ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団   作:名もなきドクター

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膝枕は理想シチュだけど受けると恥ずい

キロ単位離れた場所から届けられた致命的な一発の弾丸

 

補修に補修を重ねられたメットを貫通し、頭蓋を揺らす

 

花火のように咲き誇ったソレはヘルメットを四散させ、私の意識を刈り取りに来る

 

ここで飛べば楽だった

 

「死んでください!!死んでください!!死んでください!!!!」

 

錯乱状態の彼女から放たれた散弾はイバラのように身体に突き刺さる

 

下がらなきゃ!

体勢を立て直そうと後ろへと逃げる

 

ボドン

無骨なボストンバックが後退を許さない

 

大きく破裂して生じた衝撃が足を運ばせない

 

逃げる??

ニゲる?

 

覚束ない足取りでふらふらと踏み抜いた先は地雷原だった

 

容赦なく悪魔の兵器は獲物の足を奪おうとする

 

駆け抜けろ!!

ここで止まるわけにはいけない!

 

地雷だろうが爆弾だろうが、走り抜け!

私はそうして生きてきたのだろう!

 

ここで正しき出会いを!

 

無様の転がりながら闇市へと向かう、純真なる少女との約束、救世主たる彼女の選択を潰えさせる訳にはいかない!

 

立ち塞がる狂人に愛銃を向ける

 

顔に一発撃つ、ハズレ

両目を潰す二発、命中

腹に一発、足に二発、共に命中

 

身体の記憶に従って六発装填

 

瞬間、顔面に鉛玉を叩きつけられる

五発急所に命中されながらも、薔薇の守護を誓う少女は止まらない

 

「消えてください!!消えてください!!」

 

まるで一本の矢のように下がることを知らない彼女は絶えず前進し、トリガーハッピーとしか表現できない頻度でトリガーを引き続ける

 

邪魔だ、そっちこそ消えろ!

 

射出と同時に起爆!

的中した瞬間に再起爆!

 

顔面に高速の弾丸と爆発喰らい

ゆらり、遂に彼女は倒れ伏せ...

 

なかった

 

泣いているのか、嗤っているのかも判別不可能な声を漏らしながら迫り来る

 

「あはは!覚悟してね?」

 

凶笑を浮かべながら小さき悪魔は死の悪戯を仕掛けてくる

 

分速八百発の速度で放たれた三点バーストが背後から頭から胴にかけて襲う

 

高速、大口径、且つ上質な神秘

 

それは私を蹂躙するには十二分であり、朧げになっていく意識を追い詰める

 

トドメと言わんばかりに後頭部に突き刺さる正確無比なライフル弾

 

それが花開くと同時に私の意識が途絶える

 

途絶える?途絶えていいのカ?

 

こコで、止マッテいイノか?

 

ダメダ!イケナイ!!

 

地面にうつ伏せになリながラも、私ハ諦めない

 

二度と惨劇を、捻レた終局ヲ見ない為に!

 

立ち上がる、マズは...殺してやルぞ!陸八魔アル!!!!

 

赤熱するヘイローは我ガ本懐ヲ為す手助けであり、こノしぶとイ精神の表れだ

 

拳銃デは決シテ届かなイ距離だが...この箱庭ニ『平穏』ヲ与エタマエ

 

過剰に注入された神秘により風景を歪ませる一丁のリボルバー

 

依然トそのマシンガンを撃ち続ケル彼女を無視スル

 

撃鉄ヲ上げ、銃口ニ意識を集中スる

 

ド ン !

 

さながら大砲のような射撃音

 

ドゴン!

 

遠くから轟いてくる爆発音

 

呆気取られた小さナ少女ニ渾身ノ一弾を振ル舞う

 

しかし、私ガ撃鉄を上げた瞬間、後方カラ飛ビかかられ、敢え無ク地面に銃弾ヲ打ち付ケ爆炎が巻キ起コる

 

......

......

