道化の愉快な仲間たち   作:UBW・HF

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派閥大戦~第五章~

 

「と、云う訳だ。改宗させろ」

 

ロキ・ファミリアの本拠に戻ったベートは、そのまま団長室まで行くとそう切り出した。

この台詞の前に説明など何も無い。

部屋に入るなり、いきなりこう言ったのだ。

 

これには流石のフィンも頭を抱えてしまう。

言いたいことは何となく分かるが、それでももう少し順序立てて説明して欲しかった。

 

「うん、もう少し説明してもらえると助かるんだが、まあ言わんとしてることは分かる。そのうえで答えさせてもらう。断る」

 

当然ながら、フィンの答えはNoだ。

そして、その決定にはロキと、遠征から戻ってきていたリヴェリアも頷いている。

中でもリヴェリアには、どうしても今回の戦争に加わるわけにはいかない理由がある。

ベートたちの勝手を許すわけにはいかない、大きな理由が。

 

「私達6人全員を改宗させろとも、ロキ・ファミリアに戦争に加われとも言わん。ただ、私の改宗を認めろと言っているだけだ。動くのは私だけ。我が強く制御が効かないと思われている私だ。勝手に飛び出したことにすればいい。そうすればギルドへの面目も立つだろう」

 

「自派閥の幹部を容易く放出出来るほど僕も寛容じゃない。君という戦力は君が思っている以上に大きいんだ。穢れた精霊の本体もまだ生きてる。そんな不安定な状況で、君に出ていかれたら困る」

 

「だったら、深層に遠征する時にヘスティア・ファミリアに協力を要請すればいい。それで私は戻るし、ベルやクロッゾ、リューもついてくる。おまけにお前が大好きなあの指揮官も、埒外の魔法を持つ狐人もだ」

 

「はぁ!?なんで、あのドチビに頭なんぞ――――」

 

「黙れ、ロキ。貴様の薄っぺらい矜持などどうでもいい。話すなら建設的なことを話せ」

 

つい感情的になって言葉を返そうとするロキを、ベートは睨みつけて黙らせる。

そんなつまらないもので、自分たちの思いを邪魔されてたまるものか。

 

「一人で先に行かないでください、ベート。貴方一人で交渉は無理です」

 

団長室に、遅れてアイズ達が入ってくる。

ベルからの言葉を受けてそのまま駆け出したベートと違い、アイズ達は少しリューと話をしていたせいで遅れた。

先走るベートに少し呆れた表情を浮かべながらも、一つの例外もなくその視線はフィンやリヴェリアを冷たく射抜いている。

苛立っているのは変わらず、怒りも消えていない。

むしろ、時間経過で段々と強くなっていくのを感じるほどだ。

身を焦がすようなこの思いは、あの復讐心に酷似しているとさえ思ってしまう。

 

「アイズ…。君達も、ベートと同じ意見かな?」

 

「ええ、そうですね。本来なら、貴方達の静止など聞かずにフレイヤ・ファミリアと大抗争を始めている所ですが、ベルが自分で戦うと言ってますから。怒りをグッと堪えて、今この場にいます」

 

「現状取れる最善手と私達の最大限の譲歩が重なってるのよ。今不用意にアイズや私達が動けば、フレイヤの嫉妬を買ってベルが不利な状況になりかねない。だからこそ、私達は動かずに、ロキ・ファミリアにも損害が出ない形でベートだけを参加させる。何も問題ないでしょう?」

 

「大有りだ。私達にメリットが何も無い。それに、ギルドの動きは全てロイマンの機嫌一つで決まるのだぞ?下手な真似をすれば、情報が渡されなくなる」

 

「メリットは半年前に提示したでしょう?ベルと懇意になれる。これ以上のメリットがあるとでも?」

 

「ベルだけの話ではない。悪いことは言わん、ベルと最低限の協力を取れる現状と建前を維持しておけ。いずれ後悔するぞ?」

 

「ガレスまでもか…。ギルドから渡された情報は――――」

 

「ま、概ね予想はついておる。それも含めてじゃ。お主のそれに対する思いは十分理解しておる。じゃが、その思いを成すためにも、ギルドの言いなりになるな」

 

「そもそも、仮にも都市最強を名乗るロキ・ファミリアが、ギルドの言いなりになってどうするのですか?このファミリアは、一体いつからギルドの飼い犬に成り下がったのですか?」

 

ガレスは思う。

確かに、リヴェリアの思いや事情は理解できる。

理解できるからこそ、ギルドではなくベルに恩を売っておくべきだと。

彼のバックボーンを知ったら、なおのこと。

 

「リヴェリア、リューからの言伝があるが聞くか?」

 

「……なんだ?」

 

「『最後の英雄を目指す身であるならば、己の事情や願望より他者を優先させろ。それをしない時点で、お前はあの森の腐りきった連中と何も変わらない』、とのことだ」

 

その言葉に、リヴェリアは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

リューは今のエルフの在り方を嫌っている。

詩人が風刺するかのように、皮肉を交えて嫌悪を歌う。

それが自分に向けられた。

自身も嫌うあの森の連中と何も変わらないと言われた。

それは、リヴェリアに対して最大限の侮辱だ。

 

