[本編完結]オサレ詠唱の申し子   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 難産です。


「領域展開」は言い方で特色が出るから実質卍解

「久しぶりね、悠仁。元気にしてた?」

 

「母さんなのか?…なんで今更…違う──なんで…なんで!ここに居んだよ!!」

 

「私が五条悟を封印したからだよ」

 

 羂索は勿体ぶる事なくあっけらかんと答えた。

 

「昔から六眼というのは厄介でね、世界の因果か、六眼持ちを殺したところでまた別の場所で六眼の子供が生まれる。しかも今回は無下限との抱き合わせと来たんだから厄介極まりないよ…だから封印したんだ」

 

「さて、授業参観にしてはいささか場所をわきまえていないと見える」

 

 どこからともなくメガネをかけた美丈夫である人物、愛染宗介が現れ、それを目撃した羂索は目を細める。

 

「Mr.愛染!」

 

「東堂くん…腕を怪我しているね、その腕では術式は使えないだろう。下がりたまえ…奴は危険だよ」

 

「でも!…」

 

 項垂れている虎杖は何かを訴えるかの様に愛染に懇願する。

 

「君の身内かどうかも、私が戻った後でゆっくり教えよう。しかし、ここは引きたまえ…」

 

 東堂は渋々と言った様子で、この大事件を起こした張本人が自分の母親であるショックに項垂れる虎杖を起こし、撤退する。

 

「人数の有利を取らなくても良かったのかい?」

 

「私の術式は周りの被害を考えないモノでね、人払いは常にまとわり付く。それと、実の母親を殺す生徒を容認できる先生は居ないよ」

 

「ははっ、上手い方便だね。でも私に勝とうとするには、君は少し実力不足かな」

 

 羂索は人差し指と親指を使い三センチほどの間隔を取り、挑発する。

 

「面白い、戦闘用の体ではないだろうに、この私と闘いあまつさえ勝つ気でいるとは」

 

「私の正体を知ってる君には興味があるが、体を奪えばどうせ済む話だね!」

 

 羂索は掌からムカデ型の呪霊を無数に取り出し、愛染にぶつけようとしていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 真人の一件から分かっていたが、やはりあの術式は呪霊操術…全くどこで入手したのやら。

 しかし羂索の出す呪霊を避けながら詠唱するというのはなかなか骨が折れる。故に、物は試しだ。

 

破道の八十八、飛竜撃賊震天雷炮(ひりゅうげきぞくしんてんらいほう)

 

 私の掌から雷の一閃が迸る。

 

「言霊呪法、日本最古の術式だったね。威力はすごいが、君のそれは縛りで底上げされた物だろう?私も使ったことあるが、古い故にその燃費の悪さはネックなんだよね」

 

 詠唱破棄とは言え八十番代後半の破道だが、羂索はムカデ型の呪霊の層で雷のような私の攻撃を数瞬耐え、避けるか…やはり見抜かれているな。

 

「大方私のボディに乗り換えるつもりなのだろうが、あいにくこの体は定員オーバーでね、君の入る隙間なんてないよ」

 

 距離を詰め、羂索の右手に持っている獄門疆らしき物体に向けて特級呪具天逆鉾で斬りかかるも、体を逸らす様に軽い身のこなしで避けられる。

 

「それなら元いる君を押しのけ私が入るとしよう。そうすれば…私の身体だ」

 

 羂索は繰り出そうとしていた呪霊をフェイントの様に引っ込めると、私を超重力で押し潰そうとする。

 

「くっ!反重力機構(アンチグラビティシステム)…」

 

「…たまげたね、実際。誰にも見せていない私の術式を知っているか…ますます君の記憶を覗いて見たくなった」

 

 ニヤリと勝ち誇ったかの様に羂索は口角を上げている様だが、顔をちゃんと確認しようとし目線を持ち上げようとしても体が重い…地面にへばりつかない様にするのがやっとだ…しかし──

 

滲み出す混濁の紋章、不遜なる狂気の器

 

 口頭の詠唱で術式を発動できる私にはあまり良い一手ではないよ。

 

「この状態から詠唱をするかッ!」

 

湧き上がり・否定し、痺れ・瞬き、眠りを妨げる

 

