TSっ娘は呪いを解きたい!   作:エイジアモン

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10.フレデリカ

 

「なるほど、それで俺が起きたら裸で抱き合っていたってわけか」

 

 レオはフレデリクに【治癒】発動後の出来事とその後の対応を説明した。

 

「うん、対処方法として合っていたかは分からないけど、フレデリクが無事で本当に良かったよ」

 

「ああ、それに関しちゃ本当に感謝してる、レオ、ありがとな」

 

「どういたしまして。あ、それと多分フレデリクが【治癒】を使った事はバレてないと思う。辺り一面が凄く光っていて、それに紛れる形で逃げられたと思うから」

 

「そんなにか、光って目立つより眩しすぎて何も見えない感じだったのかな」

 

 説明が終わり、ひと心地付いたレオは水を飲んで一息つく。

 

「それにしても【治癒】でこんなに消耗するなんて、次はからは気をつけてね」

 

「すまないな、レオ。お前だけに使うって言ってたのに、使った上に迷惑まで掛けて」

 

「良いよ、フレデリクはああいうのほっとけ無いって分かってるから、バレさえしなければ、ね」

 

「そうだな、そこは気を付けるよ」

 

◇◆◇

 

「それじゃあそろそろ食堂に行って報酬貰って飯でも食うか」

 

「そうだね、リディアにも会っておかないとね」

 

「あ、そうだった。リディアと同行するんだった、忘れてた」

 

「え~、フレデリクがぜひ一緒に、って言ったんだよ?忘れないで欲しいな」

 

「すまんすまん、それじゃあ行くぞ」

 

 昼の魔物暴走の鎮圧報酬は夜の食堂で貰う事になっていて、フレデリク達は食事ついでに貰うつもりだった。

 2人共活躍したし、せめて街について装備を整え、何日か宿に泊まれる程度の報酬を期待して食堂に入る。

 

「あ、来た来た!レオ!フレデリカ!こっちだよ!」

 

 食堂に入ると奥に冒険者の集団がおり、早速リディアから声を掛けられる。

 2人でそちらに向かう。

 今となってはDランク以上の冒険者に嫌悪感は無い。

 とは言っても、フレデリクに粉を掛けてくるのはランクに関係なく存在するのだけど、それはまた別の話だ。

 

「来たな、期待のニューフェイスが」

 

 フレデリク達が所属していた第3部隊の隊長、Cランクの冒険者カラムからも声を掛けられる。

 

「期待のニューフェイス……?」

 

 疑問の声を上げるレオ、それに応えるように集団の中央からよく通る声がする。

 

「そうだ!我々冒険者を除くと一番の活躍、そして冒険者全体で見ても中々の活躍だったそうじゃないか、若くて強い!それに既にそれなりの教養もあるらしいからな、期待してるよ」

 

 そう声を掛けてきたのは今回の魔物暴走で総指揮を取ったBランク冒険者のニール。

 Bランク冒険者とは、一般的な上限のランクに達した上級冒険者である、明らかに他の冒険者と違う凄みと雰囲気を放っていた。

 

 明らかな格の違いにフレデリクもレオも敬意を払う必要があると認識した。

 

「はい、街に着いたら冒険者ギルドに行って冒険者になる予定です!教養の勉強と依頼を沢山こなして、まずはCランクを目指したいと思っています」

 

「まずCランクか。良いぞ、早く上がってこい」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「フレデリカだったか?君も同じ様にまずCランクを目指すんだな?」

 

「は、はい!そのつもりです」

 

「名物コンビになれると良いな。楽しみにしてるぞ。では、これが今回の報酬だ、個人的には前途有る若者には色を付けたいところだが、そうも行かないのでな、それでも結構な額だと思うぞ」

 

「いいえ、正当な報酬を貰えれば十分です、お心遣いありがとうございます」

「はい、同じく、色を付けられたらこんな物かとつけあがります、仕事した分の報酬が貰えればそれで問題ありません」

 

「うむ、では受け取ってくれ」

 

「頂戴します」

 

 そのまま離れようとする2人にニールが声を掛ける。

 

「一つアドバイスをしよう、報酬はその場でしっかり確認したほうが良いぞ、銀貨10枚だ」

 

「あっ!は、はい!ありがとうございます!」

 

 2人は慌てて袋の中を確認し、銀貨の枚数を数える、すると11枚入っていた。

 先程ニールは色を付けたいと言っていた、まさかそういう事か?と一瞬頭をよぎるが、2人はニールへ正直に報告した。

 

