貴浩「ただいま帰りました雄二様。お荷物ありがとうございました」
俺は新野との話を終えAクラスにいる雄二の元へ向かう。
雄二「……なんだ…それは? 凄ぇ気持ち悪ぃんだが・・・」
貴浩「…俺も悪ふざけで言ってみたんだが想像以上に気持ち悪かった」
明久「あっ、貴浩。さっき廊下に出て話してたけどどうしたの?」
貴浩「あ~また昼のラジオに出て欲しいんだと」
雄二「あ~そういうことか」
明久「大変だね。頑張ってね」
貴浩「だから、今日の昼は俺抜きでヨロ。
邪魔者がいなくて嬉しいだろ。1人身の俺がいなくて楽だろ?」
明久「どうしたの貴浩? なんかいつもと違う気がするけど」
雄二「さっきからこうなんだよ・・・・・・ならさっさろお前も女作れ」
貴浩「それができたら苦労はしない。ハァ~もういっそのこと男でも良いかな~」
明久「雄二っ! 今のままじゃヤバイよ。色んな意味でっ!」
雄二「ああ、そうだな。何か早めに手を打たないと危ねぇ!」
貴浩「っと、それは冗談として・・・・・・そういや2人とも知ってるか?」
明久「なにを?」
刀麻「どうしたんだ?」
そこへ一応Aクラスの不知火刀麻がやってくる。っと言っても隣の席なんだがな。
雄二「しょーもねぇことじゃねぇだろうな」
貴浩「チッチッチッ。聞いて驚け!
なんと今日、購買で焼きそばパンが50円で売られるらしい」
「「「安っ!?」」」
砂原「おぉ! ター君もそれを聞いてたんだねん♪
教えてあげようと思ってたのに。ブ~♪」
刀麻「どこでそんな情報を仕入れたんだ?」
貴浩「さっき新野から教えてもらった]
砂原「なーんだ。にいちんからか。でも、買うのは無理じゃない」
刀麻「まぁ、そうだろうな。人気商品だしな」
貴浩「雄二、明久どうする?」
明久「それを僕達に聞く?」
雄二「そんなの決まってるだろ」
貴浩「だな」
ゴゴゴゴゴッ!!!!
砂原「なんか3人から凄いオーラが出ているよ・・・」
刀麻「お前ら焼きそばパン好きなのか?」
明久「嫌いじゃないね。しかも値段が安いことが特に良い」
貴浩「好物の1つです」
雄二「それだけ安けりゃ、多めに買える」
刀麻「まー買うのは難しいだろうが頑張ってくれ」
そして4現目の授業が始まった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それじゃ、今日の授業はここまで」
貴浩「刀麻、俺の荷物よろしく」
刀麻「ん?」
俺は刀麻に荷物を預ける。
「起立ー」
ガタッ 全員が席を立つ。
ガラッ 貴浩が窓を開ける。
「気をつけ──」
窓の取っ手部分に俺が足を乗せる。
「礼──」
その次の瞬間、俺は窓から飛び降りる。
刀麻「飛んだーっ!!」
刀麻は俺たちが飛び降りた瞬間、窓に駆け寄り下を見る。
優子「えっ? 嘘っ!」
優子もそれを見ておりすぐに窓に駆け寄る。
優子「よ、良かった。無事みたいね」
愛子「まさか飛び降りるなんてね」
雄二「しまった。出遅れたっ!」
命「いつから勝負みたいになってるんですか?」
明久「だが、まだ負けてないよっ!」
椎名「でもこの距離じゃ追いつくのは──」
明久「とうっ!」
雄二「よっと!」
明久と雄二も貴浩と同じように窓から飛び降りる。
椎名「──えぇぇぇえええええ!!! 2人とも飛び降りましたよ!?」
刀麻「すげぇなアイツら。なんの躊躇も無く飛び降りやがったぞ」
康太「・・・・・・驚く事ではない。Fクラスの男子なら誰でもできる芸当」
秀吉「いや、ワシにはできんのじゃが・・・・・・」
刀麻「いや、それでも秀吉以外の男連中はできるのかよ。色んな意味でレベルが違うな・・・」
しばらくして
雄二「おうっ!帰ったぜ!」
雄二が両手に大量の焼きそばパンを大量に入れた袋を4つほど抱えて戻ってきた。
刀麻「お、お前買いすぎだろっ!」
雄二「勘違いするな。これは貴浩と明久の分も含めてだ」
刀麻「あ~なるほど・・・・・・それでも多いわっ!」
雄二「まぁ、そうだろうな。3人で焼きそばパン全て買い占めたからな」
刀麻「お前ら最低だなっ!他の奴らにも残してやれよ」
雄二「出遅れたヤツが悪い」
命「ところで雄二君。明久君はどうしたの?」
雄二「ん?ああ、明久なら貴浩にどっか連れ去れれていったな。そのうち帰ってくるだろ」
そこへ
新野『こーんにちはーお昼の放送の時間でーす!
