バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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如月グランドパーク編
何故お前がココに!?


坂本家 

 

~ SIDE IN 雄二 ~

 

とある休日の朝。俺が目を覚ますと、

 

翔子「・・・・・雄二、おはよう」

 

目の前に翔子がいた。

 

翔子「・・・・・今日はいい天気」

 

雄二「ん?ああ、そうみたいだな」

 

カーテンを開けると強い光に目を細める。

そして再びと幼なじみの姿を見る。

今日は休日だからか、さすがにいつもの制服姿ではなかった。

寝ぼけているのかもしれない。眠気を振り払うように頭を大きく振って、翔子に向き直る。

 

雄二「あらためて、おはよう。翔子」

 

翔子「・・・・・うん。おはよう雄二」

 

雄二「よいしょ、っと―――――」

 

そういえば、どうして翔子が俺の部屋にいるんだ?

今日はコイツと何かの約束をしていたっけ?

寝起きのためか本調子ではないが頭で記憶をさかのぼる。

ダメだ。全く覚えがない。なら約束ではないだろう。

だとすると・・・・・・ほかの理由を考えて、1つの結論にたどり着く。

そうか、そういうことか。

 

雄二「悪い翔子。俺の携帯とってくれ」

 

翔子「・・・・・電話でもするの?」

 

雄二「ああ、そうだ」

 

翔子が渡してくれた携帯を操作し番号を押す。

コイツがここにいること。それは・・・

 

雄二「ああもしもし?警察ですか?」

 

 

 不法侵入しかない。

 

 

ドドドドドドドドドド! 

 

ガチャッ!

 

雄二「おふくろっ!どういうことだっ!」

 

雄二母「あら雄二。おはよう」

 

キッチンに駆け込むと、おふくろは洗い物をしながら朝の挨拶をしてきた。

 

雄二「おはようじゃねぇっ!どうして翔子が俺の部屋にいるんだ!

   おかげで俺は警察のオッサンに二次元と三次元の区別が出来ない

   妄想野郎と思われちまっただろうが!」

 

幼なじみが無断で俺を起こしに部屋に入ってきた、と告げたときの

相手の反応は俺の心に深い傷を残してくれた。

寝ぼけていたとはいえ、一生の不覚だ。

 

雄二母「・・・え?」

 

俺の言葉をうけて、おふくろが何度か大きな瞳を瞬かせる。

 

雄二母「翔子ちゃんが・・・・・・?」

 

おふくろが頬に手を当てて困ったような顔をしている。

この態度だと、もしや翔子単独の行動か?おふくろの手引きじゃなかったのか?

もしそうだとしたら、いきなり朝から怒鳴るのは悪かったかもしれない。

 

雄二「ああ、いや、怒鳴って悪かった。俺はてっきりおふくろが

   アイツを勝手に俺の部屋に上げたものだと――――」

 

雄二母「もう、翔子ちゃんってば奥手ねぇ。

    折角お膳立てしてあげたのに何もしないでいるなんて

    勿体な―――あら雄二、どうしてお母さんの顔を鷲掴みにするのかしら?」

 

雄二「やっぱり、アンタのせいか・・・!」

 

この母親には一度きっかり常識を教えてやるべきだろう。

 

翔子「・・・・・雄二。お義母さんを虐めちゃダメ」

 

雄二「止めるな翔子。俺は息子としてこの母親の再教育をしないといけないんだ」

 

遅れて現れた翔子が俺の腕を掴んで邪魔してくる。

なんとなく、翔子の言う『お母さん』の発言が普通と違うような気がするが、

今は気にしてはいけない。というかツッコんではいけない気がする

 

翔子「・・・・・・言うことを聞かないと、この本をお義母さんと一緒に読む」

 

雄二「ま、待てっ!それは女子の読むものじゃない!早くこっちに寄越すんだ!」

 

翔子が取り出したのはA4サイズの冊子。

くっ、よりにもよってあの本か!

ムッツリーニですら唸らせた至高の1冊が見つかるなんて最悪の事態だ!

っていうかどうやって見つけ出したんだ!?

一緒に暮らしているおふくろでさえわからないような場所に隠したはずだぞ!?

