「ああああああ...先生!!探偵先生!!どうすればいいですか!?」
「...私にも、わからない。」
「だからって無闇矢鱈に方向も決めず歩き回ることってあります!?!?」
私はモーゼス。都市で探偵として助手のエズラを従えて様々な事件を明快な頭脳で解決する....。
もちろんそんなわけはない。都市はそんな単純な仕組みで回っていないからだ。
都市で探偵としていくつかの事件を解決したのは事実だが、誰かが人を殺しただとか、宝物が盗まれたなどの単純なものではない。
――――私にはねじれが見える。
ねじれは誰でも持てる物だ。
この"ねじれ"という名前を最初に誰が付けたかは知らないが、いつの間にか人たちはそう呼んでいた。
どのような原理かも知らない。ねじれる条件さえ分からない。
ただ、今までの経験から、この現象は人々の強力な感情的熱望により発現すると推定される。
9区を地獄へと変えた"ピアニスト"はかなり多くの人に知られた代表的なねじれだろう。肉と骨の鍵盤を複数の腕が叩きつけ、それを聴いた人が一人、また一人と混ざり合って鍵盤が増えていく。当然、都市の人々全員が知っているわけではないだろうが、その前もその後も小さなねじれによる事件は何度も発生している。
そんなねじれは私には文字通り視覚的に見える。
上半身が魚のように鱗に覆われている人、瞳が空へ染まっていく人。
全てが私の目に写る。
しかし、それは私の目に写るのみで、実際に鱗で覆われたりしているわけではない。
ただ、ねじれの進行していく様子が見える。
それを利用していままで食いつないできたのだが...
「あっ。」
「探偵先生!見てください!!」
助手のエズラが騒ぐ。
「ちっちゃい動物がいますよ!可愛いですねぇ~!!」
助手の目線の先を見ると、長い耳を持つげっ歯類が草を食んでいる。
「ウサギ...ですかね...?」
などと言いながら、鞄をおろしてウサギの頭に手を伸ばして撫で始める。
ウサギは草を食べるのを止め、顔を上げて目を細める。
...確かに、小動物も魅力的かもな。
「喜んでるみたいでかわいいですね...」
助手と小動物の戯れを眺めた後、煙を吹かしながら少し周りを見渡してみると、近くに墓地らしきものを見つけた。
「エズラ、行こう。見つけた。」
「え~?もう行っちゃうんですか?まだ..もうちょっとだけ....」
「減給。」
「え゛。」
「15%、減給。」
「うっそぉぉ!?先生!!それだけはどうか!!」
私はもう歩き出していたので、ウサギとの別れを憂う助手の顔は目に入らなかった。
「...そういえば。」
「探偵先生。ユーリアさんのこと忘れてません?」
「...」
「...あのー?」
「彼女なら、きっと大丈夫だ。」
「えぇ...?」
そんなことを言っている間に、大分墓地へと近づいた。
近くで見てみると、やはり墓地のようだ。不気味な静寂が辺りを包んでいる。
「探偵先生...」
エズラが震えた声で言う。
「なんだか..とても怖いです。」
その時、後ろに気配を感じたが、敵意はなさそうだし、なんだか面白そうなので気づかないふりをしておいた。
「わっ!」
「うひゃああああああああッッ!?!?!?!?」
後ろから少女の声が聞こえ、エズラは派手に飛び上がりながら驚く。
一方私は落ち着いて後ろを見た。
「ふふふ、驚いたかい?」
鼠のような丸い耳、灰色の髪の毛。
「ネ、ネズミ...?」
...エズラにも見えている.....?
つまり彼女はねじれているか、それともねじれなど関係なく鼠の耳が生えているかのか。
「そんなことよりも...こんな僻地へ何の用だい?」
鼠の耳の少女は目的を訪ねた。しかし、私たちはこれといった目的があってこんな不気味な場所へ来たわけではない。
「わからない。ただ迷い込んでしまった。」
「むむむ...。」
少女は少し唸った後にこう答えた。
「そりゃちょいとばかし大変だねぇ...」
「たっ、大変って...どういう意味ですか!?」
「もしかして私達...帰れない...?」
鼠娘はけらけらと笑った後に答えた。
「違う違う。怖~い巫女さんにお願いしないといけないんだよ。」
・モーゼス
48歳の女性。
身長は156㎝で思慮深い。
謎の様々な機能を持った煙管を持ち歩いている。
5級フィクサー
・エズラ
28歳の女性。
身長は187㎝で喧嘩っ早い。
鞄から様々な工房製の武器を取り出す
3級フィクサー
・ユーリア
21歳の女性。
匠...らしい。
172㎝で欲望のためなら禁忌も余裕で犯すタイプの人。
ユーリア工房という自分の工房ももっている