パーソナリティマイクパスをする女、新野すみれです!』
この文月学園では週1で昼休みの時間にラジオが流れていたりする。
そして今週の今日がその時間だったりする。
新野『今日は腹痛で休んだアンチクショーの代わりに突発ゲストに──』
愛子「あれ?今日はまた相方さんは休みなんだね」
貴浩『さきほど焼きそばパンを買い占めた1人。
放送部員でもない無関係な男、織村貴浩と──』
雄二「そういや、貴浩が出てくれって頼まれてたな」
砂原「おっ! ター君か! 人気者じゃないかい」
刀麻「あれ? 俺放送部員なのにそんなこと聞いてないぞ?」
明久『購買で貴浩にアブダクション(強制連行)された貴浩の友人の吉井明久』
新野『今日はこの3人でラジオでお送りします」
命「あ、明久君!?」
雄二「あ~明久が連れられた理由はコレか」
優子「また、貴浩がでるのね」
愛子「前のが良かったのかな」
刀麻「普通、こういうのって放送部員の俺に話し来ないか?」
砂原「ドンマイとっちん(笑)」
新野『今週もスペシャルということでよろしければ教室のテレビ映像でお楽しみください』
砂原「見たい人は挙手してねん♪」
バッ
そこにいた全員が手を上げる
砂原「満場一致だねん。ぽっちとね♪」
貴浩『こんなこと聞くの今じゃ遅いかもしれないが、俺たちで良かったのか?』
明久『僕にいたっては話すらなかったけど?』
新野『もちろんです!前回の放送が好評で織村君にはまた出演して欲しいという願いが
きてまして、こんなお便りも来てるんですよ』
貴浩『どんなんだっけ?』
新野『前回のお話しを聞いた後日、告白しようと相手を屋上に呼んだところ成功したそうです』
貴浩『屋上で好きだらけの相手を落とすやつか』
明久『まさか実践したわけじゃないよね?』
新野『情報では、現在自他共に認めるバカップルらしいですが、
屋上に呼び出した彼の第一声は──「お、落とさないでくれ・・・!」だそうです』
『『命乞いだ!!』』
新野『ではでは、お悩み遭難コーナーに参りましょうか』
貴浩『いつの間にかにそれコーナータイトルになっているんだな』
新野『好きな人に───』
貴浩『ふむ』
新野『伝えたい事も伝えられない、こんな世の中じゃ───』
『『ポイズン』』
新野『では、次──』
明久『って、ノリでやっちゃったけど、今のでいいの!?』
新野『むしろ今以上の回答はないですね』
明久『まぁ、今のは相談って言うより訴えみたいだったしね』
貴浩『個人の悩みが世界規模の責任転換されてるがな。
だから、世界に訴える前に個人に伝えるべきという事だな』
新野『つまり好きな人に向かって───』
『『ポイズン』』
明久『・・・状態異常になりそうだよね。一種の呪文だよ』
新野『では次、告白の心得があれば教えてください』
明久『告白の心得ねぇ・・・・・・躊躇わない!振り向かない!・・・とか』
新野『それは刑事です。どちらかといえば恋はスリル』
明久『あー・・・ショック』
貴浩『刺すザマス』
新野『駄目ザマス』
明久『それじゃサスペンスに変わるよ』
新野『次のお便り・・・【女子のハートをくすぐるコツをぜひ!】とありますが──』
貴浩『コツとかそういうもんじゃないと思うが』
新野『女の子はそんな簡単じゃないのです!甘く見てもらっては困ります!!』
新野が机を叩きそう応える。
新野『ワザとらしいのは逆効果といっても過言ではありません』
貴浩『なるほど、乙女の機微というヤツ───』
新野『心臓にコークスクリューぶち込みたくなります』
貴浩『───とは程遠いな』
明久『キュン OR(か) DIE(死か)!?』
新野『見え透いたアプローチなんかでキュンとさせられるとは思わない事です』
明久『そういうこのなの?じゃあ試しに貴浩、新野さんを褒めてみてよ』
貴浩『普通に褒めればいいよな』
新野『ふふん、その勝負受けて立ちましょう。
キュンキュンされられるもんならさせて───』
貴浩『新野はかわいいな』
新野『はぁーーーーーーん!!////』
明久『一発撃沈』
貴浩『少しは耐えようぜ』
その直前の教室では
砂原「にいちんは身構えてるからいくらター君でも難しいかなん♪」
なのは「タカ君はそういうの狙っていうのできないぽいしね」
愛子「でもちゃんと言ってくれたら嬉しいよね」
優子「それを好きな人に言ってくれるのが1番嬉しいんだけど」
雄二「それはまぁ・・・当分無いだろうな。アイツのことだ。自分からは動かないぞ」
「「やっぱり・・・」」
椎名「・・・と、ところで、貴浩君は新野さんになんて言う───」
貴浩『新野はかわいいな』
ブッ!
