バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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キツさと意外と決勝戦

『これより生徒・教師交流野球決勝戦を始めます。皆さん、整列してください』

 

ベンチメンバーも含めて全員でグラウンド中央に駆け寄って整列する。

三塁側ベンチからは教師陣が歩いてやってきて、俺達と向かい合うように並んだ。

 

『プレイボール!』

 

『『『おねっしゃーーす!!』』』

 

一斉に頭を下げて、各自守備位置へ。

こちらは後攻。まずは守備からだ。

 

ちなみにこちらの打順とメンバーは

 

 

1番 サード    近藤吉宗 

2番 ショート   福村幸平 

3番 ファースト  木下秀吉  

4番 センター   織村貴浩  

5番 セカンド   木下命     

6番 レフト    羽鳥光一

7番 ピッチャー  吉井明久 

8番 キャッチャー 坂本雄二  

9番 ライト    織村楓

 

ベンチ 土屋康太(ムッツリーニ)、須川亮、横溝浩二

 

 

 

対する教師陣の布陣はというと

 

 

1番 セカンド   烏丸真紅朗(レイブン)    

2番 ファースト  布施文博 

3番 ライト    高橋洋子  

4番 キャッチャー 西村宗一  

5番 ショート   鈴村瀬名    

6番 サード    スタン・デュナメス

7番 ピッチャー  大島武

8番 レフト    寺井伸介

9番 センター   ジュディス・クリスティナ

 

ベンチ 船越、竹中、長谷川

 

 

 

烏丸「さてと・・・野球なんて、久しぶりだねぇ・・・試獣戦争(サモン)」

 

教師チームのトップバッターであるレイブン先生がバッターボックスに入る。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      烏丸真紅朗 654点

 

 

ある程度は予想していたとはいえ、これはやはりキツイな。

明久のあの点数でも2倍の差があるぞ。

 

明久が第1球を投げる。

外角高めに外した直球が雄二のミットに向かっていく。

まずは様子見だとわかる球だが───

 

烏丸「やっぱり一球目は外してきたね・・・よっと」

 

レイブンは予想通りと言わんばかりにバットを振る。

カァンと音を立て、ライト前にボールが落ちる。

 

烏丸「まずは進塁っと」

 

布施「はは・・・。野球なんて、20年ぶりでしょうかね──試獣戦争(サモン)」

 

次に2番手として布施先生がバッターボックスに入る。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      布施文博 334点

 

 

雄二≪アウトコース 低め 遅い球≫

 

雄二が明久に投球指示を出す。

明久は雄二の言うとおりにボールを投げる。

 

『ストライク!』

 

布施先生は動かなかった。

さっきのレイブンは操作技術が高いから一球目からバットを振ってきたが、

普通は様子を見てくるだろう。

当の本人ですら随分と野球をやっていないのだ。

それを召喚獣にやらせるのだから、慎重にもなるだろう。

 

雄二≪インコース 高めに外す 遅い球≫

 

二球目の指示はボール球だ。

 

布施「・・・・・・っ」

 

『ボール』

 

布施先生ピクッと反応しつつも、なんとか堪えてその球を見逃した。

これでカウントは1ストライク、1ボール。

 

雄二≪インコースギリギリ 低め フォーク≫

 

明久が第三球目を投げた───

 

雄二『ってすっぽ抜けてるじゃねぇかーっ!』

 

ボールは見るからに明久の手からすっぽ抜けて、ひょろひょろとボールが飛んでいく。

 

布施「っ!? っとと、と・・・」

 

そのボールを見て何故か布施先生はフォームを崩しつつバットを振ってくる。

ん?どうしたんだ?

バットの先に掠るように当たったボールは、勢いよく宙に上がっていく。

 

『アウトっ!』

 

打ち上げられた球はレフトフライとなり、まず1アウト。

スッポ抜けで肝を冷やしたが、結果オーライだろう。

 

布施「やれやれ・・・あまりに良い球が来たので焦ってしまいました・・・」

 

1アウト、ランナー1塁。そして迎えるバッターは──

 

高橋「宜しくお願いします」

 

学年主任を務める才女、高橋女史だ。

 

高橋「お手柔らかに、吉井君。───試獣戦争(サモン)」

 

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 吉井明久 292点      高橋洋子 834点

 

 

 

『『『ぶほぉっ!』』』

 

守備陣が一斉に吹き出す。

800点オーバーって、なんで担当教師のレイブンより高いんだよ!?

