ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団   作:名もなきドクター

19 / 30
本編開始!


アビドス編
ヘルメット団は辛いよ


砂漠、ラーメン

そして、美少女

 

かつてキヴォトスの最大校だったアビドス

 

それは今や見る影もなく衰退し、九億を超える借金をたったの五人の生徒が必死に返済するために結成された対策委員会

 

そこから届いた一通の嘆願状により、先生が動き出す

 

背後に蔓延る大人の陰謀

這いつくばる先生と悲鳴をあげる女生徒

砂海から現れる巨大な影

利害と友情が交差し、共闘する少女たち

 

意思と友情を貫き通し、悪い大人から親愛なる先輩を取り戻す物語である

 

パチパチ、ここに異物が入り込む余地はございません

 

無いんですけどね...心配三割、出歯亀七割のリトルちゃんはすごく見に行きたいです

 

先生もテレビと遠目からしか見たことないし、ハゲ説や犬説を検証したいし、そのブラックホール級のカリスマも感じてみたいのですよ

 

ということで、カイザーの闇バイトに応募しました

 

勿論リトルちゃんはニート志望なので襲撃なんか真面目にしません

 

見る専です、ついでにお賃金を頂いて生活の足しにしたいです

 

....

....

....

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「お仕置きの時間ですよ〜」

 

豊満なボディーに支えられてる『リトルマシンガンV』はその名前と裏腹に巨大な銃身を拵え、視界に入る全てのヘルメット団が弾幕に一掃される

 

空からは火力支援用のドローンが銃弾を撒き散らし、時々手榴弾が飛んできては仲間たちが倒れていく

 

数の力で押そうにもやたらと勢いのある猫耳娘と無表情狼耳娘のアサルトライフと盾持ち散弾銃の小娘による盤石の守りで食い止められてしまう

 

どうしてあんなに簡単に面接が通ったかを身を持って実感する羽目となった

 

私は当初は支給されたアサルトライフルを明後日の方向に撃ちながら、きゃっきゃうふふする彼女らを観察すれば良い簡単なお仕事だと思ってた

 

全然違う、一日毎に十数人の離職者が出ては新たに補充されていく過酷な現場だった

 

強い、理不尽なまでに強い

流石、平均兵力では最高クラスと称されて某スクワットをボコれるだけある

 

勝てるビジョンが全く浮かばない

そして、今日も死屍累々となったヘルメット団員を両手と背中で四人抱えて撤退する私であった

 

原作でも応援を要請した理由が物資不足なのが良くわかった、いや無理だ

ヘルメット団がアレに勝てる訳ないじゃん

 

しかも、何故か一ヶ月前辺りからこちらの補給が手薄になったらしい

 

なんでだろうな?

はは、起こちゃったよバタフライエフェクト

 

まだあっち全然余裕そうじゃん

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜おじさん疲れたよぉ。」

 

十六夜ノノミの豊満な胸に溺れながら小鳥遊ホシノは疲労を吐露する

 

「なんか最近アイツらしぶとくなってない?同じ顔ぶれも前より増えてる気がするし。」

 

黒見セリカは愚痴るように吐き捨てた

 

「ん、なんか一人変な奴がいた。」

 

砂狼シロコはその洞察力を遺憾なく発揮していた

 

「えっマジ!じゃあ、やっぱソイツを潰さないと!」

 

「え〜面倒くさいよ。大体ノノミちゃんのミニガンで一瞬じゃん。」

 

「そんな物騒なこと言っちゃ駄目だよ〜セリカちゃん。」

 

「わかったわよ、所詮ヘルメット団だしね。」

 

渋々納得するセリカ

 

ホシノは眠い頭で思考を巡らす

 

あの動きが明らかに周りより良いのに、全然攻撃意欲の感じられない、違和感があるヘルメット団員...

 

まあ、脅威じゃないなら放っておいたっていいし、後輩たちが簡単に負けるとは思えない...それにいざとなれば、ね

 

そうして今日も可愛い後輩の胸で惰眠を貪ろうとするホルスではあった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

...

...

