フラダリ転生で世界を救おうと思います   作:十二の子

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裏3 ゲンドウポーズ

 私の計画はすべてが順調に進んだ。イベルタルとゼルネアスの再捕捉・捕獲は成功したし、最終兵器のハイパワーバージョンの作成目途もついている。そしてすべてがバレていない。

 

 「…プラターヌ博士の弟子が来る?」

 

 「はい。フラダリ代表が研究なさっているメガシンカの謎について、協力を、ということだそうです。リザードンを連れてくるそうで...」

 

 リザードン?御三家か…いやしかしそれだけでは彼が本来のメインキャラかはわからんな...

 

 「コルチカムくん、リザードンナイトXが、確かあったように記憶しているが…」

 

 「はい。先日回収したものですね。…まさかさしあげなさるおつもりですか?」

 

 「死蔵していたって仕方ないだろう。それに若者に賭けてみるのも悪いことではない。」

 

 「…まるで、昔人助けをされてた頃の代表みたいですね…」

 

 「…ん?なんか言ったか?」

 

 「いいえ、なんでもございません。」

 

 まあ主人公格なら強いしそうでなくともメガリザードンⅩを持たせておけば万が一イベルタルを力づくで止めることになっても空中戦で頑張ってくれるだろう、悪い話じゃあない。問題は私より強いトレーナーがさらに増えることだが…今だって身内のフレア団によるクーデターにおびえてるんだからいまさらひとりふたり増えても大したことじゃない。…アランくんも「ウラ」に関わらせておくべきだな。騙すようなやり方になってしまうかもしれないが。

 

ー*-

 

 この人と話すのは、緊張する。なにせオーラが違う。

 

 「それで、私を呼び出すなんて、どうしたのかしら?また、美しさがどう醜さがどう世界がどう...ってお話?」

 

 「いいえ、今回はもっと、現実的な話です。カルネさん。」

 

 「…どういう風の吹き回し?珍しいわね。」

 

 「これを見ても、そう言えますか?」

 

 「これは...衛星の打ち上げ記録に、通信頻度?...私はポケモンバトルと芸能についてはわかるけれど、経済についてはあまり明るくないわよ?」

 

 まあまあ、死ぬ気で勉強すればなんとかなるから。

 

 「これは要するに、ホロキャスターの根幹のひとつである衛星通信は、トクサネ宇宙センター...つまりデボンコーポレーションに頼っているという、そういうデータです。」

 

 「基幹インフラとなりえるホロキャスターの中枢部分が他の地方に頼ってるって話?それに関しては前々から問題視されていたし、貴方は問題ではないと主張していたわよね?」

 

 …どうせすべて滅ぼすつもりなんだから、基幹技術を外資に委ねようがそんな些事はどうでもいい、そういう魂胆だったのだろう。

 

 「まあ別にそれでも良かった。ただ...

 

 これはここ最近のデボンの業績です。」

 

 「…ウソ...」

 

 「ホウエン地方一の大企業、だがその内実はいくつもの赤字部門を抱え、決して安泰とは言い難い…」

 

 なにしろグラードンだのカイオーガだのが暴れた上にメタ・グラードンなんてのまで発生して、挙句の果てに悪の組織は2つもあったらしいからな...!伝説のポケモンが1体暴れるごとに株価が半減すると言われてるくらいだから、直接の復興費用は抜きにしてもロクなことになるわけがない。ゼルネアスとイベルタルとジガルデを暴れさせるつもりのフラダリラボグループにとっては明日は我が身だが、デボンはエネルギー企業だから伝説のポケモンが暴れた場合オーラだけでエネルギーインフラには酷い被害が出るわけでもっと酷い。

 

 「経営は安定してるって聞いて安心していたのだけど...」

 

 「むしろ、経営が安定していると見せかけるためにいろいろ無理をしたせいでかえって内出血が酷くなっています。このままでは赤字部門をいくつか売却することになるかもしれない。そしてホウエンでは宇宙にまつわる伝説のポケモン、レックウザの伝承が広く知られていて、トクサネ...宇宙部門はリスク企業です。」

 

 まあ宇宙なんてこれからの伸びしろはあるけど今はコストばかりかかってリターンの少ない分野だ、火星にポケモンはいないので情熱が湧かないという点では前世よりも宇宙開発の興味も少ないーというか人口も少ないし多少の問題はポケモンで解決できるから宇宙へわざわざ出ていく必要もない。おまけにレックウザやらメテノやらデオキシスやらはいる...となればデボンにとっても売却は悪い話じゃなさそうに見える。

 

 「でも、もし破綻したり、誰かが買収してその誰かが...」

 

 「噂に聞くロケット団のボス、サカキとか。シルフカンパニーを乗っ取ろうとしたことがあるらしいですし。」

 

 「カロスの通信を握られるわけにはいかないわね。どうする?ツワブキ社長に一言言っておきましょうか?」

 

 それではまずい…デボンの赤字部門は表の理由でしかないから。

 

 「いや...