 反重力機構はとてつもない術式だが、その欠点はインターバルの長さ、発動範囲は自分を中心に置いているが故に動けないところ…そして羂索自身の都合により、他の術式との併用が出来ない点だ。

 

爬行する鉄の王女、絶えず自壊する泥の人形

 

 反重力機構の持続時間であるこの六秒で決める…。

 

結合せよ、反発せよ、地に満ち己の無力を知れ!!──破道の九十、黒棺

 

 今の私による、完全詠唱の黒棺だ!時空すら歪ませるほどの超重力に、戦闘用の体ではない羂索が耐えられるはずが…。

 

「なん………だと…」

 

「残機が一つ減ってしまったね、まぁすぐ再生するが」

 

「この術式出力、現代の…いや過去の術師からしてもトップクラスだろうね」

 

「しかしこの威力と範囲だ、あの詠唱と合わせたとしてもあまり連続して打てるものではない」

 

「それなら手は決まっているね」

 

「やはり速攻に限る」

 

 倒したと確信して黒棺を解いた瞬間、羂索が分身…いや五人に()()()()()。まさか、過去に出てきた呪詛師の『自分を増やす術式』をストックしていたのか!

 そういえば昔、五条から自分を増やす術式の奴の話を聞いていなかったな…過去編辺りにはもう羂索に殺されて居なかったのかもしれない。

 …しかし的を増やすのは鏡花水月を使える私に対して、リサーチ不足ではないかな?

 

「…驚いたが、この私に人数で挑んでくるのは得策ではないね」

 

 五人の羂索が後方で呪霊を呼び出して総攻撃を与えようとしているが…その中の一人は()()鏡花水月の術中だよ…──ッ!

 

「…くっ!」

 

 馬鹿な、五人の攻撃が全て私に向かっているだと!?両面宿儺ですら通用していたはずだが…そうか、()()()が司令塔としてどこかにいるのか…上手いね、しっかり逃走用の経路も確保している。

 

「呪霊操術の良い点は単独で軍隊を作れることだが、その欠点も術師本人が単独である点。それなら最初から私自身を増やせば良い訳だが…数が増えたことによって君のもう一つの術式が発動したね、対象一人の五感を意のままに操る術式『鏡花水月』、私が君の対策を怠る訳がない」

 

 元々持っていた術式が対策として役に立っていたパターンか…参ったね、でも──

 

「なるほど、それなら安心だ…私に対して対策不足だからね──領域展開『無鏡水掌(むきょうすいしょう)』」

 

 領域展開のため上品上生の手印を作ると、周りの景色が星の無い夜の様に変わっていき、増えた羂索全員を包み込む。

 私の心象風景である領域は、星の無い夜空に満月の明かりだけが光り、地面に広がる湖と中心に刺さっている一本の日本刀だけという実に簡素な領域となっている。

 

領域展開『胎蔵遍野(たいぞうへんや)

 

 獄門疆を持っていない一人の羂索がこちらの領域に対抗するべく領域展開をするが、無駄だよ。

 

「私の領域でも押し返せないか…」

 

「ふふ、この領域は必殺効果は無くてね、しかも簡易領域、落花の情、領域展延と呼ばれる領域関連の動作を永久的に縛る事で領域の押し合いに強くしている。その必中効果も単純なもの、鏡花水月の無制限の解除、対象を必要としない鏡花水月の幻想も可能になる上に、領域内で一度きりだが幻想の具現化も可能となっている」

 

「術式の開示、ダメ押しだね」

 

 羂索はオーバーリアクションに「やれやれ」と不貞腐れた様に両手をあげるが、余裕がまだあるね…本当に怖いものだよ。

 

「何があるか分からないからね、念には念を入れておくに限る。…それでは掛けるよ──砕けろ、鏡花水月」

 

 

 

 




 お疲れ様でした。
 オリジナル領域展開のお披露目になりましたねぇ!それっぽい領域名になったんじゃないかと思います。
 戦闘シーンは地の文で表そうとすると説明がグダグダになってしまうので、テンポよく行くしか無くなってしまうので苦手なんですよね…

 あと羂索も愛染様も口調が似てるので変化の付け方が分からなかったですねぇ…

 ちなみに私は結構羂索推してます…………スゥ…はい…
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