「フィン、それにリヴェリア、ロキ。敢えて忠告しておく。今の儂らは傲っておる」

 

「何だって…?」

 

「口では調子のいいことを言っておきながら、全てを見下しておる。公式に発表こそしておらんが、儂らはレベル7に至った。そんな儂らが本気を出せば、フレイヤ・ファミリアはおろかどんな相手だろうと勝てると思っておらんか?もう、ゼウスやヘラを超えた気になっておらんか?」

 

フィンたちだけでなく、自分も含めてガレスは言う。

傲慢になった自分たちを戒めるために。

 

「今の儂らでは、束になろうとあの傑物や女帝には敵わん。かつてのように、鼻で笑われるだけじゃ」

 

「そんなことないやろ?自分らレベル7やで?」

 

「ああ、そうじゃな。じゃが、レベル7程度じゃ。あれから15年の月日が流れてなお、レベル7にしか至れておらん」

 

過去最高峰のレベル9にも、そんな女帝よりも強いと謳われたレベル8のマキシムにも、自分たちは至れていない。

そのことを、自分たちは忘れている。

 

「どうせお主らは、これから儂らを説得するためにベルを応援するなど援助するなど都合の良いことを言うじゃろう。心の中ではベルの勝利を一ミリも信じておらんくせに。じゃが、それ自体が傲っておる。レベルにしか目が行かず、勝てる可能性などないと思い込んでおる。自分たちが何とかしないと、などと上から目線で見下しておる。儂だって、無意識のうちにそうなっておった」

 

自戒の念を込めて、ガレスは懺悔するように溢す。

 

「断言する。一対一に限れば、今の儂らでも本気のベルと戦ったら勝率は五割もない」

 

「ちょいちょいちょい…。ガレス、それは買い被りすぎやろ。成長速度はアレやけど、あのガキンチョにそこまでの才能はないで?」

 

「それは儂らも認める。じゃが、ベルには憧憬がある。たった一度の機会を無限に増やし、その全てを自分のものに出来る。何度も挑み続けた儂らよりも、ずっと多くすべてを見続けた。それは、才能なんかよりもよっぽど大きな力じゃ」

 

肉体的にも精神的にも、ベルに才能はない。

だが、今その全ての制限はなくなっている。

経験と思いさえあれば無限に強くなれる神の恩恵。

更にどういう理屈かは分からないが、精神性もかなりあれらに近づいている。

 

ならば、今のベルは文字通りこの都市の誰にも負けることはないだろう。

膨大なステイタスと、それを躊躇うことなく行使できる精神性。

目指すべき最強の姿を憧憬とし、それすらも超えてみせる覚悟を持っている。

 

何万何億と、瞼の奥に焼き付いた憧憬で見取り稽古を続けてきたようなものだ。

その努力は、今になってようやく花開く。

 

「レベル5に至り、それを越えようとする者にとって、レベルなど大した指標にはならん。そんなものを帳消しにできるだけの一芸を、誰しもが有しておるのじゃから。それはベルとて例外ではない。じゃからこそ、儂は言おう。思い上がるな、思い違うな。儂らは最強などではない。未だその足元にすら至れておらん」

 

確かな思いと事実を持って、ガレスは告げる。

 

「最強を目指す儂らが今すべきことはなんじゃ?ギルドの言いなりになって黙ることか?いや、違う。今の儂らに出来ることは、同じく最強を目指しながら困難に立ち向かっている友を助けることじゃ」

 

そして、ガレスは地に足をつけ、頭を地面に擦り付ける。

誠心誠意、願いを表しながら許しを請う。

 

「組織としてお主らが抱えておるものは儂もよく知っておる。たった一人のために、今までの全てを投げ出す恐ろしさも知っておる。じゃが、どうか忘れんでくれ。信念を捨てて得られる栄光に価値などないということを。そして、頼む。どうか儂らに、信念を……友を救うチャンスをくれ」

 

英雄時代が始まったあの日。

あの時、ガレスは確かに見たのだ。

彼が成す、新たな神話と希望の光を。

 

彼に憧れた。

彼に奮い立たされた。

 

「俺からもだ。どうか頼む」

 

ベートも頭を下げ、頼み込む。

プライドが高い彼が他者のために頭を下げる。

これだけで、彼の思いの全てが伝わってくる。

 

「なんで、そこまで――――」

 

フィンの口から、疑問がこぼれる。

その答えは、決まっている。

三千年も前に、あの鍛冶師が示している。

 

「「友のため。俺を信じてくれた、かけがえのない『英雄』のため―――!」」

 

その思いに、フィンは返す言葉を失った。

ただひたすらに友のためにと願う彼らを止める言葉を、フィンは持っていなかった。

それを見たリヴェリアは、なにか堪えるように目を細め、アイズたちを見つめる。

彼女たちの思いを疑い、それを少年に告げたリヴェリアは、それでも信じきれなかった。

 

「アイズ、お前達も同じか?」

 

