バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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策と優先順位と保健体育実技

秀吉「やれやれ・・・・・・。どうやら上手くいったようじゃの・・・・・・」

 

雄二「ああ、よくやってくれた3人とも」

 

高橋『? 彼らはどうしたんでしょうか?

   アウトになったのに、何か良い事でもあったのでしょうか?』

 

スタン『どうなんだろう?』

 

烏丸『もしかして何か策でもあったのかもしれないねぇ』

 

西村『あいつらのことだ。また何か企んでいるのでしょう』

 

鈴村『もし、そうなら真正面からそれを潰すだけだ』

 

先生たちが訝しげに俺たちのほうを見ている。

確かに俺たちの4回の攻撃は終わった。

けどこれも全ては次の回の策のための伏線だ。

最終回、そこの攻撃で俺たちは勝利をもぎ取ってみせる。

 

西村「吉井、坂本、織村兄。何を喜んでいるのか知らんが、守備につく準備をしろ」

 

貴浩「わかりました。でもその前に円陣を組ませてください」

 

西村「円陣だと・・・まぁそれくらいならいいが・・・早く済ませなさい」

 

貴浩「どもです」

 

正直円陣なんて組まなくてもいいけど時間を少しでも稼いどくか。

 

そして俺たちはベンチ前に集まる。

 

するとそこで辺りを見渡すと遠くから駆けつけてくる人影が見えた。

来たッ!あれは俺たちFクラスのクラスメイトたちだ!

 

西村「なんだアイツらは。あんなに急いで───」

 

鉄人がこちらに走ってくるFクラスの生徒を見つけて疑問符を浮かべる。

そんな中、クラスメイト達は野球場にいる立ち合いの先生たちに大声で叫んだ。

 

『遠藤先生!借り物競争です!すいませんが一緒に来てくださいっ!』

 

遠藤『えっ?でも私ここでこれからリーディングの立ち合いを』

 

『ジュディス先生!自分も借り物競争で先生が必要なんです。一緒に来てください!』

 

ジュディス「あら?私これからバッターなんだけど・・・?」

 

『『いいから来て下さい!』』

 

遠藤『えっ、でも───』

 

『なんと言おうとダメですよ!今日は野球より体育祭が優先されるんですからっ!』

 

『『『───っ!?』』』

 

先生方が目を見張ったのがわかる。

そう。ルールで事前に決まっている。

野球はあくまで交流が目的。優先されるべきは体育祭の本種目、と

 

遠藤『あ、えっと・・・すいませんっ。そういうわけで、ちょっと行ってきますっ!』

 

ジュディス『そういうことなら私も行かないといけないわね』

 

『『先生、急いで!』』

 

立ち合いの遠藤先生と、

次の打者であるジュディス先生が手を引かれグラウンドから去っていく。

 

西村「それなら仕方が無い。ベンチで待機している先生の科目で代わりを──』

 

『長谷川先生!来て下さい!』

 

『竹中先生、お願いします!』

 

ベンチにいる先生が三人の内二人にも声がかかる。

頼んでいるのは全てFクラスの生徒だ。

残っている船越先生は先ほど去って行ったジュディス先生の代わりに

試合に出ないといけないので、これで手空きの先生はいなくなった。

 

西村「坂本。これは貴様の作戦か」

 

雄二「さぁ、どうでしょうね?」

 

西村「とぼけるな。先ほどからここに来ている生徒は全員Fクラスの人間だろうが」

 

雄二「はは。偶然じゃないですか?」

 

もちろん偶然なわけがない。

さっき雄二が策を思いついた時ベンチにいたムッツリーニに頼んで

Fクラスの仲間に伝えておいてもらったのだ。

おそらく借りてくる紙の中に別のことが書かれているだろう。

 

雄二「これで立ち合いの先生はいなくなったな、鉄人」

 

西村「ならば仕方が無い。さっきの回、立ち合いをしたルーティ先生にまた頼んで」

 

雄二「おっと、それはルール違反だ。事前に決めただろう?

   “同じ科目は二度使わない”と」

 

西村「ならばどうしろと言うんだ。立ち合いの教師は他にいない。

   試合に参加している教師は立ち合いができない。

   どうしろというつもりだ?」

 

鉄人が俺たちを交互に鋭い目で見る。

俺たちがこれを利用して、勝負を無効試合に持ち込もうとしている、とでも思っているのだろうか。

いやいや、そんなことしてどうするんだ。

無効になったところで、俺たちに何の得もしない。

 

貴浩「鉄じ───西村先生。まだ他にも勝負できる科目があるじゃないですか」

 

西村「だから何を言っているんだ織村兄。

   さっきから立ち合いの教師がいないと」

 

明久「西村先生違いますよ。立ち合いの教師がいなくても勝負が可能な科目が

   残っていると言うんですよ」

 

これが、雄二が考えた作戦だ。

 

貴浩「えぇ、5回の勝負は保健体育の───実技で勝負といきましょう」

 

テストの点数勝負じゃない。

実際に俺たちの身体を使う体育。これだって立派な授業科目の1つだ。

野球の実技で、教師チームを打ち負かす!

 

雄二「さぁ全員、グローブをつけろ! 5回の勝負はハードだぞ」

 

命「あっ、待ってください。私、土屋君と交代しますね」

 

楓「私も横溝君と交代します。私の身体じゃこれからは少し厳しいので」

 

命「うん、私も同じ理由かな。それにこの勝負負けられないからね。

  皆、頑張ってね」

 

確かに、楓と命は身体が生まれつき強くない。ここで倒れられては大変だ。

それに男子と違って野球に触れている時間に差があるだろうし。

 

康太「・・・・・・わかった。後は任せろ」

 

横溝「ああ、行ってくるぜ」

 

貴浩「あとは俺たちに任せろ」

 

そして全員が野球部から拝借してきたグローブを装着する。

こうして、最終回。たった一回だけの、教師と生徒の野球大会が幕を開けた。

 

 

 


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