バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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タッグマッチ戦決勝

~ SIDE明久 ~

 

ルーティ『それでは次の試合に入りましょう!次はタッグマッチ戦です。

   選手の方は前に、どうぞ!それ以外の方はリングから一度降りてください』

 

明久・雄二・常夏「「「「試獣召喚(サモン)」」」」

 

掛け声をあげ、それぞれが分身を喚び出した。向こうの装備はオーソドックスな剣と鎧。 

高得点者の召喚獣らしく、質はかなり良さそうなものに見える

 

【日本史】

 Aクラス・常村勇作 & 夏川俊平

      209点   197点

 

砂原『さすがAクラスですね。やはり点数が高い』

 

確かにAクラスに所属しているだけのことはある。

点数はかなりのものと言えるだろう。

 

夏川「どうした? 俺たちの点数見て腰が引けたか?」

 

常村「Fクラスじゃお目にかかれないような点数だからな。無理もないな」

 

誇らしげにディスプレイを示す先輩達。

反論はしない。確かに誇っても良いくらいの点数だ。

けど、こんな点数が取れるなら自分たちの実力で受験したらいいじゃないか。

それなのに、僕たちの人生で一度しかない高校2年生の学園祭を壊そうとした

――僕の大切な人たちに取り返しのつかないような酷いことをしようとした。

 

夏川「ホラ、観客の皆様に見せてみろよ。お前らの貧相な点数をよ」

 

常村「夏川。あまり苛めるなよ。どうせ直ぐに晒されるんだぜ?」

 

明久「……前に」

 

常村「ぁん?」

 

明久「前にクラスの子が言っていた」

 

夏川「何だ?晒し者にされた時の逃げ方でも教えてくれたのか?」

 

ギャハハハ、と笑う坊主先輩。

試召戦争の時、姫路さんが言ってくれた言葉が頭に浮かぶ。 

そう・・・・・・あの時、彼女はこう言っていた

 

明久「『好きな人の為なら頑張れる』って」

 

常村「ハァ?コイツ何言ってんだか」

 

明久「――僕も最近、心からそう思った」

 

 

【日本史】

 Fクラス・坂本雄二 & 吉井明久

      251点   269点

 

 

常夏「「なっ!?」」

 

砂原「おっーと!これは驚きだ!!

   まさかアッキーとユウユウがここまで点数が高いとは!?」

 

点数に表示されたディスプレイを見て2人の顔色が変わった。

 

明久「アンタらには小細工なしの実力勝負でブッ倒してやる!」

 

試験召喚獣が獲物を構える。 

 

戦闘開始だ。

 

明久「雄二。点数が上がったね」

 

雄二「まあ翔子に負けてから勉強しているからな

   それよりまさか明久が俺よりも点数が高いとはな。驚いたぞ!

   なおさら負けられないな」

 

明久「分かってる。貴浩たちのおかげでここまで頑張れたんだ。

   絶対負けるものか!!」

 

雄二「そうだな――行くぞっ」

 

先に動いたのは雄二の召喚獣だった。装備が軽い分、動きが速い。

 

常村「夏川!こっちは俺が引き受ける!」

 

明久「それじゃ、僕の相手は先輩ですね」

 

夏川「上等じゃねぇか!多少ヤマが当たったくらいで良い気になるなよ!」

 

正面から坊主先輩の召喚獣が剣を構えて突っ込んでくる

 

明久「先輩、取り乱しすぎですよ?

