ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団   作:名もなきドクター

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出歯亀にはそれ相応の結末がある

数十人もの傭兵がアビドスの校舎に進撃を開始したのを二キロ程離れた建物の上から確認する

 

あー、やっぱ傭兵っていうだけ、私達よりも練度も連携も上手いな

 

それなのに全く自分が戦っていた時と絵面が変化しないの、本当にバグだろ

 

どうして前衛二人、中衛一人、後衛1人であの大群を抑えられるんですか?

先生の指揮バフも合わさって天衣無縫な戦闘を繰り広げる

 

しかし、相手側には悪名高き便利屋がいる

命知らずの猛突進を繰り返すハルカ、隙あらば傭兵に混じって奇襲をしようとするとムツキ、後方から時々脅威的な一射を届けるアル

 

そして何よりもカヨコの指揮が硬直を生み出していた

 

先生と傭兵を抜いて、ホシノが本気を出さなければ恐らく互角かやや便利屋が上手の筈なのだが、キヴォトス最高峰の頭脳の一つを持つカヨコが冷静に数の有利で押してくるせいで、対策委員会も持久戦を強いられてるように思える

 

だが、何と言ってもやはり最高戦力同士の存在感が強く、爆発する厄介極まりない一撃を悉くおじさんが軽々しく盾で受けるせいで、便利屋側の打開策が生まれない

 

ヒナ>>>越えられない壁>>>便利屋>ヒナ抜き風紀委員会

 

とか言うふざけたパワーバランスによって証明されてる便利屋の敗北率100%の不等式がある

 

ヒナ=ホシノ>>>越えられない壁>>>便利屋

 

はい、ここでお分かりのように例え先生抜きで傭兵有りでもおじさん()が本気なると便利屋一行は惨敗します

 

そして激しい戦闘が数時間続き、放課後を示すチャイムが鳴り響く

傭兵たちが撤収を始めた、アル社長たちの奮闘も虚しく戦局が崩れる

夕日に照らされながら、便利屋はその自慢の逃げ足ですぐさま姿を眩ます

 

……なんか親近感が湧いてしまう

自分もヘルメット団バイトしてた頃は逃げてたなぁ

 

音声は楽しめなかったが、これで明日にはブラックマーケットへ向かうことが分かったので、未読が百件以上あるモモトークに日時を指定する

 

確か、利子を支払った後に向かうんだっけな?

 

屋根から飛び降りながら考える

果たして自分はどこまで関われば良いのだろうか?

 

そして悲劇というか喜劇が起こった

 

脆くなっていた屋根は途端にその形を保てなくなり、重心をかけていたリトルちゃんは体勢を大きく崩してしまう

 

「うひゃぁ!?」

 

目の前に迫り来る地面に恐怖を覚えながらなす術もなく、頭部を叩きつける

 

幸い、万が一にホシノセンサーに引っ掛かることを考慮して着用しておいたメットが衝撃を吸収し、どうにか受け身を取ることができた

 

「あ、アル様!今向こうで何か物音が!!」

 

「へっ?ああああ、安心しなさい!私たちの足はあのヒナからですら逃げ切れるのよ!消耗の激しいアビドスの連中に追いつかれる筈がないわ!」

 

「アルちゃん、それ多分自慢しちゃいけないやつだと思うよ?」

 

「…でも警戒しておくことに損はない。」

 

聞き覚えのある声が耳に届く

えぇ、速すぎじゃない??

 

とにかく一旦立ち上がらないと!

 

「人が倒れてます!アル様、どうすれば良いでしょうか…?」

 

「えっ!助けなきゃでしょ?ここって救急車は来るのかしら?」

 

特に痛む場所もないので、両手を突いて体を起こす

 

「よっこいしょ……あ、私のことはお気になさらず。」

 

数歩離れた場所にあった望遠鏡を手に取る

 

「あ、貴女本当に怪我はないのよね?」

 

自分もボロボロなのに、こちらを心から気にしてくれてる少女は夕陽のせいか眩しく感じる

 

「あ、はい。大丈夫です。」

 

身の無事を保証し、ここから立ち去ろうとしたが

 

