田「アンタらねぇ・・・そんなことして、相手に『卑怯だ!』って、
文句言われても知らないわよ?」
卑怯? 文句? お前は何を言っているんだ?
明久「ふふっ、わかっていないなぁ美波は」
雄二「全くだ。島田には俺たちのスポーツマンシップが全然伝わっていないらしい」
康太「・・・・・・理解不能」
貴浩「だな。こんなの常識だろ」
俺達は肩を竦めてみせる。
やれやれ本当に勉強不足すぎるな。
島田「な、なによアンタら。何が言いたいのよ」
明久「いいかい、美波」
戸惑う島田に、諭すように4人で一斉に告げる。
「「「「卑怯汚いは敗者の戯言」」」」
島田「アンタら最低過ぎるわっ!」
これは勝負の鉄則だ。
秀吉「んむ? じゃが、向こうの召喚獣を行動不能にしたところで、
こちらの勝ちになるわけではなかろう。そのあたりはどうするのじゃ」
雄二「相手は3年だからな。持ち物検査が俺達2年しか行われなかった以上、
向こうの優勝に対するモチベーションはこっちほど高くないだろう」
貴浩「だから、そのモチベーションの差を利用するわけだな」
秀吉「そうは言われてもの」
命「そ、それなら、わざわざ行動不能にしなくても」
貴浩「行動不能にするのは、ただの俺たちの気まぐれだ」
命「・・・・・・本当に最低ですね」
それ以上の作戦の説明もなく、俺達はとりあえず試合が行われるグラウンドへと向かっていった。