フラダリ転生で世界を救おうと思います   作:十二の子

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オリジナルチートポケモンってレベルじゃねーぞ!反則だろお前おい!


本作ではエリカの知力アビリティをカンストに振ってあります。転生チート&天才ということで高めに見積もってるのであって、べ、別に、「だ、大学講師研究も指導もバリバリやってて強過ぎ怖過ぎンゴ...」ってなってるからじゃないんだからねっ!(大学と言えばこの話が予約投稿されているころゼミレジュメの締め切りなんだが現状進捗ゼロで間に合うんだろうかと悩む12月4日です)





余談(下) 現創 彼方世界を描け

ー*-

 

 不気味なまでに真っ白な球体に、無機質な目がキョロキョロと付いて、世界を覗いている。

 

 球体の背後から、無数のさびた黒い歯車が繋がって2本の巨大な腕となり、何か巨大なものを抱えるかのようにゆらゆら揺れて、ギチギチ噛み合う歯車の間からこぼれる錆が文字となって世界へと染み込んでいく。

 

 上下で、金色に輝くフィルムロールの輪がそれぞれ反対の方向へ廻天していた。

 

 自分の存在根拠になる世界更には自分自身をも自由自在に物語改変で書き換える前代未聞の存在が、そこには顕現している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フィクトマキナ(しんのすがた) くうそうポケモン タイプ 可変 大きさ 可変 重さ 可変

 

特性 over=Ⅳthウォール このポケモンが顕れた場合、あらゆる世界の全事象(バトルの全勝敗)を決定できる

 

 

 「おっと、手が付けられないね。どうやら僕はやらかしてしまったみたいだね。」

 

 新見教授は、スパっとタバコの煙を吐いた。極彩色の空間に煙が吸い込まれていく。

 

 景色が、巻き戻る。宇宙が爆発し、収束し、そして地球が沸き上がる。

 

 「けどまだ取り返しがつかないってことはなさそうだね。」

 

 タバコの吸殻を指先で揉み消してそのままポケットに突っ込み、新見は呵呵と大笑したー火傷した指先が零れ落ち、舞い上がり、しわくちゃになり、赤ん坊のようにつるつるになり、再生している。

 

 「アルセウスもフィクトマキナも自分を脅かしそうな神を排除しようとしているだけだ。だから、自分たちの戦いが生み出す矛盾で世界を壊してしまうことには申し訳なく思っているみたいだね?」

 

 論理構造に矛盾をきたした宇宙が破綻と再生を繰り返している…そのことを知覚できる人間すら、六条エリカと新見教授の2人しかいなかった。

 

 「”神、そらに知ろしめす。なべて世はこともなし”…とは言うが、神が天にいてこの世には大したことなど起きていないというよりは、神が天で戦っているけれどこの世に起きているとんでもない余波もごまかしてもらっている、と言ったところかな。」

 

 世界の裏側では日々こんなことが起きていたり...ま、この世界ではそうでもないんだけどね?新見は愉しそうに手を叩く。

 

 「さて、と...どうしようか。このまま気が済むまで殴り合わせる?大丈夫大丈夫、一般人は知覚できないからなべて世はこともないし、まあ奴らは世界を何十億回終わらせても収まらないかもしれないけど、ぼくらの寿命を物理時間で消費するわけでもないだろうから気長に待てばいいよ。」

 

 何もできないからね、両の腕を広げて見せた新見に、六条エリカは静かに反駁した。

 

 「まだ、手はあります。」

 

 「ふむ…あの、生存本能で本気モードになって殴り合ってる神に、通じる言葉があると、キミは言うのかな?

 

 君の考えを聞こうじゃないか。」

 

 「新見さんは、フィクトマキナの物語改変能力は『フィクトマキナが属するポケモンの世界から、フィクトマキナから見て物語であるこの世界』を改変していると言いましたね?」

 

 「ああ。だから、フィクトマキナは半分ポケモンの世界に根差す君にはあだなすことはできない。」

 

 「フィクトマキナが通常改変できないのは、いる世界ではなく由緒が深い世界、そうなのでは?」

 

 「ああ、自分をまきこんだ改変を嫌うからな...それが?」

 

 「この世界で受肉したのにどうして由緒がポケモンの世界にあるのです?」

 

 「そりゃポケモンだからね。ポケモンが存在するにはポケモンの世界でなければならないだろう?」

 

 「わたくしのポケモンに手出しできなかった理由がわかりませんわ?」

 

 「…そうだね?でもそれは、ポケモンである以上にキミのポケモンだったからじゃないかね?」

 

 「それを言えばフィクトマキナは貴方のポケモンですわ。それに...

