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「貴女が、マドモワゼルエリカですか?」
「はい、私が、エリカにございます。そして…
六条家も政府関係者も、さまざまにドレスを薦めた。歴史を変えるかもしれない、洋の東西のポケモン共存化推進者の会見...細心の注意を払うに越したことはないのだからと、外務省はヨーロッパ社交界の最新のフォーマルドレスを手配し六条家は江戸時代に当時の天皇から下賜されたと伝わる装束を引っ張り出そうとしたーだが、エリカはそのすべてを断固として断り、この場に、シンプルな黄緑の着物と赤い袴をまとって現れた。
「...ムッシューフルール・ド・リス、この紋章に、見覚えはございますか?」
飾りっ気も何もなくシンプルな和服に、唯一、袖と胸元を飾る、一部の関係者が首を傾げたその模様ー長方形の中にモンスターボールがある、バトルコート型の刺繍。
「お、おぉ...!?まさか、エリカくん、キミは...!?」
未だこの世界にはポケモンバトルすら存在しない、ならばこのマークの意味を理解できる者がいるとすればそれは...
「…それでは、このバッジには、覚えはございますか…!?」
雲行きが怪しすぎる…日仏の関係者が目を白黒させる中、服と同様に特注の、8色にキラキラ輝く光沢を持つバッジを、エリカはフルール・ド・リスに突き付けた。
「…なるほど、それでは、キミも私を、知っている、というわけか?」
「忘れることなど、できるものですか!?」
「ほう...
…ありがたいものだ。少々、腕がなまっていてな…!」
-フランス要人の フラダリが しょうぶをしかけてきた!
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「おいでませ、ラフレシア!」
「いでよ、ギャラドス!」
エリカは知っているーフラダリは極めて強力なほのおタイプのポケモンであるカエンジシを持っている。ギャラドスとてひこうタイプではあるがメガシンカすればそれは消えるし、そもそもフラダリの赤いギャラドスのワザがアクアテール・じしん・げきりん・アイアンヘッドとくさタイプへ通りが悪いのは前世から知られていた。舐められている、そう感じた。
「っ...!
しびれごなです!」
「アクアテールで洗い飛ばせ!」
ギャラドスが宙を舞い、水の渦巻きをまとった尻尾で毒粉の霧を薙ぎ払っていく。
「それを待っていました。頭に向けてソーラービーム!」
宙に浮き頭を見せすぐには止まることもできない今がチャンスー無防備なギャラドスの頭に光線が突き刺さる。
ギャラドスははじき飛ばされ、スタジアムの端にぶつかった。ポケモンバトルのための改修は技術的目途すらたっていないため、座席のいくつかがぐんにゃりとつぶれる。
だが、ギャラドスはむくりと起き上がり、ぶんぶんと首を振った。ダメージをさほど受けているようには見られない。
「…ギャラドス、メガシンカ!」
エリカが、呆気にとられる。ソーラービームを受け切って無事なのはフラダリのギャラドスだから納得できるにしても、強力なくさタイプワザを受けた直後にくさ耐性となるひこうタイプをメガシンカで捨てるのは常軌を逸しているように思われた。
「姿が、変わった!?」「What is that!?」
「…どこで、キーストーンを?」
「…私が技術者なのを知らないわけではあるまい?とある王国に、キーストーンを人造する技術を生み出した宰相がいてな…再現するのは大変だったよ…」
エリカの冷や汗が一筋増えるーアゾットのジャーヴィスのことか、そのメガウェーブ技術はマクロコスモスの強制ダイマックス技術とともにエリカたちを苦しめたのに、メガストーンもキーストーンもないと思われたこの世界でメガシンカを使われた以上、同様にZワザやダイマックスやテラスタルも隠していないとは限らない。
「…それでも、わたくしは、別の世界に落ち延びてまで、また負けるわけにはいきません。
ラフレシア、ムーンフォースです!」
「受けろ、ギャラドス。アイアンヘッドだ。」
硬質化したメガギャラドスの頭に、月の光がまばゆく閃光するーそれはどこか赤穂の頭のようだった。
「畳みかけますわよ!ソーラービーム!
あたたかな月光が、熱にあふれた陽光へと替わった、その時だった。
「尾を突き立てろ、ギャラドス!」
スタジアムの整備されたグラウンドが砕け散り、メガギャラドスの尾びれが地面に刺さり、直後のソーラービームの衝撃がメガギャラドスを胴体下半分まで地面に突きさすー「ギャラドス、じしん!」
轟音。
スタジアムそのものが砕け散るのではないかと誰もが錯覚した。
ソーラービームの激烈なパワーとじしんそのもののパワーが二乗しあい、グラウンドをシェイクする。
「っ、ラフレシア、しっかり!」
エリカもラフレシアも立ってなどいられず、膝をつく。
メガギャラドスが飛び上がるーとても避けられないー「ギャラドス!げきりん!」「はなびらのまい!」
ギャラドスも決してじしんのダメージも今までのダメージも0ではないはず、弱点の有無まで考えれば、ダメージレースで競り勝てる...!
「このギャラドスのげきりんは少々特殊でなー」
「…!?ラフレシア、避けてっ!」
悲痛な声が響くー舞はすぐには止められない。
「ー
砂煙が晴れた時、目を回して倒れるラフレシアを睨むギャラドスが、そこにはいた。
ー*ー
「いい、勝負だった。」
「いい勝負...?」
「ああ。久々にバトルをしたからね。」
「貴方は...
アレは、バトルではなくタダの蹂躙だったとでも言うつもりですか!?」
「…なんの、話かな?」
「貴方は、貴方はまた、世界を滅ぼすつもりですのね…?そういった、話です。
この世界では本性を隠してとぼけることができる、そう考えているのかもしれませんが、わたくしは知っていますし、あきらめるわけにはいきません。」
「ふむ…」
眩しいものを見るかのような美しい瞳で、フルール・ド・リスはエリカを見つめた。
「心に、留めておこう。」
-吸い込まれそうな、何処かへしてきた取り戻せない忘れ物に思いを何処までも深く馳せる瞳で。
2章追加と同時にアンチ・ヘイトタグを増設した理由。
Q:いやフラダリのギャラドス強すぎでは、そうはならんやろ絶対 ましてエリカのポケモンは原作よりも強い設定なのに。
A:アニポケではミアレ事変時点でサトシのポケモン4タテしてるので、ミアレ事変よりさらに前(ポケモンジェネレーションズ16話直後時点)でもずいぶん強い&現代世界に来てから久しく暴れまわっていなかったのでフラダリ同様に昂って...というか凶悪さに手が付けられなくなっている。
Q:ゲームでもアニメでも出した瞬間にメガシンカさせてるのに今回は遅れましたね?
A:というより、エリカはフラダリが即座にメガシンカを切ることを知っているのがミソで、もし初手メガシンカしていたらその硬直タイムでしびれごなをくらっていた(ポケカではメガシンカ時に1ターン消費するように)、これはフラダリのファインプレー。