「...」
近くの茂みから大きなお屋敷を見つめる。この場面だけ切り取って見たら完全に不審者だが、これは不可抗力だ。あの女...何が「門番いるし多分戦闘になるけど頑張ってね♪キャピ♡」だよ。ふざけるのも大概にしろよ。しかも乱暴に放り投げやがって....。
まぁいい、ここまであの妙な空間を通って連れてきてくれたのは感謝している。
そんなことよりも、どうやってここを切り抜けようか。アンジェラに交渉に出てもらおうか...。
「ローラン。」
「交渉に出てくれるとか...」
「ないわ。」
両断された。
「...門番さん寝てるし、素通りできるんじゃないの?」
. . . 確かに。
「...行くか.....。」
ゆっくり、足音を立てずに侵入するつもりだった。
しかし、守衛は目を瞑ったまま目にも留まらぬ素早さで上段蹴りを仕掛けてきた。
「うお...ッ!」
俺は本当に間一髪で避けることができたが、摩擦により身をもってその威力を確かめることになった。
強化施術でも受けてるのか....!?
いや待て、ここは確か幻想郷と呼ばれる世界だ。
強化施術云々以前にそういう種族や特徴を持った者がいても不思議じゃない。
門番は緑がかった目を開いて言った。
「おや、今のを避けるとは只者じゃありませんね?」
「まぁ、どちらにしろお嬢様に近づく輩は一人残らず退けるのが私の役目ですが。」
「待ってくれよ...俺たちは先に進みたいだけなんだってば...」
「いいえ、信用できませんね。」
「ちょっと待って。話をしましょう。」
アンジェラが割り込む。
「話?あなたたちと私が?一体何を...」
「私達、行くあてがなくて困ってるの。それで、さっき紫って人に連れてきてもらったのよ。」
「...だったらなんで今、紫様の姿が見えないんですか。」
「...そいつなら霊夢ちゃんがどうたらとか言ってどっか行っちまったよ。」
門番は呆れ顔を作り、
「仕方ないですね、通しましょう。くれぐれもトラブルは起こさないでくださいね。」
門が開いた。
「おぉ...」
かなり豪勢な屋敷だ。とても広い。
「...広いわね。」
やっぱり広いようだ。
「だな。俺もこんな屋敷に...」
「いいえ、違うわ。」
アンジェラが否定する。
「外観に比べて中が広すぎる...。」
確かに、言われてみればあまりにも広い。
あのサイズの屋敷で、玄関から入った瞬間にこんなにも広い空間に行き着くなら、居住空間はとても狭いだろう。果たして客間があるのかもわからない。
「警戒しておこう。」
「そうね。それがいいわ。」
紅魔館だよやったね