 

 

「Lさん、ありがとうございます!」

 

「本当Lさん居なかったらアタシらの命は砂漠に還ってました!」

 

「こちら支給品のプリンです!水で薄められた粗悪品ですが、どうぞ!」

 

はい、頑丈さが取り柄であまり本気で戦ってない私はいつの間にか最年長(二週間前に赴任)としてヘルメット団員たちの中で支持を集めてました

 

「いや、プリンは自分で食べてくれ。私はそのおかずを一品分けて貰らってるからもう十分だよ。」

 

「で、では肩をお揉みしましょうか?」

 

「いいから、早く食べてくれ。まだこの仕事を続けたいんだったら身体を大切にしないと...。」

 

「「「はっ!」」」

 

...おかしいなぁ、私本当になんでこんなことしてるのかな?

 

身バレ防止用に爆弾の絵のメットは上に防弾ネットをかけているし、身長を誤魔化すために7cmを底上げしてくれる軍用ブーツを着用してる上に、特殊なマスクで声も若干低めになってる、だから本当にみんなは『L』を信頼してるんだよな

 

嬉しそうに在学中の思い出を語ってくる子や、ここでお金を稼いでどうにか復学をしたいと言ってる子、初等部や中等部の妹の学費を稼ぐんだって謳ってる子

 

...はぁ、情が湧いちゃったのかな?

やっぱり、ゲームと全然違うよ

自分を襲ってきたスケバンやヘルメット団たちも、理由があったのかな...

 

弱かった頃は強くなって、虐げられないように思ってたけど、結局彼女らも虐げられて、大人の手駒にされてるだけだった

 

青春...か、彼女たちにもそれを味わえるのかな?

 

悪いのは『大人』なのかな、それとも無責任に失踪した『連邦生徒会長』なのかな?

...もしかしたら、キヴォトスという箱庭自体が『悪』なのかもな

 

でも、少なくとも私の目が届いてる彼女たちには幸せになって欲しいのはエゴなんだよね

 

どうにも思考が沈んでしまう、そんな時だった

 

「Lさん!みんな、大変だ!!」

 

一人の団員が体勢を崩しながら走ってくる

 

「クライアントが、クライアントが今週中に成果を出さなかったら...俺らクビにするって!」

 

「「「!?」」」

 

一同が息を呑む

 

「無茶だよ、あいつらに勝てるわけないだろ!」

 

誰かが皆の本音を叫ぶ、実際戦うので精一杯だった

 

「一応、戦車が二台、迫撃砲が十台くらい支援されましたけど....。」

 

普通なら破格の兵力なのだが、それが対策委員会に通じるか...正直言って怪しい

 

「Lさん、どうすれば...?」

 

周りに視線が一気に自分に集められたのを感じる

 

過酷で悪烈な環境だが、堪えれば通常の闇バイトの数倍は賃金がある

このカネを当てにしてる子もいっぱい居る

 

どう...すれば....

今貰った兵器を売り払って逃げる、それが一番現実的だ

 

だがそれが彼女らの救いになるかと言えば、違う

 

日銭を稼ぐので一杯一杯の彼女らだ、仕送りや弾薬を補充したり、闇市で銃の点検をするだけで、恐らく直ぐに今回の報酬は消えてしまう

 

...交渉か、はたまた私一人での突貫か

 

爆弾をふんだんに使えば、あの校舎の一角くらいは崩せる、そうすれば成果が出たことで仕事が続くかも知れない

 

しかし、駄目だ

そもそもアビドスの子達も、この子達もみんなカイザーを始めとした『悪い大人』の被害者でしかない

 

なんなら、それで『暁のホルス』を怒らせれば多分私たちは生きて帰れない

 

ああ!もう!?

頭が痛い!!私考えるのは苦手なんだよ!

 

学籍...金...交渉...!?

 

閃いたが、果たしてどうすればいいのだろう?

 

だけど、これに賭けるしかない!

 

取り敢えず先ずは確認だ

 

私のせいなのか、別の何かなのか、そもそもゲームの世界と違うのかは分からないが、ここは結構原作と食い違っている

 

万が一、先生が呼ばれていなかったら

この計画は破綻する...

