フラダリ転生で世界を救おうと思います   作:十二の子

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誰もこんなこと、望んでいなかった。

トレーナーたちはフラダリの危険な行動を止めなければならなかったけど、内心茶番じみてると思っていて、伝説ポケモンごと吹き飛ばすのもしたくなくて、それでも自分たちの攻撃では手加減にもならないからジガルデにオーバーキルしてもらうしかなかった。

ジガルデだって秩序を守るポケモンなのだからゼルネアスもイベルタルも消し飛ばしたくはない。だけど、放置しておいてもいずれ巨石は自壊するのだから”今”が危なくて、例え巻き添えで2体が死ぬとしてもやるしかなかった。

フラダリだって最初は2体と心中する無謀なんてしたくはなかった。だけど、いくらうすうす予感していてもなおサトシとアランという二人の主人公がまったく願いに背いたのは響いたし、できると思っていなかった「災害の原因となる伝説ポケモンのゲット」をしてしまったなら話は変わるし魔もさす。

...「私は、お兄が死んじゃうのは、イヤ!」


裏10 虚撃と真撃!ゼンリョクを交わせ! 神話の幕が下りる時!

ー*-

 

 ジガルデの全力の「コアパニッシャー」。ゼルネアスとイベルタルを制圧する専用ワザが膨大なエネルギーを秘めた巨石にぶつかれば、天のメガシンカエネルギーと地のジガルデエネルギーの相乗効果であとかたもなく吹き飛ばし、ボールの中の伝説2体も蒸発させてくれるだろう。

 

 成ったーフラダリは微笑んだ。

 

 そして、次の瞬間、すべてを埋め尽くし染色し爆殺する翠が、フラダリの視界を覆い尽くす。

 

 -「お兄、だめっ!死んじゃやだっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*ー

 

 何故だ?

 

 何故私は、避けた?

 

 そんなはずはない。私は確かに直撃を待ち構えた、なのにどうしてまだ生きているッ…!?

 

 「何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だァァッッ!?」

 

 あまりに明白な問いを、フラダリは繰り返した。

 

ー*-

 

 秩序を監視するとされるジガルデ。だが、監視としか説明されていないのには理由がある。ジガルデが出現しているということはゼルネアスが生命を蔓延らせすぎたかイベルタルが生命を死に絶えさせたかで、目撃者がいないのだ。ゆえにすべての奇跡は「最後に目撃者が無事に見ることができた伝説のポケモン」すなわちゼルネアスかイベルタルに帰せられる。

 

 真実はさにあらず。ジガルデは秩序を復元する。エントロピーを巻き戻す。その最たる御業が、ゼルネアスとイベルタルを一挙に制圧しつつその成果を無に帰すことができる「コアパニッシャー」だーすなわちこのワザはただ純粋なパワーというだけではなく、エントロピーを継ぎ足して失われたものを戻す効果がある。

 

 「もしかしたら、その効果を最大限活かせば、フラダリ前代表の後悔、救えなかったという妹さんを生き返らせられるのでは...?」

 

 フラダリの妹を殺したという天災もまた日常という秩序を破壊した事象に違いはないのだから、ジガルデが本気を出し切れば秩序の破壊の犠牲者を復元できる公算はあったーコルチカムとプニちゃんの誤算は、まさかフラダリの妹が異世界それもポケモンのいない世界とは思いすらしていなかったことだ。

 

 したがって、目論見は半分だけ成功した。すなわちフラダリの未練を復元したのであるーあるいはそれがフラダリの心の中の妹や残留思念といったたぐいのものではなくてフラダリの妹の魂そのものである可能性も、否定はできないーなにせ、幽霊というのは自分が死んだ場所だけではなく、自分が未練を残す場所にも顕れるのだから。

 

 真相は、声を聞いた当人にすら永久にわかるまい。それが幻聴なのか、脳裏から復元されたイメージなのか、それとも...この世界にはオカルトが確かに存在するのだから。

 

 ただ、はっきりしていることがひとつある。

 

