[本編完結]オサレ詠唱の申し子   作:山吹乙女

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 お疲れ様です。
 今回も難産ですねぇ…めちゃくちゃ展開を迷いました。


この強さでフルパワーじゃないってマジ?

「待っていたぞ、愛染宗介。俺が出向く前に自ら殺されに来るとは殊勝な心掛けだな」

 

 ニヤリと笑みを浮かべる伏黒の顔をした宿儺は頭に法陣を取り出すと、笑みを崩さず愛染は答える。

 

「呪いの王を待たせるとは、私も偉くなったものだね。しかし、狩る者と狩られる者の区別がつかないとは呪いの王も盲目になったものだ。裸の王様に転職することをオススメするよ」

 

「"(かい)"」

 

 宿儺は愛染に向けて不可視の斬撃を飛ばすが、愛染はまるで残像を残すかのような速度を出して宿儺に肉薄する。

 

「破道の六十三 雷吼炮」

 

 愛染から放たれた雷のような衝撃波を宿儺は避けることもせず、その身に受けるがまるでダメージを負っていないかのようであった。

 

「ぬるいな、やはり小手先だけの術師だったか」

 

 宿儺はどこか期待していたかのような声色を持っていたが、一変してつまらなさそうに愛染に不可視の斬撃を飛ばす。

 だが愛染もまた、その見えないはずの斬撃を高速で回避し、宿儺の背後に回り、手に持っていた天逆鉾を振りかぶる。

 

 しかし愛染は振りかぶった天逆鉾を振り切ろうとするが、宿儺に手首の部分を掴まれ止められる。

 

「速いな…まぁ()い、多少活きのいい魚を捌く瞬間はどんなものだろうと心躍るものだ」

 

「"瞬歩"に対応するか…流石だね」

 

 愛染は天逆鉾を掴まれた腕とは別の方の腕に放り投げ、そのまま自ら自分の腕の肘から先を切り落とすと、宿儺からやや距離を取る。

 

「苦しそうだな、同情するぞ」

 

 宿儺の言葉を意に介さないと言わんばかりに、失った腕を反転術式で治すと、呪具をしまい手印を結ぶ。その動作に呼応するかの様に宿儺もまた手印を結ぶ。

 

「「領域展開」」

 

 二人の声が"ほぼ"同時に重なり、領域が展開されるが…。

 

伏魔御廚子

 

無鏡水掌

 

 若干のところで宿儺の領域が早く、愛染が領域を出す前に無数の斬撃が愛染の体中を刻む。

 

「くっ…」

 

「ケヒッ反転術式の精度は大したものだが思ったより(やわ)いな、そら頑張れ頑張れ」

 

 宿儺はヨロヨロと立ち上がろうとする愛染の腹部に対して、回し蹴りを食らわせ後方の建物に衝突させる。

 

「下らんな、歯応えがまるでない。小手先だけが取り柄の術師が、小手先の術式…鏡花水月だったか、それを俺に使わないで勝てると思っていたのか?」

 

 建物に打ち付けられた愛染であったが、宿儺の問いかけに黙り、一度笑みを浮かべ、その笑みを捨てながら言葉を続けた。

 

「一体いつから──()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「何を…」

 

 言っているんだ、と続けようとした宿儺の背後より、己の命に手が掛かるほどの、肌が粟立つような呪力の奔流を感じ取り、すぐに後ろを振り返ったその光景は、例えるならば巨大な龍であった。

 

極ノ番、破道の九十九 五龍転滅(ごりゅうてんめつ)

 

 何処かから聞こえてきたその声の先から龍の形をした純然たるエネルギーの塊が、倒壊した付近の建物を呑み込みながら宿儺へと近づいていく。

 自分が蹴り弄んでいた愛染だと思っていたものが、ただの(はえ)であったことを知った時には、その身は光に包まれていた。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 両面宿儺と愛染宗介が対峙したタイミングでは既に、別の場所でも戦闘が繰り広げられていた。

 

