如何なる光も届かない程地下深く。
光源ははるか上にあるこの大穴の入り口以外にないはずなのだが、それでも全体が照らされている。
「さぁて、着いたわよ♪」
八雲紫の"スキマ"とやらで私は無傷で地下へ降りることができた。
しかし、囚人たちは無事では済まず、折り重なった死体の山が近くにあった。
ある者の頭は弾け飛び、またある者の四肢は千切れていた。
恐らく全員死んでいるのだろう。
<...はぁ。>
私は時計を回した。
頭の針が通常の時計のそれとは反対の方向へ素早く回転する。
回転するごとに、囚人の死体は動き出した。
弾けた頭の破片が、もともと頭があったと思われる部分に集積され、飛び散った血液は傷口や肉体の断面から体内へ戻っていく。
もちろん千切れた四肢も元通りだ。
だが、もちろんタダで何回でも元に戻せるわけではない。
散らばった頭が元の場所に戻れば私の頭はまるで破裂したかのような激痛に襲われ、
流れ出た血が体に戻れば私は全身から出血しているかのような感覚に襲われる。
そして、しばらくの間痛みに耐えると、囚人たちはすでに立ち上がっていた。
「何とか下まで降りてこられたようですね、ダンテ。」
<あぁ、紫さんに...あれ?>
もうすでに彼女は姿を消していた。
<..まぁいいや。ファウスト、これからどうすればいいのか知っているのか?>
「はい、この洞窟の中心地に黄金の枝があると紫さんから聞きましたので。」
この洞窟の真ん中。
見ると、向こう側に町のようなものがあった。
そして、そのさらに向こうにはかなり大きなお屋敷があった。
<とりあえず、歩こうか...。>
しばらく歩くと、赤く塗られた橋桁が特徴的な橋が見えた。
そして、その隣には金髪に緑の瞳を持つ女の子が佇んでいた。
<...。>
近くで見てみると、彼女の耳は細長く尖っていた。
「...あなた達、人間ね?」
少女は私達に話しかけてきた。
どうやら彼女はこの橋を守っているらしい。
「人間がこんなところに何の用?」
対話はできれば得意そうな囚人に任せたい。
愛想よく、相手を刺激しないように話してくれればそれでい
こういった場面での適任は...。
<...ロージャ。>
「仕方ないわね~。後で何か奢ってもらうからね?」
「私、ここに来てからほとんど何も食べてなくてお腹ペコペコなのよ。」
などと言いながら、ロージャは前に出た。
「あのね、お嬢さん。」
ロージャはこれでも結構背が高いので、膝を曲げて、目線を下げて話しかける。
「私達も、何がどうなってるのかわからないけど、この先へ行くように言われてるのよ。」
「だから、できれば通してほしいんだけど....」
「この先は危ないわよ。それに...」
「なんだかあなた、すごく楽しそうね。」
少女は嫉妬心を露わにして言い放った。
「地上の光が妬ましい、巡る風すら妬ましい。あなたに恨みがあるわけではないけれど。私が貴方を討つ理由など幾らでも作れるわ。」
リンバス・カンパニー バス支部 囚人番号10番にして管理人である時計頭のダンテ君。
時計の針を回すことで囚人たちの傷を癒すことができるぞ!
もちろん痛みと引き換えにね。