マサルとシャイなアンチクショウ   作:ほろろぎ

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エピローグ 希望の宇宙の……

 スティグマがもたらした「心の闇」を具現化する指輪。

 その二個目を、花中島マサルとの共闘で得たシャイ。

 彼女はイコと件のマサルを連れ、今──宇宙へと来ていた。

 

「やっぱり、何度見てもちきう(・・・)だなぁ~……」

 

 ヒーローたちの隠れ家でもある、宇宙に浮かぶステーション。

 その窓の下に広がる故郷の星を見ながら、イコは何度目かの感嘆(かんたん)の声を漏らした。

 

 全てのヒーローの統括者である存在からの呼び出しによって連れてこられた一行。

 あのマサルですら、地球を脱したという事実に驚きを禁じえない様子。

 

「なんてこった……まさか、とし子に続いて宇宙へ来ることになるなんて」

 

 額に手を当てつぶやくマサル。

 とし子って誰? という疑問は当然のごとくスルーされ、仕方なくシャイは二人を先導して先を歩く。

 

 案内されたのは、小さな会議室といったような部屋の一室。

 その中で、シャイらを呼びだした存在が彼女たちを待っていた。

 

『ようこそ、いらっしゃいました』

 

 神秘的な声と姿をした女性、天帝ユニロードが(おごそ)かにたたずむ。

 彼女こそ、紅葉山テルを始めとした地球の人々にヒーローとしての力を与え、また統括している人物なのである。

 

『シャイ、よくやってくれました。おかげで無傷の指輪が二つも手に入り、スティグマへの対策もこれで万全となるでしょう』

「い、いえ! 今回は私だけじゃなく、こちらにいるマサルさんのおかげで……」

 

 シャイは隣にいる奇抜な服装の男を紹介した。

 

「ウォンチュッ!!」

 

 親指を立ていきなり馴れ馴れしい態度のマサルに冷や汗をかくシャイとイコだったが、ユニロードは「フフッ」と優雅な笑みを浮かべるのみ。

 もっとも彼女の顔は全体を(おお)うベールの下で隠れており、その素顔を見た者は誰もいないのだが……。

 

『花中島マサルさん、あなたの活躍もここから見ておりました。シャイを助けてくださって、ありがとうございます』

「なあに、大したことじゃ……」

『せめてものお礼に、なにか望みの物をおっしゃってください。プレゼントさせていただきます』

 

 ユニロードからの好意の言葉が、マサルの逆鱗に触れた。

 

「コンチクショーッ! 見返りが目当てでしたことじゃないぞー!!」

 

 彼は純粋に、友人となったテルとイコを守るためにボビーと戦っただけなのだ。

 意図せずマサルの誇りを傷つけてしまったか……とユニロードは反省する。

 

『……申し訳ありません』

「……ッチャだ……」

 

 マサルの口が小さく同じ言葉を繰り返しているのが、シャイの感度のいい耳に届く。

 

「ロボピッチャだ……セガのロボピッチャ……」

「欲望もれてるーッ!!」 ガビーン

「花中島くん……ロボピッチャはもう生産していないぞ」

「なにぃ!!?」 ガシャァァァン

 

 マサルの言うロボピッチャがなんなのか……ユニロードは分からなかったが、では代わりにと、彼女はマサルの憧れの人物「よろしく仮面」のフィギュアを渡そうとする。

 

『花中島マサルさん。どうかシャイと共に、これからも日本を守っていただけないでしょうか……?』

 

 よろしく仮面の人形はマサルも持っていない限定品。

 喉から手が出る一品だったが……彼はこれを、ユニロードの願いと共に辞退した。

 

「悪いが僕はテルテルや、ましてよろしく仮面のようなヒーローには程遠い。今回のことで痛感したよ」

 

 苦しい修行の末に身につけたセクシーコマンドーが、他愛もなくいなされてしまった事実。

 それがマサルの決意を新たにさせる。

 

「もう一度山にこもって、一から修行をやり直そうと思うんだ。そうでなければ立派なセクシーメイトを名乗れないからね」

 

 それに、まだ自分を狙う毛生え薬研究会のメンバーは残っているし……と。

 

「その後は、わかめ高校に戻るとするよ。そこでテルテルや小石川くんのような仲間を見つけて、セクシーコマンドー部でも作ろうと思うんだ」

 

 マサルはシャイに瞳を向けて、こう続ける。

 

「いずれ君のような、立派なヒーローの手伝いが出来るように……ね」

「マサルさん……」

「『ひさかたの 光のどけき 春の日に しづこころなく あぶらとりがみ』……」

 

 その言葉を残して、マサルはテルとイコの前から去っていった。

 あとに残された二人は思う。

 

((今の、どういう意味……?))

 

 と。

 ユニロードが、マサルの言いたかったであろうことを代弁するように、少女らに伝える。

 

「きっと、『シャイのようなヒーローが現実にいれば、この暗闇の宇宙にも一筋の希望の光が残されている』ということでしょう」

「そんな壮大な意味が含まれてたのかなぁ……?」

「あはは。でも、マサルさんらしいお別れの仕方でしたね」

 

 テルは、別れの際にマサルから手渡された一枚の布を手に、薄っすらと浮かぶ涙をぬぐった。

 

「ところで、なにを渡されたんだい?」

「えっとですね……」

 

 テルは布を開く。

 

 それは──「サトル」という名前が書かれた上から、マジックで雑に塗りつぶした跡のある、真っ白い三角形の物体。

 マサルも、よろしく仮面も愛用する……「親父のブリーフ」であった。

 

「「なんだこれーッ!?」」 ガビーン

 

 少女らのツッコミが、無限の宇宙にこだましていった……。




サブタイトルはマサルさんの声優さんが他のアニメで歌ってた主題歌から持ってきました。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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