......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

私は言いました

 

ペロロ様とは光であり、ペロロ様とは世界であると

 

可愛いというには余りにも格好良く、ハードボイルドというには少々茶目っけがあって、可憐さ、美麗さ、頼もしさ、どれをどうとっても世界最高の生物、いや最早生物の域を超え、神の領域です!!

 

「おい!」

 

いっそ多くのキヴォトスの迷える子羊にペロロ様の教えを伝えるために、百鬼夜行を見習って社を建てるのも悪くありません!!

 

...すみません、少し取り乱してました

 

絶版ものとは掛け替えのない黄金であります

その黄金に触れられる日が遂にきました!

 

最初は全財産を尽くしたっていいと思ってましたが、良心的な売り手さんが12300クレジットという格安の値段で譲ってくれるというので、今日私は珍しく無計画でブラックマーケットに来ています

 

「おい!!」

 

何か特殊な意味が込められていて、実は全裸で12300クレジットだけ持ってこいみたいなことを要求されてるとも思いましたが、質問したところ即服は着てと注意を受けたので、本当に善意のみでの譲渡らしいです!!

 

ハァハァ...待ち切れません!

先程から私の心臓は高まりを続け、いつかいつかと運命の出会いを待ち侘びてるのです

 

「おい!聞いてんのか?」

 

「こいつ薬やってねえよな...?俺一回さ、本当にヤクやってる奴を見たことあるんだけど、ソイツも目が飛んでて、話しかけても反応しねえんだよ...。」

 

「えっ...確かに飛んでやがる。」

 

「や、辞めとくか?」

 

えっ!?いつの間にかスケバンみたいな方々に囲まれてしまいました...

どうしましょう!お、応戦すればいいのでしょうか?

もしここでお金を奪われたら...ペロロ様との出会いが....

 

「なんか震えてやがるぞ...やっぱ辞めとこうぜ。」

 

「弱いものいじめは許さないわよ!」

 

「ん、強盗はダメ。」

 

....

....

....

 

 

 

 

私が取り乱している間に心優しい方々が助けに来てくれて、不良たちを追い払ってくれました

 

話を聞けば、彼女らはあの悪名高いカイザーグループから借金をしており、それとは別に謎の勢力によって日々襲撃を受けているそうです

 

闇銀行やマーケットガードについて説明していたら、助けて貰ったお礼に今日一日同行することになりました

 

……

……

 

「たい焼き美味しいですね。」

 

「うん。」

 

「甘いものが疲れた頭に沁みるよ〜」

 

調査を手伝い、調べた結果

アビドスの皆さんが持っていた戦車の欠片は製造ルートや流通に於いて殆ど分かることがなく、後ろで大きな力が蠢いていることだけはわかった

 

「それでその待ち合わせの相手と、いつもここで兵器を売っている人の場所が同じなんですね。」

 

通信機越しにアヤネさんが疑問を投げかける

 

「偶然…なんですかね?でも待ち合わせの時間よりも少し遅いですね……もう帰ってしまったのでしょうか?」

 

先日手に入れたアイス店とのコラボ品は限定100体しか生産されていませんでしたが、今回の取引のものはそれよりも遥かに希少です

 

生産は万単位であったのですが、工場の不備や治安悪化の影響を受けて流通前に大部分が消失、僅かに出荷されたペロロ様達も輸送車を狙った不良達によって破棄や破壊を受けてしまったのです

 

現在確認されているのはたった十体と少々、なんとしても手に入れたかったのですが…

 

「ねえ、アンタの取引相手ってさ…あの生徒じゃないの?」

 

セリカさんが指差した先に、満身創痍でヘルメットの残骸を被った黒髪の少女がノロノロと歩いていました

 

土や鉄の匂い、それと濃厚な硝煙と火薬の臭い

それらを漂わせながら、彼女は胸元にあった鞄を大事に抱えてこちらに向かっていた

 

過激な戦闘の跡が見て取れる彼女は私達を見た途端に安堵したのか、そのまま倒れてしまいました

 

「ま、不味いわ!この怪我は手当しないと相当治るのに時間がかかってしまうわ!」

 