「はいはい〜、ちょっと大人しくしててね?」

 

いつの間にか背後に回り込んだムツキに銃を当てられる

 

「ちょっ!?ムツキ??」

 

諌めようとする社長を最年長の鬼方カヨコがそっと抑え、前からは警戒心を表すハルカがそのショットガンを私に向ける

 

「タイミングとその手に持ってる双眼鏡、アンタどっちの回し者?」

 

ま、回し者?困惑で言葉が口から出なかった

 

「口を割らないんだったら、念のためここで気絶してもらう。」

 

口を割るって何を言えば良いのこれ?着いていけないリトルだった

 

「ま…待ってカヨコ、なんで急にこんなことを?」

 

私の疑問を代弁してくれる陸八魔アル

 

「アルちゃんったら…おかしいと思わない?まるで私達がアビドスに攻め込むのを知ってるみたいに、遠くから覗き見してたこの子…雇い主側か、アビドスの伏兵かのどっちかだよ?」

 

「……。」

 

ポカーンとなる私とアルちゃん

 

え、えぇ……切り抜けるにはやっぱ、あれか?

 

「コホン、さっきまで数人の生徒に大勢でボロ負けしたのに中々の勘の鋭さだ。」

 

「理事長がアンタらだけで安心するようなお方じゃない、私が次の手札だ。」

 

こんなんで良いんだよね?

 

「……ふふ、舐められたものね。」

 

へっ?

 

薄い両目を見開き、陸八魔アルはこちらを見据える

 

「あの子達は私たちの獲物よ!それをどうであれ横取りするって言うのなら…」

 

心なしか側頭部に当てられた銃口に力が入り、目の前のハルカの目が逝き始める

 

あっれれ?これって同業者仲良くしましょうの流れじゃないの??

 

ま、不味い!!

どうにかして逃げなきゃ!

 

この際なり振り構ってられない、銃や服は保護されるのは確認済みだし…!

 

内ポケットに隠してあった爆弾を()()起爆する

 

「だけど、私たちが負けたことにk

 

「アル様!!」

 

「えっ!?」

 

異変に気づいたハルカがアルを押し倒し、側頭部に当てられてた銃口からは7.62mmの大口径弾が放たれる

 

ドコーン

 

私を中心にして起こった爆発は、目に見える範囲にあった周囲の建物全てを吹き飛ばし、巻き起こった粉塵と砂塵は視界を完全に遮る

 

……なんか言おうとしてたアルちゃんに申し訳なさを感じつつ、私は鈍く痛む側頭部に悩まされながらも素早く逃げ出した

 

押し倒されてた時、チラッと白目剥いてた気もするが…

 

うん、気のせいだろう

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

……

……

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケホッ!ケホッ!

 

倒壊した建物の下から後頭部に大きな角を持った少女が現れる

 

懐には彼女を庇って意識を失った陰気な少女を抱えていた

 

「……カヨコ?ムツキ?」

 

珍しく弱気な語気で小さく呼びかける

 

「ふぅ…やられちゃったね?」

 

「……。」

 

至近距離で爆破を受けたにも関わらず小柄な爆弾魔は意識を失わずにいたし、もう片割れもただ恐ろしい顔を浮かべて沈黙するだけであった

 

「ふふふ!!…うちのアルちゃんとハルカをこんな風にさせちゃって!」

 

「ど う 責 任 を 取 ら せ よ う か ?」

 

いつも浮かべてる悪戯の笑顔とは真逆

目を張り口を大きく開けて怒りを露わにする仲間思いの彼女

 

「…アイツの言うことが正しければ、絶対アビドスに接触する。」

 

「……アウトローの流儀に従って、仲間を傷つけられた恨みは晴らさないとね?」

 

ここにてリトルの知らないところで、大きな災難が決定づけられた

 

喜劇を抜いた便利屋が、どれだけ自分たちを舐めた勢力を沈めてきたのかを味わうこととなったのだから

 

 




ここまでお読みいただきありがとうございます!

おや、便利屋の様子が??
次回!便利屋vs謎のヘルメット団員ファイッ!
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