「ええい私の周りをちょこまかと、木っ端術師風情がッ!」

 

「おぉ、こっわ〜、せっかく元は可愛い顔やのに性格がブスやから顔にも性格が出てるやん」

 

 裏梅と禪院直哉である。

 

「しっかし、秋に見る氷雪は風情のカケラもあらへんね。どうせなら夏に出して欲しかったわ」

 

「私には関係のない話だ!」

 

 裏梅は氷凝呪法で直哉に攻撃するものの、直哉の投射呪法の速度に全くついていけていない状況であった。

 

「貴様は所詮私の足止めだろう!宿儺様と貴様の仲間の一騎打ちを邪魔させないためのなッ!」

 

 裏梅は氷塊を飛ばすが、直哉は気にしていないかの様に加速して避ける。

 

「せーかい。宗介くんが宿儺に勝てば、後は虎杖くんのオカンの格好した黒幕と君だけやからね。時間なんて幾らあっても困らんしな。あーでも、あわよくば俺は君を殺す気でいるで?」

 

「宿儺様が、貴様らごときに負けるはずがないだろう。それに宿儺様は全くと言っていいほど実力をお出しされていない」

 

 その言葉を聞き直哉は思わず吹き出す。

 

「おもろいこと言うなぁ、()()()()やなくて()()()()の間違いやろ?どうして俺らが元気もりもりフルパワーの宿儺を待たないかんのや?指が全部揃おてへん、尚且つ恵くんの心もまだ折れてへん、そして()()()()()()()()()()()()()宿()()()()()()()()()も食われてへん現状…この絶好のタイミングを逃すバカはおらへんやろ」

 

「その程度の要因で宿儺様が負けるわけない」

 

「いや、俺らは祓うで…呪いの王を」

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

「それで、憂太も冥さんもパイセンとグルだったってわけか」

 

 眠りから醒めた五条悟は乙骨憂太に依然拘束されながら、不貞腐れるように椅子に座り、宿儺と愛染の戦いを冥冥の術式を通して観ていた。

 

「すみません」

 

「私は宗介くんに頼まれただけだよ、彼のほとんど全財産を渡されるとなれば私でなくとも了承しない人は居ないよ」

 

 憂太は後ろ頭を申し訳なさそうに掻き、冥冥はお金のハンドサインを作っていた。

 

「でも愛染先生の予測は完璧と言ってもいい精度でほとんど未来予知の部類でして…その愛染先生が五条先生が宿儺と戦うと勝つ可能性はほとんどゼロって言っていたので…五条先生のためだと思って暗躍してました」

 

「ふーん、僕は誰かに護られなきゃいけないほど弱いってわけか」

 

「いやそんなつもりじゃ…」

 

「まぁいいや、憂太は後からマジ殴り決定ね」

 

「えぇ…」と呟く乙骨を傍目に愛染と宿儺の戦闘に視線を戻す。

 

「ところで憂太はパイセンと宿儺の実力差、どう捉える?」

 

「そうですね…鏡花水月を持ってる愛染先生なら宿儺の攻撃は大体無効化できるでしょうけど、領域勝負に持ち込まれると少し怪しいでしょうか」

 

「パイセンは憂太にも呪力量を隠してるのか…いや、これは隠しているというより」

 

 ハテナを浮かべる乙骨だが、疑問を持ったまま五条に問いかける。

 

「五条先生…それって」

 

「ん?ああ、つまりは…()()()()()()()ってこと」

 

 




 お疲れ様でした。
 ようやく出ましたね、五龍転滅。獄ノ番が出るならやっぱりコレだよなぁ
 まさかの五条が解説役に…これほど豪華な解説役があっただろうか?しかしこの五条はパイセン大好きすぎんか?

 実は当初のプロットでは、鏡花水月で愛染に見せたカッシーに宿儺を途中削ってもらって、漁夫の利みたいにしようとしてましたが、絵面がオサレじゃなくなりそうなので却下となりました。

 次は本編絡めながら掲示板回とかやりそう
 
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