 コアパニッシャーが直撃したことで、バリアはもはや破綻した。

 

 「ピカチュウ、十万ボルト!」

 

 そして、最大威力の電撃が、巨石を襲った。

 

ー*-

 

 EMP効果、と呼ばれるものがある。強力な電磁波パルスが電子機械に高電圧・高電流を発生させて破壊する現象だ。ポケモンにも一部、これを起こせるほどの強力な電力を扱う者はいるが、せいぜい効果範囲は数メートルだしパルスとしては弱いしそもそもポケモンのワザは高度に照準されていて電磁波パルスをまき散らしたりしない。それにこの世界にはポケモン規格があり、多くの機械は電磁パルス程度ではめったに壊れない。

 

 だが、EMPのために特別に練った十万ボルトを、コアパニッシャーが大気を乱してプラズマ化させ電気抵抗を下げた中へと放てばどうなる?フラダリのマシンが電磁防護されていないのは明らかだ―巨石を操るのはともかく巨大なホログラムを自在に投影し続けるための電力は充電しておけるわけがなく、発電機につながっていない以上は巨石からエネルギーをワイヤレス給電しているとしか思えないが、電気の受け取り口がオープンなのなら電磁波パルスも素通りできる。

 

 バリアがあれば防げたはずのピカチュウの十万ボルトは、フラダリ本体への直撃こそ虚像に惑わされて失敗したが、巨石の周囲に電磁波パルスをまき散らすことには成功した。

 

 虚像が揺らぐ。画面に映る砂嵐のように。

 

 そして、虚空が歪み、フラダリが現れた。

 

 巨石の進行が、止まった。

 

ー*-

 

 迂闊...!

 

 

 何だか知らないが十万ボルトの余波でマシンがガタったらしい。精密電子機器極まるホログラムマシンは完全にイカれてしまったし、メガシンカエネルギーを使うコントロールマシンは壊れてこそいないけれど制御系のコンピューターに異常が出たのかなんだか利きが悪い。

 

 

 なんで、どうして、こんなことに...!

 

 ー「お兄、もう、やめようよ。」

 

 これは幻聴だ。こんなこと妹が望んでないなんて...

 

 「…認められるかよクソッタレ!

 

 type:ノーマル=テラバースト!」

 

 微小な光が頭上から降り注ぎ、彼の炎のような髪が真っ黒に焦げあがり、髭もパラパラと散る。穴が開きかけたファー付きのコートをマシンごと脱ぎ捨てて、胸ポケットに入っていた2つのマスターボールを左手で握りしめる。

 

 そこに立っている黒髪白シャツ黒ズボンの何処にでもいそうな漢は、異質さを唯一残す右手のマシンを天へと掲げた。

 

 ー「お兄のそういう意地っぱりで諦められないところ、ウザい。」

 

 「うぐっ」

 

 顔がうつむく。

 

 ー「ウザいけど、でも...嫌いじゃなかった。

 

 やるなら、お兄の気が済んで納得できるまで、やろう?」

 

 再び上げた顔に、つうと一筋、涙が筋を描いた。

 

 「そうか…

 

 ...ならば、これが俺のゼンリョクだ...!

 

 full:over=テラバースト!」

 

 巨石が虹色の陽炎に変じる。

 

 輝きは次第に増し、フラダリ自身が背を向けているにもかかわらず目をつぶることを余儀なくされる。

 

 地上に、太陽に数倍する光点が現出していた。

 

 「発...射...ァ!」

 

 18色の光が、螺旋を描いて交わりながら殺到した。

 

ー*-

 

 「いくわよ!サーナイト、ムーンフォース!ヌメルゴンはだいもんじ、ガチゴラスはだいちのちから!」

 

 光始めを見た瞬間に、カルネは叫んだ。それが、かわぎりだった。誰も間髪を入れなかった。

 

 「テールナーはだいもんじ!ヤンチャムあくのはどう、ニンフィアはようせいのかぜ!」

 

 「レントラーほうでん、ハリマロン、ミサイルばりです!」

 

