それから数分、皆があの劇物料理を食べて落ち着きを取り戻した頃、
明久「じゃあ、今度は貴浩たちの班の鍋でも食べようか」
雄二「そうだな。そっちの鍋はこっちみたいなことにはならないだろう」
そちらの鍋は姫路の劇物が入っているが、こちらの鍋にはそれはない。
それを考慮して班分けしたのだからそれはそうだろう。
まあ味が美味しいかどうかは別だが……
そこで優子たちを見てみると先ほどの鍋がよほど強烈だったのか、
こちらの鍋に手を出すのを躊躇していた。
貴浩「さっきは女性陣が先に食べたから今度は男性陣から食べるとするか」
秀吉「そうじゃな」
康太「………今度は俺達の番」
俺の台詞に続くように男性陣から賛成の台詞があがり、順番に器に掬っていく。
さて、劇物は入っていないだろうがどんな味なのだろうか?
あっちの鍋は姫路のアレが強烈だったから何が入っていたのかあまり覚えていないからな。
もしかしたらこちらにマヨネーズとチョコレートが入ってるかもしれない。
タバスコはかなりの高確率で入ってるだろうし……
皆が俺を見つめる中、俺は暗闇の中、口に入れる。
優子「……どうなの?」
……ふむ…適度の辛味とほんのりとした甘み、
そしてお肉と野菜の歯ごたえ……そして再び辛さ……
貴浩「辛っ!いや、痛っ!痛っ!」
辛いを通り越して痛い……この辛さは絶対タカの爪の辛さだ。
口に入れて噛んだ瞬間にわかった。
しかも丸々1本口に入れてるぞ!
貴浩「お、お茶くれ!」
愛子「う、うん」
俺はお茶をくれるよう促すと愛子がすぐに持ってきてくれる。
ゴクッ ゴクッ
貴浩「ふぅ~」
命「どうだった?」
貴浩「まあかなり辛かったけど美味しかったぞ」
明久「そこまで辛かったの?」
貴浩「ああ、おそらくだがタカの爪、丸々一本口に入れたぞ、俺」
刀麻「うわぁ…そりゃあ辛ぇよ…」
貴浩「でも食えないモノじゃないぞ」
俺はそういうと残りの男性陣が口に運ぶ。
明久「っ!辛っ!」
雄二「こ、これは、貴浩の言うとおり辛えな」
秀吉「ふむ、少し辛いことには辛いが美味しいのう」
康太「………肉と野菜がいい具合にできてる」
光一「…ああ、康太の言うとおりだな。だが、野菜の甘さの他に何か別の甘さが無いか…?」
刀麻「うげっ!?辛っ!」
おぉ、明久、雄二、刀麻がタカの爪に当たったか。
光一の発言を聞く限り俺の間違いじゃなかったか。
この鍋にタバスコとタカの爪、チョコレートが入っていることは確認できた。
そして食べた感じで豚肉と豆腐、ネギって感じか?
一口しか食べてないからコレくらいしかわからないな
雄二「まあ貴浩の言う通り、辛いことは辛いが美味いな」
貴浩「だろ?辛いけどな」
さてと、次は女性陣の番だな
明久「じゃあ、次はみんなの番だね」
明久がそう台詞を口にし命たちのほうを振り返ると
用意していたレンゲを使い命の口に運んでいく。
命「え、えぇ!?////あ、あの明久君な、なにを…?////」
命は明久の行動を理解できずあたふたとしていた。
この暗い中では行動ぐらいしかあまりわからないが顔が真っ赤になっているだろうな。
明久「ん?さっきのお返しだよ。さあ命、口を開けて」
明久はそう口にすると、さらにレンゲを命の口に近づける。
命「……あ~ん////」
どうやら命は観念したのか口を開けた。
ムッツリーニと秀吉も明久に続いた。
康太「………遠慮するな、なのは」
なのは「………あ~ん////」
秀吉「では、楓よ、少し熱いから気をつけるのじゃぞ」
楓「はい、あ~ん////」
そして雄二と刀麻はというと
刀麻「さあ、口を開けろ砂原。さっきのお返しをしてやるよ!」
砂原「い、いや~私は自分で食べれるから大丈夫だよ」
刀麻「まあまあ、そう遠慮するなって……」
さっき意外と多めに食べさせられたことの仕返しなのか
砂原にレンゲにを持って砂原に迫っていた。
翔子「……雄二、待ってる」
雄二「…これが暗くて助かったな…こんなところ誰にも見られたくねえし」
雄二の場合、霧島が雄二から食べさせてもらうのを待ってるみたいだな。
まあ、今回はからかうのは止すとするか。
姫路と島田の2人は明久と命を羨ましそうに見ていた。
では、俺もやるとするか
貴浩「さて、優子、愛子、椎名、さっきはどうもありがとうな。
3人がかりで食べさせてくれて大変嬉しかったよ」
優子「そ、そう?だから…」
愛子「それならよ、良かったよ。だからね…」
椎名「はい、そうですね…ですから…」
俺は3人の台詞を遮り
貴浩「今度は俺が食べさせてやるよ」
俺は器とレンゲを持って3人に近づいていく。
三人もジリジリ後ろに後退してようとするが逃がさない。
まずは優子からにするか…
貴浩「さあ、口を開けるんだ。じゃないと火傷するぞ」
優子「うぅ////あ~ん////」
優子は恐る恐るレンゲを口に入れる。
愛子「ど、どう優子?」
優子「……美味しい…確かに辛いけど美味しいわね……それより恥ずかしかったけど…////」
貴浩「さすがにタカの爪は入れないように神経使いながら探したんだぞ。
じゃあ、次は愛子だな」
愛子「えぇ!?////ぼ、僕もさせるの?優子だけじゃダメ?」
貴浩「ダメだ…優子、愛子が逃げないように捕まえておけ」
優子「ええ、もちろん。アタシだけ恥ずかしい目にあうのは割に合わないし…」
愛子「優子の裏切り者~っ!!」
貴浩「さあ、口を開けるんだ。じゃないと火傷するぞ」
愛子「う、うん////あ~ん////……あ、本当だ。美味しい」
貴浩「だろ、じゃあ最後に椎名だな」
椎名「わ、私は良いですよ…」
愛子「雪も遠慮しなくていいんだよ(ガシッ)」
優子「ええ、遠慮しなくていいのよ(ガシッ)」
椎名「あの~優子ちゃん、愛子ちゃん、そう言いながらなんで腕を掴んでるの?」
貴浩「よくやった二人とも、さあ、口を開けるんだ椎名。じゃないと火傷するぞ」
椎名「ええぃ!もう何でも来いですっ!パクッ!」
椎名は観念したのか躊躇うのをやめ、躊躇無くレンゲを口に入れる。
椎名「うぅ…か、辛いですっ……辛いのキライだからチョコ入れたのに…全然効果ないです…」
お前がチョコレートを入れた犯人か…
その後は普通に俺達の班の鍋を食べていった。
姫路の劇物が入った料理はさすがに誰も手をつけなかった。
その後の処理は光一に頼んでおいた専門業者に鍋ごと処理をお願いした。
こうして、食事会は幕を閉じ解散となった。