[本編完結]オサレ詠唱の申し子   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 興が乗って書き上げた作品です。
 話めちゃくちゃ飛んでますが、最新話の更新と最新刊の単行本読んで書きたくなったから…仕方がないよね


私はどうして…こんなところに来てしまったのだろう

 獄門疆"裏"の存在とミゲルの持つ黒縄の存在、あらゆる術式を消滅させる術式を持つ来栖の存在、高専が愛染宗介の死後確保した天逆鉾*1という存在から、五条悟は驚くほど早い段階で獄門疆から解放される。

 そして五条悟は結界術の応用から様々なことに自身の分身を適用して、本来の予定より早い段階で天元を呪霊操術で取り込んだ後の羂索に啖呵を切り、乙骨憂太の付き添いの元、物理的にも綺麗になった呪術総監部で五条悟は乙骨憂太から死を伝えられた後に、本来死んでいるはずの人物と遭遇する。

 

「答えろ!お前は何者だ!」

 

 五条悟の声が、背中を見せこちらに振り向こうとしない人物に対して投げかけられ、伽藍堂(がらんどう)となった呪術総監部の一室で声が反響する。

 

「聞こえなかったかな?私は愛染宗介、君のよく知る先輩だよ」

 

 声だけならば、五条悟のよく知る落ち着きのある声色だが、五条悟並びに乙骨憂太も違和感を感じ取る。

 

「しらばっくれるんじゃねぇ!パイセンと同じ声、同じ呪力、だが俺の心がお前の存在を否定してんだよ!お前は誰だ!」

 

 少しの呼吸の後、顔だけを振り返るようにして五条悟を見た愛染宗介の顔は笑みを持っていたが、五条悟の知る温かみのある笑みとはかけ離れた、まるで氷細工のような冷たさを持っていた。

 

「…君の知る愛染宗介は、最初から何処にも居はしなかったということだよ」

 

 その顔を見た五条悟は絶望していた。その言葉の意味が本当にそのままの意味であったと、理解したからだった。

 

「なんだよ、あの時のパイセンは…最初から嘘だったってことなのかよッ!」

 

 五条悟の脳裏に数年前の青い春が浮かぶ。

 任務を終えた帰りの買い食い、愛染に連れられて初めて訪れたゲームセンター、休日の消化を困った時に教えてもらった穴場のカフェテリア。

 どれもこれも他愛のない青春の一ページに当たるが、五条悟にとってかけがえのない時間で、守りたい日常でもあった。しかしそれが全部嘘であったと知った五条悟の感情は怒りよりも悲しさが勝った。

 

「…でも()()()言ったよな、パイセンが何か企んでいたらその顔をぶん殴るって」

 

「確かに言っていたね…ではどうする、私の顔を殴りに来るかね?」

 

「とーぜん」

 

 五条悟が腕を振り上げ踏み込んだところに五条悟もよく知る言霊呪法の技名が耳に届く。

 

 『縛道の六十一 六杖光牢』

 

 六枚の光の板で固定された五条悟だが、アキレスと亀の原理から自分に対しての様々なアクションは実質的に無効化されるはずである。

 

 六杖光牢は本来であれば対象を拘束するだけの拘束技である。しかし、愛染宗介は六杖光牢において発動する光の板を単なる光情報として、相手に接触して初めて効果を発揮する技とした。

 五条悟の無下限は五条悟に向かって進む物は徐々にその距離を無限に引き伸ばされる物としていたが、こと目に映る情報をシャットアウトしない為に光情報においては無下限のオートで発動する防御を()()()()()

 その特性から不意打ちであった六杖光牢は無下限の防御をすり抜け五条悟を拘束した。

 

 しかし五条悟自身は拘束され、そのことに対して驚きこそあるがそんな事はどうでもよくなる事態が起こっていた。

 言霊呪法の発動の声は確かに五条悟の知る声であるが、それは目の前の愛染宗介からのものではなかった。その声の主は、一緒に同行していた人物()()()()その人である。

 

「何の真似だ?」

 

「彼を怒らないでやってくれ、私の指示でやったまでのことだから」

 

「アンタにも聞いてるんだよ、何の真似だ!」

 

「簡単なことだよ、乙骨憂太は最初から…()()()()()()だ」

 

 驚愕の表情を持った五条悟は愛染宗介の領域展開に飲み込まれながら、乙骨憂太の哀しそうな表情(かお)が印象に残り、無下限を中和され最後に意識を手放した。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「いいんですか?」

 

「いいも悪いもないよ、このままでは五条は両面宿儺に殺される。五条悟という人間の死亡は、世界にとっても私達に取っても最も避けなければならない事柄のはずだよ、だからこうして_」

 

「僕は愛染先生のことを言っているんですよ」

 

 乙骨憂太の言葉に遮られ愛染宗介は黙り、暫くして口を開ける。

 

「一人の人間の思いと、世界そのものの天秤は比べるまでもないと私は思うよ」

 

「一人の人間の思いも尊重できない世界は必要ですか?」

 

「それは敗者の理論だ。勝者とは常に、世界がどういうものかではなく、どう在るべきかについて語らなければならない」

 

「難しいこと言いますね…。」

 

 愛染はフッと笑うと乙骨の頭に手を置く。

 

「私はただ、教師として…先輩として、世界を残したい…それだけだよ」

 

 愛染宗介の脳内では、いつかの記憶がフラッシュバックする。あの後憂太と行った焼肉屋は美味しかったな…などと思い出し、フッと笑うと「我ながら緊張感がないな」と独りごちながら戦地へと赴いた。

 

「やあ、両面宿儺。なんだか久しく会っていない気がするね」

 

 愛染宗介の目の前には、不敵な笑みを浮かべた伏黒恵の顔をした両面宿儺が佇んでいた。

 

「では今度こそ存分に…呪い合おうじゃないか」

*1
愛染宗介は存命かつ、天逆鉾は鏡花水月によるレプリカ




 お疲れ様でした。
 死滅回游編の序盤は割と大体原作と同じなのですっ飛ばしました(おいおい)。違うのは来栖の加入が、伏黒が宿儺に乗っ取られたことを知って来栖側から虎杖達に合流したってところくらいですかね?
 あと高羽はミゲル経由で虎杖達に加わった感じですねぇ
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