ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団 作:名もなきドクター
惨劇は幸福の裏にこそ這い寄りて
鬱蒼としげる暗い森の中、汚れひとつない典雅な制服を纏っている少女と活発な性格を示すように改造制服を着崩した少女がいた
ダン!
鈍い音を鳴らした散弾銃の銃口は煙を立てる
銃口から放たれた銃弾全てが有効距離で命中し、対象は悶えた
別に射手の技量が高いとかではない
簡単な話、“的”が動かなかったからだ
「あぁ、穢らわしい!下賤なゲヘナの癖に、お友達ですって?笑わせないで下さらない?」
手足を縛られ、口を塞がれた褐色のゲヘナ生は涙を浮かべながら、ただ蹂躙が終わるのを待っていた
「でも丈夫よねぇ!貴女。やっぱり野蛮な生活してるからよね!」
ふふふ、と白い少女は上品に口を手で隠しながら、グリグリと靴裏で「友人」の顔面を踏み躙った
無垢で高尚な天使は嗤いながら言う
「いいことを思いつきましたわ!貴女みたいなお馬鹿さんの仲間を増やしてさし上げましょう!」
ワタクシたち、お友達ですものね!
あはは!ははは!
大きく高笑いしながら、聖なる光輪を浮かべた少女は足元の生徒を蹴り飛ばした
そしてそのまま、振り返らず森を出て行ったのである
取り残された彼女は痛みを堪え、嗚咽を漏らすしか出来ずにいた
果たして悪魔の涙が地面に落ちたのを誰が見ただろうか?
泣き腫らした彼女の赤い目尻は誰が知るだろうか?
答えはそう、誰も知らないままである
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遠出してスーパーまで行き、自分の身体よりも大きい両手たっぷりの買い物袋を持ちながら、炸薬リトルは帰宅していた
「くぅ〜堂々と出歩けるこの安心感!堪らねえでごわす!」
『廃墟』から火薬生成瓶を手に入れてからリトルは調子に乗っていた
本体性能は雑魚のくせに、爆弾を無限に作れるようになったお陰で絡んでくる不良を皆爆殺してきたことによって自分が強いと錯覚したのだ
実際は距離取られただけで簡単にボコられるということに弱い頭が気づいていないのである
冷蔵庫に物を詰めながら鼻歌を唄う余裕振り
♪〜
ピコン
「あ、通知...イオリ先輩からかな?」
現在モモトークには二人しか登録していないリトル、希望的観測と消去法で一人に絞り込まれるのだ
大雑把に買い物袋の中身を突っ込み、急いでスマホを確認すると
イオリ先輩『リトル、来週の今日空いてる?』
これは...!いわゆるデートってやつだ
「えーと、『いつでもおっけいです!』っと。」
事実最近のリトルは学校で不登校期間の課題をやること以外全くと言って予定がないのだ
イオリ先輩『なら私とD.Uまで遊びに行かないか?』
キタコレ!!激アツ演出に全リトルが沸いた
『喜んで!!!』と即返信すると
少し遅れ気味で
イオリ先輩『住所教えてもらえる?迎えに行くから』
む、迎え??
少し困惑しながらもリトルはそのまま住所を伝えた
それからは毎日がハッピーでプレジャーだった
朝起きてモモトークを眺めてニヤニヤ
映像授業を受けながらモモトークを眺めてニヤニヤ
寝る前の日課で爆弾を作り終えるとモモトークを眺めてニヤニヤ
誰が見ても変態であった
そして前日の夜
「ヘルメット...はナシ。瓶は一応持ってこう、爆弾は...10本くらいでいっか。他には飲み物とタオル、財布...これでヨシ!」
当然のように爆弾をを荷物に入れるリトルは相当ゲヘナに染まっているが、当人は気づいていないのである
鞄のチャックを締め、箪笥に入ってる自家製爆弾×120の段を奥に押し込む
それ危なくないか?と思うかもしれませんが、検証の結果により問題ないとわかってる
リトルの意思もしくは、同じ火薬の爆発が無ければ引火しないと検証できたからだ
二つの条件のどっちかが満たされなければ、火で炙っても、地面に叩きつけても何も起こらないのである
安全性バッチリ!流石ゲマトリア一推しの逸品である
支度を終えるとリトルは布団を被り、明日への期待を抱いて夢の世界に旅立った
(少女夢見中)
.....
.....
「おい!リトル、私の足をどう思う?」
イオリ先輩はスカートから覗く壮麗な美脚を叩いてこちらに問いかける
「す、すごくエッチです!」
素直に欲望を吐露するリトル
「じゃあ、足舐めてみろよ。」
良いんですか!?