「ティオネはベート達と同じ思いですが、私達は少し違います。私達の場合は、『すべては愛ゆえに』です」

 

「お前達は、あの少年に別の男の面影を感じていただけではないのか?」

 

「違います。そして、それはベル自身も知っています」

 

竈の館に戻るまでの道中で、ベルに言われていたことだ。

 

『ずっと怖かった。お前達が求めているのは私ではなく別の存在ではないかと思っていたから。だが、今回の一件で痛いくらいに分からされた。私はお前達に愛されている。ありがとう、私の英雄たち。愛している』

 

そう言って、今の状態のベルにしては珍しいくらい穏やかにニッコリと微笑んだ。

ベルなりの誠意と感謝だったのだろう。

どうしても、その時に言いたかったのだろう。

 

ま、そのせいで罪悪感やら庇護欲やら劣情やら愛情やらを刺激して、あんなにしがみつかれる事になったのだが。

流石のベルも、少し後悔した。

もう少し落ち着いたタイミングで言えばよかったと。

 

「勝手な憶測で私達の思いを軽視した貴女には色々言いたいですが、今は置いておきましょう。勘違いして欲しくないのは、私達は誰かの面影だとか、そんなくだらない思いでベルを愛しているのではないということ。私達は、ベルがベルであるからこそ愛しているのです。自身よりも他者を思い、笑顔のために走り続ける。そんな彼に、私達は救われました」

 

「だからこそ、私達は彼を愛し、救いたいと思う。彼の横に立って、彼を支えたいと願う」

 

「お願いです、リヴェリア様!どうか、どうか、お許しください!」

 

思い思いにすべてを伝える彼女たち。

そして、頭を下げるレフィーヤ。

それに付き合うように、ティオネも無言で頭を下げる。

アイズとティオナはまっすぐとリヴェリアを見据え、睨みつけるように訴えかける。

 

「……本当にいいのか、アイズ。今回ギルドから渡された情報は――――」

 

「半年前に決めています。私はベルのために剣を取ると。彼を守るために戦うと。彼に救われたあの日、私は彼にすべてを捧げると決めたんです。もちろん、すべてを諦めるつもりもありません。全てを救うためにも、ベルを救わなくちゃいけないんです。彼は希望そのものだから」

 

ただの感情論、ただの無茶苦茶な思想でしかない。

だが、それ故に彼女たちを言い負かすのは不可能だ。

 

それに、彼女たちも一応ギルドへの言い訳が立つ形で妥協してくれている。

これ以上の説得は無意味に思えた。

あとは、ロキが納得するかどうかだ。

 

「まだ止めますか、リヴェリア?」

 

「……好きにしろ。もう何も言わん」

 

その言葉を受けて、今度はロキの方を向くアイズ達。

ロキは思わず背筋を伸ばし、身構える。

 

「なんや?言うとくけど、うちはそう簡単に――――」

 

「暴れます」

 

「………は?」

 

断固たる拒絶を示そうとしたロキに対し、アイズは静かに告げる。

意味不明な、“暴れる”宣言をする。

意味が分からず呆気にとられるロキに、アイズは更に続ける。

 

「もしベートの改宗を認めないのであれば、私達全員はこの場で暴れます。この本拠を全壊させてもまだ止まらないくらい、盛大に暴れます」

 

「待て待て待てっ!!ちょい待ち!!」

 

「次の遠征なんて出来なくなるくらい――――」

 

「待て言うてるやろっ!!フィンやリヴェリアの時みたいな説得は!?なんでうちだけ物理的な脅しやねん!?」

 

「どうせ私達が何を言っても貴女は難癖つけて拒否するだけでしょうし。なら、脅したほうが手っ取り早い」

 

「蛮族か、おどれらは!?もっと理知的に話し合おうで!?」

 

「……チッ、面倒な」

 

「聞こえとるぞっ!?」

 

あまりにも乱暴な脅しに叫ぶロキと、面倒くさそうに舌打ちするアイズ。

とはいえ、このままではコントが続くだけで話は終わらない。

ここからは少し理詰めで話を進めていく。

 

「それに、もしこのまま拒否し続ければ暴れるのは私達だけでは済みませんよ?」

 

「なんやて…?」

 

そう言ったアイズは団長室の扉を勢いよく開ける。

突然開いた扉に驚き受け身が取れず、扉にもたれ掛かるように聞き耳を立てていた少女たちは室内に倒れ込む。

 

「リーネ…?それにラクタやナルヴィ、クルス、ラウルにアキも…」

 

「だ、団長…!違うんすよ!決して、聞き耳を立ててたとか、そういうんじゃないっすから!」

 

「この状況でそれは無理があるだろう」

 

言い訳をしようとするラウルだったが、ベートの呆れたような声に押し黙り、何も言えなくなってしまう。

怒られると思っていたが、多少驚いたり呆れたりはしていても、誰も怒ったりしていない。

特にベート辺りに怒鳴られると思っていたばかりに、少し拍子抜けしていた。

 

「お、怒らないんすか…?」

 

「聞かれて困る話はしていない。で、何の用だ?こっちの話もまだだ。用件があるなら早く言え」

 

「それは、その……」

 

