ゴールドシップはメジロマックイーンと仲直りをしたいのですが、素直に謝りづらい状況なので、一緒に焼きそばを焼こうと思います。   作:BuddPioneer

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4、全てが終わった後に見る打ち上げ花火という物は最高だと思います

「今日は不幸ですわー!」

 

 聖蹄祭が終わった後、日が暮れた河川敷に座っているメジロマックイーンは思いっきり叫んだ。

 

「まあまあ、今日一日楽しめたからよかったんじゃねーの?」

 

「ですが、ですけど!」

 

 横に座っているゴールドシップがマックイーンのことを嗜めるが、マックイーンの言葉は収まらない。

 

「それもこれも、ゴールドシップ、貴女のせいですわよ! 今日のラッキーアイテムがお好み焼きだと聞いたからついていったものの、気が付けば焼きそばではないですの! しかも私に手伝わせますし! 何でメジロの御令嬢が焼きそばを焼かなければいけませんの!」

 

「まあまあ、そうカッカしなさんな、はい、カルシウム」

 

「カルシウムは足りていますわ! というか何でカキの殻ですの! 私は海洋生物じゃありませんわよ!」

 

 気が付けばものすごいマシンガントークがゴールドシップめがけて飛んでくる。だが、ゴールドシップはこれを軽々と受け流す。

 

「まあまあ、マックイーン。今日はいろいろと迷惑をかけちまったな」

 

「そうですわ!」

 

「だけど、楽しかっただろ?」

 

「そ、それは……」

 

 だが、ゴールドシップが焼きそば屋で楽しかったかと聞いたらマックイーンはそっぽを向いてしまった。

 

「ゴルシちゃんは楽しかったぜ。マックイーンも楽しそうに見えたんだけど、どうだった?」

 

「……」

 

 ゴールドシップは尋ねるがマックイーンはそっぽを向いたままである。ただ、顔が紅潮しているようだ。

 

「……た、楽しかったですわ」

 

 数分間か数十分か。しばらくの静寂の後、マックイーンはゴールドシップのほうに向きなおり、そう言った。

 

「だろ?」

 

「自分でも信じられないですが、とっても楽しかったですわ。焼きそばを屋台で焼くのは初めてでしたから、何よりも疲れましたけど、それでも、お客様とお話ししながら接しているうちに、その楽しさに気づきましたわ」

 

「ゴルシちゃんもそう思うぜ」

 

 マックイーンは、この屋台を通して楽しさを感じていた。ゴールドシップが半ば強引に連れてきたからか、最初こそ戸惑っていたが、徐々にその場に馴染んでいき、気が付けばゴールドシップ以上に積極的に動いていた。

 

「だから、ありがとうございます。ゴールドシップ」

 

「屋台の楽しさを知ってもらえれば、ゴルシちゃんは幸いだぜ」

 

 だからなのか、ゴールドシップに対して、お礼の言葉も出ていた。

 

「それでだマックイーン」

 

「は、はい」

 

「真面目な話がある」

 

「は、はあ」

 

 ゴールドシップは、本来の目的を遂行するべく、マックイーンの方を向き、真面目な表情で話を切り出す。マックイーンはその表情に少し戸惑っているようだ。

 

「は、話とは何ですの?」

 

「あ、ああ。実はな……」

 

 ゴールドシップはマックイーンの瞳を見つめ、話を切り出す。今こそ、本来の任務を遂する時間だ。

 

「一か月前にマックイーンが取っておいたプリン食べちゃってごめん!」

 

 そして、マックイーンの方を向いたまま、深々と頭を垂れた。

 

「ゴールドシップ……」

 

 マックイーンは、しばし黙考した後、

 

「そんなこと、ありましたっけ?」

 

「マジかよマックイーン」

 

 と言った。どうやら忘れていたようである。これにはゴールドシップもびっくり。思わずずっこけてしまった。

 

「え、いや流石に一か月前のことは覚えていませんわよ」

 

「もう少し覚えていてほしかったぜ……」

 

 どうやらマックイーン、スイーツに関することだと一か月も記憶が持たないらしい。

 

「一か月前にマックイーンが大切に取っておいたプリン、分からずに食べちゃってさ、それ以降どうしても素直に謝れなかったんだ。だから、焼きそばを焼いて一緒に楽しくワイワイすることで、仲直りしようと思ったのさ、ゴルシちゃんは」

 

「ゴールドシップ……」

 

 ここで、ゴルシはようやく本当の目的を話した。

 

「ふふっ、そんなことでしたのね」

 

「お、マックイーンが笑った!」

 

 その本当の目的に、マックイーンも思わずびっくりするが、同時に微笑んだ。

 

「ゴールドシップ、貴女は本当に面白いウマ娘ですわね」

 

「へっへ~、ゴルシちゃん、そう言われると照れちゃうぜ」

 

 気が付けば、二人の間に流れる空気は自然な、いつもの空気に戻っていた。いつもの、微笑ましい何気ない日常の空気である。

 

「マックイーン、ごめんな。後でスイーツ奢るから」

 

「楽しみですわね、約束ですわよ」

 

「モチのロンだぜ!」

 

 そして、ゴールドシップはマックイーンに、お詫びとしてスイーツを奢ることを約束した。これは、元々考えていたことである。すると、

 

「奇麗な花火……」

 

「ですわぁ……」

 

 二人の仲が直ることを祝うかのように、空に花火の大輪が咲き誇っていた。

 

「やっぱり、友情って大事だよな」

 

「そうですわね」

 

 美しい花火を見て、感動にふける二人。

 

「あ、そういえば、私もゴールドシップに謝らなければいけないことがありますわ」

 

「お、何かあったか?」

 

 その中で、マックイーンはゴールドシップに告白した。

 

「二か月前、ゴールドシップが大切に取っておいたプッチンプリンを食べたのは私ですわ」

 

 と。

 

「マックイーンだったんか! あれェ!」

 

「すみませんでしたわ。後でスイーツ奢りますから」

 

 花火が打ちあがる河川敷に、ゴールドシップのツッコミが炸裂した。




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