“…ッ!マーケットガードがこちらの方にやって来ているよ!一旦彼女を連れてここを離れよう。”

 

大人である先生は冷静な判断を下し、私とアビドスの方々は取り敢えずマーケットガードから離れようとしましたが

 

「…あれ?あの車、今日私たちの返済した現金の……。」

 

「シロコちゃん、間違いない?」

 

見た目と裏腹に最年長のホシノ先輩が少し剣呑な雰囲気で問いただす

 

「うん、ナンバーが同じ。」

 

シロコさんがマーケットガード達が護衛しているのは彼女らが払った利息の輸送車であることに気づいたので、急遽怪我人を連れたまま尾行をすることになりました

 

 

 

 

 

……

……

 

「はい、闇銀行はキヴォトスの犯罪に関わったお金が15%も流れていると言われているほどの大規模な銀行です。」

 

「それって私たちが犯罪資金を提供していたってこと!?」

 

目に見えて対策委員会の子達は怒りを募らせる

 

「……。」

 

「先生、ここでヒフミと一緒にこの子の面倒を見てて。」

 

シロコさんはそう言って徐に懐から2の番号が刺繍された覆面を取り出す

 

「なるほどね、それしかないか〜」

 

「そうなりますね♪」

 

ホシノ先輩が1の覆面を被り、続いてノノミさんも3の覆面を被る

 

最後に少々抵抗感があったセリカさんが4の覆面、アビドスの校舎にいるアヤネさんも0の覆面をした

 

“ううん、看病は私だけで大丈夫だよ。折角だしヒフミちゃんも行ってみたら?”

 

え?

 

「でも覆面になるようなものは…ええありましたね!」

 

そう言ってノノミさんは器用にたい焼きの袋に穴をあけ、何故か持っていたマーカーペンで5の数字を書きました

 

「いや、え?」

 

返事をする前に顔面に袋を被せられ、その勢いで闇銀行に突入することとなってしまいました

 

ナギサ先輩に会わせる顔がないです…

 

……

……

 

 

 

 

 

 

アヤネさんがハッキングで外部との通信を遮断したと同時にNo.1が天井に向かってそのショットガンを発砲

 

大きく響いた銃声は銀行員の方々の平常心を奪い、セリカさんが人質を一塊に誘導、ノノミさんがその重機関銃を見せつけて彼らを黙らせる

 

私は…大きく声を上げ、銀行強盗だと名乗りました…

向けられる目線に混じった恐怖に、少々罪悪感が湧きましたね

 

必死にマーケットガードに連絡しようとする銀行員の方にシロコさんはにじり寄り、そのアサルトライフルを突きつけて、鞄に現金輸送車の書類を詰め込むよう指示し、終わった途端私達は外へと駆け出した

 

……手際良すぎません?

若干アビドスの方々が普段何をなさっているのか不安になりつつも、ヤケになった私はただついて行くことしかできませんでした

 

外に出て、先生と合流した時には怪我人の方は居なくなっていました

 

結局逃げ切った先で先生が預かっていたペロロ様を渡してくれたので、万事解決でした

 

最後の方に、あの大悪党で数々の悪事を働いてきた便利屋一行に遭遇しましたが、はい

 

どうしてか、こちらに尊敬の念を向けてきていました

特に社長と名乗っていた方が、『水着覆面団』のリーダーのファウスト

 

……つまり、私に輝かしい視線を送ってきたのですが、私はあくまでも普通の生徒なのに

 

解散後、私は大切なペロロ様を抱きながら、アビドスの方々を助ける方法を模索していました

 

考えた結果、私に出来ることは、ティーパーティにこのことを伝えて、カイザーグループへの警戒を呼びかけることくらいしかできませんと思いました

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

……

……

……

 

 

 

 

 

 

「アル、そのお金どうするの?」

 

カヨコはスクールバックに入っていた大金を指差す

 

「どうせ置いて行ったって誰かが取っちゃうし、私たちで有効利用しちゃおうよ!」

 