言い淀むラウルだったが、彼に代わりリーネが一歩前に出る。

その行動を訝しむ彼らだったが、彼女が勢いよく頭を下げたことでそれは驚きに変わった。

 

「リーネ、一体なにを――――」

 

「お願いします!ベートさんの改宗、どうか御一考いただけないでしょうか!?」

 

「……は?」

 

彼女から飛び出たその言葉に、ロキは声を漏らす。

 

「なんでリーネまで頼み込んでくるんや?」

 

「私達は、何度も彼に助けられました!!」

 

ロキの疑問に、リーネは頭を下げたまま叫ぶ。

 

「クノッソス進行の時、私は彼に助けられました!エニュオとの決戦でも、彼がいなければオラリオは滅んでいました!私達は、彼に返しきれない恩があります!」

 

それはロキも分かっている。

分かっているからこそ、苦い顔を隠せない。

 

「フレイヤ・ファミリアの蛮行を、彼を苦しめたその行いを私達は許せません!その思いだけは、全員同じ筈です!だから、どうかお願いします!」

 

頭を下げるリーネを見て、フィンは何かを思うように目を細める。

 

「ラウル達も、同じ気持ちかな?」

 

「……はい」

 

少し迷うに逡巡した後、全員が小さく頷く。

冒険者になって半年も経っていない子供が背負うには大き過ぎる宿業。

そうなってしまった一因はロキ・ファミリアにもある。

 

そして何より、彼らもフレイヤを許せない。

自らの欲望のために、誰よりも傷つきながら戦ってきたあの少年を更に痛めつける彼女を、許すわけにはいかない。

 

「では、こうしましょう」

 

ここで一つ、アイズは甘い毒を落とす。

誰も抗えない、魅惑の猛毒を。

 

「ロキが始めたファミリア。ですが、今はロキだけのファミリアではありません。ならば、団員全員が決議に関わるべきです」

 

「と、言うと?」

 

「これから団員全員を集め、多数決を取ります。過半数が賛成すれば、ベートの改宗を認めてください。もし過半数が反対すれば、私達も素直に諦めましょう」

 

これだけなら、まだロキにも勝機はある。

だが、そんなものを許すほど、アイズは優しくない。

 

「ベートには多数決の前に自らの思いと決意を演説してもらいます。反対しているのはロキですから、対抗馬としてロキも演説を。それで公平公正に、ファミリア幹部の今後を決めましょう」

 

「……あくどい真似するようになったな、アイズたん」

 

こうなってしまえば、ロキに断ることなど出来ない。

そうすれば、団員全員から不審を抱かれることになるから。

だが、この勝負にロキが勝つ可能性など殆ど無い。

ただでさえフレイヤ・ファミリアへの反感が高まっている現状、一番重要なのは目先の利益ではなく他者を動かすだけの思い。

この演説において、反対派の主張にはそれを取り入れづらい。

言ってしまえば、ただの出来レースだ。

 

それを分かったからこそ、ロキは苦虫を噛み潰したような顔をする。

それを見たアイズは、ニッコリと微笑む。

 

こうして、その後行われた多数決で過半数から承認を得て、ベートはヘスティア・ファミリアへ改宗することを認められた。

 


 

場所は代わり、ヘルメス・ファミリアの神室。

神会を終えて帰ってきたヘルメスは疲れたように椅子に座り込むと、手に持っていた羊皮紙を投げ捨てる。

その顔には諦めが浮かんでおり、どうすることも出来ない悲壮感が漂っている。

 

「ダメだ。負けた」

 

まだ始まってもいない戦争をすでに投げ出してしまった彼に、アスフィもしばし口を閉ざした後それでも我慢できずに苦言を呈す。

 

「……決めつけるのは、まだ早いのではありませんか?」

 

「早くないさ。ヘスティア達とベル君は――――」

 

「やはりお前は私が負けると思っているようだな、クソ神が」

 

二人しかいないはずの部屋に、第三者の声が聞こえてくる。

その声を聞いた瞬間、ヘルメスは冷水を浴びせられたように身体が強張るのを感じる。

脂汗を滲ませながらゆっくり声の方向を振り返ると、そこには窓枠に腰掛けるようにして座るベルがいた。

赤い瞳で冷たくヘルメスを見つめている。

それを確認したヘルメスは、ゆっくりと息を吐く。

 

「あんまり脅かせないでくれ、ベル君。今の君だと生きた心地がしない」

 

「知るか」

 

それでも身体は強張ったまま。

ヘルメスは背もたれに体を預けるが、楽になった気がしない。

 

「何の用だい、ベル君」

 

「頼んだものが準備できたか確認に来ただけだ」

 

「それならご心配なく。流石に今すぐ渡すのは無理だけど、当日には渡せるよ。“彼ら”の団旗であってるね?」

 

「ああ、“俺達”の団旗であってる」

 

その会話が具体的に何を示すのかは分からない。

団旗は今もアスフィが制作している途中だが、それに描かれているエンブレムは今まで見たことがなかったから。

あの団旗がどんな意味を持つのかは分からないが、それが彼らにとって重要なものであることだけは、確かだった。

 