   ただの突撃じゃ避けてくれと言ってるようなもんですよっと…魔人剣!」

 

半身を右にずらし、小さな動きで相手の身体を避け、そのまま攻撃する。

 

夏川「っと、この……!」

 

攻撃をくらって体勢を崩した相手は、振り向きざまに横薙ぎの一撃を見舞ってきた

 

明久「ふっ!」

 

その一撃を小さく屈んでかわし、一呼吸の間に三度木刀を振るう

 

夏川「くぅっ!」

 

何とか剣で防御した坊主先輩は仕切り直すように大きく一歩下がった

 

夏川「テメェ、試召戦争じゃ100点程度だったくせに……!」

 

明久「今でもそんなもんですよ。この教科以外は、ね?」

 

夏川「野郎…!最初からこの勝負だけに絞ってやがったな……!」

 

明久「その通り。よく分かりましたね、先輩」

 

歯噛みする敵に対して木刀を四方から叩きつける。

これだけの点数を取っていたら木刀だって十分強い。

向こうの剣とぶつかり合っても折れたりはしない

 

雄二「どうした?顔色が悪いぜセンパイ?」

 

常村「お前ら、Fクラスのくせに……!」

 

近くから雄二とモヒカン先輩のやり取りが聞こえてくる。

身軽な雄二の召喚獣は素早く動き回ることで相手と互角に渡り合っているみたいだ。

 

夏川「仕方ねぇ。2年相手に大人げないが、経験の差ってやつを教えてやるよ!」

 

そう告げた坊主先輩は召喚獣を大きく飛び退って、

僕だけじゃなく坊主先輩本人からも距離を取らせた。 

使役する本人からも距離を取るなんて、一体何をしようと言うんだ?

見辛くなった分、戦闘がし難くなるはずなのに

 

夏川「お前の知らない戦い方があるんだよ」

 

戸惑う僕に対して意味ありげな坊主先輩の台詞。

そこまで言われると、嫌でも向こうの召喚獣の動きが気になる。

 

夏川「おおおぉぉっ!」

 

坊主先輩が力を込める。何をしてくるのか分からないけど、

とにかく相手を牽制s─――あっそういえば貴浩が……

 

貴浩『召喚獣ばかり目で追うと使役者の動きが読めないぞ。

   全体を見た方が召喚獣との戦いにおいて有利だ

   それにあいつらはセコイ手を使うかもしれないから注意しろよ』

 

そうだった。召喚獣ばかり注意してちゃマズかった。

意識を坊主先輩に向けるとこっちに向かっているのが分かった

……恐らく、僕に対して何かをするんだろう。ようし、それなら……

 

明久「いけっ!」

 

誘いに乗ったふりをして僕の召喚獣を敵に向かって走らせる。

 

夏川「そら、引っかかっt――なっ!?」

 

と、からかうような声を出そうとした坊主先輩は僕が目潰しをしようとする。

けど、僕がそれを手で制したので、驚愕の表情になった

 

明久「先輩、卑怯ですね?」

 

夏川「くそっ!」

 

坊主先輩はその場を離れて召喚獣を持ち場に置こうとする。

 

明久「させるか!!舞い踊れ!桜花千爛の花吹雪!彼岸!霞!八重!枝垂!」

 

貴浩の攻撃と似たように木刀と格闘を用いて連続で攻撃する

 

明久「これが僕のッ『殺劇舞荒拳(サツゲキブコウケン)』だぁ!!」

 

僕は最後に先輩の召喚獣を木刀で吹き飛ばす。

僕の声と会場の歓声が重なった瞬間だった

 

常村「っ!? 邪魔――!」

 

雄二の召喚獣に剣を振り下ろそうとしたモヒカン先輩の召喚獣の動きが一瞬鈍る。

その原因は、吹き飛ばされた坊主先輩の召喚獣。

それがモヒカン先輩の視界を遮ったのだ。

 

明久「雄二!!」

 

雄二「おう!」

 

常村「くそぉぉっ!お前ら如きに3年の俺が……!」

 

雄二「吹き飛べやぁあ!」

 

大威力の拳が叩きこまれて、モヒカン先輩の召喚獣が吹き飛んだ

 

ルーティ「坂本・吉井ペアの勝利です!」

 

モヒカン先輩の召喚獣の点数も0点になった

 

砂原『決まったっー!!優勝はアッキーとユウユウペアの2人だよぉ!!』

 

明久「いぃぃよっしゃぁああー!!」

 

先生と砂原さんの勝利宣言を受け、僕は最高の気分で叫んでいた。

 


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