「あの、11枚入ってます、1枚多いようです」

「俺のも11枚あります」

 

「そうか、こちらが数え間違えたのかな?わざわざありがとう」

 

 1枚ずつ返却し、これからはちゃんと確認しようと心に決めた。

 2人はニールから報酬を受け取り、席を離れて食事を取った。

 しかしまだ見られており、緊張して食事の味を感じない。

 

 2人が味がしない食事を取っている時、ニールとカラム達は話をしていた。

 

「良い若者じゃないか、強くて教養もあり、目標高くて、正直だ。正直過ぎると大変かも知れないが、

彼等ならCまで上がるのはそう時間は掛からないかも知れないな」

 

「流石にそう簡単には行かないと思いますけどね、でもレオ達ならきっと上がってくるでしょう」

 

「そりゃ多少は苦労してもらわないとな、それにしてもカラムとリディアは随分と気に入ってるようだな」

 

「実際に目にしましたからね、レオは実力だけなら既にDランク上位はあります、フレデリカもスキルの効果が強い、まあそれだけだとフレデリカは厳しいですがね」

 

「なんにせよ、実力のある若者が上がってくるのは楽しみだ」

 

 食事が終わる頃、リディアがフレデリク達の席に来て座った。

 

「ご苦労さま!じゃあ昼にお話した通り、明日から同行しようか、出発する時間を教えてね」

 

「明るい内に移動距離を稼ごうと思ってるから、大体……7時くらいに門の前だな、レオ」

 

「そうだね、それじゃあリディア、7時に門の前で待ち合わせで良い?」

 

「おっけー、7時ね、置いてかないでね、お姉さん泣いちゃうぞ」

 

「大丈夫だよ、リディアには色々と教えてもらう予定だし」

 

「お?何何?なんでも聞いてね」

 

 フレデリクはレオをちらりと見て、リディアに応えた。

 

「それは明日以降で聞くよ」

 

 リディアはレオとフレデリクを交互に見て、何か納得したようだった。

 

「よしよし、フレデリカ、リディアお姉さんに任せなさい!それじゃあね」

 

 リディアは立ち上がり、楽しそうに集団に戻っていった。

 

「フレデリク、何かリディアに聞きたい事があったの?そういえばリディアの同行に乗り気だったのは聞きたい事があったから?」

 

「まーな、でも残念、レオには内緒だ」

 

「えー、なんで教えてよ」

 

「だーめだ、こればっかりは駄目!諦めろ」

 

 心底がっかりそうにテンションを落とすレオ、しかし何か思い出したかのように話し始めた。

 

「そういえばフレデリク、相談なんだけどさ」

 

「ん?なんだ?」

 

「その……フレデリカって呼ばれるの、どう思ってる?」

 

「別に良いよ、諦めたし、勝手に呼んでくれって思ってる、確かに紛らわしいしな。……もしかして、レオもそう呼びたいのか?」

 

「あ、いや、そうじゃないんだけど、これからリディアと同行して、冒険者になったら他の人ともパーティ組んだりなんかする事を考えると、どうしたら良いかなって」

 

「……そうだな、うーん……別に良いぞ、フレデリカで」

 

「本当に良いの?僕は2人きりの時はフレデリクと呼ぼうと思ってたんだけど」

 

 フレデリク本人は余り気にしていないようだが、名前の呼び方を変える事はレオにとって大きな変化となる事だった。

 ずっと呼び慣れ親しんできたフレデリクからフレデリカへ、言わば別人である。

 接し方すら変わってしまいそうな、そんな気がしてしまう。

 

「いや、間違えるしフレデリカで良いよ、でも男に戻ったら絶対にフレデリカと呼ぶなよ」

 

「分かったよ、フレデリク、じゃなくて、フレデリカ」

 

 騒ぐ冒険者集団を後にして食堂を出る2人、宿に戻ると主人に明日チェックアウトする事を伝えて部屋に戻った。

 

 そしてもう慣れてしまったダブルベッドで2人での就寝。

 

 フレデリカは昼間に消耗していた事もあり、直ぐに寝息を立て始めた。

 

 しかし、レオはそうは行かなかった。

 今日起こった出来事、それが眠りを妨げていた。

 

 いても立ってもいられず表に出て、無心に剣を振り、疲労で煩悩を払い、明け方近くになってやっと眠りについた。

 

 翌朝、寝不足のレオと快眠でスッキリしたフレデリカと両対称な2人であった。

 

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