「待ッ....てやァァ~~ッッッ!!!!」
「聞き覚えのある声ね。でも今はむしろ頼もしいわ。」
そう吠えながらこちらへすさまじい速度で跳躍するのは、癖のある緑色の髪と深紅の瞳を持つ者。赤のチェック柄で彩られたベストとロングスカートを纏った女性。
日傘をまるで武器のように構えてこちらに...正確には、幻想体に向かって突っ込んでくる。
「逃゛け゛て゛ん゛じ゛ゃ゛ッ゛!!」
「ね゛ェ゛ェ゛ー゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!!!!!!!!!!」
そんなことを叫びながら、ぶら下がった人型に、大きく振りかぶった日傘を叩きつける。
信じられないことに、あれほどの重量を誇っていた雄牛は20m近く吹き飛ばされた。
「嘘...だろ...?」
しかも近くで見てみると、かなり出血し、腕や足、顔などの肌が露出した部位には火傷が見られる。
「まさか...こいつも妖怪なのか...?」
「えぇ、そうよ。今は大分荒れてるみたいだけど。」
「人手が増えるのはありがたい事ね。」
「...アレ、本当に大丈夫なんですかね?突然こっちに矛向けてきたりしませんよね?」
幻想態が態勢を立て直し、目の前の妖怪へと腕を伸ばそうとした。
届く前に日傘で弾かれたが。
とりあえずここで話しているのも悪いので、必要ないとは思うが加勢に向かう。
なんだか近づくのは怖いので、後ろから銃器で支援することにした。
何度目かの発砲で幻想体は大きくよろめき、その隙を妖怪に突かれた。
「!!!」
無声の気合と共に放たれた突きは、雄牛の口から垂れ下がる肉体を貫いた。
幻想体は一瞬硬直し、真鍮の雄牛は渦となって一点に集束して、核となった。
未だ興奮している様子の妖怪の方向へ大胆不敵に近づいていくアンジェラの姿はいささかスリリングであったが、妖怪は気にも留めず幻想体の核に向かって絶えず蹴りを入れている。
「...ちょっといいかしら。」
その声を聞いて、怒れる妖怪はようやくアンジェラの姿に気が付いたようだ。
咳ばらいをして、口を開く。
「...ごめんなさい。少し冷静さを欠いていたみたい。」
「...結構大変だったみたいね?」
「えぇ、あんなに無茶苦茶やられちゃあね。」
と言い、人里の方向を指し示した。
「お気に入りの花屋さんだって焼けちゃったわ。」
溜息をついてそう言った。
「貴女、花が好きなの?」
幻想体の核を回収したアンジェラが問う。
「『四季のフラワーマスター』なんて通り名ができたくらいだからね。」
「そういえば...あなた、名前は?」
「風見幽香。よ。」
風見幽香と名乗った妖怪は、日傘を差してそう言った。
指摘されそうな点を予め予防線張っておくんだぜ。
なんで霊夢やあうんの台詞が少ないの?
今回の視点役であるローラン君があんまりそっちに注意を払っていないからなり。