その言葉を発する前にリトルはイオリの健康的な足に飛びついた
そして、ペロペロペロ、ペーろぺろぺろ
某キモいマスコット並に舐め回した
「うぅーーん?なんか変な味ぃ...ペロペロ」
「ん?これ、先輩のお御足じゃなくて...枕じゃん!?」
早朝から枕カバーの洗濯が決定した日であった
ピンポーン
そしてその憂鬱を吹き飛ばすような、転生して初めて聴いたインターホンの音に、リトルの心臓はバックン!バックン!となり始める
ダダダと音を立てて玄関に向かい、扉を開けると..そこには私服姿の褐色美少女がいた
黒のパーカーがその凛々しさを際立たせ、短いジーパン風のホットパンツから覗くその官能的な両足、その二つが銀鏡イオリの美を際限なく引き立たせており、且つその幼なさが残る顔と裏腹に進んでいる発育が思春期の少女特有の色気を醸し出している。そしてなんと言ってもここはキヴォトス、彼女の持つスナイパーライフルは少女が歴戦であることを示すように使い込まれた形跡があり、それすら彼女の要素として不可欠であった。
総評1000点(100点満点中)
「ぉぃ...おい!」
「あっへえい!?」
心配そうにこちらを覗き込んでくるイオリ先輩
その端正な顔を至近距離で喰らった私は思わず奇声を発して後ろに倒れた
「大丈夫か!?体調が悪いなら日を改t「いえ!!問題ないです!!」
先輩の優しさの籠った提案を思いっきり断ち切った私は部屋に駆け込み、さっと着替えて鞄を持って外へ出た
「イオリ先輩!お待たせしましたぁ!」
謝意を込めて直角に体を折り曲げて一礼する
「気にしてないし、今日はオフだからそんなに畏まるな。」
「はい!」
「....。」
ジト目のイオリ先輩良い、なんか先生の気持ちがわかるわ
割と体育会系のイメージがあったが実際に接すると先輩のオフはフレンドリーで接しやすいのだ
「んじゃあ、少し早いが出発するぞ。」
その一言に従って、リトルはイオリの後ろ二歩にくっ付いてD.Uまで向かった
ちなみに道中のスケバンたちは先輩の顔を見ただけで逃げ出した...そゆこと?
頭の回転の遅いリトルはやっと自分の安全のために家までやってきた先輩の気遣いを感じ取った
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ガタンゴトン
ガタンゴトン
「先輩は最近お仕事忙しいですか?」
この時期は急に治安が悪化したから、多分風紀委員会の仕事急増してるし、ヒナ委員長もシナシナしているんだろうなぁと原作知識が囁く
何もせず引きこもってる自分に少しだけ罪悪感が湧く
「まあ、な。しかし、こっから大仕事を一つ済ませば、恐らく少しは楽になると思う。」
言葉の間に疲労を感じる口調だった
大仕事...エデン条約かな?
「微力ですが、何か手伝えることがありましたらぜひ言ってください...私じゃあ頼りないかもしれませんが。」
愚痴を吐く相手くらいにはなれると思うし、いざとなれば不良集団に飛び込んで自爆すれば、少しは役に立てるかな?
「ははは、そう言うなら風紀委員会に来てみるか?ビシバシ扱いてやるぞ?」
無理無理無理!エデン条約編のPVであのガン飛ばしてる風紀委員モブの目を見ればわかる、絶対脳筋集団だって
私の身体能力じゃあついて行けそうにないって
「え、遠慮させてください!」
ガチトーンで拒否してしまった
「半分は冗談だ。」
は、半分...?
そんな私の疑惑の眼差しに対してイオリは真剣そうに答えた
「お前もわかってるだろうが、ここ最近の犯罪率は急上昇していて、風紀委員会の処理能力を大幅に超えている。そんな環境だから、最低限の自衛が出来るくらいには鍛えてあげたいんだよ。お節介かもしれないけど...。」
先輩は自嘲するように溜息を吐いた
治安維持を目的とする組織の幹部が、自衛を薦めると言うことは、つまるところ自ら治安維持は不可能だと認めているようなもので、その心中が察せられた
「...まあ気が向いたら言ってくれ、別に風紀委員会に入らなくても、見学扱いで訓練をしてやる。」
「....ありがとうございます。」
キヴォトスに来てここまで気にかけてくれた人は先輩が初めてだったもので、少し泣きそうになったのは内緒だ
湿った空気は、駅のアナウンスによって打ち払われた
生徒によってごった返しになったシラトリ区はゲーセンやショッピングセンターが揃っていた
爆音響くゲーセンで慣れない対人ゲームを楽しみ、ショッピングセンターでは先輩にファッションセンスで完敗し、上下数セットをコーディネートしてもらった
転生して最も楽しい一日を過ぎせたと胸張って言える
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ゲヘナ中央の駅で別れた後、リトルは大事そうに今日の紙袋を胸に抱きながら家路に着いた
イオリ先輩は家まで送ろうとしたが、これ以上して貰うのも悪いと思ったリトルが固辞したという経緯があったりする
半日ぶりのアパートの扉を潜る直前
「どなたか!助けてください!!」
遠くから助けを呼ぶ声が聴こえた
数間置いてリトルは部屋に入り、荷物を置き捨てると、代わりにありったけの手作り爆弾を袋に突っ込み、外へ駆け出した
次回、トリカスの魔の手がリトルに忍び寄る!
お読みいただきありがとうございます!
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