ムツキは相変わらずその場の空気で提案をする

 

「……。」

 

ハルカは周りの様子を伺いながら、無言で陸八魔アルの決断を待つ

 

「使い道は後で決めるとして……持ち帰りましょう…。」

 

どこか納得が行かないまま社長は現金を手に取る

 

「しっかし、急にアイツがアルちゃんの方に向かってぶっ放した時は本当にヒヤヒヤしたよ?」

 

「ええ…カヨコが気づいて私を引っ張らなければもっと重傷を負っていたわ。ありがとう、私の課長。」

 

「……どういたしまして。」

 

他の人には分からないが、堅い絆で結ばれてる三人は彼女が照れてると分かる

 

「それよりも、ハルカ。貴女また無茶をしたでしょ!ほら、こっち来て傷を見せなさい!手当するから。」

 

「あ、えっ「ほら早く!」

 

いつもは幼い雰囲気のアルが、こう言う時だけは母親のように仲間を大切にする

 

それをよく知っている二人は楽しそうに慌てるハルカと彼女に近づくアルを眺める

 

「だけど、私達をコケにした報いは受けさせた。」

 

「…ま〜そうかな?私はハルカにつけた傷とアルに向かって撃ったあの弾が少し…ね?」

 

「これ以上は危険だ。今回あちら側に戦闘意思が薄かったからこの程度で済んだ。ヒナや風紀委員会と比べれば脅威は小さいが、深追いすればこっちの誰かが…特にハルカの戦い方だと大怪我をしてしまう。」

 

「…は〜い。例えアイツを幾ら痛めつけても、うちの子の傷は消えないもんね。分かった、今度会ったら一発当てるくらいにするね。」

 

カヨコが思慮深く考えを巡らし、アルが意思決定とまとめ役をする

ムツキは遊び心を交えつつも全体のサポート、ハルカは身を挺して実行役を遂行する

 

便利屋は一集団として完璧であった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

”傷は大丈夫?リトル。“

 

柔らかい感触を後頭部に感じつつ、先生の慈愛に満ちた双眼を直視する

髪を指櫛で溶いてくれるその手つきが異様に心地良くて、私は……

 

って!?

 

ふぁっ!?

 

ひ、ひひ膝枕やないかーーい!?

 

先生の太ももの上を転がり、慣れ親しんだ地面に顔を突っ込む

 

”り、リトル!?”

 

突如の奇行に困惑と驚きを隠せない先生の声に申し訳なさが噴水のように込み上がる

 

「私は大丈夫ですので!あっ先生、これヒフミちゃんに渡してください。」

 

鞄から無傷のペロロ様を引っ張り出して、先生の手に握らせる

 

“せめて手当の「ご迷惑をお掛けしました!!必ず後で連絡するんで!!」

 

言いたいことだけ言って、私は全速力で駆け出した

 

「ッ痛ぁ!?」

 

足に刺さった地雷の破片の痛みで一度倒れ込んだが、なんのその

こっちとら全裸で地面を這った女だ、こんくらいで止まらねえ!

 

駆け寄る先生よりも素早く起き上がり、ブラックマーケットの外へと向かう

 

気持ちよく寝れたせいか、あまり傷は痛まなかったので最高速を維持したまま私は闇市を出られた

 

……

……

 

 

嵐のように去って行った少女の後ろ姿を見つめる、一人の大人は

 

”やっぱり、あの子か。身長も声も少し違ったけど、うん。私の勘も中々ね、あれで褐色肌だったら最高なんだけどなぁ。“

 

そうやって静かに呟いた

 




ここまでお読みいただきありがとうございます!

私の中では先生は自分にキツく当たる子と褐色肌が大好きな紳士/淑女となっている
それにピッタリ合致するイオリ先輩は毒牙にかけられてるので裏付けとなる

まあ、心の間合いの達人なので、気にかける必要の子には手厚く支援し、依存傾向のある子とは距離を保つ
健全な精神でストレスを溜めてる子には変態行為をするっていうコミュ力の成せる技ですよね
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