 

雄二≪勝負にならねぇ。敬遠するぞ≫

 

雄二は明久に敬遠の指示を出す。まぁ懸命な判断だろう。

 

明久≪雄二。ここは勝負だよ。高橋先生は野球に慣れていない≫

 

明久が雄二にアイコンタクトで高橋先生の手を見るように伝える。

高橋先生はバットを持つ右手と左手の位置が逆になっていた。

雄二もそれに気づき、キャッチャーミットと構えなおす。

 

西村『高橋先生。手が逆だな。それだと打ち難いはずだ』

 

高橋「ああ、どうりで・・・アドバイスありがとうございます西村先生」

 

雄二≪アウトコース 高めに外す 直球≫

 

明久が雄二の指示通り投げようと、セットポジションに入ったその時。

 

高橋「ええと、こうでしたか」

 

高橋先生が姿勢を変え、バントの構えを取った。

 

『ストライク!』

 

コースを外しておいたので、バットに当たることなく白球がミットに収まる。

送りバント狙いか・・・?相手はまがりなりにも教師チームだ。

そんなにアウトを取らせてくれるはずがあるわけない、ということは──

 

雄二≪ここは黙って遅らせて、アウトを1つもらうぞ≫

 

明久が雄二の指示通りに投球しようとする直前

 

貴浩「明久! これは罠だっ!」

 

俺の言葉は一歩遅くすでにボールは明久の手から離れてキャッチャーミットに向かっていた。

 

高橋「ここで、こう・・・」

 

ゴン、と硬い音が響いた。

一応、バントということには変わりはないが───

 

貴浩「プッシュバントかっ!」

 

バントはバントでもプッシュのほうだ。

送りバントと違い、これはヒット狙いのバントだ。

明久とサードの近藤はバントと思って前に飛び出していたので、

その二人の間を低い軌道でボールが抜けていく。

 

福村「任せろっ!」

 

ボールの行方は、ショートを守る福村の真正面だった。

身体の正面にきっちりグラブを構えて、捕球姿勢に入る福村。

センターである俺とレフトの光一が念のためにカバーに入る。

そして、ボールを受けてファーストに送球をしようとして

 

福村「ごぶるぁあっ!?」

 

「「「んだとぉっ!?」」」

 

ボールと一緒に、福村の召喚獣が吹っ飛んでくる。

な、なんだと!? 今のはプッシュと言ってもバントだろ!?

それがどうして福村の召喚獣が吹っ飛んでいくほどの威力が出るんだ!?

俺と光一もまさか召喚獣ごと飛んでくるとは思ってなく、動き出すのに遅れてしまう。

光一が福村を追いかけ、俺は中継に入るため動き出す。

 

『高橋先生、あれなら二塁まで行けます!』

 

高橋「二塁ですか。わかりました」

 

冷静に頷く高橋先生。

そして、その直後。高橋先生凄い勢いで召喚獣を走らせ、二塁へと向かわせた。

 

 

 

一直線に。

 

 

マウンドの上を突っ切って。

 

 

 

『『『・・・・・・・・・は?』』』

 

 

ランナーのレイブンを含め、その場にいる全員の目が点になった。

 

『・・・バッター、アウト』

 

審判が高橋先生の凡退を宣言する。

 

『高橋先生・・・。アウトなので、ベンチに戻ってください・・・』

 

高橋『なぜですか』

 

『そういうものなんです・・・』

 

どうやら高橋先生は野球のルールをしらないようだ。

以外といえば以外だが・・・・・・まぁとりあえず・・・

 

貴浩『ほい・・・タッチアウト』

 

烏丸『えっ?』

 

ついでに一・二塁間で高橋先生の行動に驚き棒立ちになっていたレイブンからもアウトを取る。

全員が呆然としている間に、こっそり光一からボールを受け取り俺は行動を起こしていた。

 

 

【世界史】

 2-F       VS   教師陣

 福村幸平 DEAD      高橋洋子 834点

 

 

ちなみに、福村の召喚獣は静かに天に召されていた。

福村が召喚獣が戦死したことで須川が変わりに出る。

そして、ショートに俺がセンターに光一、須川がレフトに入る。

でないとバントであの威力だ。

俺か光一ぐらいじゃないと同じ事の繰り返すことになる。

 

 


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