バカと俺達の召喚獣   作:ターダン8

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恐怖のお化け屋敷

お化け屋敷内

 

薄暗い廊下を翔子と二人で歩く。

カツン、カツンと廊下は足音を必要以上に大きく鳴らしているような気がした。

 

雄二「さすがに廃病院を改造しただけのことはあるな。雰囲気満点だ」

 

翔子「・・・・ちょっと怖い」

 

雄二「こういうのにあまりビビらないお前が怖がるなんて、珍しいな」

 

翔子「・・・・そうかも」

 

時折、壁に貼られている《順路》というポスターに従って進んでいく。

一階は特に何が起こるというわけでもなく、二階に上がり、

少し進んだ廊下で初めて何かの演出が顔を出した。

 

【―――じの方が――――――よりも―――――】

 

冷たい風に乗って幽かに聞こえる声。ふむ。怨嗟の声の演出か?

 

翔子「・・・・・この声、雄二・・・・?」

 

雄二「ん?そうなのか?」

 

これは俺の声そっくりだな。秀吉に声真似でもさせたのだろうか。

確かに自分の声が聞こえてくるなんて怖いといえば怖いが、

あいつらにしては普通の演出だと――――――

 

【姫路の方が翔子より好みだな。胸も大きいし】

 

翔子「・・・・雄二。覚悟、できてる?」

 

雄二「怖ぇっ!翔子が般若のような形相に!確かにこれはスリル満点の演出だ!」

 

なんて恐ろしいことを考えてるんだあいつら!!

まさか俺を生かしてここから出さないつもりか!?

と言うか、今の翔子はこないだの貴浩並の迫力だぞ!? 

 

なんてビビっていると、バンッと背中で何かの仕掛けが作動する音が聞こえた。

よっしゃ!ナイス演出!助かったぜ!

 

雄二「翔子!何か出てきたぞ!」

 

音のしたほうに首を向けると、そこにはさっきまで何もなかったはずなのに、

突如あるものが現れていた。それは―――――

 

翔子「・・・・気がきいてる」

 

・・・釘バット?

 

雄二「畜生っ!よりにもよって処刑道具まで容姿してくるとは!

   全く趣旨は違うが最強に恐ろしいお化け屋敷だっ!」

 

翔子「・・・・雄二。逃がさない」

 

釘バットを持った幼なじみに追いかけられるという斬新なアトラクションを

1時間あまり楽しむ羽目になった。

しかし、島田と姫路はコレで俺と翔子がくっつくと思っているのか・・・・?

貴浩は何故あいつらを止めようとしなかったんだ・・・・・

 

なんとか落ち着いた翔子を連れて俺はお化け屋敷を出た。

 

「お疲れサマでシタ。どうでシたカ?結婚したくなりまシタか?」

 

雄二「アレで結婚を結びつけて考えることが出来るのはお前と島田と姫路ぐらいだろうな」

 

絆どころか溝が深まった気分だ。

 

「オカしいデスね?危機的状況に陥っタ二人の男女ハ、

 強い絆デ結ばれルという話なのデスが・・・・」

 

雄二「襲い来る危機が結ばれるべき相手自身でなければそうなるかもしれないが・・・・・」

 

この似非野郎、きっと前の明久となら同レベルのアレなヤツだろう。

 

貴浩「すまない雄二。まさかあの2人がこんな事をしてるとは思わなかった。

   一応霧島には説明しておいたからこれからはまた楽しんでくれ」

 

雄二「なんだ貴浩?やけに素直だな」

 

貴浩「そりゃ、今回は楽しんでもらえるように仕組んでるんだからな。

   それに今日は霧島からはあまり暴力は受けてないだろ?」

 

そういえばそうだな

 

貴浩「ということで2人で楽しんでくれ」

 

そうか貴浩のおかげで翔子が大人しいのか。おかげで少し安心した部分もある。

これなら死にもの狂いで脱出するような真似はしなくてもよさそうだ。

・・・・面倒なので、できればすぐにでも帰りたいが。

 

翔子「・・・・そろそろ、お昼」

 

翔子が噴水の上の法を見ながら呟いた。

そこにある大時計は午後1時過ぎを示していた。そろそろ昼飯か。

 

翔子「・・・・・あの、私のバッグ・・・」

 

「デハ、豪華なランチを用意してありマスので、こちらにいらして下サイ」

 

似非野郎がスタスタと歩き出す。昼飯も用意してあるのか。

さすがはプレミアムチケットだな。

 

雄二「翔子、どうした?」

 

翔子「・・・・・なんでも、ない」

 

雄二「???」

 

一瞬寂しげな顔をしていたような・・・・・?

 

翔子「・・・・・雄二。急がないとはぐれる」

 

雄二「お、おう」

 

俺たちがついてくるという自信があるのか、似非野郎の姿が随分と遠くに見える。

まぁ、豪華な昼飯と聞いたからにはご馳走になるつもりではあるが。


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