バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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閉会式と返却と落胆

『───体育祭総合優勝、3-D。代表者は前へ』

 

『はいっ!』

 

野球大会を終えて、最終種目のクラス対抗リレーの後は閉会式。

俺たちはグラウンドに整列して、優勝クラスのたちの表彰を見守っていた。

ちなみに俺たちFクラスの順位は、学年3位、全体では8位。

途中まではそこそこ良かったんだが、借り物競争での無得点が響き、

最後のクラス対抗リレーで追い上げを見せたのだがこの結果に終わってしまったが、

 

『───生徒・教師交流召喚獣野球。優勝、2-F』

 

俺たちはこっちのほうで優勝を目指していたのでかなり嬉しい結果だ。

クラスの皆も小声ながらも嬉しそうに騒いでいた。

 

『───それでは、これにて文月学園体育祭を終了します』

 

各競技の優勝クラス発表と学園長のありがたい?話も終わり、これで全プログラムは終了。

俺たちFクラスの生徒は、他のクラスの生徒が帰宅する中鉄人のもとへと集まっていた。

 

『さあ、俺たちのお宝を返してもらおうか!』

 

『俺のDVD!俺の写真集!俺の抱き枕!』

 

『俺の聖典(エロ本)!俺の宝物(エロ本)!俺の参考書(エロ本)!』

 

口々に没収品の返還を要求するクラスメイトたち。

鉄人はそんな俺たちは見ながらため息をつき、

 

西村「・・・・・・まぁ、約束は約束だ。没収品は返還しよう」

 

と仕方なさそうに言った。

 

『『『よっしゃあー!』』』

 

西村「では、この紙に没収された品と名前を書いて提出しろ。1両日中には返還する」

 

『『『はーい』』』

 

こう言うときだけ返事のいいFクラスの皆。

こぞって鉄人かわ紙を受け取って没収されたものを書いていく。

そして、俺は鉄人のもとへある確認をするため近づく。

 

貴浩「鉄…西村先生。確認したいんですけど」

 

西村「なんだ織村兄?」

 

貴浩「これって別に他のクラスの人に渡して、

   自分の代わりに没収品を返還してもらってもいいんですよね?」

 

西村「ああ、もちろんだ。その場合はお前の物は返ってこないが良いんだな」

 

貴浩「ええ、その確認が取りたかったので」

 

西村「お前も変わったヤツだ。他人の物のために頑張るなんてな。

   ここの連中にも見習ってもらいたいものだ。

   俺は職員室にいると思うから、職員室に持ってくればいい」

 

貴浩「ありがとうございます」

 

俺はそこで鉄人から返却用紙を受け取り、ある場所へと向かおうとすると

 

命「あ、あの貴浩君。これも一緒にいいですか?」

 

そこで命が俺のところに駆け寄ってきて命の分の返却用紙を俺に差し出した。

 

貴浩「俺が何処に行くのかわかるようだな。

   でも、いいのか命。お前の用紙だろそれ?」

 

命「はい、貴浩君がどこにいくかは何となく予想できますよ。

  それに私はたいした物は没収されてませんし」

 

貴浩「あら、それは優等生だこと。じゃ、ありがたくもらっていくさ」

 

俺は命の分の返却用紙を受け取り、ある人物たちの元へと向かおうとすると

 

雄二「おい、貴浩」

 

再び声が掛けられ足を止める。

 

貴浩「・・・なんだ雄二・・・?」

 

雄二「・・・・・・・・・」

 

貴浩「どうした? 用が無いなら俺は行くぞ」

 

雄二「・・・・・・頼みがある」

 

貴浩「なんだ・・・?」

 

雄二「・・・・・・これを翔子に届けてくれないか・・・?」

 

雄二が出してきたのは返却用紙だった。

 

貴浩「断る。自分で行け」

 

雄二「・・・・・・そこを何とか・・・・・・頼む」

 

雄二が頭を下げてまで頼み込んでくる。

確かにあんな勘違いしたんだ。顔を合わせにくいったら合わせにくいよな。

 

貴浩「はぁ~わかった。だが、今日中には自分から霧島のところに顔出して謝れよ」

 

まあ少しくらい時間をおいたほうが雄二にとってはいいか・・・

 

雄二「・・・・・・ああ、わかっている。すまないが頼む」

 

貴浩「あいよ」

 

俺は雄二の分の用紙も受け取った。

俺もとことん甘いよな・・・まずは霧島のところに向かうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は皆より一足先にこの場を離れ霧島がいると思われるAクラスへと向かった。

 

ガララ

 

俺はAクラスの扉を開けると

やはり、そこには落ち込んでいる霧島と優子、愛子の3人の姿が見えた。

 

貴浩「よぉ3人とも。お疲れさん」

 

俺は3人に声をかけて近づいていく。

 

優子「ああ、貴浩。野球優勝おめでとう」

 

愛子「凄い活躍したんだってね。噂聞いたよ」

 

貴浩「もう噂が流れてんのか? 早いな。

   ・・・・・・霧島はまだ落ち込んでるみたいだな」

 

翔子「・・・・・・・・・あっ、織村…どうしたの?」

 

優子「そういえば、何か用なの?」

 

貴浩「酷い言い草だな。まあいいや。ほれ霧島」

 

俺は雄二から受け取った用紙を霧島に差し出す。

 

霧島「・・・・・・・・・これは?」

 

貴浩「没収品の返却用紙だ」

 

「「「っ!?」」」

 

3人は驚いたように用紙に目を向ける。

 

貴浩「この紙に没収された物と自分の名前を書いて鉄人の元に持っていけば、

   没収された物が帰って来るんだと。ちなみにこれは雄二からだ」

 