 

雄二母「あら翔子ちゃん。それは雄二が日本史の資料集の表紙をかぶせて

    机の2番目の引き出しの2重底の下に隠してある秘密の本じゃない?」

 

雄二「わ、わかった。おふくろは開放しよう」

 

言われた通りアイアンクローを取りやめる。なんて汚い脅迫なんだ。

てかおふくろにもバレていたのか

 

翔子「・・・・・そう。それなら、この本は―――――――」

 

くそっ。取り返したら今度こそ絶対に見つからないように隠してやる。

鍵でもつけて厳重に――――

 

翔子「燃やすだけで許してあげる」

 

雄二「すまん翔子。どう考えてもそれは許された時の対応じゃない」

 

普通は許してくれたらその本を返してくれるはずだ。

 

翔子「・・・・・じゃあ、この本を燃やしても許さない」

 

雄二「燃やさないという選択肢はないのか!?」

 

雄二母「ふふっ。相変わらず二人は仲良しねぇ」

 

小学校からの付き合うになるが、たまにコイツの考えについていけなくなる。

解放したおふくろはおふくろで特に慌てた様子もなく、

最後の洗い物を終えてエプロンで手を吹いていた。なんともマイペースな母親だ。

 

雄二「俺にはこれが仲の良い光景とは全然思えないんだが・・・・・・」

 

雄二母「あら、そうかしら?」

 

雄二「やれやれ・・・・。んで、どうして翔子が来てるんだ?」

 

翔子「・・・・・約束」

 

雄二「約束?今日俺となにか約束をしていたか?」

 

そんなもの俺はした覚えがないんだが

 

翔子「・・・・・うん」

 

いつもの調子で頷いてポケットから小さな紙切れを取り出す翔子。

どうやら何かのチケットのようだ。え~っと・・・・・

 

雄二母「あら。如月グランドパークのオープンチケット?

    しかもプレミアムって書いてあるから特別なチケットなんじゃないの?

    凄いわ翔子ちゃん、よくこんなもの手に入ったわね~」

 

翔子「・・・・・優しい人がくれた」

 

雄二母「そう。良かったわね。あら、雄二?どこに電話してるの?」

 

雄二「ちょっと最低のゲス野郎に用ができたんだ」

 

携帯電話の番号通知をOFFにして明久の番号を呼び出す。

呼び出し音の後、敵は軽快な声で電話に出た。

 

明久『はいもしもし?どちらさまですか?』

 

雄二「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キサマヲコロス」

 

明久『えっ!?なになに!?本当に誰!?メチャクチャ怖―――――』

 

電話の向こうで狼狽する声を聞きながら通話を切ると、少しだけ気分が晴れた。

 

ちなみにこの件は明久は全く関係なしです。犯人はもちろんあの人です。

 

翔子「・・・・・・・・雄二、行こう?」

 

雄二「絶対に嫌だ」

 

翔子が俺の手をそっと握ってくる。

これが普通のアミューズメントパーク程度なら考えても良かったのだが、

これは如月グループの企みが裏に存在する危険な企画だ。

そんなものに翔子と参加なんて言ったら、そのまま結婚まで持ち込まれてしまう。

なんとしてもそれだけは避けなければならない。

 

雄二母「あら。どうしてそんなに嫌がるの?

    翔子ちゃんと一緒に行ってきたらいいじゃない」

 

雄二「・・・・・・色々と事情があるんだ」

 

翔子「・・・・・・私は、雄二と一緒に行きたい」

 

とはいえ、いい加減ビシッと断っておかないといけないな。

今日こそはっきりと『翔子、俺のことは諦めてくれ』と言ってやろう。

俺は大きく息を吸うと

 

雄二「翔子」

 

翔子「イヤ」

 

雄二「俺のこと・・・」

 

早い!早すぎる!まだ名前の部分しか言ってないというのに!

 

雄二「だ、だがな、翔子」

 

翔子「・・・・・どうしても行きたくないなら・・・」

 

俺の言葉を遮り、翔子はバックから何かの冊子を取り出した。

 

それは―――

 

翔子「選んで」

 

――結婚式場案内のパンフだった。

 

雄二「すまん。話の流れがさっぱりわからない」

 

翔子「・・・・・約束を破ったら即挙式って誓ってくれた」

 

なんか契約の内容が変わっていないか?

 

雄二母「お母さんはハワイとかの海外がいいな」

 

雄二「おふくろ。アンタはどうしてそんなにマイペースなんだ」

 

翔子「・・・・・雄二。早く選んで、予約するから」

 

雄二母「あっ!ヨーロッパもいいわね。雄二、どこがいいかしら?」

 

雄二「くっ!」

 

どちらを選んでも結婚の話がチラつくという恐ろしいこの状況。

だが、この程度の困難に屈する俺ではない!

なんとかして脱出をしなければ俺の人生が・・・・・・・・


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