ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団 作:名もなきドクター
ブラックマーケット、闇市とも呼ばれるそこは町に近い存在だ
銀行や飲食店から個人の露店や密造銃ショップと諸々揃っている
専用に雇っている警備員もいるので、もはや企業によって統治が行われている自治区と言ってもいい場所で、特にアビドスの闇市は特別な事情があるので、実質企業自治区である
よく見かけるならず者集団を始め、極秘で入手したいものがある生徒、仕事が欲しいフリーランスの傭兵、兵力が欲しい『大人』だったりと実に様々な人種が集まる活気溢れる所である
そんな所で何をしているかと言うと、兵器の転売ヤーである
原作と違い、基地襲撃を受けなかったヘルメット団の残存物資を売り飛ばしているのだ
手榴弾やプラスチック爆弾といった爆発物、から始め、支給品の自動小銃やその弾薬
更には破壊されずに済んだ迫撃砲もある
「思ったより良い値段がするもんだな...。」
製造元に繋がる情報を全て潰されてる兵器の価値はリトルの思っているよりも高く、割と適当に六桁の値段を付けているのにじゃんじゃん売れてしまうことの理由が分からないリトルのオツムであった
シャバ代をブロックの管理者に払えば自由に露店を開けるこの場所ならこの物資を金に変えれるし、足も付かない
かの王女の言葉を借りれば武器商人にジョブチェンジである
現金オンリーに指定している所為で、札束がエグいことになってるし、団体客が来た時に出された黒いキャッシュケースには物凄く心が躍った
が、ぶっちゃけ転売は本来の目的のついででしかない
ブラックマーケットの掲示板に絶版ペロロ様ぬいぐるみの情報を放流し、ペロロ様キチガイこと阿慈谷ヒフミを釣ることが真の目的だ
そして、見事に獲物は餌に食いついた
今日の朝に匿名掲示板でスレットを立てると、異常な程の熱量で質問してくる子がいたのだ
特徴を一つ一つ答え、最後には写真を撮って貼り付けると即値段交渉が始まってしまい、その勢いに着いていけてない私もいた
でも、本当にお嬢様だよな...
一回目の提示額が八桁ってエグいな
市場に出ていないのなら...その価値はあるのかな?
よく分からない
適当に値段を吊り上げていたら五百台まで行ってしまい、収拾が付かなくなりそうだったから、慌てて条件を提示した
こちらの指定した日にこのブラックマーケットに訪れれば友情価格で売ると書いた直ぐにモモトークを貼って来たのが、本当に冷静さを失ってるとわかってしまう
一応名前とIDを非表示にして、友達登録すると...はい、阿慈谷ヒフミでした
情報リテラシーとかはちゃんとしてそうな子のはずなんだけどな...
取り敢えず他の角度で撮った写真を送って、信憑性を上げて、機嫌を取ってみる
『いつ?いつに向かえば良いのでしょうか?最大で1450万いえ!1510万クレジットまでだったら出せますから!売ってください!お願いします!』
絶対使っちゃいけないお金とかも入ってそうで怖いので、値段は...一万二千三百クレジットにしておいた
特別な意味はない、強いて言うなら遠回しに名前を隠して欲しいという意思を込めた
『日付は後ほど伝える。』っと
通知をオフにして、目の前の露店に意識をどうにか移す
どうしてアレで自己評価が『普通』なのだろうか?明らかに常軌を逸しているだろ...
ぼちぼちと客足と商品も減って来たので撤退する、アビドスとゲヘナは学区が繋がっていて助かった、徒歩で家へ帰れるのは良い
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最近あまり帰れていないマイホームの畳に寝そべって、愛銃の手入れをする
分かり易く十数パーツしかないこの子は本当にお手入れが簡単だし、組み上げる瞬間は何度もやっても楽しい
自分の身長よりも高く積み重なった弾薬箱から銃弾を十二発抜いて、ペンチで弾頭を抜いて、中の火薬を一度別の容器に移す
13対18くらいの比率で元の火薬と神秘火薬を混ぜ合わせて薬室に戻す
更に服から空の薬莢を取り出して、1対9の割合でさっき抜き出した火薬と神秘火薬を詰め込み、特製の弾頭を取り付ける
これで爆発する銃弾ができるのだが...某便利屋の社長さんのアレはなんなんだろうな?
やっぱ神秘だけで勝手に爆発してるんだろうか...
