ゴールドシップはメジロマックイーンと仲直りをしたいのですが、素直に謝りづらい状況なので、一緒に焼きそばを焼こうと思います。 作:BuddPioneer
さて、迎えた聖蹄祭当日。ゴールドシップは昨年と同じように屋台を出店する。今年は焼きそば屋である。昨年はお好み焼き屋であったが、今年は焼きそば屋だ。バリエーションは普通のソース焼きそばオンリー。本当は塩焼きそばやたらこ焼きそば、お好みソース版にあんかけ焼きそばなども作りたかったのだが、採算や時間などを考えた結果、ソース一択になった。ぶっちゃけ、ゴルシちゃんが5人くらいに分身しないとできない、そう判断したのである。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ゴルシちゃんが焼く美味しい焼きそばだよっ! 値段もお手頃、ボリュームも文句なし、さあさあ買った買ったァ!!!」
聖蹄祭開始と同時に焼きそばを作り始めたゴールドシップ。オリジナルデザインの法被にねじり鉢巻きを巻いて売り口上をしながら鉄板で焼きそばを焼いていく。ちなみに、この鉄板はゴールドシップが自前で持っている物だ。最初はレンタルだったが、自分で焼くことが多くなったので思い切って購入したのだ。
テンポよく焼きそばを焼いていくゴールドシップ。すると、
「お嬢ちゃん、焼きそば大盛りを一つ」
「あいよっ! 焼きそば大盛り一つ入りまぁすっ!」
初めて焼きそばを注文したお客が現れた。第一お客来店だ。焼いた出来立ての焼きそばを景気よく大盛にパッキングし、お客さんに渡す。
「ほいよっ、焼きそば一丁!」
「ありがとうお嬢ちゃん。はい、これお代」
「毎度ありっ!」
ゴールドシップはビニール袋に焼きそばを入れて渡す。お客さんは焼きそばを受け取ったら屋台を後にしていった。
さて、最初こそ客足がまばらなゴルシちゃんの焼きそば屋であったが、
「ねえねえ、あれ、噂の焼きそば屋じゃない?」
「美味しそうな焼きそばの香りがするな」
「ママ、やきそばたべたい!」
お昼時というのもあってか、徐々に来客数が伸びてきた。ゴールドシップは焼きそばやお好み焼きを焼く技術やスピードを持ち合わせているのだが、流石にお客さんが増えて来すぎてはいくら何でも捌ききれない。しかし、それでもゴールドシップは売り口上やトークを交えつつ的確に焼きそばを提供していく。
『流石にゴルシちゃんでもこれ以上は捌ききれないぞ……』
だが、そのキャパもとうとう限界に近付きつつある。その時、
ピロリン
「お」
ゴールドシップのウマホに着信があった。急いで着信を確認する。
『ゴールドシップさんへ、メジロマックイーンさんが来店しました』
メッセージの送信相手はマチカネフクキタル。マックイーンが『占いの館』に入店したという。
『よし!』
メッセージを確認したゴールドシップは、フクキタルに『ありがとう。すぐ行く』とメッセージを返したら、すぐさま目の前のオーダーをすべて捌ききった。そして、『少し席を外します』と書かれた看板を出し、『占いの館』へと向かった。
一方、『占いの館』にて。
「むむむむむ──────」
マチカネフクキタルが水晶玉を見つめながらメジロマックイーンの運勢を占う。そして、マックイーンはその行く末を固唾をのんで見守っている。
「貴女の今日の運勢は、凶ですっ!」
そして、昨年と全く変わらず、凶を宣告した。
「ヒッ」
昨年と全く変わらない運勢に、マックイーンはショックを受ける。
「救いはないのでしょうか……例えば、ラッキーアイテムとか」
フクキタルの助手を務めるメイショウドトウが尋ねる。
「今日のラッキーアイテムは、お好み焼きですっ!」
「お好み焼き……」
マックイーンそれを聞いて少し考える。その時、
「おーいマックイーン、ちょっと屋台を手伝ってくれないか~。客が多すぎてもう捌ききれないんだよ~」
ゴールドシップが『占いの館』入り口から疲れた顔をのぞかせる。そして、手に焼きそばソースとヘラをマックイーンに見せた。
「まあ、お好み焼きの方から来ましたね」