「なあ、ベル君。一つ提案なんだが……」

 

「呼ぶつもりはない」

 

「……まだ何も言ってないぜ?」

 

「お前が言いそうなことくらい分かる。それとも違ったか?」

 

「いいや、あってるさ。それで?なんで呼ばないんだい?彼女たちなら喜び勇んで来そうだけど。病状も回復に向かってるんだろう?悪化したのかい?」

 

「むしろ逆だ。二ヶ月ほど前の手紙に、短く『治った』と書かれていた。どういうことか詳しく尋ねてみれば、病も毒も完治し、二人揃ってランクアップを果たしたそうだ」

 

「だったら――――」

 

「そんな状態のあれらを呼んでみろ、オラリオどころか世界が滅ぶぞ」

 

ベルのその言葉に、ヘルメスは押し黙る。

その言葉の真意を、正しく理解したようだ。

 

「あの叔父がどう出るのかは分からんが、あの二人がどう動くのかだけは分かりきっている。ファミリアは壊滅させられ、フレイヤは送還させられる。そうなれば後を追ってフレイヤ・ファミリア全員が自害し、黒竜討伐どころではなくなる。アポロンの時とは訳が違うんだ」

 

「いや…、いくら彼女でもこの時期に送還はしない……とは、うん」

 

「断言できない時点で分かれ。好々爺の浮気程度なら私やヘスティアで諌められるかもしれんが、今回のこれは無理だ。明らかに度が過ぎている。私達だけで完全にケリを付け、終わったことだから口を出すな、とでも言わん限り止めるのは不可能だ。このやり方でも、完全に止められるかどうかは怪しい」

 

「だよな…。ちなみに、君が負けたら?」

 

「その現状を知ったあの二人がブチギレ、フレイヤ・ファミリア殲滅戦が開始される」

 

「出来レースじゃん…。」

 

「私が負けたら世界が滅ぶというおまけ付きだがな」

 

この戦争で勝っても負けても最終的にはベルはヘスティア・ファミリアに戻ることになるし、フレイヤ・ファミリアはなくなる。

その過程が異なるだけで。

ベルが負ければ、フレイヤ・ファミリアは何も残らない。

暴力で無理矢理ベルを改宗させようとした報いを、その身に受けることになる。

まさに因果応報。

強いだけの者など、更に強い者には成すすべがないのだから。

ただ、そうなれば誰も幸せにはならないし、禍根が残り続けることになる。

それを避けるために、ベルは奮闘しているのだ。

 

「泣き言を言っている暇などない。お前も救界を願う神ならば、最後まで足掻け」

 

「ベル君……。」

 

「というか、お前は何で私が負けると思ってるんだ?ぶっ飛ばすぞ?」

 

「ごめんって」

 

「ここにいるのが私で良かったな」

 

「恐ろしいこと言わないでくれ!!」

 

ヘルメスは叫ぶが、それを聞くことなくベルは立ち上がる。

その背中を見つめ、ヘルメスは最後に問いかける。

 

「勝てるのかい、ベル君?」

 

「勝つ。『俺達(さいきょう)』の名を背負う以上、負けは許されない」

 

その言葉を最後に、ベルは窓から飛び降りていった。

彼が出ていったその場を見つめながら、ヘルメスは呆れたように呟く。

 

「やれやれ。貴方の孫は随分頼もしくなったぜ?……なあ、ゼウス」

 

最後のその小さなつぶやきは、アスフィには聞こえなかった。

だが、穏やかに微笑むヘルメスを見て、何かを悟る。

そうしてしばらく部屋に静寂が残っていたが、突如開かれた扉によって、それは途絶えることになる。

 

「失礼します。クソが――――ヘルメス様宛にお手紙が来てますよ」

 

「おい、ローリエ。お前今何と言い間違えた?」

 

「何でもありません。というより、早く受け取ってください」

 

「分かった分かった。手紙だろう?差出人は?」

 

「本名は書かれてません。ただ、『墓守』とだけ」

 

「『墓守』…?彼女か?」

 

墓守と呼ばれる存在からの手紙を受けて、怪訝そうな顔をするヘルメス。

差出人の察しはついたようだが、その内容までは分からない。

分からないが、すごく嫌な予感がする。

手紙を開けて内容に目を通すと、ヘルメスは次第に眉をひそめ顔を強張らせる。

 

「おいおいおいおい…。嘘だろ?このタイミングで?これじゃベル君に休む暇なんてないな」

 

完全に重なってはいない。

だが、限りなく近く、余裕がない。

その事実に頭を抱えながら、ヘルメスは考えを巡らせる。

 

「アスフィ、悪いが仕事追加だ。他の団員も使っていいから都市外遠征の手配を頼む。俺はウラノスの方に掛け合ってくる」

 

「何があったんですか?」

 

「今回の戦争遊戯とはまた違う、正真正銘の下界の危機さ。下手すれば黒竜よりも前に、一匹の獣によって世界は蹂躙される」

 

いつにもなく真剣なその表情。

 