 「フシギソウ、ソーラービーム、フラベベ、ムーンフォース!」

 

 「いくよ!カメックスハイドロカノン!ライチュウチャージビーム、ルンパッパ、ソーラビーム!」

 

 「リザードン、かえんほうしゃ!」

 

 「ジュカイン、ハードプラント!ペロリーム、りゅうのはどう!ブロスター、みずのはどうです!」

 

 「ガブリアス頼むよ、はかいこうせん!」

 

 「バシャーモ往くぞ、かえんほうしゃ!」

 

 「…ヘルガー、せめてもの罪滅ぼしよ。かえんほうしゃ。」

 

 「メタグロス、ラスターカノンだ!ボスゴドラははかいこうせん、ユレイドル、パワージェム!」

 

 「アメタマシグナルビーム、ビビヨン、ソーラビーム!」

 

 「イワーク、ラスターカノンです!」

 

 「ルカリオ......はどうだんッ!」

 

 「シュシュプはムーンフォース、ニンフィアはようせいのかぜや!」

 

 「ニャオニクス、あくのはどうだ」

 

 「ユキノオー...エナジーボール!」

 

 「やるわよパンプジン、あくのはどう!」「やるぞマーイーカ、サイケこうせん!」「ソ~ナンス!」

 

 「ポリゴンたち、スピードスターです。」

 

 「プニちゃんおねがい!りゅうのはどう!」

 

 「バンギラスあくのはどう、マニューラれいとうビーム...

 

 …いくぞリザードン、ブラスト...バーンッ!」

 

 「ヌメルゴン、れいとうビーム!オンバーン、ばくおんぱ!

 

 ピカチュウ、十万ボルト!

 

 ゲッコウガ」「コウ、ガッ!」「「みずしゅりけんッ!!」」「ピッカァ...ッ!」

 

 前代未聞、古今東西誰も見たことがない、ワザとワザの相乗が、真っ白い光の束となって突き進んだ。

 

 虹色と純白が、キラキラと光の粒をまき散らしながら、荒野を這い進み、そして激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*-

 

 その輝きは、はるかガラルやパルデアにも届き、沿岸では眩しさに早起きをしてしまい寝不足に悩まされる人が出たという。爆風は大気圏を伝わりなんとカントー地方で観測された。

 

 大地が吹き飛び、大気がプラズマ化しながら吹き飛ばされ、キノコ雲が舞い上がる。

 

 誰もが固唾を呑んだその時、キノコ雲の最下部に一点の穴が空き、そこから、一筋の光がまっすぐ飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*-

 

 閃光が、巨石の中心を貫く。

 

 巨石が、ゆっくりと、崩れ落ちるようにして金色の砂へと変じ、戦場に吹きすさんで世界を彩った。

 

 「そうか、私は、負けたのか...

 

 はは、ははは、ははははは...!」

 

 2つのマスターボールが、手から零れ落ちて瓦礫の上をてんてんと跳ねていく。

 

 -「お兄、笑ってる、久しぶりだね。」

 

 朝日が、フラダリの頬を照らした。

 

 「ポケットモンスター、縮めてポケモン。この星の不思議な不思議な生き物...か。

 

 俺も、旅をして、みるか...」

 

 -「私もいっしょに、見てみたいな。人とポケモンの、営みと、絆。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*-

 

 旧フラダリラボグループ本社ビル。倒壊したガラス張りの高層ビルの跡地には、今、小さなオフィスビルが建っている。

 

 「会長、やっと、軌道に乗ってきましたね。」

 

 カロス=デボンホールディングスの初代会長は、肩書に似合わない慣れた事務椅子に腰かけて、書類の山を崩しながら見もせずうなずいた。

 

 「フレア団被害の補償分担分と戦後復興でどうなることかと思いましたが、デボン株の一部売却、ポケモンと電子デバイスの相互作用技術への注目で持ち直せてひとまずの目途はつきましたからね。」

 