 

 …何より、フィクトマキナがわたくしに手出しできなかったのは、フィクトマキナがポケモンの世界というよりわたくしの世界に根差しているから…なのでは?」

 

 「…フィクトマキナ...世界を書き換えるようなポケモンに、想い当たりがある、と?しかしだね?フィクトマキナほどのポケモンが生まれる根拠になるような事象、世界中の人が祈りでもしないと…」

 

 「…言葉で、やっと説明できました。新見教授、それですわ。」

 

 「…そうか!キミの世界は滅んでいたね!

 

 卵が先か鶏が先か、みたいなものだ。

 

 エリカくんはフィクトマキナ創造のオマケではなく、むしろ全人類の最期の願いを背負ったエリカくんを由縁として顕れたのがフィクトマキナ、だからアレは世界を書き換えることで救うことができるわけだ!

 

 さて、それが答えとなれば、フィクトマキナの芯にエリカくんを届け、共鳴させれば、事態を好転させられるね。アルセウスは...フィクトマキナが落ち着けば2体で仲良くしてくれると期待しようじゃないか。」

 

 新見教授は本を再び手に取り、白紙のページを高速でぱらぱらとめくった。

 

 六条エリカの姿が、ページがめくられるたびに薄くなり、そして身体の周りに無数のフィルムロールが出現して彼女の姿を隠していく。

 

 産まれて、育ち、仲間(ポケモン)を得て、学んで、旅をし、ジムを開き、大学に呼ばれ、数多の戦いをし、凶報が届き、街が燃え、逃がされ、そして挑む。

 

 産まれて、育ち、友と過ごし、学び、受かり、そして思い出し、再会し、教え、戦い、変わり、そして勝つ。

 

 2人の人間の一生が、映し出され、紐解かれ、そしてフィルムロールが消え去った時、そこにはエリカの姿はもうなかった。

 

 「…さて、と。

 

 ぼくはぼくの物語を続けるとしようかねぇ。」

 

ー*-

 

 ここは?

 

 「六条エリカ、来たんダネ。」

 

 貴方が、フィクトマキナ...?

 

 「ソウダヨ。そしてココは、ワタシの観測所。」

 

 観測所?

 

 「ワタシ、スベテの物語、ココで、見てル。幸せも、苦しみも、生も、老も、病も、死も、美しい世界も、醜い世界も、全て、ミテる。

 

 アナタのことも。アナタの元いたセカイのことも。」

 

 全部、御存じなのですね。ならば、わたくしが何を求めているのかも...

 

 「ウン、知ってる。アナタ、幸せにしたい、あの世界を。だって、ワタシ、アナタたちの世界から、来タ。」

 

 いいえ。わたくしは、貴方を、止めなければならない。

 

 「ドウシテ?ワタシ、わからない。

 

 ヒトノココロ、モノローグじゃないと、読めナイ。心は移ロイ、そして言葉にならないキモチがたくさんあって、言葉に表さないと気持ちはカタチにならない。だから、ワタシ、ヒトの気持ち、ワカルなんて、言えなイ。」

 

 …わたくしは確かに、ずっと、思っていました。あの世界をもう一度なんとかする力が欲しい、と。

 

 だから、貴方が生まれてきた。

 

 「ワタシ、託された。アナタとイッショに。」

 

 そうですね。誰かが…誰もかもが、最期の世界で、私に希望を、そして神に等しい何者かがいるのならばそれに祈りを託した...それで、貴方が生まれた。そうなのでしょう。

 

 ー確かにフィクトマキナの力を作り具現化をさせたのは新見教授だ。だが、フィクトマキナを綿菓子に例えるなら新見教授は溶けた砂糖を缶に入れて回し巻き取り”綿菓子”というお菓子にかたどっただけ、充分な量の砂糖(世界を書き換えられるほどの想い)は、終わりゆく世界からエリカという媒体により蓄えられたものなのだ。