 

 …デボンコーポレーションを買収します。」

 

 「…は?まさか、でも、ウソ...」

 

 はっはっは、チャンピオンを驚かせることができるなんて転生者冥利に尽きる。…コホン、まあ彼女が私の正気を疑うのも無理はない。フラダリラボグループは確かにカロス有数の大企業だが3代企業のデボンと違ってそこらの新興企業でしかない。

 

 「まあと言ってもさすがにグループ全体は難しいでしょう、なんといっても社長の息子はチャンピオンですし。しかしまあ向こうが要らなくてこちらに美味しい部門のいくつかくらいはもらえると思っていますよ。」

 

 チャンピオンのダイゴはとんでもない自信家でカリスマーだがそういう人物だからこそ、ツワブキ家の大誤算なんて身の切り売りしてでもなかったことにしてしまいたいだろう。わかる、本来のフラダリもそういう奴だ、アイツ嫌い。

 

 「…ダイゴくんは理屈だけで動く人ではないわよ?今の貴方はポケモンバトルは...」

 

 「バトルジャンキーなら部下に一人アテがいましてね。」

 

 さて、役に立ってもらうとするか、アランくん?

 

ー”チャンピオン・カルネの手記”-

 

 フラダリが商談でホウエンに飛んだ、そう人づてに聞いた時、まあ彼のことだからきっちり目的は果たしてくるのだろう程度にしか気にしてはいなかった。

 

 けれどすぐにそれは、不安に変わった。

 

 チャンピオンと四天王の緊急招集。撮影の仕事を切り上げて集まったミアレで私は、ホウエン地方にて大陸を作るグラードンと大洋を作るカイオーガが暴れ始めたというニュースを聞かされた。

 

 はるか原始時代には大陸と大洋を作りこそしたが、現代によみがえれば大きなカタストロフをもたらす2体の伝説のポケモンの、それもゲンシカイキ。文明のひとつやふたつ滅ぼせかねない。…手持ちポケモンもほとんどいないフラダリが無事にホウエンから帰ってこれるのか、私には自信がなかった。

 

 …だから、ゲンシグラードン、ゲンシカイオーガ、メガレックウザの3体がすべて収まったと聞いた時、私は安堵のため息とともに、ちょっと困惑してしまったー世界の危機とまで私の覚悟を煽っておいて、ちょっと肩透かしじゃないの?と。

 

 そしてフラダリは経済・社会が混乱から立ち直るまでのわずかな間、チャンピオンのダイゴが手持ちの回復と情勢の安定のために忙殺される間に、デボンコーポレーションに敵対的買収を仕掛けて、カナズミ市場の機能が回復しきらないうちにデボングループの経営権を掌握してしまった。

 

 「やられたよ。まあ僕はそんなに経営に興味なかったし、フラダリさんも『これは安全保障的な買収で、別に何か欲しいわけじゃない』って言っていたから、いいんだけどさ」と不満そうにつぶやくダイゴさんを見た時は、笑ってしまった。

 

 …フラダリ、貴方は、本当に運良く切り抜けただけなの?

 

 …本当は、貴方が... 

 

ー*-

 

 …結論から言えば、すべてはうまくいった。

 

 メガシンカ=ゲンシカイキエネルギーを秘めたホウエンの巨石は、ゼルネアス・イベルタル・ジガルデを制御するエネルギー源としてちょうどいいーヒャッコクシティの日時計で代替できるが街のシンボルを穏便にパクれるとは思えなかった、深夜にレプリカにすり替えてもあそこのジムリーダーは何やら妖しい異能持ちだしな。

 

 当然そんなことをすればグラードンとカイオーガは起きてきて暴れる、レックウザもだ。…まあメガシンカ持ち2人でかかればなんとか巨石回収までの時間稼ぎはできるだろうーここは賭けだった。

 

 目的はむしろ、3体を暴れさせる方だ。伝説のポケモンが暴れればそれだけで危険な地方かつ被災地とみなされて株価は下がるが、グラードン・カイオーガは前にも暴れたばかり。伝説のポケモンが頻繁に大災害を引き起こす地方と思われればカントリーリスクが高いと評価されることになる。…幸いこの世界の人々はみなおおらかだからリーマンショックなみの経済混乱が起きても自然と立ち直ってケロッとしているが、わずかな混乱の時間でもデボンコーポレーションのグループ全社を買収するには充分だった。

 

 …まあダイゴくんには騙すようなやり方で利用して経営権を握って悪かったと思っているが、しかし現にデボンは私にとってリスクだ。アニポケ世界でどうだったかまったく知らないが、「オメガルビー・アルファサファイア」ではポケモンの生体エネルギーで隕石を迎撃しようとして失敗し主人公がゲットしたメガレックウザに助けられ、そしてこの世界にはゲームの主人公はいないし一度通った地方であるホウエンにサトシくんがもう一度通りすがってくれるとは思えない。やがて来るかもしれない隕石にそんな不確実な手段をとる現経営陣よりは、私は転生者だからいろいろやりようを知っている。

 

 「…ってかバッカじゃねーのアイツら!?隕石がもし伝承通りに落ちてきたら異世界に吹っ飛ばそうとか、そう軽い気持ちで異世界転移やら転生やらされたら迷惑なんだよ!」

 

 まあいい、それは終わったことだ。すべては、うまく行きつつある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー*-

 

 はぁぁぁ~~~!!?

 

 ジガルデのコアが片っぽ逃げたぁぁぁ~~~!!?

 




(本当は経済戦的なのを書きたかったけどポケモン世界の経済...?)
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