ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団 作:名もなきドクター
一日の稽古を抜くだけで取り戻すには三日必要、そんなスパルタな話を風紀委員会所属の先輩に言われたのと、銃を初めて手にした興奮で一日中十数時間射撃練習と装填、排莢を一ヶ月繰り返してようやく一年の一般風紀委員モブちゃんに勝てるようになった
二年の先輩にも勝てるけどやはり役職持ちの人には苦戦するし、中隊長あたりが限界だった
そんなリトルちゃんだけど、今夢の中です
はい、夢の中です
そうだと分かった理由は複数あるけど、一番衝撃的なのがD.Uが火の海に沈んでいて遠くに見える塔はへし折れてて、誰もいないシャーレオフィスの残骸で自分が座っていたからだ
周りからは泣き声や怒鳴り声とか聞こえてくるのに、その声を辿れば全身黒タイツ…ではなくて黒塗りのナニカがいるだけで、こちらを認識してくれない
まあ、夢だよね…ってなった
明晰夢ってやつなんだろうけど、目が覚めないんだよね
体感では三日くらい過ぎてて、手元には焼け切れた姿の無惨な相棒があるだけ
不思議となんとも思わないというか、感情が死んでるみたいで何も感じない
驚いていないことに驚こうとしてる、けど驚かない…
私は何言ってんだ?
何も出来ないから、そこら中歩き回ってるけど火は熱さを感じないし、空は黒い灰の隙間から焼けた色が見える上、光輪が砕けている
…歪んだ終局点ってこれなのかな?
でもあれって色彩とかクロコが云々だったような…
んで、幾ら歩いても気づいたらシャーレの前に戻ってるのが現状
気が進まないけど、入れってことだよね
足裏に瓦礫の感触だけが鮮明に伝わる
半損した自動ドアを潜って、建物に入る
まるで大きな衝撃を建物全体が受けたみたいに柱や壁にヒビが入っていて、ガラスは皆砕けてる
ところで、執務室ってどこ?シャーレのシャワーを借りずにそのまま抜け出したから構造がよく分からないだよね
多分『先生』かクロコか大穴で連邦生徒会長とかにいるんじゃないかな?
と言うかいなかったら本当にどうすればいいの?
上層部へと上がろうとエレベーターのボタンを押しても反応しない
階段を登ろうとすれば途中で崩れている
んじゃ、下ってことか
途中まで登った階段を降って、地下室へと向かう
果たして直感は合っていた
床に転がる弾痕のついたタブレット、『シッテムの箱』
そして、横たわった▫️▫️の死体
クロコの姿は見えないが、何故かとても悲しい気持ちになる
自然と足が▫️▫️へと進んでいく
うつ伏せの彼女をカブトムシのようにひっくり返す
青白く、目の下の隈が酷い死体のような▫️が顕になる
ぼやけて良く見えない、だけど間違いなくコレは…この人は▫️▫️だ
歯を食いしばった、苦しそうな表情…な気がする
モザイクが掛かったような彼女の瞼をそっと閉じてあげる
安らかとは程遠い最期を迎えた彼女を見てると、何も感じない筈の心が裂けるような痛みに襲われる
ワタシノセイダ、先▫️ガ死ンダノハ
ポロポロと涙が溢れてくる勢いのまま▫️▫️の胸に顔を埋める
そんナ資格はワタシには残っテいないのニ
鏡が割れたように、先生の遺体も床も壁も全て罅が入っていく
次はもっト上手くやるよ、先生
次ハもっと上手ク、モット上手クコノ箱庭ヲ完全ニ壊シテヤル
二度トアナタガ苦シマナイタメニ、狂ッタ輪廻ゴト……
……
……
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「ふぁっ!?」
柔らかいソファの上で私は目を覚ました
えっ?そっちかぁ…うん、わかるよ
自爆ばっかりする奴がヒーローな訳は無いって
「…だけどそっちサイド、壊す方かよ。」
これ自決した方がいい案件か?