「ふっ、仕方ありませんわね。手伝って差し上げますわ」
マックイーンは仕方ないな、という表情でゴールドシップに返事を返す。
「おう、じゃあ手伝ってくれ」
『占いの館』を後にしたマックイーンとゴールドシップ。そして、マックイーンは屋台の前に着くなり
「お好み焼きじゃなくて焼きそばですの?!?!?!」
思いっきりびっくりしていた。
「??? ゴルシちゃん別にお好み焼きとも焼きそばとも何も言っていないぞ」
『占いの館』で何があったかゴールドシップには知る由もないが、今年もマックイーンのラッキーアイテムとは真逆だったようである。
「まあ、とりあえず屋台を手伝ってもらうぞ。はい、これ」
混乱して状況を把握しきれていないマックイーンを他所に、ゴールドシップは法被とねじり鉢巻きを渡す。
「状況がまだ理解できていないのですけど!」
「ほいじゃあ再開するぞ」
「ゴールドシップ、聞いていますの?!」
なおも混乱しているマックイーン。だが、ゴールドシップはどこ吹く風かと言わんばかりに屋台の営業を再開する。
「ほらほらマックイーン、口よりも手を動かすんだぜ。じゃないと口は回っても屋台は回らないぞ」
「分かりましたわ。手伝うといった手前、やりますわよ」
ゴールドシップの言葉を聞いて渋々といった形で法被を着てねじり鉢巻きを巻くマックイーン。そして、屋台の営業が再開された。
「さあさあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい、ゴルシちゃんの焼きそばだよっ! んだけど午後は一味違うぜぇ! メジロの御令嬢、メジロマックイーン御大も焼きそばを焼きに来たよーっ! こんな機会はそうそうありゃしませんぜお客の皆さん、おっとそこを通るウマ娘ちゃん、お一つどうだい?」
屋台の営業を再開したゴルシちゃんの焼きそば。そして、そこに加わったメジロマックイーン。いつもの凸凹コンビは、焼きそばを巧みなトークも織り交ぜながら焼きそばを焼いていく。
「ちょっとゴールドシップ、こんなにお客さんが来るなんて聞いていませんわよ!」
「いや、ちゃんと言ったぞ。一人じゃ捌ききれないって」
「こんなはずではっ……」
「いや、めっちゃノリノリで来たじゃん」
「それは事実ですけどっ……」
めっちゃノリノリで来たという事実を突きつけられるマックイーン。ゴールドシップは午前中と同じペースで全く変わることなく焼きそばを焼いていく。だが、マックイーンは困惑しっぱなしの御様子。
「しかも、法被のサイズがピッタリって、どういうことですの!」
「ん? 目測でサイズを測定しただけだぜ」
「変態ですわ!」
「そう言うマックイーンも十二分に変態だとゴルシちゃんは思うぜ。スイーツとかスイーツとかスイーツとか」
「グッフウ」
おまけに、法被の寸法はマックイーンの身体にぴったりフィット。これを目測で測ったゴールドシップの才能に対して変態だと思うマックイーンであった。だが、その言葉は思いっきりブーメランとしてザックリ突き刺さっていたようである。
だが、そんなこと言いながらも2人は焼きそばをひたすらに焼いていく。
「ウマ盛り二つ、あいよっ!」
「ウマ盛りのウマウマ、三つですわ!」
「普通盛り5つ、毎度ありっ!」
「メジロ盛り、十個ですわっ!」
お互い、テンポよく焼きそばを焼いてはお客さんに渡していく。……たまに裏メニューも追加されているが。
「さあさあ、メジロマックイーンの焼きそばですわよ~。甘いキャベツに旨味の強い豚肉、そして蒸した麺によく絡む秘伝のタレ、とっても美味しいですわ~!!! 美味しすぎてパクパクデスワー!!!!!」
最初こそ困惑していたマックイーンもいつの間にか、ゴールドシップの売り口上に負けないくらい元気な声で売り口上を口にしている。屋台は一気に活気づき、より多くのお客さんが押し寄せてくるようになってきた。そして、
「これで最後ですわっ!」
大盛況のうちに聖蹄祭が終わる前に完売御礼となった。
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