手間暇かけて劣化バージョンを作ってる私と、天賦とカッコ良さを求めた一発で遥かにダメージが出る陸八魔アル
意図せずして自分の実力を理解させられる
箪笥の下から二段目の服の下に隠した赤瓶を取り出して、進歩した神秘操作でとにかく圧縮するイメージで身体の内側から力を瓶に押し込む
通常よりも若干色の深い火薬は別で保管する
百均で買った水筒にそれを詰め込む500mlの瓶の三分のニほど埋まっているそれは、深夜に100g程度を林に投げ込んだら、自分ごと吹き飛ばしてしまう威力だった
熱や一回目に発生する衝撃は自分の神秘によりものだから干渉を受けないのだが、その後に生じた爆風や飛んできた石は普通に当たるのだ
だから自爆だとあまり損害を受けないってのはある....自分より強い生徒に近づけるかっていう問題と自爆したところで倒せるかってのがネックではあるが、大きな武器であることに間違いない
実際いつも持ち歩いてる爆薬にはこれが15gくらい入ってるのだが、一回銃弾に突っ込んで使ったところ、発射する前に銃内部で爆発してしまい、高温になった銃身が冷めるまでひたすらお祈りした経験があるので二度と試さないと誓ってる
壊れなくてよかったと今でも思う
理想はこの濃縮火薬を弾頭にすれば良いのだが、いくら頑張っても固体に出来ないので諦めてる
創意工夫と持続した訓練でどうにかこの修羅の国でやっていくしかないかぁ
ゲヘナのモブとか偶にヤバいやつが混じっていたりするし、おっかないのだ
一日の日課を終えたので疲労を流しに風呂に入り、カップ麺を一杯食べて明日の支度をする
最近学校行けてないから成績がちょっと不安な上、風紀委員の訓練も受けられてない
その代わりに過酷な戦闘経験を得てしまったが...二度とあの子たちと戦いたくないな
少しカビ臭い布団に身を包み、眠りに着く
....明日天気が良かったら布団を干そう
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カーテンの付いていない窓から光が差し込み、ふわりと意識が浮上する
枕の下に隠した相棒を抜き出し、洗面台に向かう
20cmくらいの踏み台に乗って、歯磨きと洗顔をし、寝癖を直して顔を拭く
低身長には優しくない世界に恨みを垂らして、寝室に戻って身支度をする
世の中ではスパッツをつけない生徒や、履いてない疑惑の生徒もいるが、私はスースーするのが嫌だし、走る時にスカートを気にしなくて済むので愛用している
パジャマから制服に着替え、朝のランニングへと向かう
人気のない道とスプレーで一面染色された壁をよそ目に、一定のペースで走る
私は基本五キロ程度で終わらしているが、十とか二十いく生徒もいるにはいるらしい
最初の頃は偶に現れる不良集団に詰められてたりしたが、全員に爆弾と弾丸をプレゼントしていたら、いつの間にかみんな遠慮して来なくなったので快適な生活を送れてる
...爆弾の周辺被害が大きくて、補填するのが痛くて、以降は出来るだけ鉛玉を贈呈している
やはり力こそ正義だと実感し、ランニング終わりにコンビニに寄って水分と朝食を購入して帰宅
汗を処理して、エネルギー補給を済ませば天気を調べて布団をベランダに干す
念の為に先生にその日のアビドスの予定とかも聞いているので、まだ便利屋が襲来していないことは分かっている
筆記用具と爆発物と財布を入れた鞄を背負い、久々の登校である
入学式以来は大きな問題は発生していないし、風紀委員会が駐屯している第二校舎や第三校舎は非常に安心できる場所である
基本的には映像授業形式で勉強を習い、課題を提出したり、ロボット頭の試験監督の元テストを受けたりして成績を出している
初期の不登校が足を引っ張り、今でもリトルちゃんは平均スレスレの成績である
解せない、前世知識バフがあるのに何故か肝心な時に忘れてしまうのだ
取り敢えず授業を受け、昼食は数千人でぎゅうぎゅう詰めの給食部の食堂で食べる
今日はうどんだった
具沢山で、出汁のいい香りがする美味しいうどんだったし、ぱっと見でわかる手抜きとかはなかったから、おそらくまだフウカたんの余裕が残っている日だ
業者の輸送車が襲撃を受けて食材が届かず、彼女自身で食材を購入しにいったり、ジュリが飯テロを起こして、大規模食中毒が発生し、救急医療部に大量搬送が発生しない日であれば、大抵は丁寧に何千人分もの美味しい給食が出されるが
上記の条件が複数重なると、明らかに冷凍食品っぽいものやカレーが三連続で出されたりと手抜きが酷くなっていき、最終的にそれにキレたゲヘナ生もしくは美食に爆破テロを起こされて、給食部が数日休止するのがお決まりのパターンである
お労しや案件だな、と思いながらもうどんを啜る私だった
しかし、やはり良いな
昼間の給食室から物凄く良い匂いがして、みんなでその日のメニューを想像しながら向かう食堂は
リトルも知り合った風紀委員の子やイオリ先輩と偶に一緒にお昼を食べるが
ちゃんとした料理を誰かと囲むと、やっぱ心の温もりを得られる、その後も頑張る気になれるのだ
残念ながら今日は一人で食事をし、午後の授業を受けたが、放課後の風紀委員会の本部の様子を見るに、学区内のどっかでの戦闘を鎮圧するのに忙しそうなので、そのまま下校をする
校門の前で銃撃戦が起こっていたので、迂回をして塀によじ登って敷地を脱出して
途中で温泉開発部が道路のど真ん中を掘っているところにヒナ委員長が単独で突撃するのを横目に通り過ぎ、家へと向かう道で二十数人規模のヘルメット団に爆弾を食らわせて、後で学校への弁償のために近くの標識の写真を撮る
スマホを眺めると、美食研究部が爆破予告を出している投稿があったのでいいねを付けて、ついでに最近のおすすめ飲食店を探す
帰宅する頃にはすっかりと日は沈んでいた
青春って言い張るには難しいが、日常と言うには十分な穏やかな一日であった
今日もいい一日だった
ここまでお読みいただきありがとうございます
やっぱ日常っていいものですよね
休日に10時まで布団に篭っていたので凄く幸せでした