謎多きマイボディの情報を一つ手に出来たけど、明らかに悪役だよな私
「ククッ興味深い言葉ですね…おはようございます、リトルさん。」
頭の後ろの方からいかにも悪そうな大人の声が聞こえる
人形のようにぎこちなく首を回した先には、黒のスーツを着こなした異形がいた
「……。」
えっ黒服!?why?な、なんでぇ?
「おっと、これは失礼しました。私は…『黒服』とでもお呼びください。同僚のリエロから貴女のことは伺っていますし、データの提供は大変感謝します。」
で、データ?
あっ…爆薬の出る瓶!
「…それで、なんで私がここに?目的は何ですか?」
何はともあれ、必要最低限の情報が欲しい
「そう警戒なさらなくても。偶々道端に倒れている生徒が不思議な神秘を漂わせていたので、善意で屋内にお連れしただけですよ。治療も施しましたのですよ?」
えぇ〜?本当でござるかあ?
信用できねえ…
「そうですか、ありがとうございました。」
ソファから立ち上がり、礼をして立ち去ろうとする
「ふむ…。恩を着せるようなのですが、場を後にするのは一つ話を聞いてからでもいいでしょうか?」
聞く訳ないだろ!
こっちはおバカなんだからころっと騙されてモルモットにされる未来しか見えねえよ
「……二千万クレジット。」
ドアのぶに掛けた手が固まる
「場合によっては追加で報酬を出しますよ?」
色々と出費が重なったし、道路の修理費とか考えたら財布が心許ないような
うん、聞くだけだ
やばそうな匂いしたら即撤退する
ヨシ!
改めて黒服と机越しに対峙する
「こほん…少しの間用心棒をして頂きたい。それだけのことです、疑いが晴れないなら書面にまとめましょうか?」
そう言って引き出しから一枚紙を取り出して、すらすらとペンを滑らせるゲマトリア
こちらに差し出された紙を眺めると
・炸薬リトルは一度指示された時に戦闘行為をする
・契約時点で一千万クレジットを支払い、満了時点で残りの一千万クレジットを支払う
・違約となった際は一千万クレジットを違約金とする
・違約は戦闘行為の拒否のみ該当する
こちらに合わせてくれたのか簡潔で分かり易い書面
契約を破っても実質損害はないし、いいのでは?
二千万クレジット…
「この場で納得のいくまで考えてどうぞ。ペンはここに置いておきますね。」
……
……
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あれから一旦お家に帰って身支度をし、フレンドにゲマトリア二人目を追加したモモトークを眺めて布団に入り、翌日は通帳に振り込まれた数字の0を数えてニヤニヤしていたんですよ
二日後くらいだったかな?前回と同じように座標と指定時刻が送られて、徒歩で砂漠を一時間歩き、たどり着いた先は……アビドスの旧校舎
修理したてのヘルメットに入る砂の気持ち悪さとビシビシと鳴り響く脳内警報……察したね
で、こういう訳か
アビドスの砂に埋もれた旧校舎の前、私は先生とホシノを抜いた対策委員会と対峙する
破棄だ!破棄!
先生の指揮バフなしでも床を舐めさせられるメンツとどう戦えってんだ!
そう思っても時既にお寿司
ブチ切れたセリカのライフル弾を顔面に貰って、一触即発のバトルに突入
目の据わった銀行強盗一味からの殺気を浴びながら、私は仕方なく愛銃を抜いた
だって話しても通じなさそうなくらい怒ってるし、どうせボコられるんだったらお金貰った方がいいよね?
シロコの手榴弾を持った手を的確に撃ち抜き起爆させながら、リトルは思った
ここまでお読みいただきありがとうございます!
もう、介入できなさそうな原作はスキップします
無理にかいてもしゃあない
やっぱリトルの残念な頭じゃあ…