「勝とうが負けようが、ベルくんとあの八人に休息はない。気の毒だが、頑張ってもらうしかないな」

 

現代の因縁と共に、古代の因縁もある。

因縁の決着は、いつの日か必ずつけなくてはいけない。

その日は近づいている。

 

それに備えるため、ヘルメスもまた動き出す。

 


 

そして、戦争遊戯当日を迎える。

勝負の方法は『神隠し(ハイドアンドシーク)』。

勝利条件は『神の花の奪取』。

場所は『オルザの都市遺跡』。

湖に浮かぶ、オラリオの一区画が丸々入るほどの広大な遺跡。

 

そこを舞台に、決戦は行われる。

様々なファミリアが集まり、思い思いに鼓舞し合う。

ベルに恩義を感じる者たちも集まり、ベルに声をかけて勝利を誓い合う。

その大勢の中に、一つだけ意外な顔があった。

 

「なんでお前までここにいるんだ、アーディ」

 

「酷いこと言うね、ベルくん!?」

 

監督及び都市防衛役として中立の立場であるはずのガネーシャ・ファミリアに所属しているアーディ。

そんな彼女が、何故かこの場に紛れ込んでいた。

 

「私、アリーゼ達と同じようにこの前の戦いでランクアップしてるよ!?役に立てるよ!?」

 

「そういう意味じゃない。監督役としているのか?」

 

「違う違う。私も参加するの。ていうか、一応発表があった筈なんだけど、聞いてない?」

 

「必要最低限以外の情報は入ってこないようにしていた」

 

「それもそれで酷くない…?まあ、いいや。実は私ね――――」

 

「今のアーディはアストレア・ファミリアよ!」

 

ベルがアーディと話していると、横から声が聞こえてきた。

そこにはアストレア・ファミリアの三人がいる。

彼女たちが参戦するのは知っていたが、彼女の口から飛び出た言葉には、今のベルも流石に少し動揺した。

 

「この戦いのためにわざわざ改宗したのか?」

 

「うん、そうだよ!ヘスティア・ファミリアの方に行こうかとも考えてたんだけど、都市警備の戦力を減らすわけにもいかないってお姉ちゃんに反対されちゃって」

 

「その点、私達のファミリアなら元々協力関係にあるしね。シャクティも、渋々ではあるけど納得したんだって」

 

「こんな余所のファミリアの抗争のために、よく改宗する決心がついたな。他人の戦いだろう?」

 

「他人の戦いじゃない。これは、私達の正義を取り戻すための戦いよ」

 

ベルはアーディ達と関わりが薄いと思っている。

だが、彼女たちからしてみればそんなことはない。

ゼノスの一件で都市のすべてを敵に回しても正義を貫いた彼の在り方。

そんな彼に好感を抱いているし、クノッソスの戦いでは彼の鐘の音に助けられた。

だからこそ、自分たちの記憶を歪めたフレイヤに怒りを抱くし、傷つけてしまった彼のために戦いたいと願うのだ。

 

「…………。」

 

「どうかした?」

 

「いや、なんでも。昔会った神の影響で、正義だ悪だという話が少し苦手なだけだ」

 

「ふぅ~ん…。何ていう神様?」

 

「言いたくない。言ったら絶対面倒になる」

 

「なぁに?もしかして初恋の神様?」

 

「そんなんじゃない。そもそも男だ」

 

「大丈夫!私達はそういうのに理解あるファミリアよ!」

 

「一緒くたにしてくれるな、アリーゼ」

 

「アタシ達が神々の言う『腐女子』だと思われたらどうすんだよ?」

 

「そもそも色恋の話ではないと言ってるだろうが!」

 

勘違いされたくないベルは叫ぶが、アリーゼはその様子がおかしいのか面白おかしく玩具にするだけだ。

 

「ほらほら、早く言っちゃいなよ~」

 

「おい、やめろ。撫でるな」

 

「そんなに照れちゃって~」

 

「そういうのじゃない。ホントにやめろ。お前らも見てないで止めてくれ」

 

「諦めてそのまま可愛がられておけ。お前も、こんな美人な姉から可愛がられて悪い気はしないだろう?」

 

「アリーゼ、リオンに見つかる前にはやめろよ?絶対面倒になるし」

 

「ほどほどにね~」

 

「分かってる!!」

 

「言ってないで止めろ!!」

 

ベルは止めるように言うが、この他派閥の姉たちは意に介す様子を見せない。

完全に子供扱いをしている現状、どれだけ反抗しようといいように玩具にされるだけだ。

今の状態のベルにこんな真似できるのは彼女たちだけだろう。

 

「盛り上がってるとこ悪いけど、少しいいかい?」

 

「アイシャ…!」

 

アイシャが来たことでようやく解放されたベル。

思わず嬉色に満ちた声で彼女の名を呼んでしまった。

彼女の方を見てみると、その手には身の丈の倍以上はあるであろう旗が握られていた。

旗は竿に巻きつけられているので描かれたエンブレムは見えないが、それが頼んでいたものだとすぐに分かった。

 

「うちの団長からだよ。頼まれてた団旗と拡声器、携帯できるよう小型タイプのね。一応確認しておくれ」

 

