フラダリ転生で世界を救おうと思います   作:十二の子

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先に予告しておきます、表6話掲載はそこそこ先になるかもです(飛び飛びで書いているので8話と10話が完成していたりちょっと歪な進行になってしまっており…)。大枠ではラストまでできていて肉付け待ちなのでなんとか頑張ります…!


表0 Broken her world

ー*-

 

 あの世界での、唯一にして最大の、絶望。エリカは今一度、それを思い出していた。

 

 カロスを滅ぼし、フレア団だけの「美しい世界」を作り上げたフラダリだが、その絶頂は長くは続かなかった。

 

 フレア団内部の政争・抗争...彼がユートピアを作り上げようとして選んだ人々は選民思想が強すぎて日に日に軋轢が強まり、一方で突如として出現した激ヤバ国家に対して各国は今にも侵攻を選びそうだったからだ。

 

 破綻は、ガラル地方はマクロコスモス社社長、ローズによる先制攻撃から始まった。莫大なエネルギーをもたらすポケモンであるムゲンダイナを確保したローズは、ガラルの永遠の繁栄を脅かすフラダリを排除するため、チャンピオンのダンデと手を組みシャラシティへの上陸を敢行したのである。

 

 無数のダイマックスポケモンが海岸に並び、待ち構えるフレア団を吹き飛ばしていくさまは壮観のひとことだった。

 

 やや遅れてパルデア地方でも「四災」と呼ばれる伝説のポケモンが解き放たれ山脈を超えてカロスへ侵入、カロス地方の制圧は目前かと思われたー

 

 -フラダリが現れるまでは。

 

 一度ゼルネアスとイベルタルが現れてしまえば、フレア団は不死の軍勢と化し、敵は即死させられる。まるで話にならない。それでもローズにも勝算があった。

 

 「ムゲンダイナ、ダイマックス!」

 

 中空に浮かぶ巨大な手のひらーその力が宇宙由来であることもあり、ガラル勢は勝利を確信した。

 

 だが、次の瞬間、チャンピオンカルネや他の四天王とともに死んだとされていた四天王パキラがローズを闇討ちし、ムゲンダイマックスの制御権を剥奪。戦況は瞬く間に悪化し、あれよあれよという間にガラル・パルデア2地方は保障占領下におかれ、そしてフラダリは宣言した。

 

 「少しでも遠慮した私が間違っていた。やるならばすべてをやりきらなければならない。私は世界のすべてを美しく終わらせる。」

 

 そして、終末が始まった。

 

 -それでも、ダンデは役割を一つだけ果たしていた。ゼルネアス・イベルタルにメタを張れる存在であるジガルデ、そのコアを持ち出して落ち延びていたのである。

 

 最終兵器が起動するごとに世界中が次々と陥落し灰燼に帰していく中、生き残った名だたるトレーナー、ジムリーダー、四天王、チャンピオンたちは海を隔てたアローラ地方に集結しー否、着の身着のまま追い落とされーそして、そこで対フラダリ最終決戦が行われた。

 

 最終兵器を破壊しフラダリを倒してゼルネアスを手に入れれば世界を再生できるが、ここで負ければ人類はほぼ消滅し再起の路は閉ざされるー荒野の真ん中で行われたそれはまさに背水の陣。

 

 エリカも、それに参加していた。

 

 思い出すことがあまりに辛いー最終兵器によって土しか残らなくなったカントーの光景は。そして、だからこそジガルデの色である翠緑が頼もしく感じられたのだ。

 

 だが、エリカは今、この世界にいる。

 

 エリカひとりだけが、まだ、生きている。

 

 「わたくしは...わたくしは、どうすれば...!」

 

ー*-

 

 フルール・ド・リス、いや、フラダリは、一人ホテルの自室で物思いにふけっていた。

 

 …日本に来て出会った、自分と同じくポケモンの世界を知る少女。かかわりのないはずなのに、似合わない激しい憎悪を自分に向けていた。

 

 「あれでは、まるで...」

 

 確かにあの世界でなんの恨みも買われなかったかと言えばウソになる。経営者としても、慈善活動家としても、恨みも逆恨みも受けてきた。だが...

 

ー「貴方は、貴方はまた、世界を滅ぼすつもりですのね!?」

 

 あれではまるで、フラダリが果たそうとして序盤で失敗した計画を、知っているかのようではないか。

 

 つい昂って勢いでバトルを受けてしまったが、どのようなモチベーションで明日のバトルに望めばいいのか、フラダリもまだわからないでいた。だって、挑戦を受けたはいいが、彼女が挑戦してくる原因にそもそも失敗しているのだから。

 

 -その時だった。

 

 「君も、やり残したこと、道半ばなことに後悔しているかな?」

 

 聞こえるはずのない声が朗々と、後ろから響いた。

 

 「誰だ!」

 

 「やり残したことが、あるはずだ。

 

 君の世界に、未練があるはずだ。

 

 成し遂げたい思い残しが、まだ遺っているはずだ。」

 

 思い出すのはあの暗闇。イベルタルを確保する、その初歩の初歩で、イベルタルに呑み込まれた時に見た、あの暗闇。 

 

 「…だから、なんだと言うのだ。」

 

 「私は、前途ある若者を応援するのが、好きでね…?」

 

 2つのマスターボールが、コトンと、静かに置かれた。だがいくら扱いが丁寧だろうと、それが漂わせるただならぬ雰囲気はごまかせないーだいたい、この世界はモンスターボールの生産すらエリカ提供のサンプルからなんとかリバースエンジニアリングしているのが現状で、元の世界ですらオーパーツ気味だったマスターボールがあるはずもない。

 

 「持ち主は、君だよ、フラダリ君。

 

 さぁ、君は君の物騙を紡ぐといい。」

 

 「待て、貴様、何者だ...?」

 

 「私か?こんな有閑老人を気にするものではないよ。

 

 君たちのような、登場人物(メインキャラクター)がね…?」

 

 老人の姿はいつの間にか消え、ひとすくいの鉄錆が床に散らばっていた。

 




ーはい、というわけで、フルール・ド・リスがフラダリというのはすでにわかっていましたが(というかフラダリのフランス語読み)、このフラダリは第1章冒頭でイベルタルの繭に手持ちごと呑み込まれ転生者に成り代わられたフラダリです。

 一方で六条絵里華/エリカの前世はフラダリの野望が行きつくところまで行って世界滅亡していて、そのフラダリしか知らないのでちょっとした思い違いが生じています。


 転生者と妹の霊(?):ポケモンがゲームである現代世界→1章世界(≒アニポケ)

 フラダリ:1章世界(≒アニポケ)本編開始直前→2章世界数十年前(ただし手持ちと記憶の覚醒は1話)

 エリカ:フレア団世界(≒主人公なきゲムポケ)滅亡時点→2章世界十数年前(ただし手持ちと記憶の覚醒は1話)
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