「ん...」
目を覚ますと同時に、眩い光が視界に入り込んでくる。
あまりの眩しさに目が眩み、反射的に顔を手で覆う。
ゆっくり、少し時間をかけ光に目を慣らす...。
体を起こし、周りを見渡すと、どうやらそこは林の中のようだった。
「ここは...一体...」
自身の置かれた状況に理解が及ばず、混乱する。
「確か、私は...」
本だ。
本を開いて、気づいたらここに居た。
とすると、この林はあの本と何か関係があるはず。
...歩こう。
幸い目の前には獣道が広がっている。とりあえず歩けはするようだ。
とても豊かな自然が広がっているのを見る限り、ここは"外郭"であるように思える。
いや、むしろ"外郭"にここまでのどかな光景が広がっている場所があるのだろうか?
暖かな木漏れ日を受け、しばらく前に進むと、石段が見えることに気づいた。
どうやら、石段を作れるだけの文明はありそうだ。
石段の頂上を見上げると、そこには赤い特徴的な形の門のようなものがある。
本で見たことがある。アレは「鳥居」だ。
つまり...この石段の上には「神社」と呼ばれる寺院があるはずだ。それに、この上にあるのなら、見晴らしもよさそうだ。もしかしたら村や町の類も見つかるかもしれない。
そんなことを考えながら石段の中腹に辿り着いたところで、ある疑問へ行き着く。
ローランは無事だろうか。
もしかしたら私が本を開いたばっかりに、ローランまで巻き込まれてしまうかもしれない。それとも、突然跡形もなく消えてしまった私を助けに来てしまうかもしれない。
「あなた、こんなところに何の用があってきたの?」
顔を上げると、赤を基調とした巫女服に身を包んだ黒髪の少女がこちらに歩いてきている。
「その...説明がとても難しいんだけど...」
「何?あなた、見たこと無い顔ね。もしかして外の世界から迷い込んだの?それなら帰してあげるから早くこっちに来なさいよ。」
「待って。返してもらえるのはありがたいのだけど実はもう一人...」
「はぁ?連れとはぐれたの?」
「えぇ、多分...」
「...待ってなさい、探してくるから。」
彼女はどこかへ飛び去っていってしまった。
待っていろと言われたからには無暗に歩き回るわけにはいかない。
...今、ローランはどうしているだろうか。
他の指定司書のみんなに事情を説明している?もしくはこの場所のどこかにいるの?
それに...さっきの女の子。名前を聞くのも忘れてしまった。特異点の力でも使ったのかな...?
あんなに滑らかに、空中を滑るように移動できる特異点なんて、聞いたことも、見たことも、無い。
図書館やあの忌々しい牢獄から出たことがないからだろうか?
空を見上げてみる。
...暖かい風が吹いてきた。