「……ああ、大丈夫だ」

 

「ねえ、それってどこのファミリアのエンブレム?今まで見たことないけど」

 

「すぐに分かる。気にするな」

 

出来栄えに満足し、薄っすらと笑みを浮かべるベルを見て、不思議そうな顔をする正義の乙女達(アストレア・ガールズ)

そして、彼の言葉通り、その団旗の意味はすぐに分かることになる。

 

「おい、お前ら!ヘスティア様が最後のブリーフィングするから来てくれって!」

 

ヴェルフの声が聞こえてくる。

開戦の時は近づいてくる。

全員の顔が強張り、握る拳に力が入るのを感じる。

 

「分かった、今行く」

 

ヴェルフに答えながら、ベルは歩いていく。

そして、最後の作戦会議が行われた後、ついに戦争遊戯が始まった。

 

…………………

………………

……………

…………

………

……

 

開戦が告げられた。

派閥連合に属する多くの冒険者たちは動き始めている。

そんな中、ベル達はゆっくりと歩きながら遺跡の中心地を抜け、フレイヤ・ファミリアの陣地に向かっていた。

 

「最後の確認だ。気の短いアイツらは短期決戦かつ、単純明快にことを進めたがる。どうせ、神隠しを総力戦に変貌させるように固まってこちらに進行してくる。それに対して、私達は迎撃と神々の護衛、フレイヤの探索に分かれて戦うことになる。言うまでもなく、不利なのはこちら。だからこそ、幹部連中は必ず私達が倒さなくてはいけない」

 

具体的な大規模人数の運用はリリに一任しているが、どうしても幹部の動きを足止めする係は必要になってる。

それは、今ここにいるメンツで行わなくてはいけない。

 

「ベートはアレンの相手を」

 

「ああ」

 

「椿、ヴェルフ、リューの三人はヘディンとヘグニ、その周囲にいる連中の相手を」

 

「おう!」

 

「ええ」

 

「任せろ」

 

「アストレア・ファミリアの四人は、ガリバー兄弟を」

 

「任せて!」

 

「承りました」

 

「りょーかい」

 

「分かった!」

 

「最後に。あのクソガキは俺が“喰らう”」

 

オッタルをガキと表するその姿。

違和感しかないはずなのに、それが自然に思えてしまう。

だからこそ、誰も何も言わない。

 

「俺以外はあくまで理想だ。崩れる可能性は大いにある以上、拘りすぎるな」

 

ベルはここでようやくヴェルフから借り受けた煌月を手に取る。

そして、【英雄運命(スキル)】を発動させる。

白い光と鐘の音が周囲に届く。

 

「最初から大鐘楼は使えない。お前達のスキル(アルゴノゥト)春姫の魔法(ウチデノコヅチ)のダブルランクアップは現実的には出来ない以上、ウチデノコヅチはお前達を対象には使えない。俺以外の使い所は春姫とリリに任せてある。それぞれ、臨機応変に動いてくれ」

 

無茶苦茶を言っている自覚はある。

だが、それ以外にやりようがない。

 

「長くなったが、以上だ。問題ないな?」

 

ベルのその問いに、全員が小さく頷く。

 

「さてと、じゃあまず手始めに」

 

西側の神殿群の近く。

フレイヤ・ファミリアが待ち構えているその目と鼻の先。

そこまでたどり着いたベルは、持っていた団旗をヴェルフに投げ渡す。

 

「邪魔なもの全部、吹き飛ばすか」

 

この行動は事前に伝えてある。

アポロンの時と似たやり方だ。

あの時ほど近くにまで迫れていない。

あの時ほど効果的にはならない。

だが、それでもこの行動を取らなくてはいけない。

最強を示すために。

 

斥候に行った面々はすでに退避済み。

というか、フレイヤ・ファミリアが待ち構えているのに動揺し、リリの指示に素直に従った。

ならば、あとは心配ない。

 

いつものベルなら抱いていたであろう敵への配慮や心配は、今はない。

それが、フレイヤ・ファミリアにとって最大の不幸だ。

ベルの中に、彼らがいるのだから。

 

大鐘楼にはならない。

それでも、五分間チャージしたその一撃は強大なものとなる。

ヴェルフの魔剣に、ベルの魔法(ファイアボルト)も加わったその一撃。

 

小さく息を吐いて、意識を集中させる。

思い起こすのは、憧憬の一撃。

 

(――――あぁ、これだ)

 

初めてあの叔父に手が届いたような気がした。

追い越せていない。

追いつけてもいない。

それでも、その大きな背中に、ようやく触れられるようになった。

横薙ぎに奮われ、周囲を断ち切る炎獄の一撃。

 

正真正銘の、『最強(ゼウス)』の一撃。

 

それは、世界に大きな衝撃を与える。

 


 

神の鏡で観戦していたフィンたちは、その一撃を見て戦慄する。

 

「な、なんすか、あれ…。【白兎の脚(ラビット・フット)】の新しいスキル!?」

 

観戦していたラウルが動揺して叫ぶ。

ラウルだけでなく、アイズ達以外の全員が困惑している。

 

