ガ ク ブ ル へ ル メ ッ ト 団   作:名もなきドクター

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地を這う者こそ望み有りて

暁に照らされながら、土の匂いを鼻いっぱいに吸い込む

 

雨の降った後だからか最早泥だけど

いや、そうじゃない!

 

陸に打ち上げられた魚とはこんな気持ちなんだろうか

 

「ふん!ふっーーん!」

 

リトル は おきあがろう と した

 

だけど はねる だけ に おわった

 

深夜から明け方にかけて母なる大地の上を這い回り、いつヘルメット痴女になるかひやひやしていたが、それ以上の問題が発生した

 

住み慣れた?アパートの前まで来たはいいものの...

 

立 て な い !

 

身体に力を入れようにも入らない

今も全力で身体を起こそうとしてるのに、まるでコ○キングみたいに跳ねるしか出来ねえ

 

嘘やろ...

 

リトルは激怒した!

必ずかの邪智暴虐のヘルメット団を!

 

ってところで意識が途切れたのである

 

気づいたら全身が痛いし、記憶がないし

何より...一糸纏わぬ姿になってらぁ!?

 

多分周囲の様子を見るに、爆発を起こすタイプの力っぽいけど、なんで服も燃えるんですか?

 

「神様のばっきゃろー、なんだこの能力?」

 

「マジでどこの浦和ナニコさんだよ...。」

 

脳内にとある痴女が思い浮かぶが解決策は浮かばない

 

手段1

 

助けを呼ぶ

 

「却下だ、ヘルメット一丁の痴女だぞ。」

 

手段2

 

頑張って起き上がる

 

「出来たらやってるわ。」

 

....

....

....

 

独り言で現実逃避してる場合じゃない

このまま朝になったらヤバい

絶対変態認定される、自分でも絵面がやばいと思うもん

 

目の前には扉が一個、横には郵便物受け

ドアノブよりは現実的な位置にある

 

「おりゃー!ふんす!!ごわすぅ!!」

 

うぬぬぬぬぅ!

 

文字通り渾身の力を振るって上体を起こす

下半身はもう諦める

 

「届けぇぇ!」

 

背筋全活用してどうにか郵便受けに手を伸ばす

 

右手に触れた冷たい感触を頼りに、もう片手を掛ける

 

「うぎぎぎぎ!」

 

産まれたての子鹿のようにぶるぶると震える両手に必死に力を込める

 

わずかに身体が起きる

 

希望の火がメラメラと燃え上がる

そう、今日から私が太陽だ!

 

心の中でテニスプレイヤーが叫ぶ

 

「ぃぃよおおいっしょおお!!」

 

柄にもなく声が出てしまう

いや、独り言はいつもしてるけどそうじゃないやつ

 

馬鹿げた脳内思考をしているとついに...

 

立 ち ま し た!

 

ハァハァ

 

息を荒げながら郵便受けからノブに手をかけ、親の仇の首を絞めるように、全力で握りしめて回す

 

ギィ

 

老朽化を表す軋んだ音が救いの福音に聞こえる

 

ドアに寄り掛かりながら隙間に身体を押し込み、どうにか扉を閉める

 

バタン

 

慣れ親しんだ床に身を委ねる

安心したせいか、一気に眠気が襲ってくる

 

泥だらけの身体で、リトルは泥のように眠りを貪った

 

(少女泥睡中)

 

ーーーーーーーーーーーー

 

燃え上がってるような、赫い空

都市の残骸が黒煙となって、大気を汚す

あたり一面死の海となった灼熱の中、少女は蹲る

 

慟哭が聞こえる、絶叫が聞こえる

啜り泣きが聞こえる、怒号が聞こえる

大切な相手を喪う悲しみが、理不尽への憤りが

 

なのに、なのにどうして

どうして、こんなにも

 

こんなにも解放感がするのだろう

 

身体にのし掛かる重りが全て無くなって身に纏う煩わしさも、しがらみも跡形もなく消し飛んだ

 

でも、まだ足リない

一切合切、一片残ラズ

みんな、みンな灰ニ帰してあげなイと

 

この地獄を、楽園ヲ騙る地獄を焼き尽くサなイト

踏み躙ラれた意思を、其の罪へノ報いヲ

 

わタシハそノ為の存在デアる

 

カチリ、何かのスイッチが入った気がする

 

個体ヲ燃料トシテ神秘二変換

変換ノ完了ヲ確認

伝承ヲ再現及ビ特定側面の強調

神秘ヲ歪曲シ恐怖(テラー)ヘ転換

恐怖(テラー)ニヨリ伝承ノ再現性上昇ヲ確認

 

全工程終了、偽リノ楽園ニ鉄槌ヲ

 

頭に無機質な声が鳴ったその瞬間、キヴォトスの象徴は灰燼に帰した

 

救世主(先生)は何もなすこと叶わず焼き尽くされ、ホルスは死海と化した砂漠で慟哭し、高貴なる悪魔は静かにその命を終える

 

 

チガウ、チガウ、チチチちガう

違ウ、違う、違う!

これは違う、間違っている

私はこんな結末なんて望んでいない!!

あんなにも純粋で綺麗な青空を穢したいわけじゃない!!

あんなにも美しく尊い青春を壊したいわけじゃない!!

例え楽園でなくとも、例え煉獄でしかなくても、紛い物のエデンであったとしても、そこに存在する者は決して嘘じゃない!

 

だから、だから!

 

……

……

……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「だから!!」

 

「だ…から?あれ、なんで?」

 

何かを懸命に言いたかったのに…

涙が止まらないのに

 

何故かがわからないまま、涙は溢れてく

 

少し訳もわからずに泣いていると

むわり、悪臭が鼻を突いた

 

「臭っさ!?」

 

汗の臭い、土の臭い、血の匂い、硝煙の匂い、青臭い臭い

それらが混ざったものが鼻腔を劈く

 

「うっわぁ……。」

 

やっば、もう女子とか男とか関係ないくらい不味い

人類の一員からしてはいけない悪臭を今纏ってるわ

 

「風呂…入らなきゃ。」

 

そう思って立ち上がると

 

立ち上がると……

 

「あ、普通に立てる…。」

 

さっきまでの苦労はなんだったんだろ

キヴォトス人の身体は神秘的だ、まあ実際に神秘があるし

 

すたすたと浴室に進む

唯一身につけてたヘルメットを外して、そのままシャワーを目一杯浴びる

 

(少女入浴中)

……

……

……

 

 

風呂を出て、体を拭いて服を着替え、ようやく一息着く

 

「ぷっはぁ…!」

 

戦場帰りの一杯は最高だ

冷蔵庫に残ってた炭酸飲料(1.5L)を目一杯煽る

 

「……さて、どうしよっか、ご飯。」

 

本来なら食糧が手に入る予定だったんだがな

戦闘に巻き込まれて、よくわからぬまま傷と痛みを負って帰ってきてしまったし

 

「というか…学生証もスマホも財布も、全部無くなちゃったな。」

 

わりと死活問題である

学生証を再発行するには学園に申請し、そこから連邦生徒会まで行かなきゃならんし、スマホはもう一回契約しないとだし…保険入れてたっけな?

 

まあ、今日は引きこもろ…

 

問題山積みのまま、リトルはお布団に潜った




感想と評価を燃料に……したいですね

いろんなブルアカ2次創作を読んで来た身としては、やっぱかっこいい所も書きたいです
大雑把だけど、一応設定もあります

お読み頂きありがとうございます
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