雄二「まさか、ストレートに言うとは・・・少しふいちまった」
砂原「これこそキュンとしてDIE」
椎名「なんか聞いてたら私も恥ずかしいです」
翔子「・・・・・・・・・シンプルな言葉の方がくる時はくる」
愛子「これって貴浩君だからこうなのかな?」
優子「言う人によって違うんじゃない?」
秀吉「そうじゃな・・・刀麻とかはどうじゃ?」
楓「不知火君なら兄さんとはまた違ったタイプだからいいかもしれませんね」
刀麻「ん?なんだ?」
命「あ、不知火君。今の貴浩君の真似して鈴歌ちゃんを褒めてあげて!」
雄二「うぉっ、凄いピンポイントで指名したな命のヤツ」
康太「・・・・・・・・・これは面白い」
刀麻「お、おう。砂原はかわ・・・かわ・・・・・・かわ・・・かわ・・・・・・うそ////」
愛子「不知火君アウトー!」
刀麻「言えるかーっ!!////」
雄二「お前は良く頑張った。ほら、1個焼きそばパンをやるよ」
康太「・・・・・・・・・お前は頑張った。砂原の写真をプレゼントしてやる」
刀麻「そんな同情はやめてくれーっ!!」
再び放送室
新野『なんでもっと凝った台詞でこないんですかーー!?』
貴浩『そう言われてもな』
明久『っていうか、新野さんくるとわかっていたのに瞬殺されたよね』
新野『変化球を警戒してたのにキャッチャーに風穴を開ける威力の
ど真ん中レーザーを放たれたんですぅ』
明久『あー確かにそうかもしれないね』
新野『女子の皆さんに申し訳ない・・・・・・』
明久『あっ、代表戦だったんだ』
貴浩『まぁそう気を落とすなって───キュンキュン放送部員』
明久『今ここにマイクパスに変わる称号が』
新野『その称号はいらないです!!恥ずかしい!
負けっぱなしは女の沽券にかかわるので私からもいかせてもらいます』
貴浩『ん?そうか』
新野『織村君の皆が気がつかないようなさりげない優しさ、私素敵だなって思います』
貴浩『そんなことないと思うぞ。
でも友達のそういうところに気がつく新野はもっと素敵だと思うけどな』
新野『////』
明久『あ~あ』
新野『ハッ!もーーー!!次だ!次のお便りに行きますよ!!』
明久『カウンターされてどうするの』
貴浩『イェイ』
新野『今日は男子2人がいることですしこんな質問も、
【ズバリどんな時、女子にぐっときますか?】
しぐさ、シチュエーションでもいいですよ』
明久『んーそうだなぁ・・・・・・』
貴浩『まぁ大抵の男は女に優しく、刺されたらころりといきそうだけどな』
新野『そりゃ逝きますよ!』
明久『「さ」が1つ増えてえらいことになってるよ』
新野『男子はあれにぐっとくるんじゃないですか?』
明久『あれ?』
新野『女の子が恥ずかしそうにはにかみながら、
上目遣いで口元に握った両手を持っていく───』
貴浩『ピーカブーか!まっ○のうち!まっ○のうち!だな』
明久『そこから繋がる未来が怖いよ!!』
新野『と、そろそろ時間のようですね』
明久『なんだかんだであっというまの時間だったね』
新野『次回は女性ゲストも招いて織村君をきゅんきゅんさせたいところです』
貴浩『いつでも挑んでかまわないぞ』
明久『でもそんな簡単にてれこれさせられるとは思わないなぁ。
だって、にぶ貴浩のレッテルを貼られすぎて七夕の短冊みたいになるほどだからね』
新野『くふふっーー!!』
貴浩『どんなだ。それどっちかというとお前のことだろ』
明久『ふぅ~』
貴浩『おいなんだ。そのやれやれみたいな仕草は』
新野『ではでは、今日の統括といきましょう』
貴浩『スルーか・・・まあいいけど・・・』
明久『統括?』
貴浩『気になる人には───』
新野『キュンキュンされるためにワザとらしく素直な気持ちをもって───』
貴浩『ピーカブースタイルで間合いを詰めながらころりと刺すように───』
『『ポイズン』』
明久『・・・・・・』
新野『恋する皆にはこの心得を送ります』
明久『僕は受け取り拒否を推奨するよ』
新野『ということで今週は新野と織村と吉井の3人でお送りしました。
それでは午後の教師のスリプルにご注意ください。ではまた次回』