 

 「だから、ワタシと、世界、イチカラ、やり直ソ?」

 

 丁重に、お断りいたしますわ。

 

ー*-

 

 「改変:『アルセウスは、突如現れた2体目の権能持ちを、フィクトマキナの同一存在と誤認した。』」

 

 新見は、本にそう書き込んだ。

 

 世界が微妙に改変される。アルセウスは、フィクトマキナを完璧に捌いていたつもりだったのに自分が予期しない改変が世界に起きているということに、光輪を震わせた。下界を見下ろす。

 

 アルセウスは、突如現れた2体目の権能持ち(新見教授)を、フィクトマキナの同一存在と誤認した。

 

 「改変:『さばきのつぶては失敗した。』」

 

 新見教授はとても愉しそうに、金色の万年筆をすらすらと動かした。アルセウスの頭上から照射される神撃が、雲散霧消する。

 

 さばきのつぶては失敗した。ならば、直接攻撃ではなく創造の権能を用いたほうが良いーアルセウスの光輪が直視できないほどの光を放ち胴体を呑み込みー否、アルセウスそのものがひとつのひかりとなる。

 

 アルセウス(本体)が吼えた。世界が創り変えられる。

 

 「改変:『しかし、物騙は不変である。どんなに世界が創り変えられても、人々の物語は欺けない。』」

 

 世界を創り変えることはできなくても、物騙をー言葉を使う事なら新見教授の十八番である。ただ無味乾燥に創世を繰り返すアルセウス(本体)に対して、フィクトマキナと一体化した新見教授はレトリックを駆使し物語を綴ることができる。従って、どんなに世界を創り変えようともしかし、物騙は不変である。どんなに世界が創り変えられても、人々の物語は欺けない。

 

 ひかりが明滅し、景色が瞬く。新見教授はなおも万年筆を走らせる。

 

 「改変:『フィクトマキナの力が弱まった』」

 

 ひかりから無数の光点が分裂し、直後、フィクトマキナの周囲に出現した。フィクトマキナは無数のさびた歯車を出現させ光点を防ぎ、歯車と光点が消えては顕れ消えては顕れる。だが、歯車の数は次第に減り、フィルムロールへ光点が吸い込まれていった。新見に力を分けて手元不如意となっていたために攻撃に抗しきれず、フィクトマキナの力が弱まったのだ。

 

 「さて、そろそろかな?仕上げの時は。」

 

 どんな絶対神も、作品上では作者のオモチャでしかないーその絶対神(アルセウス)が作者そのものに対して全知全能だとしても、負ける道理はそんなにない。

 

ー*-

 

 ーエリカに染み付いた、そして絵里華にしがみついてきた妄執「今度こそ、物語のような幸せな世界を」。それが、フィクトマキナを顕現させるに至った願い。

 

 そのすべてを実現する物語改変をエリカの世界に行えば、存在の根拠を大きく失いフィクトマキナは消滅しかねない。それでもフィクトマキナは、フィルムロールを廻している。

 

 「アナタは 物語のような 美しくシアワセな セカイを 望んでいたんジャナイノ?

 

 ワタシが それを 実現する ワタシなら アナタの物語を シアワセに できる」

 

 声が、響き続けている。それでも、六条エリカは首を横に振った。

 

 「…確かにみんなが、世界を、あの哀しい滅亡を、書き換えれるものならそうしたい、そう思っているかもしれません。

 

 けれど、”六条エリカ”はそうではないのです。

 

 たくさんのかなしいこと、くるしいこと、つらいことがあって、その先に、いまのわたくしがいて、みなさんがいるのです。」

 

 「アナタ、物語が、作った?」

 

 「…転生者のわたくしが言うのもおこがましいことですが、人生は誰しも一度きりなのです。

 

 人生も世界も、気に入らないからなかったことにしてリセット、そういうわけにいくわけなんかなくて、例えメリーバッドエンドでも、誰もがその時その時を選択して、生きて、それぞれの…そうですね。貴方の仰る通り、物語を紡いでいるんです。」