翔子「っ!?・・・・・・・・・雄二から・・・?」

 

貴浩「ああ、後でアイツも霧島に顔を出すと思うけどな。

   今はその・・・自分の行動が恥ずかしくてお前の前に出れないそうだ。

   あと・・・・・悪いな。楓と命に事情を聞いた。雄二も俺たちも勘違いしていてな。

   すまなかった。もっと早く誤解を解いておけば良かった」

 

翔子「・・・・・・・・・教えてくれてありがとう貴浩」

 

貴浩「いや、これ位は別にな。あと、優子、愛子もほれ」

 

今度は俺の分と命の分の用紙を2人に渡す。

 

優子「えっ? これって・・・」

 

愛子「いいの? ボク達に・・・」

 

貴浩「ああ、1枚は俺で、もう1枚は命の分だ。命に感謝しとけよ。

   それに2人も何か大事なものが没収されたんだろ?

   正直、俺も命もたいした物は取られていないからな」

 

まぁ俺の参考書が消えるだけだからな。

参考書ならまた買えばすむことだし・・・・・

 

愛子「あ、ありがとう貴浩君!」

 

優子「・・・・・・ありがとう」   

   

貴浩「それじゃあ霧島。後で雄二が謝りに来るだろうから、その時は」

 

翔子「・・・・・・・・・うん、私も雄二に謝る。私がちゃんと言わなかったから・・・」

 

貴浩「いいや、違う。今回は雄二に非がある。だから霧島が謝るのは最後でいい」

 

翔子「・・・・・・? どうして?」

 

貴浩「アイツが決め付けてたのが悪いからな。

   だから霧島は事情を知らないフリをして───」

 

翔子「・・・・・・うん」

 

愛子「どうするつもりなの?」

 

貴浩「お詫びの印に、キスでもしてもらえ」

 

「「「えぇっ!?」」」

 

貴浩「このくらいさせないとな。

   じゃなかったら何のためにわざわざ俺が用紙を霧島に渡した意味が無いだろ」

 

愛子「策士だ。策士がここにいるよ」

 

優子「・・・・・・意外と腹黒いわね」

 

貴浩「まぁな。一応、俺は霧島の恋の手助けをしているわけだからな」

 

愛子「・・・・・・・・・それなら自分への恋にも気づいて欲しいよ(ボソッ)」

 

優子「・・・・・・・・・そうね。なんで人の恋心とかには敏感なのに、

   自分への好意には気づかないのかしら(ボソッ)」

 

貴浩「ん? どうしたんだ2人とも? ブツブツ言って」

 

愛子「なんでもないよ(プイ)」

 

優子「なんでもないわ(プイ)」

 

貴浩「ん? なんなんだ一体? 俺が何かやったか?」

 

翔子「・・・・・・・・・貴浩は早く自分の好意に気づいた方がいい」

 

貴浩「行為? 何か変な行動したかな? まあいいか。

   じゃあ霧島。折角のチャンスなんだから頑張れよ」

 

翔子「・・・・・・うん、頑張っちぇみる」

 

優子「代表・・・・・・緊張していませんか・・・」

 

愛子「緊張している代表も可愛い」

 

翔子「・・・・・・・・・///」

 

貴浩「まぁ頑張れよ。それと鉄人は職員室にいるだろうから今日中に

   没収されたもの書いて持っていけよ」

 

翔子「・・・・・・織村。わざわざありがとう」

 

愛子「あっ、貴浩君。ちょっと待ってもらってもいい。折角だから一緒に帰ろうよ」

 

優子「そうね。折角なんだし」

 

貴浩「ん? そうか。なら荷物まとめて校門前で待っとくわ」

 

優子「ええ、わかったわ。すぐに書いて行くから」

 

貴浩「ゆっくりでいいぞ。俺もゆっくり行くから」

 

 

 

 

 

しばらくして、途中であった命と一緒に校門で優子と愛子を待っていると

 

命「あっ、優姉と愛子ちゃんだ・・・あれ? なんか落ち込んでるように見えるけど」

 

貴浩「そうだな。どうしたんだろうな?」

 

愛子「・・・・・・ごめん、お待たせ」

 

優子「待たせて悪かったわね」

 

命「2人ともどうしたの? そういえば没収された物は帰ってきた?」

 

愛子「・・・それなんだけどね。後日家の方に郵送するって・・・」

 

命「えぇ!? そうなの!?」

 

貴浩「自宅に郵送か・・・学校もめんどくさい事するな。

   でも帰ってくるなら良かったじゃないか。

   ウチのクラスの連中はヤバイだろうけど、

   優子と愛子はそういう危ないものを没収されたわけじゃないんだろ?」

 

命「確かに・・・・私たちのクラスの人達のは家に送られたら酷い事になりますよね」

 

優子「何か・・・それはすぐに想像つくけど・・・」

 

愛子「確かにボク達の物はそんな如何わしいモノじゃないけどさ・・・」

 

貴浩「なら、いいじゃないか。そう、落ち込むなよ」

 

優子「アレから日が経ってるからすぐに渡したかったのに・・・」

 

愛子「まあ、ボク達が学業に必要の無いものを持っていったのが悪いんだけど・・・」

 

貴浩「・・・・・・よほど、重要なものだったのか?」

 

命「そうだね・・・2人にとっては重要なものだよ」

 

貴浩「・・・・・・そうなのか・・・?」

 

その後、落ち込む2人を励ますためケーキをご馳走してあげた。

 

 




これで体育祭編はこれで終了です。
次回からは番外編をやっていこうと思います。
ただいま執筆中ですけど(笑)

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