ベルの放った一撃は、フレイヤ・ファミリアの本陣にまで届き被害を与えた。

第一級冒険者を仕留めるには至っていないが、それでも無視できないレベルの傷を与えている。

満たす煤者達(アンドフリームニル)によってすぐに治療が行われているが、それでも一番先頭にいた勇士達はもう使い物にならないだろう。

 

「違う…!あれはスキルなんかじゃない…!あれは…、あの技は…!」

 

この強大な一撃を、フィンたちは知っている。

昔日に、思い知らされている。

そして、それはオッタルやフレイヤだって同じだ。

彼らも、この一撃を知っている。

その身を持って、分からされたのだから。

 

『チッ、この程度か。あの叔父なら今の一撃で全て薙ぎ払っただろうに。自分の未熟さが嫌になるな……まあいい』

 

その一撃を放った当の本人は、不服そうに舌打ちをしている。

これほどの一撃を放っておいて、何を言っている。

同じ技は一応オッタルも使える。

だが、技としての完成度において、ベルの一撃は既にオッタルの上を行っている。

あの完成度に張り合えるのは、おそらくレオンだけだ。

 

『聴け、世界。そして人類』

 

ヴェルフに渡していた団旗を手に、自身が拓いた瓦礫の上を歩いていくベル。

そして、その中央で立ち止まり、拡声器を使って話し始めた。

 

『かつての最強を超える英雄は現れなかった』

 

ベルは宣言する。

ベルは否定する。

この十五年のすべてを認めない。

 

『絶対悪の屍を超えてもなお、高みへと至らないボンクラ共。お前達は俺達の何を見ていた?』

 

吐き捨てるように告げるベル。

その姿を、フィンたちは知っている。

 

『最強を目指しながら英雄であろうとしない阿呆共』

『英雄であろうとしながら最強を目指さない馬鹿共』

 

『お前達は、俺達の何を見てきた?この15年間、お前達は一体何をしてきた?』

 

息が詰まる。

過去を思い出す。

 

『お前達には呆れ果てた。何が最強だ?何が都市最大派閥だ?この程度で浮かれ、持て囃され、それに甘んじる痴れ者共が』

 

ベルは手に持っていた団旗を掲げる。

風になびかれ、描かれたエンブレムはしっかりと映し出される。

そのエンブレムを、フィンたちは知っている。

雷霆を象るそのエンブレム。

それを掲げていたファミリア。

そのすべてを、知っている。

 

『お前達が至らないのであれば、俺が至る。お前達が成せない偉業の全てを、俺が成す。この戦いも、これまでの戦いも、全てを糧とし、最後の大いなる獣を討ち取って見せる』

 

そして、彼の口から告げられる。

ベルが背負っている、全てを。

 

『俺はベル・クラネル』

 

最強の名が、再び轟く。

 

『“最強”――ゼウス・ファミリア……、その最後の一員だ』

 

最強を背負う英雄は、ここにいる。

 

『来い、クソガキ。最強とは何か、教えてやる――!』

 


 

あとがき

 

追加補足をここで改めてさせてください。

 

Q.『ウチデノコヅチとアルゴノゥトを重ね掛けしてダブルランクアップは出来るの?』

A.出来ないことはないけど、やったら身体が壊れる。やったとしても、ズレが酷くなってまともに戦えなくなる。

英雄神話や道化行進とウチデノコヅチは併用出来るのかどうかについてですが、「出来ないことはないけど、危ない」が私の中での設定になってます。

ファミリアクロニクルでアストレア様が語ったことですが、2ランクアップしたリューさんは長い間レベル4のままだったと言うことを置いたとしても、そのままステイタスを更新すれば急激な器の拡大に身体がついていけずに壊れていた、あるいは感覚のズレに長い間苦しむ事になっていたそうです。

魔法やスキルで強化したとしても絶対に限界があり、それを超えるのは無理じゃないかなと私は思っています。

それを超えれるとしたら、それこそ神様や精霊なんかの力が必要になってくるんじゃないかなと。

だからこそ、ご質問に対する私の答えは「理論上は出来る。でも、やれば身体が壊れる」というものです。

 

以上です。

まあ、ダブルランクアップなんてしたら、黒竜とか漆黒のモンスターとかお義母さんとか、そういう化け物以外には無法もいいとこですしね。

18巻の時点でベルくんもだいぶ苦しんでましたし、多分無理です。

 

それと、2P目の最後。

そんなんあったっけ?って思われた方もいるかもしれませんが、本編にはないです。

派閥大戦が終わってからすぐに巻き起こる、「アルゴノゥト」に関する物語です。

楽しみにしてくださる方がいれば、幸いです。

 

あと余談ですが、ベルがヘラ・ファミリアを名乗らなかったのは、どこで恨みを買ってるか分からなすぎて、怖かったから。

派閥連合にアンチ・ヘラがいれば、それだけで連合が瓦解しかねないですし。

ちなみに、ベルくんがヘラではなくゼウスを名乗ったことを後で知ったお義母さんは、ブチギレておじさんに八つ当たりしました。

 

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