 

よし、決めた!

 

「...みんな!一回私に任せてくれ。だから一旦みんなには英気を養ってもらう。襲撃もここら数日はお休みだ。」

 

「...わかった。」

 

「Lさんがそう言うなら..。」

 

ボソボソと各々が承諾を口にする

そうは言ってもやはり、皆の雰囲気は暗い

 

...手取り早く、当人に聞いてみるのが早い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

夜のアビドスは寒い

砂漠というのは日中に暑くて、夜間は冷え込むクソみたいな気候だ

 

当然夜道を進むのも他の学区より恐ろしく感じる

人気がまるで感じられない荒廃した街路

電気も通らない場所があるため、付かない街灯

 

闇に包まれたこの場所は慣れない迷い人を極悪の環境で絞め殺すこともある

 

そんな夜闇をスマホのライトを頼りに一人で歩くは、対策委員会の書記兼オペレーターの奥空アヤネであった

 

一応手元に拳銃を持っているが、基本後方である彼女は『比較的』にアビドス高等学校の中でも弱い方である

 

「そこのお姉さん、こんばんは。」

 

そんな彼女を一つの低い声が呼びかけた

 

「うひゃあ!?」

 

驚きと共にライトとハンドガンを声のした方向へと向ける

 

暗闇でよく見えないが、薄らとヘルメットを被ったそのシルエットに闇討ちを警戒するアヤネ

 

「ヘルメット団がこんな夜に何の用ですか?」

 

当たり前だが、キヴォトスの中でヘルメット団に好感を抱く人は少なく、毎日のように襲撃を受けてる対策委員の彼女は恨みに近しい感情を抱いていてもおかしくはない

 

それでも対話を選んだ理由は、彼女が温厚な性格且つ、目の前の推定ヘルメット団員が不気味ながらも言葉をかけてきたからである

 

「...そうですね、名前はお伝えできませんが、まあ今はLと呼ばれているので良かったらどうぞ。」

 

不思議なヘルメット団であったことをアヤネは強く思った、元は何かの委員会に入っていたのか、やたらと丁寧なのである

 

「...私の名前は奥空アヤネ、名字でも名前でも構いませんが、早く要件を伝えてください。」

 

それはそうと夜は既に更けており、早めに帰宅をしたい彼女ではあった

 

「じゃあ、アヤネさん。先生、じゃなくて連邦調査局のシャーレに嘆願書って送りました?」

 

彼女は迷った、果たして簡単に情報を伝えていいんだろうか?

しかし、相手も結構誠実な態度を取っている

なら...

 

「はい、どうして知っているのかは分かりませんが、近日中にはいらっしゃると返答は頂いております。これで補給も物資も十分になり、顧問もできるので、あなた達の目的は叶いませんよ。」

 

「...そう、ですか。感謝します、今度は昼間に会いましょう。」

 

言外にまた襲撃をすると言ってる目の前の不審者にアヤネは苛立ちと怒りを抱いたが、同級生や先輩を見てきたその目から、恐らく自分以上の実力の彼女と戦闘する気にもなれなかった

 

怪しいヘルメット団員はそのまま路地の奥へと消えていった

 

何だったんだろうかとため息を吐き、家路を急ごうとしたその時...

 

再び消えた路地から先程の人影が現れる

 

「あの、外に通じる道ってどこです?」

 

「はぁ...私が来た道をまっすぐ行って、二つ目の曲がり角を右に曲がってください。そしたら大通りに出るんで、後は標識でも見てください。」

 

...何故か一気に怒りの感情も失せてしまい、道を丁寧に教えてしまうアヤネだった

 

「すいません、ほんっと助かりました!マジでここ迷うんすよ...。」

 

それだけ言って彼女と同じくらいの背の少女はアビドスの外を目指して走り去っていった

 

本当に、何だったんだろ...あの変な人

 




お読みいただきありがとうございます!

学籍のない子の描写少ないんですよね、本作では先生が裏で頑張ってる設定にしときますわ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。