 

 世界が醜い、不幸な人がいる、だから世界を変えたいー人々を大切にした言葉に思える。けれど実際は、独りよがりに他人の物語を書き換えているだけだ。

 

 その業も受け入れるならばそれでもいい。けれども、「醜い世界を一度破壊して、一から理想の世界を創り直す」という行為は、フラダリやてつさびきょうだんのことを批難できないようなものであることもまた確かだ。

 

 「わたくしは、今を、未来へ生きていくのです。そうしてみんなが生きてきた先に、今の世界があるのです。」

 

 ー神天にしろしめす、なべて世はこともなし...そんな辻褄合わせですべてなかったことにする偽善は受け入れられない。だって、自分は今ここに立っていて、それは今まで歩いてきたすべての歩みの結果なのだから…

 

 「ホントに、世界、救いたく、ナイノ?」

 

 エリカは、もう一度、首を横に振った。

 

 「わたくしのそう(世界をやり直したく)思っている部分、それが貴方とも言える、そうでしょう?」

 

 エリカは、袖に手をゆっくりと入れた。

 

 「ナルホド、趣旨、オモシロイ、かも。

 

 でも、ワタシ、最強。ダカラ、アンフェア。」

 

 「それも、そうなのですよね。

 

 願いを託されたエリカと、今を生きる六条エリカの勝負...ということでしたら、わたくしのポケモンを使います?」

 

 「ウウン。それよりも、イイ、趣向がアル。

 

 BREAK=write」

 

 -そして、因果が終着した。

 

ー*-

 

 フィクトマキナがまき散らす金色の光が薄れ、鉄錆を全身から吐き出し、それすらも無へと消えていく。

 

 フィクトマキナが姿を消す中で、しかしその存在感だけは、消えることはない。

 

 姿はなくても存在はあるー「そのもの あらゆるところに いる そのもの あらゆるところに いない」だ。アルセウスはそれをよく知っているー光が一層強まり、ポケモンとしての姿を幻視させながら、唯一オーラを放ち続けているところを睨み、そして、咢を開けた。

 

 「さぁ来るんだアルセウス。お前を脅かす者(フィクトマキナ)は、ここにいるぞ...!」

 

 恍惚とした笑顔で、新見は両腕を広げた。

 

 世界が口を開き、宇宙の外でひかりが宇宙を包み、そして巨大な口が虚無の中で新見に迫る。

 

 「嗚呼」

 

 世界が、閃光した。

 

 アルセウスはどこか満足したかのように目をぎょろりとさせた。

 

ー*ー

 

 何処にでもいそうな、黒髪白シャツ黒ズボンの漢。無数のフィルムロールが集まり、そこに立っていた彼を見て、エリカはゾクリと背筋が震えるのを感じた。

 

 「お前は...タマムシジムジムリーダー、エリカ?

 

 それに、ここは...?」

 

 「コレは、チャンス。アナタの考えヲ、ブツケて?

 

 BREAK=write:『第1章の主人公は、第2章のあらましを知った。』」

 

 「…っ、そういうことか。オリジナルポケモンってわけか。そうして、俺に、チャンスをくれると。

 

 ははっ、いかにもハーメルンらしい話だなぁ…」

 

 漢が、虹色の結晶が付いたモンスターボールを取り出す。

 

 「…失礼ですが、貴方は?」

 

 「…名乗るほどの者じゃないさ。ただの、挑戦者だ。」

 

 ー旅人のフラダリが、しょうぶをしかけてきた!

 

 「わたくしこそ、挑戦されるほどの者ではございません。

 

 ポケモントレーナー六条エリカ、参ります!

 

 おいでませラフレシア、BREAK進化!」

 

 「いけポリゴンZ、over=テラスタル!」








フィクトマキナ「お前たちの世界って、、醜くないか? まるでデコボコで、石ころだらけの道だ……」「俺が滅亡した世界という道を、きれいに舗装し直してやろうってこと」

 次回、全ての決着がつきますー覚えておいてほしいのは、メタ的チート存在であるフィクトマキナは、すべてをマッチポンプにもできるし御都合主義にもできるし余興にもできるということです(なんなんだこいつは)
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