「おかしいわね...」
黄色い衣服に身を纏った金髪の少女が言った。
その少女を含めた数人が何かを、あるいは誰かを探しているようだった。
「アンジェラは外に出られないはずだし...ローランもどこいっちゃったんだろう...」
広大な図書館だった。
果てしなく広大で、どこまでも歪な図書館。
「駄目ですね。こちらにも居ませんでした。」
「僕の階にも居なかったよ~」
図書館。旧L社跡地に現れ、都市へ大きな衝撃と傷跡を残して、頭から調律者と凝視者、足爪を送られて、頭によって外郭へと放逐された建造物。
都市の人々へ"招待状"を送り、内部で司書や指定司書と戦闘を行い、敗北した者は本になってしまう。
そうして多くの人を本に変え、成長してきた。
初めは裏路地で活動するネズミや捨て犬が、次にフィクサー事務所や工房が。やがてはフィクサー協会や特色フィクサーまでをも喰らいつくし、ある日突然旧L社のように光の柱を噴き上げて、それから頭の襲撃を受けた。
図書館がL社のごと外郭へ放たれた後に、本にされたはずの人々は都市へ帰ってきた。
そして、外郭を訪れた者の中には霧の中に聳える図書館を見たと言う者もいる。
現に図書館は外郭にあるのだからそれは正しい。
しかし、今では館長――アンジェラの決定により、以前とは違う方針で運営されていたのだが、館長と、総記の階指定司書のローランが消えていた。
「ん...?」
どうやら、指定司書の一人が何かを見つけたようで、本を持ち仲間の元へ駆け寄っていく。
「ねぇ...」
「こんな本、あったっけ?」
その本には題名やこれといった飾りなどもなく、ただボロボロに風化した古い本だった。
「いや...見たことないな。」
しかし、それを見た一人は何かに気づいたようで、
「其の本は...恐らく彼女が持って来た物だろうね。」
「彼女...?」
しかし、気づいた一人は質問に答える気がない様子で
「気になるのなら開いてみるのが善いさ。」
と言って、それ以上口を開くことはなかった。
「じゃあ...開けてみるか。」
赤く長い髪を持つ者が本を手に取り、ページを捲った。
「え?」
「なっ...?」
「あれ...?」
「..?」
「何よ...」
「チッ...」
「あれ~?」
「...」
「ふむ...」
各々の反応はどれも個性的で、それぞれの特徴が顕著に表れたものだった。
困惑し、何が起こっているのか理解できずにいる者も、武器を手に取る者も。状況を把握しようとする者もいた。
俺たちの冒険は、まだまだこれからだ!
...なんてね。