 まだまだまったく予断は許さない、フラダリさんはすごかったのですね…コルチカムは呟きながら、自社技術によって世界中で生産・運用され始めた電子デバイスことロトム図鑑を手に取った。

 

 「それにしても、フラダリさんは、どこにいるのでしょうね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*-

 

 それからしばらくして、ある噂話が、カロスから遠く離れたアローラ地方で流れるようになった。

 

 白いポロシャツにズボンの何処にでもいそうな男が、ウルトラビーストと呼ばれるポケモンが出現した際に現れて、王冠をかぶったポリゴンZとともにウルトラビーストを押しとどめるのだと言う。

 

 男のポケモンはどれも弱いが、物理的に不可能に「見える」挙動でウルトラビーストを翻弄し、エーテル財団のエージェントが解決しに現れるまで時間を稼ぐのだ、と...

 

 アクジキングと呼ばれることになる暴虐の化身が3体現れた際に彼と共闘したと噂の、後のアローラチャンピオン、サトシ氏は彼について、「俺は何も知りません。ただ、アイツは、自分の大切な人と、大切なものを守ろうとしてるんだと思います。」と応えたそうである...




Q:コアパニッシャー、何が起きたの?

A:ジガルデは調整はした、ただそれでも直撃したらたぶんフラダリは死んでた。妹を生き返らせて避けてくれる方に賭けてた

  フラダリは待ち構えてた、だけど到達の瞬間特殊効果で妹の声が聞こえてとっさに無意識で避けたので生き残った

Q:ゼルネアスとイベルタルのマスターボールはどうなったんですか?

A:持ち主のフラダリが放り出して姿を消してしまった今宙に浮いています。ボールの中で休んでいるので開けたらその瞬間にブチぎれて街を滅ぼすかもしれないため開けるに開けられず放すに放せずとりあえず博物館に収めてあります。

Q:フラダリ結局何がしたかったの?

A:なんかラスボスに転生したし、災害級伝説2体掌握できる立場やし、どうせ主人公勢がなんとかできるんやから適当に生きるか

なんで自分ひとり生き残らされたのかと思っていたら、王の血筋を引くフラダリ(=転生者)が王冠を持った特殊なポリゴンに出会う…これは宿命とか天命みたいなもの感じるな。災害級伝説を安全化すること考えてみるかスーパーマサラ人ならなんだかんだゲットできるやろうし

ラスボスムーブでヘイト集めつつゼルネアス・イベルタルのエネルギー発散・相殺を準備して、サトシとアランにフレア団の切り札ゲットの道筋付けた!さあ俺を倒して2体をゲットしていけゲームの主人公もそんな感じだし!

サトシ「お前は間違ってる」フラダリ「うすうすそう言うとは思ってたしいい機会だからサトシとバトル!」

やっぱりみんな思い通りに動いてくれないし、せっかくできると思ってなかったゲットできたし、うまく弱った2体を滅ぼせるポケモン(=ジガルデ)と消し去れるエネルギー(=巨石)もあるし、ゲットで封印なんて甘っちょろい方法じゃなくてゼルネアスとイベルタルを蒸発させてカロスに永遠の平和をもたらすぞ!

脅し文句は「俺を吹き飛ばさないと世界が滅ぶぞ!生半可な攻撃じゃなくてジガルデのフルパワーくらいじゃないと勝てないぞ!」

よしジガルデ来た!勝つる!(両腕を広げて待ち構える)

そんな...妹よ、俺が間違ってたとでも言うのか...!そんなばかな...!(最後の一撃)

そうか。俺はポケモンの世界をちゃんと見てなかったんだな。この世界には伝説のポケモンや大災に立ち向かえるだけの底力があるーそれが人とポケモンの営みと絆なんだ。それをもう一度見つめなおそう。妹と、本当の意味でこの世界を生きてみよう。



ー最後に、お読みいただきありがとうございました!(もし私の気と卒論の進捗が乗れば、次章「転生してきたフラダリから現代日本を守らなくてはなりません」でお会いしましょう!まだあらすじしかないけど)
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